人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

上岡敏之 ✕ 読響メンバーでブラームス「ピアノ四重奏曲第3番」、マーラー「ピアノ四重奏曲 断章」他を聴く ~ 読響アンサンブル・シリーズ / ボローニャ歌劇場「セヴィリアの理髪師」のチケットを取る

2018年12月05日 00時49分28秒 | 日記

5日(水)。皆さん、今日はモーツアルトの命日です ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトは1756年1月27日に生まれ、1791年12月5日に死去しています。したがって、今日は227回目の命日にあたります

今このブログを書きながら、モーツアルトを偲んで彼の「レクイエム」のCDをかけています 演奏はヘルマン・シェルヘン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団他によるものですが、ソプラノをユーゴスラヴィア出身のセーナ・ユリナッチが歌っているというだけの理由でこのCDを選びました ユリナッチと言えば、1960年のザルツブルク音楽祭におけるカラヤン指揮ウィーン・フィルによるリヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」で、エリザベート・シュワルツコップの伯爵夫人を相手に、オクタヴィアン/マリアンデルを歌ったソプラノ歌手として強く印象に残っています ビデオもレーザーディスクもない時代、ヤマハホールに「ばらの騎士の映画」(1960年のライブ録画映像)を観に何度か通いました その後、その映画のレーザーディスクが発売されたので再生機と共に購入して観ていましたが、機械が壊れたのでディスクも売り払いました   でも、あの映像は今なお目に焼き付いています

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1524日目を迎え、蛍光の黄色いベストを着て参加するデモ「黄色いベスト」がパリをはじめフランス全土で3週末連続で実施されたことを受け、仏政府は人の行き来などを制限する非常事態宣言の発令も検討した模様だ というニュースを見て デモ隊とマクロン大統領の立場を代弁するモコタロです

 

     

     デモ隊:マクロンにイエローカード! マクロン:フランス国旗に黄色はない!

 

         

 

昨日、夕食に「アボカドと鶏モモ肉の塩だれバター炒め」と「ほうれんそうの胡麻和え」を作りました 「アボカド~」は cookpad のレシピですが、簡単で美味しいです

 

     

 

         

 

来年6月のボローニャ歌劇場来日公演のチケットを取りました 来年6月24日(月)午後3時から渋谷のオーチャードホールで開かれるロッシーニ「セヴィリアの理髪師」公演です この公演を聴こうと思ったのは、METライブビューイング2016‐17でモーツアルト「ドン・ジョバンニ」のツェルリーナを歌ったセレーナ・マルフィの魅力に惹かれてファンになり、来日したら絶対に聴こうと思っていたからです 今回は主役級のロジーナを歌うというので楽しみが倍増です また、アルマヴィーヴァ伯爵を歌うアントニーノ・シラクーザは、2011年のボローニャ歌劇場来日公演のベッリーニ「清教徒」でアルトゥーロを歌う予定だったフアン・ディエゴ・フローレスが喉の炎症で来日できなくたったことから急きょ代演を務めることになりましたが、立派に役割を果たしました その意味では、シラクーザも楽しみです 

ところで、今回の公演のネックは会場です なぜ音響効果の点で悪名高いオーチャードホールを使うのか不思議でなりません たぶん、東京文化会館もNHKホールも空いていなかったのでしょう

 

     

     

     

         

 

昨夕、よみうり大手町ホールで読響アンサンブル・シリーズ「上岡敏之と読響メンバーの室内楽」を聴きました プログラムは①ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番」、②マーラー「ピアノ四重奏曲  断章」、③ボロディン「ピアノ五重奏曲」です

演奏に先立って、いつもより10分早い午後6時50分から上岡敏之氏によるプレ・トークがありました ピアノを弾きながらこの日の演奏曲目の解説をしましたが、上岡氏はのめり込むタイプなので、話が尽きません ブラームスの解説が長いので、進行役の鈴木美潮さんが「そろそろマーラーに移りませんと・・・」と催促すると、上岡氏は「ああ、今日は演奏会の日でしたね」ととぼけて答えていました。レクチャー・コンサートではありませんから 今度はマーラーの話が長引き、美潮さんが「あと残り3分しかありません」とせっつくと ボロディンの解説に入りましたが、結局予定より3分程超過して パソコンの強制終了のごとく美潮さんによって無理やり終了させられました   あの調子でいったらプレトークだけで1時間はかかりますね 上岡氏はプロ級のピアノの腕前だし話の内容も面白いので、当方は1時間でも歓迎ですが

 

     

 

さて本番です。1曲目は、昨日のウィーン・ピアノ四重奏団に続いて2夜連続のブラームス「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調作品60」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が22歳の時、1855~56年に作曲されましたが一旦中断し、その後1874年に完成し翌1875年に初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コモド」の4楽章から成ります

