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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

米メトロポリタン歌劇場の新シーズンに向けたピータ-・ゲルブ総裁の意気込み / ポン・ジュノ監督「ほえる犬は噛まない」&チョン・ジェウン監督「子猫をお願い」を観る

2021年02月17日 07時25分25秒 | 日記

17日(水)。昨日の朝日朝刊・文化文芸欄に「オペラの進化 コロナを逆手に」という見出しにより 米メトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ総裁のインタビュー記事が載っていました 超訳すると、

「138年の歴史を誇る米メトロポリタン歌劇場も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨年3月から閉鎖が続いている 9月から始まる新シーズンに向けてピーター・ゲルブ総裁が『いま、オペラという芸術を守り育てる意義』を語った 高校卒業後、広告営業の仕事を経て音楽業界へ。ホロヴィッツのマネジャーを長年務め、音楽プロデューサーとしてカラヤンや小澤征爾ら数々の演奏家と深い関係を結んだ 音楽家たちとの対話は、今なお日常だ。2006年、総裁就任と同時にスタートさせたのがライブビューイングの試みだった ソニー・クラシカル社長時代のキャリアと人脈を生かし、映画館の大スクリーンに堪えうる品質の映像を制作、配給ネットワークも構築した 休憩時間の舞台裏の風景を見せるなど、固定ファン向けの工夫も凝らした 保守的な富裕層の寄付に支えられてきたMETにとって、当時としてはかなりリスクのある挑戦だったが、今や70カ国の2200か所で上映され、年間約300万人が利用する一大コンテンツに 改めて伝えたいのは、オペラがいかに『超時代的で、スリリングなアート』であるかということだ 『様々な芸術ジャンルにちらばる創造的な人々を束ね、オペラという芸術様式の未来を探るのが私の仕事。経営とのさじ加減は重要だが、夢を失っては意味がない ケントリッジのような美術家が”ヴォツェック”や”ルル”といった名作を介して現代のファンタジーを実現してゆくプロセスに、みんなで一緒にワクワクしたいのです』と語る。9月に無事、新シーズンのゲートを開けることができたら『全力で飛び出す』つもりで準備を進める 新シーズンでは年に5人の女性指揮者が登板するが、MET史上初のことである 『コロナ禍は世界中で先進的な発想を促し、新陳代謝を加速させた。これまで以上に挑戦的かつ創造的に、誰もが来たくなる劇場を目指さねばならない どんな伝統も存続のためには進化が不可欠。古典であれ新作であれ、上演する以上 オペラは常に社会へのメッセージでなくてはならないのです』」

昨日のtoraブログでご紹介した通り、現在METライブビューイングは過去に上映した作品の中から名作6本を厳選して順次上映中です 秋までにコロナが収まり、予定通り9月にMET新シーズンが開幕し、ライブビューイングも上映開始することを祈るばかりです

ということで、わが家に来てから今日で2330日目を迎え、ペロシ米下院議長は15日、1月に起きた米議会占拠事件の独立調査委員会を設置し、真相解明に取り組む方針を明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     支持者を扇動して議会を襲わせる 現代のヒトラーを野放しておくと 世界が危ない

 

         

 

昨日、夕食に勝浦市在住で大学時代の友人S君が送ってくれた「鯖を塩焼き」にして、「ほうれん草のお浸し」「生野菜サラダ」「豚汁」を作りました 豚汁を一口飲んだ娘が「これ、お雑煮?」と言いました 私が参考にしたレシピがたまたま味噌を使わない豚汁だったので、お雑煮のような味になったようです 次回は誤解されないように味噌を入れようと思います

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ほえる犬は噛まない」と「子猫をお願い」の2本立てを観ました

