人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

飯守泰次郎 ✕ 東京シティ・フィルのシューマン「交響曲第4番」公開リハーサルを見学する / 反田恭平設立の「ジャパン・ナショナル・オーケストラ」は安泰か? ~ スポンサーのDMG森精機がロシア撤退

2022年06月10日 07時19分38秒 | 日記

10日(金)。昨日の朝日新聞朝刊 経済面に「DMG森精機、ロシア撤退 現地270人解雇 日系大手メーカー初」という見出しの記事が載っていました DMG森精機といえば、ピアニスト反田恭平が設立した株式会社組織の「ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)」のスポンサーです 記事を超略すると次の通りです

「ロシアによるウクライナ侵攻を受け、工作機械大手のDMG森精機はロシア事業から撤退した ロシア西部ウリヤノフスクの組み立て工場を閉じ、従業員約200人を解雇した モスクワにある販売・サービス拠点の約70人も解雇した ロシアからの完全撤退が明らかになるのは、日系大手メーカーで初めて。工作機械は兵器生産に転用される恐れもあるため、国際的に厳しい規制や輸出管理の対象になっている 森社長は『日本やドイツ、米国など各国政府の意向通りにしないといけない。一企業としてはルールに従うしかない』と語った。ロシアでの2021年度の売上高は約80億円で全体の2%程度。同社広報は『影響は軽微となる見込み』としている

この記事からみると、JNOの運営には大きな支障は出ないようにみえますが、森社長のJNOに対する考えはどうなのでしょうか? 部外者のわれわれとしては、森社長と反田氏との信頼関係の中で、若い演奏家たちが安心して活躍できるように、引き続きDMG森精機がJNOを支援していくことを祈るばかりです

ということで、わが家に来てから今日で2707日目を迎え、毎年6月に実施されてきたロシアのプーチン大統領と国民の直接対話について、クレムリンは当初、今月15日から18日の間に行うとしていたが、大統領府のべスコフ報道官は「直接対話は今月は開催できない」と発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナに侵略してから3か月も経つのに 誇るべき戦果がない弱い軍隊だからね

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉のスタミナ焼き鳥風」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 「豚肉~」は豚肉に塩コショウを振って、ニンニクの微塵切りとシソの葉を挟んで、醤油・砂糖・酒のタレで焼いてあります。豚肉とシソは相性が良いですね

 

     

 

         

 

昨日正午からティアラこうとうで東京シティ・フィルの公開リハーサルを初めて見学しました   ほとんどのオーケストラは寄付をした特典として公開リハーサルの見学を実施していますが、東京シティ・フィルはそのような条件はありません 定期会員である必要はなく、事前に申し込みしても良し、しなくても良しです 開かれた東京シティ・フィルですね

 

     

 

この日の公開リハーサルは当初シューマン「交響曲第3番」と発表されていましたが、急きょ同「交響曲第4番」に変更となりました どうやらこの公開リハーサルは江東区の運営財団「ティアラこうとう」が主催しているようで、開演前のあいさつや注意事項のアナウンスはシティ・フィルの事務局ではなく運営財団の担当者が行っていました 新日本フィルの場合は楽団の事務局が行っており、それに比べると珍しいと思いました 江東区の文化推進活動のPRの一環という位置づけでしょうか

会場は市松模様配置ですが、結構な人数の聴衆が詰めかけており、100人以上入っているのではないかと思われます

弦楽器の配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です

「交響曲第4番 ニ短調 作品120」はロベルト・シューマン(1810-1856)が1841年に作曲(1851年に改訂)、1841年にライプツィヒで初演されました 第1楽章「かなりゆっくりと」、第2楽章「ロマンツェ:かなりゆっくりと」、第3楽章「スケルツォ:生き生きと」、第4楽章「ゆっくりと」の4楽章から成ります

 

     

 

チューニング中に、普段着姿の飯守泰次郎氏が指揮研究員に付き添われて登場、例によって両手を挙げて聴衆に応えます 飯守氏が指揮台に上り、指揮研究員はすぐ右脇下の椅子で楽譜を携えてスタンバイします

指揮台上の飯守氏が楽員に簡単に挨拶をして演奏に入りますが、彼はどうやらピンマイクを着用しているようで、声がよく聴こえます しかし、残念ながら内容はよく聴き取れません 飯守氏はしばらくして演奏を止め、再度やり直しをします しかし、これは最初だけで、第1楽章から第2楽章、そして第3楽章まで続けて演奏しました 飯守氏は最初は立って指揮をしていましたが、そのうち指揮台上の椅子に座って指揮をとりました その後、指揮研究員の指摘によって第3楽章のフィナーレが再度演奏され、続けて第4楽章が演奏されました 一通りおさらいが終わると第1楽章の冒頭に戻ってリハーサルを重ねました ここでちょうど1時間が経って終了しました

リハーサルを見ていて面白かったのは、飯守氏ほどの大ベテランなら誰の指摘もアドヴァイスも受けずに演奏を進めていくものと思っていたのが、指揮研究員の指摘を受けて、やり直しするシーンが何度かあったことです 飯守氏は”聞く耳”を持つ指揮者なのでしょう

全体を聴き終わって、本番はかなり期待できそうだと思いました

11日(土)14時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる本番はシューマン「交響曲第3番」と「交響曲第4番」が演奏されます チケットは完売だそうです

 

     

 

なお、次回の公開リハーサルは7月8日(金)で、高関健氏の指揮によりバルトーク「舞踏組曲」が演奏されます

会場の「ティアラこうとう」は都営地下鉄新宿線、東京メトロ半蔵門線「住吉」駅A4出口徒歩4分です

 

     

 

2022年度の公開リハーサルの日程は下のチラシの通りです 入場無料です。一度見学してみてはいかがでしょうか

 

     

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プレトニョフ ✕ 東京フィルでシチェドリン「カルメン組曲」、チャイコフスキー「白鳥の湖」抜粋を聴く ~ 第970回サントリー定期シリーズ / 鳥は音を判別できる ~ 日経の記事から

2022年06月09日 07時17分46秒 | 日記

9日(木)。昨日の日経朝刊 文化欄に「ハトはモネの絵とピカソの絵を区別できる」という研究で1995年に「イグノーベル賞」を受賞した慶応大学名誉教授・渡辺茂氏が「ブンチョウは古典好み」というエッセイを書いていました   超略すると次の通りです

「鳥に音楽の好みはあるのかという研究にも取り組んだ 実験に用いたのはブンチョウ4羽。籠に3本の止まり木を置き、1本に止まるとバッハのピアノ曲、もう1本ではシェーンベルクのピアノ曲が流れ、真ん中の1本では音楽は流れない 2羽の行動に目立った特徴は見られなかったが、残り2羽のうちオス1羽はシェーンベルクの止まり木の10倍以上の時間をバッハの止まり木で過ごし、メス1羽もバッハの方が2倍以上長かった この傾向はピアノ曲を管弦楽曲に変えても同じ。他の作曲家でも試したが、現代音楽よりも古典が好まれた 現代音楽の多くに不協和音が含まれることが影響すると考えられる

シェーンベルクよりもバッハを好むブンチョウに親近感を覚えます 人間だって鳥だって不協和音よりも調和の取れた音楽の方が居心地が良いということでしょう ただ、同じ現代音楽でも鳥の声を研究したオリヴィエ・メシアンの音楽を流したらブンチョウはどういう反応をするでしょうか?  渡辺先生は実験したのでしょうか?  ちょっと気になります

