断じて許すことはできません。
八つ裂きにしても足りない男どもでございます。
しかしもうわたしには気力がございません。
お話しする気力が、ございません。
もう、このまま死にたい思いでございます。
まさしく地獄でございます。
……地獄?
そう、地獄はこれからでございました。
じつは不思議なことに、男どもには顔がなかったのでございます。
もちろん、その男どもをわたくしは知りません。
見たことがありません。
だから顔がない、そうも思えるのではございます。
しかし、……。
そうですか、お気づきですか?
ご聡明なあなたさまは、すべてお見通しでございますか。
”申し訳ありません! 申し訳ありません!!”
わたしは、犬畜生にも劣る人間でございます。
“殺してください、わたしをこの場で殺してください。
この大罪人の、人非人を!”
そうなんでございます、男どもは、すべて、わたしの顔を持っていたのでございます。
……、この、わたくし目の顔を……持っていたのでございます。
蝿が飛んでおります、銀蝿でございます。
あの野糞にたかる、汚わらしい銀蝿でございます。
ぷーんぷーんと音も五月蝿く、飛び交っております。
死人にも似たわたくし目の周りを、飛び交っております。
手で払いのけるのでございますが、中々に立ち去ろうと致しません。
立ち去らない?
虫けらに立ち去らないなどということばを使うわたし、ふふふ、気が狂れたのかもしれませんな。
実は、じつは、その銀蝿……。
どうぞ耳をふさいでくださいまし、後生でございますから。
おぞましいことに、このわたくし目の顔を持っているのでございます。
何と、なんと言うことか、このわたしが、銀蝿などと!
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