創作欄 徹の青春 26

2016年07月31日 16時27分26秒 | 医科・歯科・介護
2012年3 月26日 (月曜日)

徹の義父佐吉は、その年の11月頃から、毎週土日、外に出掛けることが多くなった。
後で判明したのであるが、高崎競馬へ行っていたのである。
きっかけは、農協の同僚に、「競馬は面白いぞ、行ってみないか?」と誘われたのだ。
そして、ギナーズラックと言われているが、初めての競馬で12万円余の大金を手にした。
佐吉は競馬が初めてで予想のしようもない、遊び心から6月2日生まれなので、2-6の馬券を1000円買った。
2枠の馬と6枠の馬は全く人気なかった。
7枠と8枠の馬に人気が集中していた。
佐吉が勝った2-6の馬券を見せられて、同僚の高野進は、苦笑した。
「そんな馬券を買って、馬鹿だな。来るわけないよ。次のレースは俺の教えるとおりにかいな。2-6を買うなんて金を溝に捨てるようなもんだ」
佐吉は馬券が外れても、1000円を失うの過ぎないと思っていた。
だが、レースは波乱を呼んだ。
スタートと同時に、8枠の1番人気の馬に乗った騎手がゲート内で立ち上がったために馬から振り落とされたのだ。
競馬場内が騒然となった。
だが、8枠には3番人気の馬もいて、外から勢いよく先頭に立って走っていた。
2番人気と4番人気の7枠の馬も先頭集団の位置を走っていた。
佐吉は自分が買った2番の馬と6番の馬を見ていた。
全くの人気薄の馬であったが、比較的良い位置を走っていた。
競馬ファンの大半は、7-8か7-7で決まるだろうとレースを見守っていた。
だが、ゴールまえ10メートルくらいの位置で、人気馬が失速したのである。
ゴール板を人気薄であった6番と2番の馬が1、2着で駈け抜けた時、場内に大きなどよめきが起こった。
佐吉はスローモーションの場面を見ているような思いがした。
同僚の高野進は顔面が蒼白となって、正面スタンドの座席にへたり込んでいた。
本命に畑を売って工面した50万円を投じていたのだ。
場内放送は、配当金1万2570円を告げていた。
佐吉は1000円を投じて、12万5700円を手にした。
昭和35年のことであり、農協に勤務してる佐吉にとっては、それは大金であった。
同僚の高野進はその後、破滅の道を辿っていくが、佐吉も競馬にのめり込んでいった。
2012年3 月26日 (月曜日)
創作欄 徹の青春 26
徹の義父佐吉は、その年の11月頃から、毎週土日、外に出掛けることが多くなった。
後で判明したのであるが、高崎競馬へ行っていたのである。
きっかけは、農協の同僚に、「競馬は面白いぞ、行ってみないか?」と誘われたのだ。
そして、ギナーズラックと言われているが、初めての競馬で12万円余の大金を手にした。
佐吉は競馬が初めてで予想のしようもない、遊び心から6月2日生まれなので、2-6の馬券を1000円買った。
2枠の馬と6枠の馬は全く人気なかった。
7枠と8枠の馬に人気が集中していた。
佐吉が勝った2-6の馬券を見せられて、同僚の高野進は、苦笑した。
「そんな馬券を買って、馬鹿だな。来るわけないよ。次のレースは俺の教えるとおりにかいな。2-6を買うなんて金を溝に捨てるようなもんだ」
佐吉は馬券が外れても、1000円を失うの過ぎないと思っていた。
だが、レースは波乱を呼んだ。
スタートと同時に、8枠の1番人気の馬に乗った騎手がゲート内で立ち上がったために馬から振り落とされたのだ。
競馬場内が騒然となった。
だが、8枠には3番人気の馬もいて、外から勢いよく先頭に立って走っていた。
2番人気と4番人気の7枠の馬も先頭集団の位置を走っていた。
佐吉は自分が買った2番の馬と6番の馬を見ていた。
全くの人気薄の馬であったが、比較的良い位置を走っていた。
競馬ファンの大半は、7-8か7-7で決まるだろうとレースを見守っていた。
だが、ゴールまえ10メートルくらいの位置で、人気馬が失速したのである。
ゴール板を人気薄であった6番と2番の馬が1、2着で駈け抜けた時、場内に大きなどよめきが起こった。
佐吉はスローモーションの場面を見ているような思いがした。
同僚の高野進は顔面が蒼白となって、正面スタンドの座席にへたり込んでいた。
本命に畑を売って工面した50万円を投じていたのだ。
場内放送は、配当金1万2570円を告げていた。
佐吉は1000円を投じて、12万5700円を手にした。
昭和35年のことであり、農協に勤務してる佐吉にとっては、それは大金であった。
同僚の高野進はその後、破滅の道を辿っていくが、佐吉も競馬にのめり込んでいった。


