(十)
「力を貸してくれ、ですって。
よくもそんなことを。
タケゾーに処女を奪われたから、もう正三さんのお嫁さんにはなれないわ。
そうね、タケゾーに英会話は無理でしょうしね。」
懇願の体をとる武蔵に、小夜子の気持ちも落ち着きを取り戻した。
武蔵に請われてのこと、そうした儀式にも似た今夜の騒ぎでもってようやく小夜子に覚悟ができた。
けじめがついた。
武蔵に抱かれ目を閉じて、されるがままの小夜子。
ざらついていた心が、次第に滑らかさを取り戻していく。
しかし一人になると、小夜子を詰る声に悩まされる。
小夜子の心の中でけじめのつかぬことがある。
“正三さんに会わなくちゃ。
はっきりさせなくちゃだめなの。
どうしてはがきの一枚もくれないのか、問い詰めなくちゃ。”
“違うわ、そうじゃない。
正三さんに宣告してあげなくちゃ。
いつまでもあたしを待たれても、もうあたしは。
そう、そうなのよ。
あたしのことは、諦めてもらわなくちゃならないのよ。”
「力を貸してくれ、ですって。
よくもそんなことを。
タケゾーに処女を奪われたから、もう正三さんのお嫁さんにはなれないわ。
そうね、タケゾーに英会話は無理でしょうしね。」
懇願の体をとる武蔵に、小夜子の気持ちも落ち着きを取り戻した。
武蔵に請われてのこと、そうした儀式にも似た今夜の騒ぎでもってようやく小夜子に覚悟ができた。
けじめがついた。
武蔵に抱かれ目を閉じて、されるがままの小夜子。
ざらついていた心が、次第に滑らかさを取り戻していく。
しかし一人になると、小夜子を詰る声に悩まされる。
小夜子の心の中でけじめのつかぬことがある。
“正三さんに会わなくちゃ。
はっきりさせなくちゃだめなの。
どうしてはがきの一枚もくれないのか、問い詰めなくちゃ。”
“違うわ、そうじゃない。
正三さんに宣告してあげなくちゃ。
いつまでもあたしを待たれても、もうあたしは。
そう、そうなのよ。
あたしのことは、諦めてもらわなくちゃならないのよ。”
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