8日(木)。昨日は午前10時半から、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第40回ルビー公演」の公開リハーサルを聴く予定でしたが、コロナワクチン接種による副反応の熱が引いたばかりでもあり、午後7時からコンサートがあるので、諦めることにしました これからは多少 余裕をもって過ごそうと思います
ということで、わが家に来てから今日で2371日目を迎え、中国の習近平国家主席は6日、世界160カ国以上の政党指導者らとのオンライン国際会議で演説し、対中攻勢を強める米国のバイデン政権を念頭に「いかなる国も独善は許されず共生しか道はない。自国優先の視点では常に激しい競争が続く」などと批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
バイデン大統領は 覇権主義・強権国家の習近平にだけは 言われたくないだろうな
昨夕は娘が外食で 私もコンサートだったので、夕食作りはお休みしました
昨夜、すみだトリフォニーホールで新日本フィル 室内楽シリーズ「第142回 二面性を持つ楽器、コントラバス 〜 藤井将矢 プロデュース編」を聴きました プログラムは①ボッテシー二「クラリネットとコントラバスのための協奏的大二重奏曲」、②同「ヴァイオリンとコントラバスのための協奏的大二重奏曲」、③ベートーヴェン「七重奏曲 変ホ長調 作品20」です 演奏はヴァイオリン=ビルマン聡平、ヴィオラ=脇屋冴子、チェロ=長谷川彰子、コントラバス=藤井将矢、クラリネット=マルコス・ペレス・ミランダ、ファゴット=河村幹子、ホルン=藤田麻理絵、ピアノ=秋元孝介です
小ホール入口で、客を出迎えていたパトロネージュ部の登原さんとお話ししましたが、彼女は楽団の偉い人(?)と一緒に立っていたので、「2日目のワクチン打ったら高熱が出てしまってしばらく休んでました、今日から復活です」程度の立ち話しかできませんでした でも、元気そうな様子を見て安心しました
開演15分前からの公演仕掛け人・藤井将矢氏によるプレトークによると、タイトルの「二面性を持つ楽器、コントラバス」の意味は、コントラバスは、オケの低音部で全体を支える役割と、ソロ楽器としての役割を併せ持つという意味とのこと そのため「公演前半部では高音の出るソロ楽器用にチューニングしたコントラバスを、後半ではいつも通りコンサート用にチューニングしたコントラバスを使用する」という解説がありました ついでに、この日はボッテシー二の命日にあたるそうです 1年延期された公演ですが、何かの縁があるのでしょうか
鉢村優氏によるプログラムノートによると ジョバンニ・ボッテシー二(1821‐1889)は、コントラバスの歴史におけるスーパースターで、彼が高音域の演奏法を開拓したことでコントラバスは独奏楽器としての可能性を開花させたそうです 彼は歌劇場のコントラバス奏者・指揮者・オペラ作曲家として活躍したため、ハイドンをはじめとする多くの作曲家によるコントラバス協奏曲の中でも人気のある作品が書けたとのことです なお、三省堂「クラシック音楽作品名辞典」によると、ボッテシー二はヴェルディの歌劇「アイーダ」の初演指揮者だそうで、歌劇「エロとレアンドロ」を作曲しています
1曲目はボッテシー二「クラリネットとコントラバスのための協奏的大二重奏曲」です この曲はボッテシー二が1840年代に作曲した作品ですが、名クラリネット奏者の父親と演奏するために書かれたと考えられています タイトルからすると、ピアノではなく弦楽オーケストラが演奏に加わると思われますが、前記プログラムノートにも前出「クラシック音楽作品名辞典」にも載っていません ピアノであれば「クラリネット、コントラバスとピアノのための三重奏曲(トリオ)」にはるはずです
コントラバスの藤井将矢、クラリネットのマルコス・ペレス・ミランダ、ピアノの秋元孝介が登場し、さっそく演奏に入ります まず冒頭の迫力のあるピアノに驚きます タダモノではないと思ってプロフィールを見ると「第67回ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で『葵トリオ』として優勝したピアニスト」であることが分かりました どうりでどこかで見たような気がしたわけです 藤井将矢氏とは東京藝大在学中からの付き合いで、藤井氏が新日本フィルのオーディションを受けた時も共演したそうです