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2012年3 月29日 (木曜日)
創作欄 徹の青春 27
連続強姦事件の初公判は、前橋地方裁判所で3月第1週の火曜日の午後1時から始まった。
高校を中退していた徹は、母の江利子とともに裁判を傍聴した。
拘置所の係官に連行されて、手錠をはめられ腰縄姿の3人が入廷してきた。
徹は被告である3人の姿を凝視した。
先頭に居たのが勝海で、手錠を外されると長椅子の左端に係官に両脇を挟まれた形で座った。
頭は角刈りで中肉中背であり、24歳であったのに猫背であり気弱な感じで精気が感じられないようなタイプに映じた。
勝海を溺愛していた義母が農薬を飲んで自殺したことを、警察の取調べの中で聞かされて以来、それまでのふてぶてしい態度を一変させていた。
横顔をみて、徹は勝海がハンサムな男だと思った。
強姦などせずとも、女性に好かれたのではないか、などと徹は想いを巡らせた。
徹は報復してやりたいと憎しみを抱いていたのに、被告を目の前にすると複雑な感情となる。
戦争がなければ、勝海は別の人生を歩んでいたかもしれない。
戦死した勝海の父親は、東京府立1中の教師であった。
東京府立1中は、徹が生まれた年の1943年(昭和18年)からは都制施行により都立一中に改称し、その後は都立日比谷高校になった。
東大へ進学する生徒を数多く輩出した名門校である。
勝海の母は沼田高等女学校から東京女子大学に学んでいた。
公判の中で勝海の生い立ちを聞くにつけて、徹は不思議と人を憎む感情が薄らいでいった。
「親孝行をするんだ。お母さんを悲しませるようなことをしてはいけないよ。お母さんは人間ができた人だ。肝っ玉も座っている人だね。」
徹は高校の教師の言葉を思い浮かべていた。
「学校へ戻りなさい」と先日、街中で出会った時に言われていた。
母の江利子も背後から被告たちの姿を見つめていた。
最愛の娘を強姦され、母親としてどのような気持ちであったのだろうか?
徹は母の横顔を見つめた。
江利子は今回の事件を、宗教の立場から受け止めていた。
「世の中のすべては、因果から成っていており、宿命である。その宿命は祈りによって転換できるはずだ」と確信をしていた。
徹にはその宿命ということがほとんど理解しがたかった。
江利子は娘の君江に「事件に遭ったことは、あなたの宿命なの」と説き聞かせていた。
徹は、「宿命で片付けるとは、不条理ではないか」と反発した。
江利子は、「徹も何時か、分かる時が来る」と毅然としていた。

