人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ロマン・ポランスキー「毛皮のビーナス」を観る~前代未聞,出演者が二人だけ!

2015年05月01日 11時10分18秒 | 日記

5月1日(金).速いもので今日から5月です わが家に来てから205日目を迎え、よそ見していて食料を落とすモコタロです 

 

          

            いけね 白ウサちゃんに見とれてて 落としちゃったよ

 

  閑話休題  

 

一昨日,早稲田松竹でロマン・ポランスキー監督映画「チャイナタウン」と「毛皮のビーナス」の2本立てを観ましたが,先日「チャイナタウン」について書いたので今日は2013年の「毛皮のビーナス」(96分)について書きます

無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)はオーディションに遅刻してやってくる 自信家で傲慢な演出家のトマ(マチュー・アマルリック)は,もうオーディションは終わったと言って彼女を追い返そうとするが,ワンダは厚かましくも強引にオーディションをしてほしいと頼み込み,トマはしぶしぶ付き合うことになる 知性の欠片もないガサツな女だと思っていたワンダだったが,演技を始めると,役柄をよく理解していてセリフも演技も完ぺきであることが分かる 演出家と女優という立場は逆転し,二人だけのオーディションは次第に熱を帯びてきて,トマはワンダに支配されることを望むようになっていく

 

          

 

この映画の登場人物はたったの二人です こういう映画は生まれて初めて観ました.「毛皮のビーナス」という舞台劇を映画化したものですが,二人のセリフを聞きながら演技を観ていると,途中から現実に戻った会話になり,また演技に入ったかと思うと,いつの間にか現実に戻り,といった具合に,いま目の前で観ている世界が”劇中劇の演技”なのか”映画の中の現実”なのかよく分からなくなってきます

ワンダ役のエマニュエル・セニエは,実生活の上ではポランスキー夫人であることと,トマ役のマチュー・アマルリックがポランスキーに風貌から身体つきまでよく似ていることから,映画を観ているわれわれは,この映画がポランスキー夫妻の実生活を反映したものではないのか,と錯覚しそうになります

思わず笑ってしまったのは,二人の会話の途中,何度かトマのケータイに電話がかかってくるのですが,その着メロがワーグナーの「ワルキューレの騎行」なのです ベトナム戦争を題材にしたフランシス・コッポラ監督「地獄の黙示録」で使われたあの勇ましい音楽です 思わず笑ってしまいましたが,ナチス・ドイツはワーグナーの音楽をプロパガンダに利用しました.そのナチによりポランスキーの両親が強制収容所に送還されたという事実を考えると,本当は笑ってる場合ではないのです あえてワーグナーを使ったのはポランスキー一流のアイロニーだったのでしょうか

【追伸】システム障害のため今朝7時にアップする予定だった当ブログが今の時間になりました

 

 

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