ということで、わが家に来てから今日で2706日目を迎え、防衛省は8日、ロシア機とみられる軍用機4機が7日夜に日本海から北海道西方に飛来し、領空に向けて東に直進したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     放っておくと覇権主義国は「北海道はロシア固有の領土だ」なんて言いかねないぞ

 

         

 

昨日、仕事休みだった娘が朝食を作ってくれました 「ハムと紫蘇入り混ぜご飯」「ソーセージ・エッグ」「トマトスープ」です どれもが美味しかったです

 

     

 

夕食はいつも通り私が作りました 「ブリの照り焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」です ブリは脂がのって美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京フィル「第970回サントリー定期シリーズ」公演を聴きました プログラムは①シチェドリン「カルメン組曲」、②チャイコフスキー「白鳥の湖」(プレトニョフによる特別編集版)です 

指揮は東京フィル特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフです 1957年ロシア生まれ。1978年のチャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で優勝 1990年にロシア史上初めて国家から独立したオーケストラとしてロシア・ナショナル管弦楽団を設立し、創設者・芸術監督として世界有数のオーケストラに育て上げました

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置 後方に打楽器奏者5人がスタンバイします。コンマスは依田真宣です

1曲目はシチェドリン「カルメン組曲」です この曲はロディオン・シチェドリン(1932ー)が、妻でバレリーナのマイヤ・プリセツカヤの依頼により、ビゼーの歌劇「カルメン」をもとに1967年に作曲、同年4月20日にモスクワのボリショイ劇場で初演された作品です 楽器構成は弦楽器と打楽器のみで、管楽器は入りません

組曲は第1曲「序奏」、第2曲「踊り」、第3曲「第1間奏曲」、第4曲「衛兵の交代」、第5曲「カルメンの登場とハバネラ」、第6曲「情景」、第7曲「第2間奏曲」、第8曲「ボレロ」、第9曲「闘牛士」、第10曲「闘牛士とカルメン」、第11曲「アダージョ」、第12曲「占い」、第13曲「終曲」の13曲から成ります

プレトニョフの指揮で演奏に入りますが、敢えて管楽器を除外したことにより、弦楽器の奏でるメロディーの美しさが際立ち、打楽器のリズムが突出します 第4曲「衛兵の交代」における弦楽器と打楽器による丁々発止のやり取りはユーモアさえ感じさせる軽快な演奏で、楽しく聴きました 第7曲「第2間奏曲」は本来フルートによって演奏されますが、須田祥子率いるヴィオラ・セクションによって美しく奏でられました 第8曲「ボレロ」は「カルメン」ではなく「アルルの女」の「ファランドール」です この音楽は人を興奮させる力がありますね 第9曲「闘牛士」はエスカミーリョの登場で、トレアドールの勇壮な音楽が展開します 第11曲「アダージョ」における弦楽合奏の何と繊細で美しいことか 第13曲「終曲」では打楽器群、とくにヴィブラフォンとマリンバのコラボが素晴らしかったです この曲では打楽器の5人が様々な楽器を駆使して演奏していて、各人が八面六臂の活躍でした

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「白鳥の湖」(プレトニョフによる特別編集版)です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840ー1893)が1875年から76年にかけて作曲、1877年3月4日にモスクワのボリショイ劇場で初演されたバレエ音楽です 今回の特別編集版は、従来の組曲と異なり、「白鳥の湖」の粗筋を追いながら音楽が展開していく形をとっており、6つの楽章に見立てています 全体としては①導入曲ー第1曲、②第1幕前半から「イントラーダ」「スラブ風舞曲」「ヴァリアシオン」、③第1幕後半から「情景」「シュジュ」「ポロネーズ」、④第2幕から「情景」「白鳥たちの踊り」、⑤第3幕から「ヴァリアシオン2」、⑥第4幕から「情景」「終曲」という流れで演奏されます

管楽器が加わり、フルオーケストラ編成となります さらに舞台上手奥にはハープがスタンバイします

プレトニョフの指揮で演奏に入りますが、有名な第2幕の「情景」はオーボエとハープのコラボが美しく、バレエの情景が目に浮かぶようでした 同じく第2幕でハープに導かれて独奏ヴァイオリンが奏でるオデットと王子の愛のアンダンテは、コンマスの依田氏の美しい演奏に加え、ハープの梶彩乃が目の覚めるような素晴らしいカデンツァを展開しました 100点満点です

全体の演奏を聴いて感じたのは、これまでと違う編集版による演奏だったので新鮮に感じた、通俗名曲と思っていた「白鳥の湖」が初めてドラマティックな曲であると感じた、チャイコフスキーは屈指のメロディーメーカーであることを再認識したことです

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新国立オペラ・新シーズンのチケット届く / 中川右介著「不朽の十大交響曲」を読む ~ ジュピター、英雄、運命、田園、未完成、幻想、悲愴、新世界、巨人、革命の誕生を描く歴史ノンフィクション

2022年06月08日 07時14分27秒 | 日記

8日(水)。新国立劇場から 2022/2023シーズンのオペラ公演チケット10枚が届きました 併せて「プログラム引換券」10枚と、チケットホルダーが同封されていました プログラムは公演のたびに@1,000円で購入していたので、今回の措置はありがたいです チケットホルダーは今後のチケットを保管するために3つ使用していますが、今月分のチケットは財布に直接入れて保管しているのでチケットホルダーは使用していません 読響やN響のもあるので15個以上たまってしまいました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2705日目を迎え、千葉県松戸市の複数の神社で5月中旬~下旬、ロシアのプーチン大統領の似顔絵のような物を貼り付けられたわら人形が、ご神木や境内の木にクギで打ち付けられているのが見つかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン憎しの気持ちは分かるが 何の効果もないから止めるべしと 釘を刺しておく

 

         

 

昨日、夕食に「ピーマンのチーズ肉詰め焼き」「生野菜サラダ」「冷奴」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 「ピーマン~」は、娘から「初挑戦じゃない?」と言われましたが、数年前に1度作りました ただし今回は娘の好きなチーズを入れたので、初挑戦と思ったのかもしれません。とても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

中川右介著「不朽の十大交響曲」(角川ソフィア文庫)を読み終わりました 中川右介は1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、代表取締役編集長として雑誌「クラシックジャーナル」ほか、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける toraブログではこれまで、「二十世紀の10大ピアニスト」「現代の名演奏家50」(以上いずれも幻冬舎新書)、「怖いクラシック」(NHK出版新書)、「国家と音楽家」(集英社文庫)をご紹介してきました

 

     

 

著者は「はじめに」の中で「この本は交響曲の十の名曲を選び、その曲にまつわる物語を記す歴史ノンフィクションである」と述べています さらに「選曲にあたっては、私の好み、愛聴盤ではなく、交響曲の歴史において重要と思う曲を選んだ それだけですぐに20曲くらいになり、何らかのタイトルが付いていて、知名度のあるものを優先させた だから、いわゆる通俗名曲が多い」としています

その上で選んだのが①モーツアルト「交響曲第41番”ジュピター”」、②ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」、③同「交響曲第5番”運命”」、④同「交響曲第6番”田園”」、⑤シューベルト「交響曲第7番”未完成”」、⑥ベルリオーズ「幻想交響曲」、⑦チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」、⑧ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」、⑨マーラー「交響曲第1番”巨人”」、⑩ショスタコーヴィチ「交響曲第5番”革命”」の10曲です