2012年3 月30日 (金曜日)
創作欄 徹の青春 28
自分の欲望やエゴイズムは、生命に巣食うの魔の働き。
人を犠牲にしてまで、我欲を貪る。
「人のために、今、何ができるのか。それを考えよう」
宗教の根本思想を確信して、日々の社会生活のなかで実践している江利子はそのように諭されてきた。
信仰をしている人たちが、人のために尽くせるのは、日頃からの言動が基底にあるから。
「宗教のため」「人のため」「社会のため」という、宗教の根本理念を精神に刻み、実践しているからであり、自然の発露でもある。
裁判を傍聴した江利子は、徹に向かい自分の思いを伝えた。
前橋地方裁判所での初公判を徹は母と肩を並べて傍聴した。
帰り前橋駅から新前橋を経て上越線に乗り、列車は津久田駅、岩本駅へ向かう、その沼田駅までの車窓の風景は、母の言葉とともに徹の心に刻み付けられた。
「徹、お前も宗教をやろうね。君江は見違えるように変わったわ」
江利子は慈愛を込めて、徹に語りかけた。
「人を憎んでも、自分の心も傷つけることになるから、幸せにはなれない」
徹は憎悪した勝海と、法廷で眼前にした勝海との落差に戸惑った。
強姦容疑者は極悪人に違いはないが、徹の前に姿を見せた勝海はどこにでもいる普通の若者の容貌であった。
徹は自分の努力次第で人生を切り開いていけるので、“宗教はやる必要がない”と思っていたので母親の話を理解できなかった。
だが、17歳の徹にとって35歳の母親は肝っ玉が据わったは女性だと思った。
夫が浮気をしていても、「私は北風ではなく、太陽でいく」と覚悟を決めていた。
また、娘の君江を夫が溺愛していたので、君江が男たち3人に強姦されたことも硬く胸の内に収めていた。
夫が浮気をして新潟県の湯沢温泉に愛人と行っていた夜に、娘が強姦されたのだ。
同時に江利子自身は、川場村の実家にその日は帰省していた。
目的は兄嫁たちに信仰を勧めに行っていたのだ。
2012年4 月 1日 (日曜日)
創作欄 徹の青春 30
徹は強姦事件の裁判の傍聴の帰りに、前橋の図書館で戦後に沖縄の女性たちが米兵によって強姦された事件の内容を克明に記したの本を偶然探して読んだ。
1945年米軍が沖縄に上陸後、強姦が多発していた。
1951年 5月の調査では、戦後6年間の強姦事件は278件。
実際はもっと多かったとされる。
それはまさに「沖縄戦後女性哀史」であった。
強姦され妊娠し、混血児を出産するケースも多かった。
また乱暴された後、自殺する娘も多かった。
母、娘とも同時に強姦されたケースもあった。
ある事件では、夜11時頃、那覇市内で芝居見物帰りの2人の女性が米兵にカービン銃で脅迫されて連れ去られ、一人の女性は6人の米兵に、またもう一人は8人の米兵に強姦される。
徹はその本を読んで沖縄に強い関心を抱いた。
昭和31(1956)年7月17日、経済企画庁がこの年の経済白書を報告した。
日本経済は、復興需要を通じ急速な成長をとげて戦争の傷跡は癒え、もはや“戦後”経済ではない、と宣言した有名な白書だ。
だが戦後は終わっていなかった。
沖縄の米兵による強姦事件は、治外法権であり日本に裁判権はなかった。
米兵が犯罪を起こしても米軍施設敷地内に逃げ込めば、施設内では憲兵隊及び軍犯罪捜査局が第一管轄権を持ち、日本の警察が関与することは出来なくなり、不当に軽い処分で済まされる疑いさえ生じていた。
徹は不条理を感じた。
5歳の女児も強姦され、殺されていた。
また米兵による強姦以外の射殺事件なども多発していたのだ。
数多くの米兵よる沖縄での犯罪は、学校の教科書にはまったく出ていない事実であり、前橋の図書館の本を読み進めるなかで徹は愕然とした。
徹は強姦された妹の君江と重ねて、沖縄の女性たちの哀愁を心に引き寄せた。
そして、テレビで見るアメリカの映画の世界との大きな落差に戸惑いを覚えた。

徹は本を読んで以来、拘り続けて沖縄は格別の存在となった。
それまで、新聞をまったく読まなかった17歳の徹にとって、世の中は知らないことばかりであった。

創作欄 徹の青春 20

2016年07月31日 16時25分47秒 | 創作欄
2012年3 月23日 (金曜日)

