20日(木)。昨日の日経朝刊に「音楽回顧2012」が載りました 朝日の”回顧”と違うのは”この1年、アーティストは日本の悲劇を胸に刻んでステージに立ち、充実した演奏会を催した”という言葉に象徴されるように、昨年の3.11東日本大震災を受けて、その後来日したアーティストに焦点を当てているところです
記事は、ツィメルマンやクレーメルら大物ソリストが来日する中、小菅優、河村尚子、三浦文彰、山田和樹ら若手アーティストたちの活躍も紹介しています
この「展望」はクラシックだけでなくポピュラーも取り上げているので、紙面が窮屈な面がなきにしもあらずですが、CDの売り上げが増えているという興味深いデータも紹介しています
日本レコード協会の調査によると、1~10月の音楽ソフト生産額は前年同期比9%増の2,409億円で、通年でもプラスになる可能性が高い、としています ただし、その中身を見ると、アイドルブームが続き、シングルが昨年に続いて伸びているのに加え、単価の高いアルバムが同7%も増えているということで、クラシック音楽市場とは関係がないようです 先日、新宿のタワーレコードに行ったのですが、クラシックCD売り場が9階から10階に移され、売り場面積が縮小されていました。こういう現状を目の当たりにすると、クラシック音楽愛好家としては、気持ちが暗sickになります
閑話休題
高田馬場の早稲田松竹で2011年カナダ映画「ぼくたちのムッシュ・ラザール」を観ました
カナダ・モントリオールの小学校の教室で、ある冬の朝、女性教師が首を吊って死んでいるのを生徒が発見、学校側はショックを受けた生徒たちの心のケアや後任の教師探しの対応に追われます そんな時、アルジェリア系の中年教師バシール・ラザールが代用教員として採用されます。野暮な彼は時代遅れのテキストを使うなど最初は生徒たちから引いて見られますが、真面目に取り組む姿に生徒も”バシール”と呼んで馴染んでいきます しかし、保護者からの指摘で彼が移民であることがバレて学校を去らなければならなくなります 最後に女子生徒のアリスが何も言わずにラザールのところに行き、抱きしめられるシーンで映画が終わります。じわじわっと感動を呼び起こす物語です
この映画で使われている唯一のクラシック音楽はモーツアルトの「ピアノソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付き”」第1楽章”テーマ”です ラザールがスケートリンクで行われているアイスホッケーの試合を観ながら家路につくシーンで流れます なぜ、そのシーンでモーツアルトなのか、しかも”トルコ行進曲付き”ソナタの”テーマ”なのか、監督の意図はよく分かりません この”テーマ”を基に、どんどん変奏していくことから、物語も変奏していくことを暗示しようとしたのでしょうか。実際には分かりませんが、なぜか、そのシーンにはぴったりでした