ここで気が付くのはベートーヴェンの作品が3曲も入っているのに対し、ブラームスが1曲も入っていないことです これについて著者は「当初は作曲家ひとりに1曲と考えてみたが、ベートーヴェンの『英雄』『運命』『田園』は人気・知名度もさることながら、音楽史上の重要度の点でも外せないので、ベートーヴェンだけで3曲になった その代わり、最も有名な交響曲である『第九』は外した」と述べています

さらに著者は「この本では、その十曲がどのように作曲されたのか、『名作誕生』の背景を描く したがって、曲の音楽的構造の分析や解説、名演奏の聴きどころを紹介するものではない」と位置付けています 270ページの本文で10曲を解説しているので1曲あたり平均27ページを費やしていることになりますが、その曲だけについて書いているのではなく、その前後の作品についても触れているので、実質的には「二十大交響曲」以上の作品を解説していることになります

全体を通して読んでみると、多くの情報が知識として知っている半面、初めて接する情報や、別の視点から見て気づかされるものもあり、新鮮に感じることが少なくありませんでした

10曲すべてをご紹介するわけにはいかないので一例だけ挙げます べートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」には44ページを費やしていますが、ハイドンやモーツアルトとの関係、1歳違いで生まれたフランスの英雄ナポレオンとの関係、スコアの表紙に書かれた「ボナパルト」から「エロイカ」への変更の経緯、ハイリゲンシュタットの遺書、傑作の森など、幅広く解説されています その中で、興味深いのはモーツアルトの作品との対比で語られるベートーヴェンの音楽です

「モーツアルトは32歳の1788年に『ジュピター』を含む三大交響曲を書いた 14歳下のベートーヴェンが『英雄交響曲』を書いたのも32歳の年だ ベートーヴェンはモーツアルトが到達した『楽しいだけが音楽ではない』という地点から始めることができた しかし、作曲のスキルをモーツアルトのレヴェルにまで磨きあげるのに時間が必要だったので、『ジュピター』から『英雄交響曲』までは15年もかかった。もしモーツアルトが生きていたら、『英雄交響曲』は10年前に、『ジュピター』と呼ばれる曲のすぐ後に、モーツアルトによって生まれていたかもしれない ともあれ、モーツアルトが漠然と切り拓き、ベートーヴェンが成し遂げた、作曲家自身のための音楽、音楽で作曲家の『思い』、思想信条を表現するという前代未聞の革命により、音楽家は職人あるいは貴族や教会や劇場の使用人という身分から、藝術家になる 『英雄交響曲』はその藝術革命の英雄だった

ここでは、天才モーツアルトが切り開いたフリーランスの音楽家という立場を、秀才ベートーヴェンが受け継ぎ、音楽を娯楽から芸術に引き上げたことが語られています

本書はクラシック音楽入門者にも、かなりクラシックを聴き込んでいるリスナーにも満足できるディープな知識が収録されており、通り一遍の解説書とは一線を画しています 音楽愛好家に幅広くお薦めします

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岩城宏之著「森のうた 山本直純との藝大青春記」を読む ~ 抱腹絶倒のエピソードの数々

2022年06月07日 07時17分50秒 | 日記

7日(火)。東京は昨日、梅雨入りしました 雨は鬱陶しいですが、農産物の生育・収穫を考えると降る時に降らないと後で困ります 人間なんて勝手なものです

ということで、わが家に来てから今日で2704日目を迎え、ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、ロシア軍が攻撃を集中させている東部ルハンスク州のセベロドネック近郊などの拠点を相次いで視察し、部隊を激励したほか市民とも面会した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンは 暗殺を恐れて 絶対に最前線には行かない  そこがゼレンスキーとは違う

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフカレー」を作りました わが家のビーフカレーはブロック肉ではなくバラ肉を使います。牛丼屋のカレーみたいですがとても美味しいです カレーにはワインですね

 

     

 

         

 

岩城宏之著「森のうた 山本直純との藝大青春記」(河出文庫)を読み終わりました 岩城宏之は1932年東京生まれ。東京藝大打楽器科卒。在学中にNHK交響楽団副指揮者となり、1956年デビュー。内外の主要オーケストラを指揮する一方、日本初の常設室内管弦楽団「オーケストラ・アンサンブル金沢」の設立に寄与、日本人作曲家作品の積極的な初演を行うなど、日本のクラシック界の発展に尽力した。2006年逝去

 

     

 

本書は、朝日新聞・吉田純子編集委員が書評欄で推薦していて、面白そうだと思って入手した作品です 1987年に朝日新聞社から刊行され、1990年に朝日文庫、2003年に講談社文庫に収められたロング・セラーです 今年2月に復刊されました

本書は とてつもない才能と愛嬌を持つ盟友、山本直純との4年間を綴った岩城宏之の捧腹絶倒の名著です    念願の東京藝大に入ったものの、指揮者になりたくて仕方がない作曲科のナオズミ(山本直純)と打楽器専攻のぼく(岩城宏之)は、「盛り蕎麦2枚進呈」をダシに芸大生を集め、学生オーケストラ「学響」を結成する そして、100人以上のオーケストラと200人以上集まった合唱を抽選で絞り、遂にショスタコーヴィチのオラトリオ「森の歌」を演奏する ぼくがシンバルに回り、ナオズミが指揮を執った。ブラボーの嵐が押し寄せた、という感動の物語です

東京藝大を受験する前の話には笑ってしまいました

「いろいろな大学案内書を読んでいると、音楽大学の中で、もっと立派そうなのがあった 『国立音楽大学』である。ぼくはそれを『コクリツ』と読んだのだった。『藝大』は何か芸者の養成学校のような気がした

山本直純の天才ぶりを書いた「『学響』のとき」には驚愕します アメリカ留学を終えて帰国し、藝大で指揮を教えることになった渡邊暁雄氏が『副科』に入るためのテストをした時のエピソードです

「先生はピアノの前に座り、ナオズミに静かな声で語りかけた。『きみ、いま叩く和音の中の、上から3番目の音の、5度下の音を声に出してごらん』。和音なんていうものではない。指10本を使った滅茶苦茶な不協和音だ ナオズミは即座に『アーッ』とダミ声をあげた。先生は指定した音、つまり上から3番目の音の5度下のキーを、ポーンと叩いた ダミ声と同じ音だった ゆっくりうなづいた先生は、『もう一度やってみようね』とつぶやいた。多分、マグレだと思ったのだろう。違う不協和音を叩いた。『今度は、下から2番目の音の6度上をうたってごらん』。『イーッ』。またポーンと試す 完全無欠な絶対音感教育の、しかももともと天才的な感覚を持っている人間でなければあり得ない。テストをする先生自身、絶対にできないに決まっている。これ断言できる

岩城宏之の失恋の話を書いた「恋の涙」はジーンときます 岩城は付き合っていたピアノ科の彼女に振られてしまいます。彼女はウィーンに留学してしまったのです。ガックリしてメソメソしている岩城を慰めようと、ナオズミは「オメェよー、向かいの映画館でディズニーやってるぜ。たまには気が晴れて、いいかもよ」と誘います。2人で「ピノキオ」を観ていると、お姫様が出てきて、ぼくは彼女を思い出して涙が出てくる するとナオズミは「おい、オメェ、出ようか?」と気を使って外に出る。向かいの喫茶店でワーワー泣くと、ナオズミが「ちょっと待ってろよナ」と言ってどこかへ行ってしまう そして「ピノキオ」の絵本を抱えて戻ってくる。「きょうはナ、オメェ、家に帰ってこれ読んで寝ろよナ」。「あ、そうそう」と言ってまた出て行ってしまう 戻ってきたナオズミは「オメェ、今晩はこれを着て、寝ろよナ」とピノキオだらけのパジャマと枕を持ってきた その後もナオズミの慰めは続きます。最初は「彼女への涙」だったのが、涙の3分の1がナオズミへのうれしさに、3分の2が・・・そして100パーセントがナオズミへのうれしさに捧げられていきます

