人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」他を聴く~新日本フィル室内楽シリーズ

2015年05月26日 07時01分08秒 | 日記

26日(火).わが家に来てから229日目を迎え、相変わらず何でも口にするモコタロです 

 

          

           これトイレットペーパーの芯じゃないよね? 水に流してって?

 

  閑話休題  

 

昨夕,すみだトリフォニー(小)ホールで新日本フィル室内楽シリーズ「弦楽合奏の魅力」を聴きました プログラムは①テレマン「4つのヴァイオリンのための協奏曲」より,②ブラームス「弦楽五重奏曲第2番ト長調」,③メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です 出演はヴァイオリン=チェ・ムンス,佐々木絵理子,古日山倫世,松崎千鶴,ヴィオラ=高橋正人,脇屋冴子,チェロ=森澤泰,スティーヴン・フィナティです

 

          

 

会場はかなり埋まっている感じです.第1回目の公演ともども選曲の良さだと思います 楽団員プロデュース・シリーズ第2回目となる今回のコンサートはコンマスのチェ・ムンス氏のプロデュースにより弦楽合奏曲が取り上げられました.7時15分開演ですが,その前の7時からチェ氏によるプレ・トークがありました

新日本フィルの室内楽シリーズも今年で11年目を迎えるそうで,これまで弦楽四重奏を取り上げる機会が多かったこともあり,違う編成による弦楽合奏曲を選んだ,という解説がありました 「オーケストラでは,合わせるために待ったりして,”タテを合わせる”ことがあるのですが,それは音楽とは関係ないことです.それが今回の室内楽の演奏でどこまで解決できるのか,試みてみたいと思います」と語ります

簡単に演奏曲目を解説し,この日演奏する若手メンバーを紹介します.古日山倫世さんは2013年入団の第1ヴァイオリン奏者 松崎千鶴さんは今年1月に入団した第2ヴァイオリン奏者で契約団員 脇屋冴子さんは今年2月に入団したヴィオラ・フォアシュピーラーで契約団員です それにしても,新日本フィルはどうしてこう美人を揃えられるのでしょうか? その後,ベテランのヴィオラ奏者・高橋正人,チェロ奏者・森澤泰の紹介があり(省略),演奏に移りましたが,お話そのものはやはりトークの天才・篠原英和氏には遠く及ばず,時間も5分超過していました.これは致し方ないことです

さて,最初はテレマン「4つのヴァイオリンのための協奏曲」からト長調,ハ長調,ニ長調の3曲が続けて演奏されます チェ・ムンス,淡いグリーンのドレスの古日山倫世,淡いピンクのドレスの松崎千鶴,パープルのドレスの佐々木絵理子の4人による演奏です.聴いた感じでは,全体的にヴィヴァルディのような曲想です 1曲が6~7分の短い曲ですが,目先がクルクルと変わり,ターヘル・ムジーク(食卓の音楽)をいくつも作ったテレマンのサービス精神が表われているようです

2曲目のブラームス「弦楽五重奏曲第2番ト長調」についてチェ氏はプレ・トークで次のように解説しました

「ブラームスの後期の曲は演奏のハードルが高いです この曲は晩年の曲ながらエネルギーに満ちた曲で,第1楽章は交響曲第2番のようなエネルギッシュな明るい曲想で,第2楽章は交響曲第3番のような感じです チェロが1本だけというのはバランスに欠ける編成ですが,ブラームスはどのように考えていたのか,興味深いところです ところでこの曲と同じ時期に作曲された『間奏曲』も素晴らしい曲です.90歳になろうとしていたチッコリー二の演奏でこの曲を聴いた時は,枯淡の境地と言うか,この年にして初めて達成した境地だな,と感じ入りました 私もこの年になるまで生きられるかどうかも分かりませんが,演奏できる限り一生懸命精進したいと思っています

この曲はチェ,佐々木,高橋,脇屋,森澤というメンバーによって演奏されました.第1楽章の冒頭は混沌とした雰囲気でしたが,次第にこなれてきてブラームス独自のメロディーが浮かび上がってきました 1本だけのチェロは確かに責任重大でいかにも大変そうです.5人の渾身の演奏が展開しました

 

          

 

最後の曲はメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲変ホ長調」です.このブログでも何度か書きましたが,私はこの曲が大好きです 左からチェ,松崎,佐々木,古日山,脇屋,高橋,森澤,フィナティ(チェロ)という態勢で演奏します.チェ氏も若手の演奏者達も語っていましたが,この曲がメンデルスゾーン16歳の時の作品であるとはとても思えません 「果たして,自分が16歳の時いったい何をやっていただろうか?」と思わず振り返ってしまいます もっとも彼の場合は,大金持ちの息子という恵まれた立場にあり,好きな音楽のためなら何でも出来たという側面もありました それにしても才能がなければ後世に名を残すことはなかったでしょう.メンデルスゾーンがモーツアルトに次ぐ早熟の天才だと言われる由縁です

曲は第1ヴァイオリンを中心に,前へ前へと音楽が進む実に気持ちの良い推進力に満ちた明るい曲です大きな特徴の一つは,第3楽章「スケルツォ」でしょう.「真夏の夜の夢」の妖精が空を飛びまわっているような小気味の良い弾む音楽です そして第4楽章「プレスト」になだれ込む訳ですが,チェロ→ヴィオラ→第2ヴァイオリンという順に速いパッセージによるフーガで受け継がれていき,クライマックスを迎えます このフィナーレはたまらない魅力です.これぞ弦楽合奏だという曲です

大きな拍手にショスタコ―ヴィチの「弦楽八重奏のための2つの小品」から第2番「スケルツォ」をアンコールに演奏しましたが,ショスタコーヴィチらしい諧謔的でエキセントリックな曲でした この曲は間違いなくモスクワ音楽院首席卒業のチェ氏による選曲でしょう とにかく激しい曲ですが,私は一度聴いただけで好きになりました 会場は割れんばかりの拍手でした

コンサート後には「ワン・コイン・パーティー」(500円)があり,ヴァイオリン奏者・篠原英和氏がナビゲーターとして復活したのに,すぐに帰らなければならないやんごとなき事情があり,参加できませんでした 非常に残念ですが,7月に篠原氏のプロデュースによる「短調のモーツアルト」の会に持ち越すことにしました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする