人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目②」~5月4日のリポートその2

2015年05月05日 10時32分04秒 | 日記

5日(火・祝)その2.よい子は「その1」から見てね 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」第3日目(4日)の後半3公演について書きます

 

          

 

午後4時から東京国際フォーラム・ホールB7で開かれた「恋する作曲家たち~シューマンの愛妻に捧げる五重奏」(公演番号324)を聴きました プログラムは①ショパン「ピアノ・ソナタ第2番」、②シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」。演奏はピアノ=ベアトリ―チェ・ラナ、アルデオ弦楽四重奏団です

自席は9列14番,左ブロック右通路側席です.会場はほぼ満席 拍手の中,ラナが上が黒,下が銀のラメ入り衣装で登場,ピアノに向かいます.1曲目のショパン「ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調」は「葬送」という愛称が付いています.これは第3楽章の葬送行進曲に因みます ラナは最弱音から最強音まで落差の大きいダイナミックな演奏を展開します この曲は4つの楽章から成りますが,ラナは楽章間を空けることなく続けて演奏します.圧巻は第4楽章「プレスト」.地下で何かが蠢いているかと思うと,最後に爆発します.スケールの大きい演奏でした

 

          

 

2曲目は前日シューベルトの弦楽五重奏曲を演奏した女性グループ,アルデオ弦楽四重奏団にラナが加わり,シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」が演奏されます.この曲はシューマンがクララと結婚した2年後に作曲した傑作です ヴァイオリンの二人が前日と入れ替わり,東洋人の女性が第1ヴァイオリンを務めます

チューニングが行われますが,かなり念密にやっていると思ったら,第1ヴァイオリンから一人一人順番にやっていました ピアノのラナは若干手持無沙汰な感じです.やっと調弦が完了して第1楽章「アレグロ・ブリランテ」に入ります ラナを含めて5人とも力が入っていますが,とくに第1ヴァイオリン奏者が腰を浮かせて全精力を傾けて弾いているのが印象的です この曲はどの楽章も情熱的な曲想ですが,例えば第2楽章などは弦楽奏者同士のバトルのような様相を呈しており,「ほとばしる情熱」を感じます 3楽章「スケルツォ」が終了すると会場から拍手が起こりましたが,「この熱演では楽章間の拍手も無理もないかな」とさえ思いました 終演後は会場一杯の拍手とブラボーです

 

          

 

次に午後6時半からホールAで開かれた「パシオンの邂逅から3台のピアノがつなぐバッハと現代」(公演番号315)を聴きましてた プログラムは①ドゥカイ「上弦の月のライオンの井戸ー赤ー」(日本初演)、②バッハ「2台のピアノのための協奏曲第1番」、③ドゥカイ「儚さと永遠~笑顔の裏の涙」(日本初演)、④バッハ「3台のピアノのための協奏曲第1番」、⑤バッハ(ドゥカイ編)「コラール前奏曲”最愛のイエスは、私たちは”」(世界初演),⑥バッハ「3台のピアノのための協奏曲」です 演奏はピアノ=デジュー・ラーンキ、フュロップ・ラーンキ、エディト・クルコン(3人は親子)、バックを務めるのはアンドラ―シュ・ケラー指揮コンチェルト・ブタペストです

ステージには蓋を取ったピアノが3台,鍵盤が見える形で設置されています.ステージに登場したコンチェルト・ブタペストは15人の弦楽奏者から成る音楽集団ですが,立って演奏します 指揮者のケラーとラーンキ夫妻が登場します.位置的にはピアノと弦楽奏者の間に指揮台が置かれているという状態です

 

          

 

1曲目はドゥカイの「上弦の月のライオンの井戸ー赤ー2台のピアノのための声のポエジー」ですが,ドゥカイは1950年生まれのハンガリーの作曲家です.タイトルの意味はよく分かりませんが,まさに「ポエジー」という意味が込められた静かな曲です 日本初演ということです.短い曲が終わると指揮者とオケのメンバーが立ち上がり,2人をソリストにバッハの「2台のピアノのための協奏曲第1番」を演奏します

