人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

N響メンバーによる室内合奏団でマーラー「交響曲第4番」(室内楽版)、ヨハン・シュトラウスⅡ世「南国のバラ」他を聴く ~ フェスタサマーミューザ参加公演

2021年07月29日 08時02分16秒 | 日記

29日(木)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ」参加公演、「N響メンバーによる室内合奏団」のコンサートを聴きました 本公演のテーマは「新たな時代に蘇る世紀末ウィーンの香り」です

プログラムは①ヨハン・シュトラウスⅡ世「南国のバラ」(シェーンベルク編)、②同:喜歌劇「ジプシー男爵」から「宝石のワルツ」(ウェーベルン編)、③同:「酒・女・歌」(ベルク編)、④マーラー「交響曲第4番 ト長調」(クラウス・ジモン編:室内楽版)です

出演は 指揮とヴァイオリン独奏=篠崎史紀、ヴァイオリン=白井篤、ヴィオラ=中村翔太郎、チェロ=市寛也、コントラバス=西山真二、フルート=甲斐雅之、オーボエ=池田昭子、クラリネット=松本健司、ファゴット=水谷上総、ホルン=今井仁志、ハーモニウム=山口綾規、打楽器=植松透、同=竹島悟史、ピアノ=入江一雄、ソプラノ=盛田麻央です

会場は7割くらいの入りでしょうか。N響メンバーではあるものの、フル・オーケストラではないためか満席には出来なかったようです

 

     

     

宮本明氏のプログラムノートによると、「1921年5月27日に開かれた『ワルツの夕べ』は、1918年にシェーンベルクが立ち上げた『私的演奏協会』の財政強化のための特別演奏会だった ヨハン・シュトラウスの人気曲を演奏して運営資金を工面しようと試みたのだ この日演奏される3曲に『入江のワルツ』を加えた4曲が弦楽四重奏+ハーモニウム(リード・オルガン)とピアノという六重奏曲に編成され、シェーンベルクはヴァイオリンを、ウェーベルンはチェロを、ベルクはハーモニウムを弾いて演奏に参加した 公演は大成功に終わった」とのことです。今からちょうど100年前のこの時期は「スペイン風邪」のパンデミックの真っ最中だったそうです 新型コロナのパンデミックの真っ最中の現在、彼らの編曲によるシュトラウスのワルツはどう響くのかが聴きどころです

プログラム前半はウィンナワルツが3曲続けて演奏されます 1曲目はヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ「南国のバラ」(シェーンベルク編)です この曲はヨハン・シュトラウスⅡ世(1825-1899)が1880年に作曲、同年ウィーンで初演されました 2曲目はヨハン・シュトラウスⅡ世:喜歌劇「ジプシー男爵」から「宝石のワルツ」(ウェーベルン編)です このオペレッタは1885年にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 3曲目はヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ「酒・女・歌」(ベルク編)です この曲は1869年にウィーンで初演されました

演奏は弦楽器が篠崎史紀、白井篤、中村翔太郎、市寛也、西山真二の5人、それにハーモニウムの山口綾規、ピアノの入江一雄が加わります

これは実に楽しい演奏でした 楽器が少ない分、曲の構造が浮かび上がり、一人一人の演奏が明確に聴きとれます とくに弦楽奏者はノリノリで、ウィンナワルツ独特のアクセントを付けながら楽し気に演奏している姿が印象的でした

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第4番 ト長調」(室内楽版)です この曲はグスタフ・マーラー(1860‐1911)が1892年、1899年から1901年にかけて作曲、1901年にミュンヘンで初演されました この日の演奏は2007年にドイツの指揮者クラウス・ジモンが編曲した室内楽版によります 前出の「私的演奏会」でもこの曲が室内楽で演奏されています(エルヴィン・シュタイン編)が、ジモン編の方がホルンが入るなどオリジナルに近い形になっているとのことです 第1楽章「ゆっくりと、急がずに」、第2楽章「気楽な動きで」、第3楽章「平安に満ちて」、第4楽章「極めて和やかに」の4楽章から成ります

