15日(金).わが家に来てから218日目を迎え,白ウサちゃんを従えて散歩するモコタロです
閑話休題
昨日出勤前に,夕方フランクの「交響曲ニ短調」を聴くのでCDで予習しておきました 演奏はシャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団です
も一度,閑話休題
昨夕,サントリーホールで東京交響楽団の第630回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第31番ニ長調K.297”パリ”」,②同「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299」,③フランク「交響曲ニ短調」です.指揮は東響桂冠指揮者ユベール・スダーン,②のフルート独奏は高木綾子,ハープ独奏は吉野直子です
1曲目はモーツアルトの「交響曲第31番ニ長調K.297”パリ”」です.コンマス水谷晃の合図でチューニングが行われますが,オケは比較的小編成です スダーンがモーツアルトの交響曲を指揮する時は指揮台を使いません.いつものように指揮棒も使わず両手で指揮をします スダーンの合図で第1楽章「アレグロ・アッサイ」が開始されます.弦楽器の演奏はアクセントを強調したキビキビしたもので,古楽器奏法ではないか,と思いました それを裏付けるのはトランペットです.ピストンのない長いトランペットはバッハ・コレギウム・ジャパンでよく使われるピリオド楽器ではないかと思われます
スダーンのモーツアルトを聴くたびに思うのは,モーツアルトの生まれ故郷ザルツブルクのモーツアルテウム管弦楽団の音楽監督を13年も務めた実績に裏付けられた小気味の良いテンポ感です 18世紀のモーツアルトの音楽が21世紀の現代に躍動している,と感じます
オケが縮小して,”黄金のハープ”がステージ中央に運ばれます.あの輝きは純金100%の本物の金メッキではないか フルート独奏の高木綾子が鮮やかなグリーンのドレスで,ハープの吉野直子がマリン・ブルーのドレスで登場,舞台中央でスタンバイします
2曲目はモーツアルト「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299」です.これほど優雅な曲があるのだろうか,と思うほど華やかで優雅な曲です その昔,知人から結婚式の二次会のBGMを考えてほしいと頼まれた時,何のためらいもなくこの曲を流すことにしました 高木綾子と吉野直子のコンビで聴くこの曲は最高です 吉野直子などは黄金のハープとともに存在そのものが優雅ですから とくに各楽章におけるハープとフルートによるカデンツァが素晴らしい演奏でした
休憩後はフランクの「交響曲ニ短調」です.オケが一気に拡大しフル・オーケストラでこの曲に臨みます 指揮台も準備されています.この曲の作曲者セザール・フランクはベルギー生まれですが,先祖はゲルマン系ということでドイツ人の血統を受け継いでいます.生涯サン・クロティルド協会の正オルガ二ストを務め,1871年からは名門パリ音楽院のオルガン教授に就いています この曲は1886年~88年に作曲されたといいますからフランクが64歳~66歳の晩年の作品です
スダーンの合図で第1楽章「レントーアレグロ・ノン・トロッポ」が開始されます.『循環動機』と呼ばれるメロディーが各楽章を支配します.コンマスの水谷晃は椅子を高く設定したうえで身体を後ろに反り返って演奏しています.コンマスはオケ全体を引っ張っていかなければならないので,身体を張って演奏に取り組んでいるのです
1890年11月8日にフランクは息を引き取りました.1900年に長男のジョルジュがダンディに手紙を書いていますが,その中で「父セザールは教会のオルガ二ストだという固定化したイメージを植え付けないでほしい.父セザールは『室内楽,交響曲,歌曲,オペラの作曲家でもある』」ことを強調しています.しかし,実際にこの「交響曲ニ短調」を聴くとオルガン的な響きが聴こえてきます
スダーンが指揮をとるとき,東響のメンバーは嬉々として演奏しているように見えます それは現在の音楽監督ジョナサン・ノットの前に,音楽監督だった際に培った信頼関係があったからこそだと思います.力強い中にも暖かい演奏でした