12日(火).昨日の朝日夕刊に「リブロ 区切りの30年 池袋本店閉店へ」という記事が載っていました.西武池袋本店内にある書店「リブロ池袋本店」が6月末をめどに閉店するというものです リブロは埼玉県S市の実家に行った帰りによく寄っていた書店なだけに寂しいものがあります リブロに限らず,文化の発信地である書店が消えて行くのは非常に残念なことです ”活字離れ”というよりは”本屋離れ”とでもいうべき昨今のネット社会の中で,書店は生き残りをかけて頑張っています 当ビルにも書店が入っているので,応援の意味で出来るだけこの書店で本を買うことにしています いうことで,わが家に来てから215日目を迎え,いじけてこっちを向こうとしないモコタロです
だって だれも遊んでくれないんだも~ん
閑話休題
昨夕,紀尾井ホールでルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズの室内楽コンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「オーボエ四奏曲ヘ長調K.370」,②プロコフィエフ「五重奏曲ト短調」,③シューベルト「八重奏曲ヘ長調」です ルーツヴィヒ・チェンバー・オーケストラは2013年にヨーロッパで活躍する日本人若手演奏家とシュトゥットガルト放送交響楽団のメンバーを中心に結成されたグループです ルートヴィヒというのはおそらくルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの名前から取ったものでしょう
自席は1階11列5番,左ブロック右通路側席です.会場は1階後方がかなり空きが目立ちます 開演前,ロビーで先日の「東京・春・音楽祭」でスクリャービンのピアノ曲を演奏した東京藝大教授でピアニストの野平一郎氏の姿をお見かけしました.出演者の中に誰か知り合いがいらっしゃるのでしょうか
1曲目のモーツアルト「オーボエ四重奏曲ヘ長調K.370」は1781年の初め(モーツアルト25歳)に作曲されました マンハイム時代に知り合いになったオーボエ奏者ラムのために書いた作品で,3楽章から成ります
演奏は2011年9月から半年間,ウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員として活躍したヴァイオリンの白井圭,2004年からシュトゥットガルト放送交響楽団に在籍するヴィオラのヤニス・リーヴァルディス,第59回ミュンヘン国際音楽コンクール第2位のチェロ・横坂源のバックのもと,2008年に18歳の若さでシュトゥットガルト放送交響楽団の首席に就任したオーボエのフィリップ・トーンドゥルがソロを務めます
第1楽章の冒頭からオーボエの明るく軽快な音楽が会場に響き渡ります モーツアルトは何と身軽で澄みきっているのでしょう こんなに素晴らしく,有名な曲なのに生演奏に接する機会は極めて稀です どこまでも続く澄みきった青空のような爽やかな演奏でした
2曲目のプロコフィエフ「五重奏曲ト短調」はオーボエ,クラリネット,ヴァイオリン,ヴィオラ,コントラバスという変わった組み合わせの珍しい曲です 1924年(作曲者33歳)の時に亡命先のパリで作曲されました.ヴァイオリンの白井,ヴィオラのリーバルディス,2007年からシュトゥットガルト放送交響楽団で活躍するコントラバスの幣隆太朗,オーボエのトーンドゥル,1985年からシュトゥットガルト放送交響楽団の首席を務めるクラリネットのディルク・アルトマンによって演奏されます
この曲は同時期に書かれたバレエ曲「空中ブランコ」と深い関係を持つ曲で,6楽章から成ります 各楽器の音色の使い分けが面白い曲で,サーカスのような雰囲気の曲です サーカスと言えばピエロが欠かせませんが,この曲を聴いていると,ただ楽しいだけでなく,どこか寂しげな音楽が聴こえてきます 5人の奏者はその雰囲気をよく伝えていました
1曲目のモーツアルトと2曲目のプロコフィエフを聴き比べると,同じ楽器なのにオーボエの使い方や音色がいかに違うか,と新鮮な驚きを感じます
休憩後はシューベルトの「八重奏曲ヘ長調」です.1824年3月の完成と言いますからシューベルトが27歳の時の作品です シューベルトは1828年に死去していますから晩年の作品ということになるのでしょうか 弦楽四重奏にコントラバス,クラリネット,ファゴット,ホルンを加えた8人によって演奏されます
ヴァイオリンは白井に加え東響コンマス水谷晃が加わり,2002年からシュトゥットガルト放送交響楽団のソロを務めるファゴットのハンノ・ドネヴェーグ,2004年から同交響楽団の首席を務めるホルンのヴォルフガング・ヴィプフラーが加わります.メンバーの中で出演しないのはオーボエのトーンドゥルだけです
この曲は6楽章から成りますが,1時間にも及ぶ,繰り返しの多いシューベルトらしい曲です クラリネットの名手だったフェルディナント・トロイヤー伯爵の依頼によって書かれた作品ですが,シューベルトは仲間内で演奏して楽しむ曲として作曲したのではないかと想像します 仲間内なら「このメロディーいいよね 何回繰り返して演奏しても楽しいよね」と言い合って演奏できますから.8人の奏者を見ていると,お互いに演奏を楽しんでいる様子がうかがえました
最も有名なのは第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」でしょう.今回は時間がなくて予習が出来なかったのですが,この楽章だけはすぐに思い出すことが出来ました
最後に全員がステージに登場しヨハン・シュトラウス2世の「フランス風ポルカ”野火”」を軽快に演奏し,コンサートを締めくくりました 終わってみて,やはりシューベルトは何とか時間を割いて予習しておくべきだったな,と反省しました