16日(土).わが家に来てから219日目を迎え,どの風船で遊ぼうか悩んでいるモコタロです
閑話休題
昨日,池袋の新文芸坐で「太泰ライムライト」と「超高速!参勤交代」の2本立てを観ました 今日は2014年公開の落合賢監督映画「太泰ライムライト(うずまさライムライト)」について書きます
京都・太秦(うずまさ)にある日映撮影所に所属する香美山清一(福本清三)は,斬られ役として長年大部屋俳優を務め,チャンバラ時代劇に出演してきた ある日突然,およそ半世紀にわたって放送されてきたテレビ時代劇「江戸桜風雲録」が打ち切りとなり,後番組として若者層をターゲットにした時代劇がスタートする しかし,若手で売れっ子の監督のもとではベテラン達の活躍する場はなかった 不本意ながらも映画パークのチャンバラショーに出演せざるを得ない状況に追い込まれた そんな中,香美山は伊賀さつき(山本千鶴)という新進女優と出会い,殺陣の師匠となり指導していく 新感覚の時代劇のヒロインの降板というアクシデントにより,代役と務めることになったさつきは何度もNGを出しながらも遂にチャンスをものにして女優の道を歩んでいく 一方,70歳という高齢になり左手が思うように動かなくなった香美山は自身の限界を悟り田舎に引きこもる そんな彼のところにスター女優になったさつきが訪れ,いっしょに時代劇に出てほしいと懇願する・・・・・・さて香美山はどうするのか
この映画は時代劇を支えてきた人々の姿をチャップリンの「ライムライト」をモチーフに描いた作品です 映画「ラストサムライ」をはじめ,時代劇の斬られ役の第一人者として活躍し,「5万回斬られた男」の異名を持つ福本清三が,等身大の”日陰のヒーロー”を演じています このヒーローの特徴は台詞が極端に少ないということです.いかに少ない言葉で言わんとすることを表現するかが斬られ役に求められる資質だと言うことでしょう 公開された2014年のファンタジア国際映画祭で福本は日本人初の最優秀主演男優賞を受賞しています 福本の皺のよった顔には,斬られ役なら誰にも負けないというプライドが刻み込まれています 一方,ヒロイン役の山本千鶴は世界ジュニア武術選手権大会優勝者で,スピード感溢れる殺陣に挑んでいます とても映画初主演とは思えないキビキビした動きが印象に残ります
さらに時代劇と言えば松形弘樹です 映画「江戸桜風雲録」の主役・尾上清十郎を演じていますが,顔つきと言い,殺陣といい,彼が出るだけで場面が引き締まります 今でも時代劇の大スターと言ってもよいでしょう
斬られ役という普段は目立たない役柄を主人公にしたこの映画のテーマは,「一生懸命やっていれば誰かが見てくれている」ということではないか,と思います