昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 十一

2010-08-04 23:36:01 | 小説
それから三日後の、
文政八年(1825年)
二月二日の夜のことである。
次郎吉は、
某料理屋の二階で女と対座していた。
土屋相模守家の腰元である。

次郎吉はあぐらをかき、
腰元は正座している。
とても、
大工の娘とは思えない。
しかし土屋相模守の屋敷内では、
どこをどう間違えたのか
廻船問屋の娘となっているのである。

というのも、
行儀見習いとして奉公に上がるその日、
廻船問屋の娘は店の手代と駆け落ちをした。
慌てた廻船問屋は、
女中として奉公に来ていた
大工の娘ー年格好が似ているこの女を、
屋敷に上がらせたのである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