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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ショスタコ対チャイコ,こうも違うか!~新日本フィル室内楽シリーズ第2回公演を聴く

2012年12月05日 07時00分20秒 | 日記

5日(水)。昨日の日経朝刊「東京首都圏経済面」に「武蔵野に響く万雷の拍手~”激安”演奏会 裾野広く」という記事が載りました 東京都の武蔵野市民文化会館のクラシック・コンサートの集客活動に焦点を当てた記事です。同会館は1984年にオ―プン、大ホール(1350席)と小ホール(470席)から構成され、武蔵野市の外郭団体「武蔵野文化事業団」が運営しているとのこと

コンサートに行った時に入り口で配られるチラシの中に、時々武蔵野市民文化会館の白いチラシが入っています。いかにもお金をかけていない簡単な作りで、コピー用紙にワープロで打ったような文字で「他の公演では2万円、武蔵野では1万3,000円」といった激安料金が躍っています 激安料金を可能にしているのは①8,000人の友の会会員を中心に幅広いファンがいる、②通常は空席分を見越して料金に上乗せするのを、完売を前提に料金設定する、③チラシは白黒など経費をかけない、④公共施設なのでホール使用料や利益は不要、といった要因があるとのことです

私もかつて一度、海外のオペラの来日公演でリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」を観ましたが、演出・舞台こそ地味だったものの歌手をはじめコストパフォーマンスは極めて高かったことを覚えています

文化庁調査によると、自治体の芸術文化に対する支出は2010年に2740億円と、バブル期の3割の水準にとどまっているとのことです こうした中、公共施設でも十分やっていけることを証明している武蔵野市民文化会館の活動は、他の自治体のホールで模倣してもよいのではないかと思います 唯一の難点は会館の所在地がJR三鷹駅から徒歩で13分と,私にとっては遠いということです

 

  閑話休題  

 

昨夕,すみだトりフォニーホールで新日本フィル室内楽シリーズ「音楽家たちの饗宴」第2回公演を聴きました 小ホールの入り口では,小さなツリーが出迎えてくれました.光不足でピンボケ・・もっと光を

 

          

 

プログラムは①ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第8番ハ短調」,②チャイコフスキー「弦楽六重奏曲ニ短調”フィレンツェの思い出”」の2曲です

7時からはいつも通り新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんのプレトークがありました 今回は厳本真理弦楽四重奏団とゲルハルト・ボッセについて解説してくれました.厳本真理さんは日本の弦楽四重奏団の基礎を作った人ですが,乳がんに侵され手術を繰り返しながらも定期演奏会に臨んだとのこと.篠原さんの真に迫った語り口で聴くと迫真の演奏姿が目に浮かぶようです 新日本フィルと縁が深かったゲルハルト・ボッセについても,自らの体験談を通して,芸術に対する厳しさ,人間的な温かさを弁舌さわやかに語ってくれました 篠原さんの流暢な語り口は対象のアーティストを愛すればこそでしょう 毎回のことですが,原稿も見ずに立て板に水を流すような解説には”語りの天才”を感じます

 

          

             〔プログラムの無断掲載,篠原様,お許しを!〕

 

1曲目のショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第8番」は第1ヴァイオリン:山田容子,第2ヴァイオリン:小池めぐみ,ヴィオラ:矢浪礼子,チェロ:貝原正三というメンバーです.全員が黒一色の衣装で登場です.これから演奏する曲の性格を暗示しているかのようです

第1楽章「ラルゴ」が厳かに始まります.一言でいって”重く,暗い”です.全曲を通してそんな感じですが,プログラムにヴァイオリンの山田容子さんが書かれているように「この曲はショスタコーヴィチによって”ファシズムと戦争の犠牲者の思い出に”捧げられた」曲なので,深く沈んでいくような音楽になっているのでしょう.聴いているのがつらいほどでした

後半のチャイコフスキー「弦楽六重奏曲ニ短調」を演奏するために6人のメンバーが登場します.女性陣は一転,カラフルな衣装での登場です ヴァイオリン:松宮麻希子,深谷まり,ヴィオラ:間瀬容子,木村恵子,チェロ:竹澤修平,矢野晶子というメンバーです

第1楽章「アレグロ」から開始されますが,衣装と同じく,何と饒舌で賑やかな音楽でしょうか 前半のショスタコーヴィチが”寡黙な男の独白”とすれば,後半のチャイコフスキーは”饒舌な女のおしゃべり”といったところでしょうか

第2楽章「アダージョ・カンタービレ・コン・モト」は,弦のピチカートの載せて最初は第1ヴァイオリンが,次いで第1チェロが優雅なメロディーを奏でるのですが,ゴンドラに乗って運河を巡っているようないい気分の音楽なのです 松宮麻希子さんの第1ヴァイオリンと竹澤修平さんの第1チェロのソロが光っていました

この日聴いた2曲は,CDを持っていないので初めて聴く曲でしたが,同じロシアの音楽家による音楽なのにこうも違うかと驚くほど正反対の曲想でした

演奏会終了後,500円でワイン飲み放題のワンコイン・パーティーに参加しました お話のソムリエを務めていた篠原さんに「お久しぶりです」と声をかけると「相変わらずコンサートに行っておられますねえ」と言われました.「今日が今年151回目です」と答えると「もうすぐ目標達成ですね」と言われました.実はすでに目標は達成しているのですが 過日篠原さんがブログにコメントを寄せて下さった”ブタペスト・カルテット”ではなく”ブタコレラ・カルテット”の主催者・井上和雄氏(本職は大学教授)の書かれたエッセイ集「モーツアルト編」「ハイドン編」「ベートーヴェン編」について,「その後,手に入れましたか?」と訊かれたので,「中古書店めぐりをしているのですが,なかなか見つからず,まだ手に入れていません」と答えると,「探し出したら差し上げようと思っているのですが・・・」と有難いお言葉を頂戴しました.私としてはお気持ちだけでも大変ありがたく,何とか自力で探し出そうと思っております

 

          

           〔真ん中に貼った紫色のシールはワンコイン・パーティー用〕

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