12日(日)。昨日の日経朝刊がストラディバリウスの競売について報じていました 超略すると次の通りです
「弦楽器専門の競売会社『タリシオ』は9日、『カレーハウスCoCo壱番屋』を展開する壱番屋の創業者、宗次徳二氏が2007年から所有していたヴァイオリンの名器ストラディバリウス『ダ・ビンチ』が、ニューヨークでの競売で1534万ドル(約20億6千万円)で落札されたと明らかにした 『ダ・ビンチ』は1714年に製作された名器で、1939年の映画『オズの魔法使い』の音楽収録にも使われた。タリシオによると、ヴァイオリンの過去最高の落札額は2011年の約1600万ドルで、『日本音楽財団』が東日本大震災の被災地支援のため、ロンドンの競売に出したストラディバリウスだった 関係者によると、日本で貸与していた『ダ・ビンチ』を国際的にも活用してもらうことが出品の理由の一つだという」
今回の落札額は過去2番目の高さとのこと 宗次氏は、ここ一番のタイミングでカレーなる懸けに出たことになりそうですね それにしても、308年前に作られた骨董品のようなヴァイオリンが1挺20億円以上もするなんて異常だと思いませんか ハーゲンダッツのアイスクリームがいくつ買えるか・・・
ということで、わが家に来てから今日で2709日目を迎え、7月1日に英国からの返還25周年の式典を開く香港で、中国の指導者が来訪するため、迎える側の香港の高官や子どもたちが7日間隔離されるという新型コロナ特別態勢が取られると香港メディアが10日に報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
香港に来る人が隔離されるのが普通だが あべこべだ さすがは習近平独裁主義国家
昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第353回定期演奏会」を聴きました プログラムは①シューマン「交響曲第3番 変ホ長調 作品97 "ライン”」、②同「交響曲第4番 ニ短調 作品120」です 指揮は東京シティ・フィル桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎です
開演前にロビーでプログラムを読んでいたら、高校生らしき男女の集団を発見 同じ制服を着ているので学校行事の一環としてクラシック・コンサートの鑑賞に来たようです 飯守泰次郎 ✕ 東京シティ・フィルのコンサートを選ぶなんて、何とセンスの良い学校だろうかと感心します それと、シティ・フィルの営業力の賜物でしょうか 彼らの貢献もあってか、会場は文字通り満席です
1曲目はシューマン「交響曲第3番 変ホ長調 作品97 ”ライン”」です この曲はロベルト・シューマン(1810ー1856)が1850年に作曲、1851年にデュッセルドフで初演されました 「ライン」という通称はシューマンの死後に付けられました 第1楽章「生き生きと」、第2楽章「スケルツォ:きわめて中庸に」、第3楽章「速くなく」、第4楽章「荘重に」、第5楽章「生き生きと」の5楽章から成ります
オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です
足元が覚束ない飯守氏が戸澤コンマスと腕を組んでゆっくりと歩を進め、指揮台に上ります 第1楽章がタクトの一振りで開始されます まさにラインの大河が怒涛のように流れていくようなボリューム感を感じます この楽章に限らず、全体的に重心の低いドイツ的な演奏です 長年にわたりドイツの歌劇場で経験を積んできた飯守氏ならではの音楽づくりの集大成と言えます それを最も感じたのは第4楽章でした。トロンボーンとホルンを中心とするコラール風の音楽が威厳を持って演奏されます 他の楽章が比較的明るい雰囲気であるのに、この楽章だけが重く暗い雰囲気を感じさせます しかし、この楽章があるからこそ次の第5楽章の生き生きとした音楽が生きるのです その第5楽章はオケの総力で祝祭感に満ちたフィナーレで閉じました
飯守氏は第1楽章こそ立って指揮をとりましたが、第2楽章からは指揮台に置かれた椅子に座って指揮をしました
指揮を終えた飯守氏は、満場の拍手の中、戸澤氏に支えられて指揮台を降り、第1ヴァイオリンの女性奏者のサポートを借りて舞台袖に引き上げていきました
プログラム後半はシューマン「交響曲第4番 ニ短調 作品120」です この曲は1841年に作曲した「序曲、スケルツォとフィナーレ」を基に、10年後の1851年に改訂し、1853年3月3日デュッセルドルフでシューマンの指揮により初演されました 第1楽章「かなり遅く ~ 生き生きと」、第2楽章「ロマンツェ:かなり遅く」、第3楽章「スケルツォ:生き生きと」、第4楽章「遅く ~ 生き生きと」の4楽章から成ります
飯守氏が再び戸澤コンマスのサポートを受けて登場、指揮台に上ります かなり辛そうで、最初から椅子に座って指揮をとります
この曲でも第1楽章の冒頭から重心の低いドイツ的なロマン溢れる演奏が展開します 次にその傾向が見られたのは第3楽章「スケルツォ」でした 力強く重々しい演奏が展開します 第4楽章は一転、軽快な演奏が繰り広げられ、壮大なフィナーレを飾ります
スケールの大きな重量感のある演奏でした 飯森泰次郎ならではの重厚な音楽づくりに満場の拍手が送られ、会場のそこかしこでスタンディングオベーションが見られました
この日、演奏を聴いた高校生たちはどのような感想を抱いたでしょうか? 何年か後、「2022年6月11日に、巨匠・飯森泰次郎指揮東京シティ・フィルでシューマンの名演を聴いたんだよ」と自慢しているかもしれません その時、彼らがシティ・フィルの定期会員になっていることを祈ります