普段は態度が大きく、言葉使いも悪いナオズミですが、親友が悲しい時には自分のことのように心配して気を使ってくれる。読みながら涙が出てきました

当時、山本直純は目白の自由学園(仮教室)で開かれていた「斎藤秀雄指揮教室」に通っていましたが、岩城もナオズミに誘われて通うようになります 1年足らずで止めてしまいますが、その経験から岩城なりの考えをまとめます 「タタキやシャクイなどの『斎藤理論』は、生まれながらにして素晴らしい指揮をしている人たちの動きを、分析して組み立てたわけである もしかしたら、先生は、恐ろしく不器用だったのではないか。だから理論づけようとした」。なかなか鋭い分析だと思います

このほか、カラヤンやマルティノンのリハーサルに2人で潜り込んだ話など捧腹絶倒のエピソード満載で、何度も声を出して笑ってしまいました それにしても岩城宏之はどうして こうも文章が巧いんだろう、と感心します 女性では中村紘子が筆頭でしょうが、男性では岩城宏之で決まりでしょう

なお、タイトルの「森のうた」は、一つはナオズミが指揮したショスタコーヴィチのオラトリオ「森の歌」から採ったものですが、もう一つは、2人の青春の舞台となった東京藝大が上野の森にあるからです

これから読もうとする人にアドヴァイスするとすれば、決して電車の中で読んではいけません 思わず吹き出して「怪しい人」とレッテルを貼られる恐れがあるからです

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アトリウム弦楽四重奏団でベートーヴェン「弦楽四重奏曲第3番、第16番、第7番」を聴く ~ サントリホール・チェンバーミュージック・ガーデン / NHK Eテレ「クラシック音楽館」

2022年06月06日 07時18分33秒 | 日記

6日(月)。昨夜、たまたまNHK Eテレを点けたら「クラシック音楽館」でエッシェンバッハ指揮NHK交響楽団によるベートーヴェン「交響曲第7番」の演奏(4月9日:東京芸術劇場)を放映していました 映像を観ていて面白いと思ったのは、コンマスのマロ(篠崎史紀)さんの”余裕の演奏”と、隣席のゲスト・アシスタント・コンマスの郷古廉氏の”一生懸命の演奏”との対比です そして、第1ヴァイオリンは弓が良く揃っているなあ、と感心しました 管楽器では吉村結実さんのオーボエが良く歌っていました テレビで観ると、音を出している演奏者がアップで映し出されるので音楽が視覚化して良いと思いました

ということで、わが家に来てから今日で2703日目を迎え、中国の民主化を求めた学生らが軍に武力弾圧された1989年の天安門事件から4日で33年を迎えたが、マスクに「✕」を書いて無言の抗議をしていた男性が警察車両に乗せられ、連行された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアでは白紙を掲げた男性が警察に連行されてた  ロシアも中国も同じ強権国家だ

 

         

 

今年もサントリーホール「ブルーローズ」を会場に「サントリホール  チェンバーミュージック・ガーデン」が始まりました コロナ禍の影響で全公演が中止となった2020年を除き、毎年 ほぼ連日「ブルーローズ」通いを続けてきました とくに一つの団体がベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する「ベートーヴェン・サイクル」は、これまで全ての団体の全ての公演を聴いてきました しかし、今年はチケットを手配した2月の時点で、厳しい腰痛に悩まされていたので、出来るだけ余裕を持ったスケジュールを組もうと考え、3公演しかチケットを取りませんでした

会場の入口には小ホールの名前の元となった、サントリーが世界で初めて生み出した「青い薔薇(ブルーローズ)」が飾られていました

 

     

 

ということで、昨日、アトリウム弦楽四重奏団による「ベートーヴェン・サイクル 」第1日目の公演を聴きました プログラムは①最初に完成した「第3番」、②最後に完成した「第16番」、③中期の傑作「第7番”ラズモフスキー第1番”」という周到な組み合わせです

アトリウム弦楽四重奏団は2000年ロシアのサンクトペテルブルク音楽院に学ぶ4人で結成されました 2003年に世界的に権威のあるロンドン(現ウィグモアホール)国際弦楽四重奏コンクール第1位、聴衆賞を受賞、2007年には第5回ボルドー国際弦楽四重奏コンクールで優勝しました 現在はベルリンに拠点を置いて活動しています

メンバーは第1ヴァイオリン=ニキータ・ボリソグレブスキー、第2ヴァイオリン=アントン・イリューニン、ヴィオラ=ドミトリー・ピツルコ、チェロ=アンナ・ゴレロヴァです

 

     

 

自席はC3列10番、センターブロック右から3つ目です

1曲目は「弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1798年から1800年にかけて作曲した作品18の6つの弦楽四重奏曲のうち最初に完成させた記念すべき作品です 完成の順番は第3番、第1番、第2番、第5番、第6番、第4番です 第3番は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

4人は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置です 紅一点のアンナ・ゴレロヴァさんは赤を基調とし黒を配したシックな衣装ですが、よく見ると、3人の男性陣は黒のスーツに赤の靴下で統一しており、ゴレロヴァさんの衣装とのコントラストが鮮やかです 全員が男性だったらネクタイの色で統一するところでしょう 第2ヴァイオリンとチェロが楽譜を使用し、第1ヴァイオリンとヴィオラの2人が電子ブックを使用します

第1ヴァイオリンの独奏から演奏に入りますが、とても美しい演奏です 全楽章を聴いた印象は、誰かが突出して目立つことがなく、バランスが取れたアンサンブルを奏でていました また、4人の演奏を聴いていて、作品18の6曲の中で一番最初に完成された作品であるのに、先輩格のハイドンやモーツアルトの影響がほとんどなく、すでにベートーヴェンらしさが現れていることに気が付きました

2曲目は「弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135」です この曲は1826年10月ウィーンで完成、作曲家の死後の1828年3月23日にウィーンでシュパンツィク四重奏団により初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アッサイ・レント、カンタンテ・エ・トランクィロ」、第4楽章「ようやくつけた決心:グレーヴ・マ・ノン・トロッポ・トラット ~ アレグロ」の4楽章から成ります

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲で一番素晴らしいと思うのは「緩徐楽章」ですが、この作品でも第3楽章がしみじみと心に沁みました ベートーヴェン最後の弦楽四重奏曲ということもありますが、「生かされていることに対する感謝の気持ち」が現れているように思います また 第4楽章は、自筆譜の冒頭に「ようやくつけた決心」という言葉と、「そうでなければならないか?」「そうでなければならぬ」という疑問句と応答句付きの2つの動機が記されています いつも思うのは、むしろ第1楽章の冒頭の音楽こそ、そのようなやり取りに聴こえます いずれにしても、この2つの動機は「深淵な哲学的なテーマを扱っている」という解釈もあれば、「友達から借りた金を返さなければならないか」「返さなければならない」というベートーヴェンの「カノン」に基づくという解釈もあります 2つの動機の音楽そのものからは前者のように受け取れますが、その後の明るく楽天的な音楽を聴くと、後者のような気もしてきます 4人の演奏は、2つの深刻なテーマとその後の楽天的な音楽との対比が鮮やかでした

 

     

 