バッハのコンチェルトを聴いていていつも思うのは,まるでジャズだ,ということです もちろんバッハの方が先なので,ジャズがバッハを採り入れたのですが,脳に心地よい振動を与える音楽です

ここで息子のヒュロップが登場,3人でドゥカイ「儚さと永遠ー笑顔の裏の涙ー3台のピアノのための2つのカノン:J.S.バッハの思い出に」が演奏されます.この曲もタイトルの意味はよく分かりませんが,静かな曲です.この曲も日本初演

続いてオケが加わってバッハ「3台のピアノのための協奏曲第1番」が演奏されます.前日の「ヨハネ受難曲」を思い起こすと,バッハという人は実に多面的な音楽を作った人だったのだな,とあらためて感心し,その無尽蔵な才能に驚きます

次にバッハ(ドゥカイ編)「コラール前奏曲”最愛のイエスは,私たちは」が3人のソリストによって演奏されます.3つの楽章から成りますが,第1楽章は”輝く楽章”とでも言うような明るい曲,第2楽章は静かな”アダージョ楽章”,第3楽章は再び”輝く楽章”です.これは世界初演

最後はバッハの「3台のピアノのための協奏曲第2番」がオケとともに演奏されました この日のプログラムは普段のコンサートではあまり聴く機会のない「3台のピアノによる協奏曲」がまとめて聴ける絶好のチャンスでしたが,ドゥカイの『静』とバッハの『動』との絶妙な組み合わせによるコンサートでした

最後にソリスト達に促され作曲者のドゥカイが会場から呼ばれ,カーテン・コールに加わりました.日本初演,世界初演に立ち会うことが出来て聴衆の一人として嬉しく思います

 

          

 

今年最後の公演は午後9時からホールAで開かれた「L.F.Jの大団円を飾るパシオンの饗宴」(公演番号316)です プログラムは①プッチーニ:オペラ「ジャンニ・スキッキ」より『私のお父さん』,②同:オペラ「ラ・ボエーム」より『私の名前はミミ』,③ドニゼッティ:オペラ「愛の妙薬」より『人知れぬ涙』,④ヴェルディ:オペラ「ラ・トラヴィアータ」より『乾杯の歌』,⑤グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」、⑥マルケス「タンソン第2番」です 出演はソプラノ=アマンダ・パピアン、テノール=アキレス・マチャド、ピアノ=ユリアンナ・アヴデーエワ、ロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

ソプラノのアマンダ・パビアンとテノールのアレッサンドロ・リベラトーレによるプッチーニとヴェルディの「愛の二重唱」は,第1日目(2日)の「ルネ・マルタンの”ハート直撃コンサート”」で歌われ,会場の大喝采を浴びましたが,あの時の再演です 二人の歌唱を一言で言えば,「オーケストラの音を超えて会場に響き渡る最強のソプラノ,テノール」です.この日の二人も絶好調で,会場の大喝采を浴びました

次いで,グリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」が,2010年のショパン国際コンクールの優勝者ユリアンナ・アヴデーエワの独奏により演奏されます 彼女の優勝は1965年のマルタ・アルゲリッチの優勝以来,女性では45年ぶりの快挙でした 彼女の演奏は生のコンサートで何度か聴きましたが,鋭いタッチとしなやかな抒情性に満ちた演奏です 第2楽章のアダージョで美しい弱音を聴かせたかと思うと,第3楽章のアレグロでは激しい感情の発露を見せ,聴衆の心を鷲づかみします 鳴り止まない拍手にショパンのワルツ(?曲名を思い出せない)を鮮やかに演奏,拍手の嵐を巻き起こしました

アヴデーエワが舞台袖に戻り,代わりに4人の男性スタッフがピアノを片付けるために現われると,次のプログラムの出演者と勘違いした聴衆から大きな拍手が湧き,事実に気が付くと嘲笑に変わりました.よくあることです