加奈子は徹との気持ちが離れていくなかで悲嘆に暮れていた。
徹の妹の君江を強姦したと思われる犯人の3人が逮捕されたことを新聞で知ってから、心の動揺を抑え難くなっていた。
君江は、「被害を警察に届けたら私は死ぬ」と泣きじゃくっていた。
「私はどうしたらいいの」
眠れない夜が続いていた。
16歳の乙女心は日々沈黙に堪え難くなっていた。
誰にも話すことができない、それはとても辛いことであった。
まさかと思ったが、8月5日に自分が交番を訪れたことを、あの時の警察官が覚えていたのだ。
高校からの下校途中に警官から呼びとめられて、交番に連れて来られた。
「あんたに協力してもらいたいんだ。頼むよ」
横柄に思われた警官が、帽子を脱ぎ汗を拭うと真摯な眼差しを加奈子に向けた。
加奈子がしばらく迷いながら沈黙をしていると、街の巡回から50代と思われる警官が自転車で戻ってきた。
「この子がどうかしたのか?」
戻ってきた警官は、交番の丸椅子に座る加奈子に視線を向けた。
加奈子はこの警官は信頼が置けると思った。
いぶし銀のような雰囲気であり、懐の深さを感じさせたのだ。
その警官は定年を間近に迎えていた。
「実はね、私は長年沼田で警察官をやってきたが、今度の事件のような犯人は初めてなんだよ」
交番の奥から加奈子のためにお茶を運んできて老警官は、しみじみとした口調で言うのだ。
逮捕された勝海は、24歳であったが強姦常習犯であり、実にふてぶてしい態度をとり続けていた。
だが、逮捕されて2週間後に義母が農薬を飲んで自殺をしたことを取り調べの中で聞かされると、それまでの態度を一変させた。
心に非常な衝撃を受けたのだ。
子どものころイジメられていた勝海を、義母は不憫だと実の子ども以上に溺愛していた。
東京大空襲で戦災孤児となった姉の子である勝海を、母性本能から哀れに思い引き取り育ててきたのだ。
ところがまさかであった、勝海は強姦常習犯として逮捕されてしまった。
「私の育て方が悪かったのだ」
義母は自分を責め抜いて、挙句の果てに自死の道を選んだ。
狭い月夜野の土地の目とマスコミの取材攻勢にも堪え切れなかったのだ。
「おい、勝海よく聞け! お前のおふくろがだな。農薬を飲んで自殺をしたんだ。そろそろ、洗いざらい話すんだ」
取調官は鋭い視線を勝海に向けて促した。
勝海はそれを聞かされると突然、取調室の机にうつ伏せとなり声を張り上げて泣いた。
そして9件の強姦の全てを、さらけ出すように自白した。
だが、強姦の被害届は3件のみであった。