休憩後は「弦楽四重奏曲第7番 作品59-1 ”ラズモフスキー第1番” 」です    この曲はウィーン駐在ロシア大使ラズモフスキーの依頼により1805年から06年にかけて作曲した作品59の3つの弦楽四重奏曲の最初の作品です 初期の作品18の6曲と比べると、ギアが1段上がったようにスケールが大きくなっています。交響曲で言えば、第3番「英雄」に匹敵するような革新的な作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ・エ・センプレ・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

アンナさんの雄渾なチェロから入りますが、この演奏が素晴らしく、女王の如くです 第2楽章のスケルツォは各楽器の対話が素晴らしい 第3楽章のアダージョは、言うまでもなく心に沁みる音楽です 第4楽章の主題は被献呈者ラズモフスキー伯爵の故郷ロシアの民謡集に由来しますが、4人の丁々発止の演奏が素晴らしく、堂々たるフィナーレを飾りました

満場の拍手に4人は、アンコールにベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 作品18-1」から第4楽章「アレグロ」を軽快に演奏、再び会場いっぱいの拍手を浴びました

この日 会場に集まった聴衆は、演奏者がロシアの出身者であるかないかに関係なく、純粋にベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴きたいがために集まったと断言しておきます

 

     

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ウクライナ大統領ゼレンスキー主演のコメディドラマ「国民の僕」シリーズ2&3(全27話)を観る ~ Netflix / 東京都内の銭湯 ~ 上限を480円から500円に値上げ

2022年06月05日 07時09分48秒 | 日記

5日(日)。昨日の朝日新聞朝刊 東京面に「値上げの波  銭湯にも ~ 上限を480円から500円へ」という見出しの記事が載っていました 超略すると次の通りです

「都公衆浴場対策協議会は3日、公衆浴場の入場料の上限を現行の480円から500円に引き上げるよう都に報告した   ロシアのウクライナ侵攻などでエネルギー価格高騰のあおりを受けたためで、知事決定を経て、7月以降に反映される見込みだ 2000年以降据え置いてきた子供料金も値上げの対象にし、6歳未満は100円、6~11歳は200円とした。都内の公衆浴場は、一般家庭の浴室の普及とともに減り続けている 都によると、浴室の普及率が42%だった1968年は2687軒の公衆浴場があったが、94%を超えた98年には1390軒まで減り、今年4月末時点では576軒に急減した 店舗あたりの利用者数も68年には1日530人だったが、昨年は147人に減っている

わが家でも、数年前に浴室をリモデルした際には近所の銭湯に通いましたが、その当時は450円だったと記憶しています 現在では全く銭湯に行くことはありませんが、同じマンションに住む元宮内庁職員のK氏は、「銭湯は広いし、ジャグジーの泡を身体に当てるとマッサージ効果があるし、気持ちがいいから週に何度か通っている」と言っていました たしかに健康に良さそうです。それにしても、ロシアのウクライナ侵攻が日本の銭湯の値上げにまで影響するとは・・・まさに恐ロシアです そのロシアは ろくにセントー準備をしないままウクライナに侵攻したため、無駄死にする若者が後を絶たず、兵士の士気が上がらないようです プーチンは過ちを認め、よく冷えた銭湯に頭のてっぺんまで浸かって自己批判すべきです

ということで、わが家に来てから今日で2702日目を迎え、タス通信によると、ロシア海軍太平洋艦隊が太平洋の海域で3日から、艦艇40隻以上、ヘリコプターを含む航空機最大20機が参加する演習を開始したが、ロシアのウクライナ侵攻をめぐって対立を深める米国や日本を牽制する意味合いがある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いくらこけおどしをしても  軍事力の低下を招くだけ  そのうち演習もできなくなる

 

         

 

Netflixでウクライナ大統領ゼレンスキー主演のコメディドラマ「国民の僕」シリーズ2(全24話)とシリーズ3(全3話)を4日間かけて観終わりました

最初に全3シリーズ(1話は約25分)の全体像をご紹介しておきます

「国民の僕(しもべ)」は、ウクライナの大統領を主人公とした政治風刺コメディドラマです

シリーズ1(全24話)は2015年11月16日からテレビ放映されました。

シリーズ2(全24話)は2017年10月23日から放映されました。

シリーズ3(全3話)は2019年3月27日から放映されました。

ゼレンスキーはドラマと同じ名前の政党「国民の僕」を立ち上げて大統領選に立候補し、2019年5月20日、 ドラマを地で行くように第6代ウクライナ大統領に就任しました このタイミングからすると、ゼレンスキーが大統領選で勝ったのは、多くの国民がドラマの中の清廉潔白な大統領を現実の世界で演じてほしいと考えたことが窺えます

 

     

 

次にシリーズ1を簡単に振り返っておきます(詳細は5月26日付toraブログ参照)

30代の歴史教師ヴァシリー・ペトロヴィチ・ゴロボロドコ(ゼレンスキー)は、ある日教室でウクライナの政治批判をしているところを知らぬ間に生徒に撮影され、YouTubeにアップロードされてしまう しかし、この映像が一夜にしてバズってしまい、生徒たちはゴロボロドコに内緒でウクライナ大統領選に立候補する手続きをしてしまう 彼らはクラウドファンディングにより選挙資金を集め、それを基にゴロボロドコは大統領選に立候補し勝利する 大統領就任後、彼は前政権の保身的で腐敗した政治の置き土産に戸惑いつつも、国民目線の政治を目指して、政府内の腐敗を排除すべく、様々な問題に立ち向かっていく

シリーズ2では、IMFの働きかけで行われた改革に失敗したゴロボロドコは、大統領を辞任してしまう 大統領の職を失った彼は、市民の信頼を回復すべく、様々な政策を打ち出し汚職の一掃を目指し再び大統領の座に返り咲くべく奮闘する姿を描いています

シリーズ3では、政敵が仕掛けた冤罪で刑務所に入れられたゴロボロドコが、仲間たちの力を得て大統領に返り咲くまでを描いています

このシリーズ3で印象的なのは、刑務所から復帰して大統領に返り咲いたゴロボロドコを待っていたのは、いくつもの独立した州に分裂し「合衆国」のようになっていたウクライナの姿だったことです 最終的にゴロボロドコはこれを1つの国家にまとめ上げ、「終わり良ければ総て良し」でパッピーエンドになりますが、現在ウクライナが置かれた現状に照らしてみると、ロシアの侵略により、ウクライナは国の分裂の方向に逆戻りしています

また、シリーズ1では、議会で与野党がつかみ合いの喧嘩をしているところにゴロボロドコ大統領がやってきて、「プーチンが失脚した」と叫ぶと、みな黙ってしまうシーンなど、今でこそ苦笑いしてしまう場面も少なくありません

 

     

 

現実のゼレンスキー大統領は、就任直後こそ国民の支持率が7割ありましたが、経済・汚職・紛争などの難問を解決できず、2021年10月には支持率が25%まで落ち込みました その後、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵略すると、彼は首都キーウに留まり、欧米諸国からの軍事的な援助を受けながら、国民に対しロシア軍への徹底抗戦を呼びかけ、各地域で抵抗し続け、現在は91%の国民がゼレンスキーを支持しています その意味では、ゼレンスキーは「平時の大統領」ではなく「戦時の大統領」としてウクライナの歴史に残るでしょう

先の見えない戦争ですが、近い将来 ロシア軍が完全撤退し、海外に逃れたウクライナの680万人の国民のすべてが祖国に戻り、インフラや国民の衣・食・住が元の姿に復活し、本来の領土が確保されることを祈るばかりです さらに言えば、ロシアはウクライナの復興に責任を持つとともに、プーチン大統領はウクライナ国民とロシアの若い兵士たちを無駄に死に追いやり、世界の政治・経済を大混乱に貶めた罪を償うべきだと思います