弦楽奏者の後ろにホルン=今井仁志、フルート=甲斐雅之、オーボエ=池田昭子、クラリネット=松本健司、ファゴット=水谷上総が並び、その後方に打楽器の植松透、竹島悟史、ピアノの入江一雄、ハーモニウムの山口綾規が並びます

篠崎マロさんの合図で演奏に入ります。木管が良く歌います ホルンの演奏を聴いていて、この曲はホルンが入らないと「クリープを入れないコーヒーなんて」状態になってしまうと思いました ジモンの編曲版で良かったと思います 第2楽章では、マロさんによる死神のソロが聴きどころですが、ヴァイオリン2挺をとっかえひっかえ弾いていました 第3楽章がこの曲の白眉です 穏やかで美しいメロディーが低弦によって奏でられ、ヴィオラ、ヴァイオリンへと受け継がれていきますが、ここはまさに天国的な世界です オーボエが良く歌います 楽章の終結部でクライマックスを迎えた後、ソプラノの森田麻央が舞台中央に向かい、スタンバイします 盛田麻央は国立音大卒。パリ・エコールノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院修士課程を満場一致の最優秀で修了、二期会会員です 第4楽章に入り、森田のソプラノで「天上の生活」が歌われます 森田は美しい声で天井からの歌声を届けてくれました

指揮者なしの室内楽版交響曲の演奏でしたが、N響第1コンサートマスターの篠崎マロさんの統率力と、N響の面々のソリストとしての実力が発揮された素晴らしいコンサートでした

この後、上野東京ライン ⇒ 山手線 ⇒ 京王新線経由で初台に向かいました 東京シティ・フィルの「第343回定期演奏会」については明日のブログでご紹介します

 

     

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福川伸陽 ホルン・リサイタルでマーラー「アダージェット」、ウィリアムズ「スター・ウォーズ組曲」(多重録音伴奏)を聴く ~ 芸劇ブランチコンサート

2021年07月29日 07時15分19秒 | 日記

29日(木)その1。わが家に来てから今日で2392日目を迎え、楽器販売や音楽教室を手掛けるアオイ楽器店(浜松市)は、クラシック音楽の名曲にちなんだ香水「音楽の香り」シリーズを開発し、楽器店やコンサート会場などで販売を始めたが、それぞれ50㎖で5280円となっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     香水は G線上のアリア  エリーゼのために  幻想即興曲の3品  香り高い演奏を期待

 

         

 

昨日は「土用丑の日」だったので、夕食は鰻の蒲焼にしました    とはいえ、私はコンサートのハシゴで夕方 家に帰れないため外食(丸亀製麺のざるうどん)したので、これは娘の夕食です

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から池袋の東京芸術劇場で「芸劇ブランチコンサート ~ 福川伸陽ホルン・リサイタル」を、午後3時からミューザ川崎で「フェスタサマーミューザ」参加公演、「N響メンバーによる室内合奏団」を、午後7時から東京オペラシティで「東京シティ・フィル 第343回定期演奏会」を聴きました

毎年 東京国際フォーラムで開かれる「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」では1日6公演(1公演45分程度)のハシゴは珍しくありませんが、まったく別の会場で1日3つの”普通の”コンサートをハシゴをしたのは生まれて初めてです はっきり言って、もうクタクタです

ここでは「芸劇ブランチコンサート 名曲リサイタル・サロン 第13回『福川伸陽 』」について書きます

東京芸術劇場に入館する際、体温測定と手指の消毒はもちろんのこと、手荷物検査があったのには驚きました 多分、東京オリンピックがらみで爆発物が仕掛けられないかといった懸念から、公共施設については警察が動いているのだと思います それにしても、オリンピックはいろいろなところに影響を及ぼしていますね

