「武蔵は、ほんとに小夜子が好きなんだ。
それは分かるね? けども、武蔵の女あそびは、病気だ。どうしようもない。
女あそびを止めちまったら、武蔵は死ぬかもしれない。それくらいの大病だわ。 . . . 本文を読む
「五ヶ月だね。気付かなかったのか、お前さん。
他人のそれには敏感なくせに、自分のこととなるとからきしだな」と、馴染みの医者にからかわれる始末だ。
「つわりは無かったのか? そうか。静かに静かに、いのちを育んできたんだな。 . . . 本文を読む
そののちに麗子さんからの情報で、熊本の親もとをはなれての集団就職で、年齢は十六歳だということがわかった。
声の小さな子で、いつもあいての耳元で話しかけている。
まるで内緒ばなしをしているように見えてしまう。まだ方言がとれずにいたせいらしい。 . . . 本文を読む