人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ベートーヴェン「交響曲第45番”宿命”」~山本直純の冗談音楽を聴く

2012年02月05日 07時26分44秒 | 日記

5日(日).昨日,文京シビックホールで東京フィル「響きの森クラシック・シリーズ」コンサートを聴いてきました テーマは「ユーモアに満ちた休日のひととき~ある音楽家の横顔」です.  ”ある音楽家”とは山本直純のことです 彼は,イギリスで開催されていた「ホフナング音楽祭」に刺激されて,日本で初めて冗談音楽の普及に努めました

ところで,山本直純って誰?・・・お答えしましょう.1932年生まれの作曲家で,1972年に小澤征爾と共に新日本フィルの設立に参画し,1972年~83年にTBS系列のテレビ番組「オーケストラがやって来た」の音楽監督兼指揮者として活躍しました

分からない?それでは,お答えします.ザ・ドリフターズの「8時だよ!全員集合」,「3時のあなた」「ミュージックフェア」のテーマ音楽を作曲した人です・・・・・・それでも,分からない?それでは,これがとどめです.映画「男はつらいよ」のテーマソングを作った人です

指揮者・広上淳一が登場して1曲目の「マグマ大使」のテーマが始まります.「マグマ大使」は手塚治虫原作の漫画です.その実写版テレビ番組のテーマを山本直純が作曲しました.行進曲風の元気な音楽です

続いてNHK大河ドラマ「武田信玄」のテーマ音楽.これも山本直純作曲です.昭和63年の放映で,当時は私もテレビを観ていました

ここで,杉ちゃん&鉄平の登場です.ヴァイオリニスト岡田鉄平とピアニスト杉田哲郎が2004年に結成したクラシック・コンビです 杉ちゃんが,いきなり舞台裏を暴露します.「実は,昨日のリハーサルの時に初めて,スタッフから司会進行を努めてくれと頼まれました」(爆笑).

そして次の曲の演奏に移ります.メンデルスゾーン作曲,山本直純”変曲”「ヴァイオリン狂騒曲”混迷”より」です.全曲は38分もかかる大作で,メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を軸に,ブラームス,ベートーヴェン,チャイコフスキー,ドヴォルザーク,モーツアルトのヴァイオリン協奏曲に,「お江戸日本橋」「荒城の月」などが迷い込んでくる大曲ですが,この日の演奏はメンコンにチャイコンが紛れ込んだ3分のダイジェスト版で演奏されました 名付けて「メンチャイ」.ヴァイオリンのソリストは岡田鉄平です.冗談音楽ですが,いや冗談音楽だからこそ,相当の実力がないと弾きこなせない難曲です.鉄平君は見事ですフィナーレは何とチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「トレパーク」が演奏されました

演奏後,杉ちゃんが指揮の広上にインタビューします

杉ちゃん:この曲を演奏するのは大変だったでしょう?

広上:老眼でほとんど楽譜が見えていないのですよ オケが先で,指揮は後からついていっているようなもんです.年寄りにはきつい曲です.(ソリスト鉄平の楽譜を見て)わあー,音符だらけで真っ黒だ.こりゃ,大変だあ

次いで,ベートーヴェン作曲・山本直純”変曲”「交響曲第45番”宿命”より」です.なぜ45番かといえばベートーヴェンの交響曲9曲の数字を1から9まで足した数(1+2+・・・9=45)を意味します これも全曲を演奏すると45分もかかる大作ですが,今回は乱暴にも8分に短縮した版での演奏です 最初に第5番”運命”の冒頭が演奏されたかと思うと,第3番”英雄”の第2楽章のメロディーが出てきて,なぜかシューベルトの「のばら」が続き,また第3番に戻って,何故か「麦畑」が出てきて,また第3番に戻り,「五木の子守唄」が出てきたかと思ったら,第7番,次いで第9の「スケルツォ」,また第7番に戻り,モーツアルトの「フィガロの結婚」序曲,「子守唄」,そしてハチャトリアンの「剣の舞」が続き,レオノーレ序曲第3番,交響曲第2番と続いてフィナーレを迎えます.とにかくついていくのが大変な忙しい曲です

ここで,指揮者とオーケストラが舞台袖に引っ込んで,”小倉のパガニーニ”こと鉄平と”名古屋のベートーヴェン”こと杉ちゃんの「オン・ステージ」になります

最初はハチャトリアンの「剣の舞」のテーマによる「つるぎのずいずいずっころばし」です.解説しなくても想像つきますね 次はモーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」による「アイネ・クライネ・キューピー3分クッキング」.これも想像つきますね 3番目はシュトラウスの「美しき青きドナウ」による「美しき青きドナウのさざなみ殺人事件」.そしてバッハの「G線上のアリア」のパロディー,ブラームス「ハンガリー舞曲第5番」のパロディー「日本舞曲第5番」を演奏して,拍手喝さいを受けました

極めつけは,鉄道マニアの二人に相応しい芸が披露されました.ヴァイオリンで踏み切りの信号の音を再現するのです 最初に「JRの踏み切りはファとファ#です」といって鉄平がヴァイオリンの弦をこすると,まさに信号の音が 次は西武線・・・・小田急線・・・・京王線・・・・と微妙に異なる信号音を再現します さらに,パトカーと救急車のサイレンの音も見事に再現して見せます これには一同やんややんやの喝采です

再登場した広上が「いい仕事をしていますねえ.感服しました」としきりに感心していました.次いでオーケストラが再登場して鉄平のヴァイオリン,杉ちゃんのピアノをソリストとしてロッシーニの「ウィリアム・テル」による「あばれんぼう将軍ウィリアムテル」を演奏しました.これにも拍手喝さいです 彼らは何度も舞台に呼び戻されていました.

休憩後は,ベートーヴェンの「交響曲第5番ハ短調」が”まじめに”演奏されました.観客として気持ちを切り替えるのが大変でした.演奏は集中力溢れる力強い熱演でした

これまで何十年とコンサートを聴いてきましたが,こんなに楽しいコンサートは初めてです理屈ぬきで楽しい,こういう演奏会がもっともっとあっていいと思います

 

          

 

 

 

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