今年度のLFJ最後のプログラムはメキシコの作曲家マルケスの「ダンソン第2番」です.キューバやベネズエラなど中米エリアの民族舞曲をアレンジした曲で,管弦楽,打楽器が総動員の賑やかな曲です

トレヴィーノ+シンフォニア・ヴァルソヴィアは情熱的な演奏を展開,会場を興奮の坩堝に巻き込みました これが最終公演,当然アンコールがあります.再びパビアン,リベラトーレが登場し「乾杯の歌」を最強音で歌い上げ,聴衆の手拍子も誘い出して,またしても会場の温度を上げました それでも鳴り止まない拍手に,オケだけでブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」を民族色豊かに演奏し,止めを刺しました

プログラム上は午後10時終了となっていましたが,実際の終演は10時半を回っていました

長いようで短かった私のLFJ音楽祭もこれで終わり.一抹の寂しさを感じます 3日間で聴いた18公演のすべてを,睡眠時間を切り詰めながら,遅くとも翌朝にはブログにアップ出来たことは良い思い出になるでしょう

例年通り,今年のLFJの思い出に公式CD「PASSIONS~ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」(2枚組・1,500円)を購入しました アヴデーエワの演奏も入っています.まだ連休が残っているのでゆっくり聴きながらこの3日間を振り返りたいと思います

 

          

          

          

 

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「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目①」~5月4日のリポートその1

2015年05月05日 01時46分16秒 | 日記

5日(火・祝)。わが家に来てから208日目を迎え,白ウサちゃんを従えるモコタロです 

 

          

             いったい どっちが偉いんだか・・・・・おせーて!

 

  閑話休題  

 

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015」第3日目(4日)に聴いた6公演のうち前半の3公演について書きます

 

          

 

最初に午前10時半から東京国際フォーラム・G409で開かれた「あふれる想い~バッハの最愛の兄との別れ」(公演番号361)を聴きました プログラムは①バッハ「3声のシンフォニアより第11番」、②同「カプリッチョ変ロ長調”最愛の兄の旅立ちにあたって”BWV797」、③モーツアルト「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付き”」。演奏はピアノ:クレール=マリ・ルゲです

LFJ音楽祭に通って10年目になりますが,初めてガラス塔の4階会議室G409で聴きました 153席と少人数収容のため抽選に当たらないと聴けないのです 自席は3列25番,センター右ブロック右から2つ入った席です.会場はほぼ満席 グランド・ピアノを3方から囲むように客席が設置されています

濃紺のビロードの半そでと黒のパンツ姿が良く似合うルゲの登場です 最初にバッハの「3声のシンフォニア」から第11番が演奏されます.譜面立てがないので暗譜かと思っていると,ピアノの蓋に楽譜が映っています.必ずしも暗譜で弾く必要はないでしょう

次いでバッハの「カプリッチョ変ロ長調”最愛の兄の旅立ちにあたって」の演奏に入ります この曲は,バッハが19歳の頃,ともに育った兄が,スウェーデン国王カール12世の軍楽隊に入隊するため故郷を離れることになり,別れを惜しむ気持ちで6曲から成る「ちょっとした曲」として書いたものです 普段聴く機会のない曲ですが,第5曲「ポコ・アレグロ」はどこかで聴いたことのある軽快な曲です

最後はモーツアルトの「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付”」です.ルゲは軽快にモーツアルトの世界を表出します 狭い会場なので音が直接迫ってくる感じがします

ルゲはアンコールにバッハの「イタリア協奏曲」から最終楽章を演奏し,喝さいを浴びました

 

          

           チケット売り場は残り少ない券を求める人たちでいっぱい

 

次に午後12時15分からホールCで開かれた「祈りのバロック~バッハによる喜びのカンタータ」(公演番号342)を聴きました プログラムは①バッハ「カンタータ”神の時こそいと良き時”」、②同「カンタータ”天の王よ、よくぞ来ませり”」。演奏は鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン.ソリストはソプラノ=ドロテー・ミルズ,アルト=青木洋也,テノール=ハンス・イェルク・マンメル,バス=ドミニク・ヴェルナーです.いよいよBCJのLFJデビューです