演奏は、ピアノー上岡敏之、ヴァイオリン=荒川以津美、ヴィオラ=渡邉千春、チェロ=室野良史です

第1楽章が上岡氏のピアノの一打で開始されます プレ・トークで彼が語ったのは、この冒頭の「ド」の響きがベートーヴェンの「コリオラン序曲」の第1音に似ているということです ブラームスは、ベートーヴェンを意識してこの曲の作曲に当たったのではないか、という考えです。この解釈を頭に入れて聴くと、なるほどと思います 第1楽章と第2楽章はブラームスが22~23歳の若い時に着想された曲なので、密かに愛情を寄せていたクララ・シューマンへの想いが詰まっています 特に第2楽章は激しい愛の告白を聴くようです 一方、第3楽章と第4楽章はその約20年後に着想された音楽なので、曲想が変化しています 特に第3楽章はピアノをバックにしたチェロの独奏、その後のヴァイオリンが加わっての三重奏、さらにヴィオラが加わっての四重奏はアンサンブルの極みでした この作品の肝と言っても良いかも知れません さらに第4楽章に入ると、ベートーヴェンの第5交響曲ハ短調(この作品も同じ調性)の運命の動機が繰り返し演奏されます 上岡流に解釈すれば、この曲は「ベートーヴェンのコリオラン序曲に触発されて始まり、ベートーヴェンのハ短調交響曲に触発されて終わる」作品であるということになります

演奏は4人とも素晴らしかったと思いますが、とくにチェロの室野氏が第3楽章を中心に聴かせてくれました また上岡氏のピアノはハッキリ言って”プロ並み”ではなく”プロ”です

なお、参考までにこの曲の予習・復習のレファレンスCDはフォーレ四重奏団です


     


休憩後の最初はマーラー「ピアノ四重奏曲  イ短調 断章」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が学生時代の16歳の時、1876年頃に作曲された作品ですが、第1楽章しか完成されていません

演奏は、ピアノ=上岡敏之、ヴァイオリン=山田友子、ヴィオラ=長岡晶子、チェロ=松葉春樹です

上岡氏のピアノにより演奏に入りますが、プレ・トークで語っていたように、終始「暗い」曲想で 救いのない音楽が続きます この曲ではヴァイオリンの山田友子さんが終盤のカデンツァを含めて抜群に上手かったですが、長岡さん、松葉氏、上岡氏を加えた4人の演奏は まさにアンサンブルの極致をいくもので、読響のレヴェルの高さを証明する演奏でした

この曲を聴きながら思い出していたのは、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の2010年アメリカ映画「シャッター・アイランド」です  「1954年、失踪した女性患者の謎を探るためにボストン沖の孤島に建つ犯罪者用精神病院を訪れた米連邦保安官テディ・ダニエルズ(ディカプリオ)に次々と不可解な出来事が起こる」という内容の映画です   この映画の中で、テディが精神病院の建物の中に入ると、どこからともなく音楽が聴こえてきます   この暗い情感のこもった音楽を聴いて、私は「ブラームスの初期の作品かな」と思いました    その後、どこかで まったく同じメロディーを聴き、この曲がマーラーの「ピアノ四重奏曲イ短調 断章」であることを知りました   今回のプレ・トークで上岡氏は「マーラーがこの曲を作曲した時(16歳頃)、何か精神的に病んでいたのではないかと心配になるほど暗い音楽ですね」と語っていましたが、その意味では、精神病院を舞台にしたこの映画に マーラーのこの曲はピッタリだと言うことが出来るかも知れません

なお、参考までにこの曲の予習・復習のレファレンスCDはフォーレ四重奏団です


     


プログラム後半の2曲目はボロディン「ピアノ五重奏曲ハ短調」です アレクサンドル・ボロディン(1833-1887)は、本職は化学者で 相当優秀な人だったようですが、独学で作曲を勉強し日曜作曲家として活動した変わり種でした この作品は1862年5~6月に本業の研究のためヨーロッパに留学していた時に、イタリアで作曲されました 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

演奏は、ピアノ=上岡敏之、ヴァイオリン=赤池瑞枝、山田友子、ヴィオラ=長岡晶子、チェロ=松葉春樹です

第1楽章は、上岡氏がプレ・トークで語っていた通り、ロシアの民謡のような親しみ易いメロディーに溢れていました 第2楽章のスケルツォは、聴いていて楽しかったですが、舞台上の5人も楽しんで演奏しているように見えました クラシック音楽もこうであってほしいと思います 第3楽章は、ひと言でいえば「幸福感に満ちた音楽」でした この曲を作曲した当時、ボロディンは29歳でしたが、前途洋々の若者だったのでしょう

この曲も、マーラー同様、アンサンブルの極致をいく演奏でした

「いい演奏」というのは聴いた後、その作品なり作曲家なりが好きになる、あるいは再認識するという変化をもたらしますが、今回の3曲の演奏については、上岡氏のプレ・トークを含めて3人の作曲家を再認識した充実したコンサートでした

 

     

コメント (2)
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