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「帰ってきたオーケストラ 名演 ~ 楽団の努力が開花」 ~ 朝日・吉田純子編集委員の記事から / 「すみません」と「ありがとう」

2022年06月04日 07時20分04秒 | 日記

4日(土)。昨日の朝日新聞朝刊「輪の芽」コーナーで「すみません」と「ありがとう」を取り上げていました 「すみません」「申し訳ありません」という謝罪の言葉は必ずしも謝る場合だけでなく、相手に感謝する場面でも頻繁に使われています これについて、相川充・東京学芸大学名誉教授は次のように語っています

「感謝を伝えるのは本来ポジティブな場面。『すみません』とネガティブに自分を下げず、『ありがとう』と言ってポジティブを体験することが大事 行動を習慣化すると、いずれその行動が人格に影響を与える そうした心理学の考え方の実践で、心の負担を減らせ、周囲にも自分の心にも変化があるはずだ

この記事を読む2日前に、週3回通っている整骨院のA院長が患者さんに同じことを言っているのを耳にしました お年寄りが「先生、いつもすみません」と言うと、「謝らなくてもいいんですよ。感謝の言葉だったら『すみません』よりも『ありがとう』の方がいいと思います その方が、言う方も言われる方も、気持ちが良くなるでしょう?」と答えていました A先生は専門分野の勉強のほかに、心理学なども勉強しているので、そういう知識を持っているのだと思います 言葉一つで気持ちがポジティブにもネガティブにもなるのですから、言葉は選びたいものです

ということで、わが家に来てから今日で2701日目を迎え、米財務省などは2日、ロシアへの追加制裁として、プーチン大統領が過去に使ったことのあるロシア船籍「グレースフル」とケイマン諸島船籍「オリンピア」の2つの豪華ヨットを差し押さえ対象にすると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     高級ヨットで黒海を航海するのは終えて  ウクライナ侵略を後悔する毎日を過ごせ

 

         

 

昨日、夕食に2週間に1度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました 前回、旨味醤油に漬けすぎてちょっとしょっぱくなってしまったので、今回は控えめにしました とても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

2日付 朝日新聞夕刊の「around  Stage」コーナーに同社・吉田純子編集委員による「帰ってきたオーケストラ 名演 楽団の努力が開花」という見出しの記事が載っていました 吉田さんは、

「コロナ禍で多くの公演が中止になった。目に見えぬウイルスを前に立ちすくみ、無観客公演を余儀なくされ、聴衆と過ごす時間の尊さを改めてかみしめた それぞれに独自の道を模索したこの2年半を、どのオーケストラも決して無駄にはしなかった 現在の日本のオーケストラの技術と多様性は、世界に比しても驚異的と言っていい

として、在京を中心とするオーケストラの最近の”成果”を紹介しています 各オケのポイントを挙げると次の通りです

①ノット ✕ 東京交響楽団によるドビュッシー『牧神』、デュパサン、ブラームス『交響曲第3番』・・・彼らの進化は日本のオーケストラの歴史を変えるだろう

②沼尻竜典 ✕ 神奈川フィルによるブラームス『交響曲第1番』・・・沼尻の音楽的ビジョンの底知れぬ深さを垣間見る

③ヤノフスキ ✕ NHK交響楽団によるシューベルト『グレイト』・・・ロマン派の巨匠としてのシューベルトが描き出された

④チョン・ミョンフン ✕ 東京フィルによるフランス・プログラム・・・楽曲を自律的に動かすための、細部のニュアンスに至る容赦ないリハーサルの跡がうかがえる 妥協のなさこそチョンの本懐だったことを思い起こす

⑤藤岡幸夫 ✕ 東京シティ・フィルによるラヴェル『ピアノ協奏曲』(P:角野隼斗)、黛敏郎の作品・・・一見トリッキー、聴いて納得のプログラムに驚くべき機動性で応えた

⑥井上道義 ✕ 新日本フィルによる新実徳英「風神・雷神」・・・もはやクラシックという枠を突き抜けた未知の響きの創造に   創設50年、挑戦へのワクワクを常に礎としてきた同楽団の、革命の気風を久々に聴く。ミュージック・アドヴァイザーに佐渡裕を迎えた

⑦上岡敏之 ✕ 読売日響によるツェムリンスキー「人魚姫」・・・音で物語を紡ぎ、映像を『見せる』ことにかけて、このコンビが他の追随を許さないことを証明した

⑧東京ニューシティ管弦楽団はパシフィックフィルハーモニア東京と改称、音楽監督に飯森範親を迎えた

⑨大阪交響楽団は常任指揮者に山下一史を迎えた

⑩日本フィルを指揮してきたロシアのラザレフが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で来日できなかったのは痛恨だ

この記事で「何が書かれていないか」に注目すると、東京都交響楽団が紹介されていないことに気が付きます 都響は2021-2022シーズン公演について年間会員席を販売せず、その都度申し込み方式を採用したことが関係しているのだろうか?  あるいは取り上げるべき特徴的なコンサートがなかったということだろうか?  はたまた、書くべきスペースが足りなかっただけなのか? 吉田さんのみが知るーですが、ちょっと気になります

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「小澤征爾は出ないけど」 ~ 朝日・吉田純子編集委員の連載「ことばを奏でる 吉田秀和没後10年」第4回を読んで / 「レコード復権 中古品高騰」 ~ 日経の記事から

2022年06月03日 07時13分59秒 | 日記

3日(金)。昨日の日経朝刊 マーケット・商品ページのコラム「¥ 価格は語る」は「レコード復権 中古品高騰」という見出しで、中古レコードが10年で10倍にも高騰していることを伝えています 記事は主にポピュラー音楽のレコードを対象にしているので、クラシックも同様の傾向にあるのかどうかは分かりませんが、全体状況として参考になるデータも紹介されています

「日本レコード協会によると2021年のレコード生産額は前年比84%増の39億円と、22年ぶりに30億円を超えた 復権の背景にはデジタルからアナログへ向かう鑑賞の流れがある レコードをプレーヤーに置き、針を落とす一連の動作を新鮮に感じる人も多い コロナ禍で音楽フェスの中止が相次ぎ、在宅時間に音楽を『体験』する機会をレコードが提供している面もある。中古品高騰のもう一つの要因が世界的なレコード復権だ 全米レコード協会によると、米国では20年上半期にレコードの売上高がCDを逆転。21年は前年比61%増の10臆3800万ドル(約1340億円)に達した

自宅には4000枚のCDのほかに、約1500枚のLPレコードがありますが、上の記事にあるようなポピュラー音楽のレコードと同じように中古品が高騰しているなら、売り飛ばしてもいいかな、と「捕らぬ狸の皮算用」を目論んでいますが、世間はそう甘くないでしょうね

ということで、わが家に来てから今日で2700日目を迎え、世界の大手金融機関でつくるクレジットデリバティブ決定委員会は1日、ロシア国債の利払いが「不履行」(デフォルト)に当たると認定したが、これにより欧米から制裁を受けているロシアは、海外からの資金調達が長期間困難になると見られる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     次々と外堀を埋められていくプーチン・ロシア帝国の崩壊は 時間の問題じゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「冷奴」「生野菜サラダ」を作りました トンテキにはキャベツが合います

 

     

 

         

 