 

          

 

自席は2階14列21番,センターブロック左通路側席です.会場はほぼ満席 BCJのメンバーが登場します.左にリコーダー2人,中央に通奏低音のチェンバロ=鈴木優人,ヴィオローネ(コントラバス)=西澤誠治(読響),その隣はヴィオラ・ダ・ガンバ=武澤秀平(元・新日本フィル首席)です 次いで合唱団の入場です.総勢16人の構成は男9対女7です

1曲目のバッハのカンタータ「神の時こそいと良き時」BWV106は2月22日のBCJの定期演奏会で聴いたばかりです 葬送のために書かれたと言われています.やはり,バッハのカンタータはBCJで聴くのが一番安心感があります

2曲目のバッハのカンタータ「天の王よ,よくぞ来ませり」BWV182は,1714年にワイマール宮廷の楽士長に就任して最初に作曲したカンタータです オケは弦楽器が左右に分かれる対向配置をとります.ヴィオリンは左サイドが若松夏美,右サイドは高田あずみがコンマスの役割を果たします.最初の「ソナタ」から8曲目の「合唱」までありますが,曲に応じてリコーダーが伴奏を務め,ソリストを盛り立てます

バッハのカンタータは,慣れもあるかも知れませんが,BCJの演奏が一番しっくりきます 古楽器の演奏もいいし,合唱も透明感があり素晴らしいです

終演後,地下の展示ホールに行ったら別のコンサートに出演したBCJの写真が掲示されていました

 

          

 

チケットの半券を持っていると,展示ホールでこんなコンサートも無料で聴けます

 

          

 

          

 

次に午後2時からホールCで開かれた「祈りのバロック~バッハとヘンデルによる宗教音楽」(公演番号343)を聴きました プログラムは①バッハ「ミサ曲ト短調BWV235」、②ヘンデル「主は言われた(ディキシット・ドミヌス)」。演奏はダニエル・ロイス指揮ローザンヌ声楽・管楽アンサンブルです

 

          

 

自席は1階6列4番,左サイドのどん詰まりから4つ中に入った席です ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルのメンバーが入場します.前日,ミシェル・コルボの指揮で「ヨハネ受難曲」を聴いたばかりです 前日「ヨハネ」でソリストを務めた歌手たちが再び登場します.ただし,前面に出てスタンバイするのはカウンターテナーの歌手だけで,残りのソリストは合唱団の中に加わります.してみると彼らはもともと合唱団のメンバーだったのか ここでも配布されたプログラムにソリストの名前が載っていないので,誰が歌っているのかさっぱり分からないのです

1曲目のバッハ「ミサ曲ト短調」BWV235はバッハがライプツィヒ・トーマス教会の楽長を務めていた1730年代後半に作曲されたと推定されています 今回初めて聴きましたが,とても良い曲です.第1曲「キリエ」から第6曲「クム・サンクト・スピリツ」まで6曲から成りますが,それぞれ独唱が活躍します.バックではオーボエが良いサポートをしています

2曲目のヘンデル「主は言われた」(ディキシット・ドミヌス)は冒頭の合唱が有名ですが,通して聴くのは今回が初めてです 局面に応じてソリストが前に出てきて歌いますが,ソプラノの二重唱は聴きごたえがありました.この曲も素晴らしい曲です 前へ前へという推進力を感じさせる名曲だと思います CDは持っているはずですが,いったいどこにあるのか,見当がつきません

終演後,ホールCのゲートを出ると,インフォメーション・ボードに今聴いたばかりの公演の「出演者のお知らせ」が掲示されていました これが出来るんだったら,前日の「ヨハネ受難曲」の時もやってくれれば良かったのに・・・・と思いました.あるいは私が気が付かなかっただけか・・・・・・   

 

          

          

4日(月・休)に聴いた6公演のうち後半3公演は次のブログでご紹介します

          

          

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