昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

奇天烈 ~赤児と銃弾の併存する街~ (十一)

2024-11-30 08:00:03 | 物語り

「なんだと、こら! 60台だからアダルトは観ないだと。
糖尿病で、お〇〇チンが勃たないだと。
寝ぼけたことを言うな、こら! だからこそ、観たんだよ。
ほんとに勃たないかどうか、確認したんだろ? 
しのごの言わずに、だまって払えばいいんだよ。
それとも、これから家まで押しかけようか。
奥さんにバレても良いのかよ! 子供らに知られても良いのかよ!
それとも、『アダルトに狂ったエロジジイです!』って、近所に触れまわってやろうか。
ええ、どうなんだよ、こら!」

「あたし、ひとりぐらしなんで。
妻とは、もうなん年も前に離婚してますし。
子どもたちは、いちにん前になってまして、独立しています」
 じつのところ、パソコンは古いながらもなんとか動いている。
ほこりをかぶっているのは事実なのだが、2年ほど前まではつかっていた。
そう、彼の言うアダルトサイトの動画(ただし無料版だ)を観たことはある。

しかしあまりに能力が古く、すぐにも画面中央にぐるぐるマークがあらわれて、なかなかすすまない。
けっきょくのところ、アダルトサイトにはいることはやめにした。
ただし、静止画ならば問題はない。わたしだって男だ。
糖尿病ですからと言い訳をしたけれども、女性への関心がうすれたわけではない。
若い女性のプリプリとした肌は好きだし、おっ○いだって気にはなる。
ただ、むねの谷間ではなく、下部がきになるほうだ。
丈のみじかいTシャツからこぼれている、下○に見とれてしまう。
周囲が寝しずまった深夜に、ひとりパソコンを立ち上げたものだ。

“このまま電話を切ろうか…”とも考えはした。
しかしその後に、なにかもっと恐ろしいことが起きそうで出来なかった。
「だからさ、悪いことは言わないって。
すなおに金を払いなさい。ね、田中さん」
 一転して、猫なで声が、耳にひびく。



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