朝日新聞朝刊に連載中の同社・吉田純子編集委員による「ことばを奏でる 吉田秀和没後10年」の第4回は「小澤征爾は出ないけど」です 記事は吉田秀和が館長を務めた「水戸芸術館」での出来事を紹介しています 超訳すると次の通りです

「2012年1月20日、水戸室内管弦楽団公演で音楽顧問の小澤征爾(86)が体調を崩し、公演の直前になって降板した 観客から怒号が飛んだ。館の職員が舞台に立ち、指揮者なしで演奏することを告げたが、場の空気はおさまらない その時、客席の吉田がゆらりと立ち上がった。どよめきと戸惑いの拍手がまばらに起こる。マイクを渡された吉田は、聴衆に目をやり、明瞭な滑舌で語り始めた 小澤は舞台に立てない。さて、どうする? 楽員全員に尋ねたところ、全員が『演奏したい』と答えた。そう吉田は切り出した 『小澤が出なくて残念だけど、演奏家たちがやるっていうならそれを聴いてやろう。そうお考えの方は、どうぞお残りください』。感情的なヤジに代わり、ゆっくりとわき起こった温かな拍手が会場を満たした 死の4か月前のこと。残ってくださいとも、帰ってくださいとも、私は言いません。決めるのはあなたです これが、吉田が聴衆に届けた最後のメッセージとなった。他者が唱える『客観的な評価』なるものに、自らの意思を委ねてはならない。どんな音楽が私は好きなのか。そう問うことが、他の何にも代えられぬあなた自身の存在の証しを世界に表明することなのだと

その時、会場にいた聴衆の多くは「小澤征爾が指揮をするというから、高いお金を払ってチケットを取ったのに、急な降板とは何事か しかも指揮者なしで演奏するとは」と思ったのではないかと想像します。その一方で、小澤は2010年には食道癌が見つかり、食道の全摘出手術を行い、2011年には腰の手術を行っており、それぞれ予定されていた公演から降板しているので、体調不良による降板はあり得ないことではないと考えた人も少なくなかったのではないか、と思います 私は後者で、小澤の指揮する公演は降板のリスクが高いのでチケットは買わないことにしていました

さて、ここで重要なのは、「他人の評価に振り回されてはいけない。自らの意思で評価すべきだ」ということです 「高名な音楽評論家がこう書いているから、多分それが正しい評価なんだろう」とか、「SNSで評価が高いから、多分みんながそう思っているんだろう」とかいうように考えがちですが、それは自分の評価ではありません 文中に「他者が唱える『客観的な評価』なるものに、自らの意思を委ねてはならない」とありますが、そもそも『客観的な評価』などはあり得ないのです 吉田さんが「~なるもの」と付け加えているのは、そういう意味を含ませているのです

私も普段から新聞やSNSを通じてコンサート評や感想を読んでいますが、読むこと自体は何の問題もありません 問題はそれらに振り回されて、もともと自分が思っていたことを修正してしまうことです あくまでも自分の意思で考えて書きたいものです

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凪良ゆう著「流浪の月」を読む ~ ロリコン青年と少女の物語:テーマは「事実と真実は違う」

2022年06月02日 07時16分50秒 | 日記

2日(木)。わが家に来てから今日で2699日目を迎え、岸田文雄首相は1日の衆院予算委員会で、ロシアのプーチン大統領が面会時間に大幅に遅刻した過去の経験に言及し、「外相時代にサンクトペテルブルクでプーチン氏と会談した際、2時間近く待たされた。私が2時間の会談を通じて感じたのは、プーチン氏は『試す人』だ」とプーチン評を披露した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     現在は世界中からプーチン・ロシアがどこまで経済制裁に耐えられるか試されてる

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜サラダ」「マグロの山掛け」「エノキダケの味噌汁」を作りました 最近、魚が高いですが仕方ないですかね

 

     

 

         

 

凪良ゆう著「流浪の月」(創元文芸文庫)を読み終わりました 凪良(なぎら)ゆうは滋賀県生まれ。2007年「花嫁はマリッジブルー」で本格的にデビュー 2019年に刊行した「流浪の月」が2020年本屋大賞を受賞した

 

     

 

家内更紗(かない さらさ)は市役所勤めの父と自由人である母に護られて自由気ままに幼少時代を過ごした しかし、小学4年生、9歳の時に父が消え、次に母が消え、伯母さんの家に引き取られることになる そこではかつての自由はなく、夜になると伯母さんの息子・孝弘が寝室に忍び込んできた。しかし更紗は誰にも相談できなかった ある日、更紗は公園で同級生たちがロリコンと呼んでいる一人の若者に出会う。彼は佐伯文(ふみ)という19歳の大学生だった 更紗が「家に帰りたくない」と言うと文は「うちにくる?」と訊くので着いていった。文の家で2か月間気ままに過ごしていると、いつの間にか、世間では「ロリコンによる女子小学生誘拐事件」として大騒ぎになっていることを知る そんなある日、パンダが見たくなって2人で動物園に行った。そこで、自分たちが周囲の人たちから注目されていることに気が付いたが、時は遅く、警察官から「誘拐された少女」として保護され、文はその場で「少女誘拐犯」として逮捕されてしまう 更紗は「文が誘拐したのではない。自分から文のことろに行ったのだ」と訴えるが、誰も相手にしてくれなかった

それから15年後、夜だけのコーヒー専門店 calico をやっている文と偶然の再会を果たす 更紗は29歳、文は34歳になっていた。更紗はファミリーレストランで働き、亮くんという男と付き合っていた。一方、文は南文と名前を変え、谷さんという女性と付き合っていた 更紗は calico に通うようになるが、それが亮くんにバレ、「被害者が加害者に心を奪われる”ストックホルム症候群”だ。もう会いに行くのは止めろ」と暴力を振るわれる 更紗は我慢できず、文と同じマンションの隣の部屋に引っ越す。ネットや週刊誌には「かつての誘拐犯と被害者が一緒に暮らしている」という記述が増え、その場にいられなくなる 結局、2人は地方に引っ越してコーヒー専門店 calico を開くことにする  calico とは日本語で更紗のことだ

この小説には大きなテーマが横たわっています。それは「事実と真実は違う」ということです 世間は「更紗は文に誘拐された」と勝手に決めつけて文を拘置所に送ってしまったが、実際には、「文は更紗に手だししていないし、更紗が伯母さんの家から逃れて文のところに逃げ込んだ」というのが真実だということです

更紗は職場の同僚のシングルマザー安西さんの娘・梨花ちゃんを文と一緒に一時預かることになりますが、更紗は布団に顔を伏せて声も出さずに泣く梨花ちゃんを抱き寄せて独白します

「わたしたちは親子ではなく、夫婦でもなく、恋人でもなく、友達というのもなんとなくちがう わたしたちの間には、言葉にできるようなわかりやすいつながりはなく、なににも守られておらず、それぞれひとりで、けれどそれが互いをとても近く感じさせている わたしは、これを、なんと呼べばいいのかわからない

更紗と文を結び付けているのは何なのか? 幼い頃のトラウマを持ち続けてきた更紗と、大人の女性には性愛の感情が持てず幼い女児が好きな文とを結びつけているのは何なのか

それは2人がお互いに「最後の拠り所」と思っていることではないだろうか どんなことがあっても、相手のことを否定しない、あるがままを受け入れる。夫婦とか恋人とかの関係性を乗り越えたところにある「やさしさ」かもしれません

なぜ著者は本書のタイトルに「流浪の月」と付けたのか  「流浪」とは「さすらう」「さまよう」という意味がありますが、家族や親せきから見放され、他に頼る人がいない者同士が出会い、当てもなく一緒に生きていくことを意味しているのだろうか

