昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

今、この時の愛 (白い闇の八)

2011-01-11 22:25:23 | 小説
彼女の指の感触は素晴らしい。
時に優しく、
時に力強く、
ぼくの肌にくい込む。

その都度、
ぼくの胸は高鳴る。
なのにぼくの肌に、
冷たく鋭い刃が当てられた。

眉毛が敏感に反応し、
ピクリと動く。
"ツッー!"と、
その刃が静かに動く。

しかしぼくの心には何の不安も、
動揺もない。
彼女の動きは、
実にスムーズだ。

銀色に光るその刃は、
ぼくの心に巣くう邪心をも
振り払っていくようだ。


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