さて、プログラムは①バーンスタイン「ウエストサイドストーリー」より「プロローグ」「サムシングカミング」、②東大路憲太「rerum」、③ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、④ジョン・ウィリアムズ「スター・ウォーズ組曲」(福川・多重録音伴奏)、⑤マーラー「交響曲第5番」より「アダージェット」(同)です ホルン独奏=福川伸陽、①②③のピアノ伴奏=山中惇史です

福川伸陽は第77回日本音楽コンクール・ホルン部門第1位 今年春までNHK交響楽団の首席ホルン奏者を務めていましたが退団、現在は東京音楽大学兼任准教授を務める傍らフリーのホルン奏者として活躍しています ピアノ伴奏の山中惇史は東京藝大作曲科・ピアノ科を卒業。現在東京藝大非常勤講師を務めています

 

     

 

1曲目はバーンスタイン「ウエストサイドストーリー」より「プロローグ」と「サムシングカミング」です この曲はレナード・バーンスタイン(1918‐1990)が1957年に作曲したオペラです

福川は電子楽譜を使用します 両手がふさがっているので、フットスイッチを踏むだけでページが変わる電子楽譜は必要不可欠なのでしょう 福川の演奏で一番驚いたのは、ほとんど吹く力と右手の出し入れ(ミュートをかける)だけで、遠近感を見事に表現していることです 大きな音で聴こえたかと思うと、次の瞬間にはまるで舞台裏で吹いているのではないかと思うほど遠くに聴こえます

演奏後、ナビゲーターの八塩圭子さんによるインタビューがありました 福川氏の説明によると、「ホルンは一番演奏が難しい楽器と言われている ピアノは数多くの鍵盤があるが、ホルンは4つのピストンしかない。しかし、1つのピストンで16〜17通りの音が出せる あとは吹く力の入れ方とか、脇を締めて吹くか開けて吹くかとかで音色などを調整する」とのことでした。勉強になりました

2曲目は東大路憲太「rerum」です この曲は昨年4月に作曲されたピアノ曲ですが、福川氏からホルン版を制作してほしいと依頼を受けて編曲したものとのことです 「rerum」はラテン語で「物、事、人の営み」という意味ですが、タイトルを見た時の「なんとなく見慣れない感じ」「シンプルな印象」を引き出したくてこのタイトルを付けたとのことです 作曲者はゲーム音楽などを数多く作曲しているだけあって、ファンタジックで聴きやすい音楽でした 福川氏に促されて、私の斜め前の席にいた作曲者が立ち上がって拍手を受けていました

3曲目はガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898‐1937)が1924年に初演したピアノとオーケストラのための作品です この曲では最低音から最高音まで福川の技巧が光ります 中盤でピアノがソロで弾く場面がありますが、山中のピアノは確かなテクニックに裏づけられた素晴らしい演奏でした

 

     

 

4曲目はウィリアムズ「スター・ウォーズ組曲」(福川・多重録音伴奏)です 「多重録音伴奏」というのは、福川ひとりで多重演奏した録音(7パート)に自らの生演奏を重ねて聴かせるものです ステージ上には中央の福川を囲むように7つの特性スピーカーが半円形に並べられています 福川の迫力満点の演奏に「これが一人による多重録音演奏か」と驚きを隠せませんでした

もっと驚いたのは最後のマーラー「交響曲第5番」よりアダージェット(福川・多重録音伴奏)です この曲はグスタフ・マーラー(1860‐1911)が1901年から翌02年にかけて作曲、1904年にケルンで初演された交響曲の第4楽章です この曲でも7つのスピーカーをバックに、ゆったりしたテンポにより福川のメイン・メロディーが奏でられますが、息の長い旋律なので、普通の演奏者なら息切れして酸欠でぶっ倒れてしまうのではないか、と心配してしまいます しかし、そこはプロ中のプロです。完璧に吹き切りました この日は新しい音楽体験ができてとてもラッキーでした

演奏終了後、山手線 ⇒ 京浜東北線経由で川崎に向かいました フェスタサマーミューザ参加公演「N響室内合奏団」の模様については「その2」をご覧ください

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする