昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(八十七) 英霊さんたちに、恥ずかしいこった

2014-05-23 19:22:35 | 小説
(七)

町内の旦那衆が、物見遊三でやってくる。
商売に関わることでもないのだが、無碍な対応をするわけにもいかない。 

「ほお、あんたかい? 暴漢をやっつけたというのは」
「大立ち回りだったそうだね。投げ飛ばしたんだとか?」

「男たちは、ビビって奥に引っ込んだそうじゃないか!」
「まったく、嘆かわしいことだよ。英霊さんたちに、恥ずかしいこった」

たちまち、応接室が町内会の会合の場と化してしまった。
武蔵にしても、苦笑いをするしかない。
といってこのままでは商売に支障をきたしてしまう。

そこで五平が乗り出した。町内ご意見番とでも言うべき老人に話をつけた。
バラック仕立ての公民館を立て直す段取りが付いたのだが、仮の集会所が見つからずにいるというのだ。

そこで、立て直しが終わるまでの間、富士商会の倉庫の一角に囲いを作って、そこを貸し出すこととなった。
こそ泥対策にもなりますから、という五平の進言もあり武蔵も快諾した。

そしてその旦那衆の交友範囲は広い。
富士商会を快く思っていない老舗連とも繋がっている。

七人の女侍たちの快挙が話題となって、更には小夜子の美貌見たさの富士商会詣でが始まった。


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