そして、スペイン出身のミランダのクラリネットが、とにかく雄弁です まるでミランダ・オン・ステージのごとくに吹きまくります 藤井氏のコントラバスも負けてはいません しかし、聴いていると、ボッテシー二は父親に華を持たせるように華やかなフレーズをクラリネットに譲ったのではないか、と感じました
2曲目はボッテシー二「ヴァイオリンとコントラバスのための協奏的大二重奏曲」です この曲は1840年頃に作曲したものを、1852年以前にパガニーニの唯一の弟子 シヴォリが「2台コントラバスのため」から「ヴァイオリンとコントラバスのため」の協奏的二重奏曲に編曲した作品です
ヴァイオリンのビルマン聡平、コントラバスの藤井将矢、ピアノの秋元孝介が登場し、さっそく演奏に入ります 演奏を聴いていると、この曲の方がヴァイオリンとコントラバスの親和性があり、コントラバスの特性が活きると思いました ビルマン聡平のヴァイオリンは鮮やかです 藤井のコントラバスは良く歌います 秋元孝介のピアノは相変わらず存在感が抜群です 音が大きいだけのピアニストは数知れませんが、それだけでなく力強くも美しい響きのするピアニストは限られます 秋元は間違いなく後者のピアニストです
プログラム後半はベートーヴェン「七重奏曲 変ホ長調 作品20」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1799年から翌1800年にかけて作曲、同年ウィーンのブルク劇場で初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ・カンタービレ」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「テーマ・コン・ヴァリオツィオ―二:アンダンテ」、第5楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」、第6楽章「アダンテ・コン・モト・アラ・マルチャ ~ プレスト」の6楽章から成ります
7人の演奏者が登場し配置に着きます 左からヴァイオリン=ビルマン聡平、ヴィオラ=脇屋冴子、チェロ=長谷川彰子、コントラバス=藤井将矢、ホルン=藤田麻理絵、ファゴット=河村幹子、クラリネット=マルコス・ペレス・ミランダの順に半円形状に並びます コントラバスを中心として、左サイドに弦楽器が、右サイドに管楽器が配置される形です。この並びが演奏上、大きな効果を呼びます
第1楽章が開始されます。アダージョの静かな世界から一転アレグロ・コン・ブリオの快活な世界に移るところはウキウキワクワクします ビルマン聡平のヴァイオリンが素晴らしい 弦と菅のアンサンブルが素晴らしい 第2楽章では冒頭のミランダのクラリネットが冴えわたり、次いでビルマン聡平のヴァイオリンが美しい 第3楽章では弦楽器とホルン、クラリネットとの対話が素晴らしい 第4楽章の変奏曲では、脇屋冴子のヴィオラが、長谷川彰子チェロが、その後のビルマン聡平との弦楽三重奏のアンサンブルが美しく響きます 第5楽章は 冒頭からホルンの藤田麻理絵の独壇場です 中間部での長谷川彰子の独奏チェロが聴かせてくれました 最後の第6楽章では、アンダンテの後、行進曲風の音楽に移ってからの快進撃がたまりません 弦楽器と管楽器が対話を通して調和しながら快速テンポで音楽が進みます 終盤でのビルマン聡平のカデンツァ風の独奏も見事でした 全体を通して、ファゴットの河村幹子とコントラバスの藤井将矢の確かな演奏が全体をしっかり支えていました
満場の拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、私は「こういう素晴らしい演奏を続けてもらえるように、オーケストラを支援することが”文化を支える”ということなんだな」と思いながら、7人の演奏者に大きな拍手を送りました とても楽しくて素晴らしいコンサートでした
がんばれ、新日本フィル