「ほえる犬は噛まない」はポン・ジュノ監督による2000年製作韓国映画(110分)です

中流家庭が入居するマンションに暮らすユンジュ(イ・ソンジェ)は、うだつの上がらない大学の非常勤講師で、出産間近の妻ウンシルに養われながら教授を目指している 近頃マンションでは飼うことが禁止されているはずの犬の鳴き声が頻繁に響き、いつもイラついていたユンジュは、たまたま見かけた犬を地下室に閉じ込めてしまう 一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナム(ぺ・ドゥナ)は、団地に住む少女の愛犬がいなくなったことを知り、迷い犬のビラ貼りを手伝うことになる その犬は手術をしているため吠えないというのが特徴だった。後にその事実を知ったユンジュだったが、その犬はマンション警備員に犬鍋の具にされてしまう いつも唾を吐く癖のある「唾吐き婆さん」の犬をさらったユンジュは屋上から犬を投げ捨てて死なせてしまうが、たまたま双眼鏡でその様子を目撃していたヒョンナムはユンジュを追いかける しかし、あと少しのところで取り逃がしてしまう ある日、ユンジュの妻が犬を連れて帰ってきて飼うと言い出す。散歩を言いつけられたユンジュは途中で犬を見失ってしまう。犬は何者かに連れ去られていた 果たして犬の運命は

 

     

 

この映画は、第92回アカデミー賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」でお馴染みの韓国の監督ポン・ジュノによる劇場長編初監督作品です

主役はイ・ソンジェが演じるユンジュとぺ・ドゥナが演じるヒョンナムの2人ですが、彼らとともにバイプレーヤーたちが素晴らしい コ・スヒが演じるマンションの文房具店で働くユン・チャンミはパワー全開だし、ピョン・ヒボンが演じる犬鍋が趣味のピョン警備員は現代の都市伝説「ボイラー・キムさん」を雄弁に語るし、みな個性が際立っています とにかく面白いブラック・コメディ映画です

この映画では、犬をロープで吊るし上げたり、投げ捨てたり、犬鍋にしたりするシーンが出てきますが、映画の冒頭「この映画に登場する犬は、適切に管理されており、一切虐待を受けていません」というテロップが流れます 動物保護団体などからのクレームを意識しての”言い訳”だと思いますが、時代の反映なのでしょう

 

 

         

 

「子猫をお願い」はチョン・ジェウン監督による2001年製作韓国映画(112分)です

夢想家のテヒ(ぺ・ドゥナ)、美貌の野心家へジュ(イ・ヨウォン)、アウトサイダーのジヨン(オク・チヨン)、陽気な双子ピリュ(イ・ウンシル)とオンジョ(イ・ウンジュ)は商業高校時代からの仲良し5人組だった しかし、証券会社で働くようになったへジュと無職のジヨンは互いに反発し合うようになり、仲間の絆を守ろうとするテヒは、家庭では父の無理解に不満を募らせていた

 

     

 

この映画は、当時、男性俳優を主演にして英雄的な内容の作品が主流だった韓国映画界の中で、女性監督が高卒の20歳の韓国人女性たちの青春を描いた群像劇です

「子猫をお願い」というタイトルは、道で拾われた1匹の子猫が彼女たちの友情関係の物語に入り込み、その世話を巡って手渡されていく様相を表しています

5人の女性の中で唯一コネで就職したソウルの証券会社で働くへジュ以外は、地元のインチョンに留まり、定職に就いている訳でもなく毎日不安定な生活を送っています しかし、へジュは都会の証券会社で「忙しい」と言いながらも、内実は男性社員や総合職の女性から軽んじられ、お茶くみとコピー取りに明け暮れています この辺は、大学へ進まないと第一線で活躍できない(しかも女性ならなおさら)韓国社会の厳しい現実を反映しているように見えます しかし、冷静に考えれば、これは当時の日本だって同じだったのではないか、と思います

子猫は飼えなくなった理由とともに へジュからジヨンへ、ジヨンからテヒへ、最後はテヒから双子姉妹へと手渡されていきます そして、家出してきたテヒが元々両親がいないジヨンと一緒に新しい道に踏み出そうとするシーンでエンドロールを迎えます 観ている我々は、不安の中を自分たちの力で未来を切り開いていこうとする2人を応援したくなります

「ほえる犬は噛まない」にしても「子猫をお願い」にしても、20年前の韓国の世相を反映した作品と言えるでしょう

コメント (2)
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