本作は李相日監督、広瀬すず、松坂桃季出演により映画化され、現在ロードショー公開中です さて、あなたは 読んでから観ますか、観てから読みますか

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アンドリュー・リットン ✕ 金川真弓 ✕ 東京都交響楽団でバーンスタイン「セレナード」、コープランド「交響曲第3番」他を聴く

2022年06月01日 07時08分10秒 | 日記

6月1日(水)。わが家に来てから今日で2698日目を迎え、ロイター通信によると、ウクライナのベネディクト検事総長は31日、訪問先のオランダ・ハーグで記者会見し、ロシア軍の戦争犯罪の容疑者600人以上を特定し、うち約80人の訴追手続きを始めたと明かした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     戦争のどさくさに紛れてやりたい放題の事をやったロシア兵は罪を償うのが当然だ

 

         

 

昨日、夕食に「丸ごとピーマンの肉巻き」「生野菜とツナのサラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 「丸ごと~」は初挑戦ですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで「東京都交響楽団 第952回定期演奏会 Bシリーズ」を聴きました プログラムは①シンディ・マクティー「タイムピース」、②バーンスタイン「セレナード」、③コープランド「交響曲第3番」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=金川真弓、指揮=アンドリュー・リットンです

都響も今月から新年度です 席替えをして1階センターブロックの前の方に移りました。オケの人たちの顔が見えるのは良いのですが、通路側ではなく3つ入った席なので窮屈な感じがします まあ、そのうち慣れるでしょう

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろのコントラバスという いつもの都響の並び。コンミスは四方恭子です

指揮を執るアンドリュー・リットンは1959年 ニューヨーク生まれ。現在ニューヨーク・シティ・バレエ音楽監督、シンガポール響首席客演指揮者、ボーンマス響桂冠指揮者などを務めています

ここだけの話、私はリットンにはあまり良い印象がありません というのは、もうかなり前のことですが、彼が東京交響楽団を指揮してベートーヴェン「運命交響曲」を演奏するのを聴いたことがあります 終始速めのテンポで押し通し、力強さを見せましたが、実にあっけらかんとして何の感慨もありませんでした それ以来、リットンのコンサートは避けてきました。しかし、今回は定期演奏会なので避けようがありません 幸か不幸か今回は古典派ではなくオール・アメリカン・プログラムなので半分期待して臨みます

1曲目はマクティー「タイムピース」です この曲はシンディ・マクティー(1953~)がダラス交響楽団の100回目のシーズン記念委嘱作品として作曲、2000年2月17日にリットンの指揮で初演されました

リットンが登場して指揮台に上りますが、リットンも歳をとったな~と思いました それにかなり太ったな~と

曲は非常に分かりやすい曲想で、ちょっとバーンスタイン風だったり、ちょっとジャズっぽかったりで、金管大活躍のいかにもアメリカを感じさせる曲でした

2曲目はバーンスタイン「セレナード」です この曲はレナード・バーンスタイン(1918ー1990)がクーセヴィツキー財団からの委嘱により、プラトンの「饗宴」に基づいて1953年から54年にかけて作曲、1954年9月12日にヴェネツィア音楽祭で、アイザック・スターンの独奏により初演されました 楽器編成は独奏ヴァイオリン、弦楽合奏、打楽器、ハープです 第1楽章「ファイドロスとパウサニアス」(レント ~ アレグロ・マルカート)、第2楽章「アリストファネス」(アレグレット)、第3楽章「エリュクシマコス」(プレスト)、第4楽章「アガトン」(アダージョ)、第5楽章「ソクラテス、アルキビアデス」(モルト・テヌート ~ アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ)の5楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の金川真弓はドイツ生まれ。4歳から日本でヴァイオリンを始め、ニューヨークを経て、12歳でロサンゼルスに移る。現在はベルリンを拠点に演奏活動を展開する 2018年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位及び最優秀協奏曲賞を受賞、2019年チャイコフスキー国際コンクール第4位という実力者です

管楽器が退場した後のオケを眺めていたら、左サイドに自称「手酌系ハーピスト」高野麗音さんを発見 演奏が終わったら晩酌をやるんだろうな、などとあらぬことを考えてしまいました

第1楽章が金川真弓のヴァイオリン独奏で開始されます 凛とした美しさを感じさせます その後、弦楽合奏と合流しますが、そのハーモニーがまた美しい 第3楽章「プレスト」はかなり速いテンポで走り抜けます 第4楽章では一転、噛みしめるように歌います 聴きどころは第5楽章です。独奏ヴァイオリンと弦楽オケ・打楽器との丁々発止のやり取りで、酒宴の賑わいが展開します そして勢いそのままに華麗なフィナーレに突入します。金川真弓の鮮やかな演奏でした リットン ✕ 都響がピタリとつけました

この第5楽章を聴きながら、私は五嶋みどりの「タングルウッドの奇跡」を思い出していました   1986年、当時14歳だった五嶋みどりがアメリカのタングルウッドで行われた音楽祭でバーンスタインの「セレナード」を演奏した時、ハプニングが起こりました    彼女は子供用のヴァイオリンを弾いていたのですが、第5楽章の演奏中に弦が切れてしまい、コンマスのヴァイオリンと交換して弾き続けました しかし、また弦が切れてしまいました 再びコンマスが弾いていたヴァイオリンと交換し、とうとう最後まで弾き切ったのです 指揮をしていたバーンスタインは彼女を抱きしめて賞賛しました このハプニングは「タングルウッドの奇跡」としてアメリカの小学校の教科書に載りました 「五嶋みどり タングルウッドの奇跡」で検索すると動画が見られます。これを観て感動しない人はいないでしょう

さて話は戻ります 金川真弓は満場の拍手にJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調BWV1005」より第4楽章「アレグロ・アッサイ」を、有無を言わさぬ速さで一気に弾き切り、聴衆を唖然とさせました 私はこれほど流麗にして鮮やかなバッハの無伴奏を聴いたことはありません 彼女は10月20日に東京文化会館小ホールでリサイタルを開きますが、この曲もプログラムに入っているようです この曲を全楽章聴きたければリサイタルにおいでください、というわけです ただではアンコールを弾かない”したたかさ”も感じました

 

     

 

プログラム後半はコープランド「交響曲第3番」です この曲はアーロン・コープランド(1900ー1990)が、クーセヴィツキー夫人ナタリーの追悼のために1944年から46年にかけて作曲、1946年10月18日にセルゲイ・クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団により初演されました 第1楽章「モルト・モデラート、素朴な表情をもって」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アンダンティーノ・クアジ・アレグレット」、第4楽章「とても慎重に ~ 2倍の速さで、アレグロ・リソルート」の4楽章から成ります

リットンの指揮で演奏に入ります 金管楽器が前面に出る曲だな、と思って聴いていましたが、第4楽章の冒頭の音楽を聴いて、この曲は一度聴いたことがあるな、と思いました あらためて谷口昭弘氏のプログラム・ノートを見ると、「自作の『市民のためのファンファーレ』の引用から始まる」と書かれていました トランペット、トロンボーン、ホルンといった金管楽器が炸裂する祝祭感に満ちた音楽です リットンは思う存分鳴らさせていました 彼にはベートーヴェンよりもコープランドの方が向いているように思います

この曲でもハープの出番は少なくありませんでしたが、高野麗音さんも大活躍でした 終演後は さぞかし美味しいお酒が飲めたことでしょう

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