2012年3 月23日 (金曜日)
創作欄 徹の青春 21
老警官は加奈子の心を解きほぐすように、帽子を脱ぐと穏やかな口調で語りかけてきた。
「言いたくない事情があるんだね。分かるよ」
加奈子は老警官の五分に刈り上げたゴマ塩頭を見つめた。
老警官はその頭を左手で撫で回すようにして、微笑んだ。
「帽子をとると、お爺さんのように見えるかい? 私は実は年内で引退だ。お茶が冷めるよ」
加奈子は勧められるままにお茶を啜った。
40代の警官は、黙って加奈子を見つめていた。
加奈子の心を読みとるような鋭い目の光を放っていた。
「8月5日の夜のことを詳しく話してもらえないだろうか?」
加奈子はお茶を二口、三口飲んだ。
そしてあの夜のことを語り始めた。
「君江さんを1人で家に帰した私たち2人が悪かったんです」
加奈子は涙がこみ上げてきて、両手で顔を覆った。
2人の警官は無言で加奈子を見つめていた。
突然、突風が吹いて交番の窓ガラスが揺らいだ。
西に傾いた秋きの陽射しに、冬の気配が感じられる時節となっていた。
老警官が加奈子に問いかけ、40代の警官が鉛筆を手に加奈子の話を筆記していた。
話し終えると加奈子はそれまで背負ってきたものが、いくらか軽くなったような想いがしてきた。
「ご苦労さん、家まで送って行きたいが世間の目もあるからね」
老警官は加奈子を交番の外に送る出しながら微笑みかけた。
加奈子は疎遠になってしまった徹に無性に逢いたくなった。
高校を中退してしまった徹は、相変わらず街中を彷徨していた。
だが皮肉であった。
徹は報復の炎に燃えていたのであるが、君江を強姦した3人の強姦犯人たちは警察に逮捕されていた。
加奈子は徹の報復を、「愚かな行為だ」と何度か思い留めるように諭してきた。
竹刀袋に江戸時代から家に伝わる脇差を隠し持って、徹は沼田の街中を彷徨っていたのだ。
「もう、徹さんにはついていけない」
16歳の加奈子が常軌を逸した17歳の徹から離れていったのは当然なことであった。
「でも、君江さんのことを警察に話してしまった以上は、直ぐに徹さんに会わなければならない」
加奈子は急ぎ足で徹の家へ向かった。
2012年3 月24日 (土曜日)
創作欄 徹の青春 23
沼田公園のある崖上の台地に最初に沼田城を築いたのは、鎌倉時代以来この地方の有力者であった沼田氏の12代万鬼斎顕泰である。
天文元年(1532)の頃であるとされている。
沼田城は倉内城とも呼ばれていた。
そして時代が経て、2万7千石の真田氏初代沼田城主となった真田信幸は、近世的な城郭の整備にとりかかり、二の丸、三の丸、堀、土塁、大門等の普請の後、慶長2(1597)年(一説には12年)には天守が完成したと言われている。
だが、天和元年(1681)11月、5代真田信利は江戸両国橋用材の伐出し遅延と失政の名目で城地は没収、改易となった。
沼田城は幕府に明け渡され、翌2年に城はすべて破却されて堀も埋められしまった。
大正5年(1916)、旧沼田藩士の子である久米民之助は、城地の荒廃を惜しみ私財を投じて購入して公園として整備し、大正15年(1926)に沼田町に寄付した。
断崖に面した本丸西櫓台の石垣や城址公園入り口の駐車場脇に残る三ノ丸土塁、わずかに残る本丸堀、西櫓台石垣、堀跡の一部などに城址としての名残をとどめているに過ぎない。
徹と加奈子は子持山が見える沼田城址の断崖の上に立っていた。
眼前に見える子持山を2人は見つめていた。
小学生の頃、学校の遠足で登った山だった。
「加奈子との別れの予感がするんだ」
徹はセーラー姿の加奈子の姿を目に焼き付けるように見つめた。
加奈子は恋心が既に覚めていたが、思わず徹の手を握り締めた。
密着した加奈子の豊かな腰の温もりが徹に伝わってきた。
「徹さん、高校に戻ってね。そのまま高校を中退してはダメ。実は私は音大を目ざしているの」
「音大?」
加奈子はしばらく沈黙して子持山を見つめていた。
徹は加奈子の瞳を見つめ、次の言葉を待った。
加奈子は子持山を見つめながら、母のことを想っていた。
子持山を見つめながらその山容に母と自分を重ね見た。
高い峰が母の姿であり、小さい脇の峰が自分の姿である。
昭和20年、東京は空襲の戦火に見舞われていた。
加奈子の母親の時子は、1歳の加奈子を連れて沼田の実家に疎開した。
「母はね、東京音楽専門学校を出ているの」
加奈子の母親の時子は、高校の音楽教師である。
徹は、「それがどうしたのか」と思いながら加奈子の話を聞いていた。
加奈子の母の時子は、声楽家を目ざしていた。
だが、戦争がその夢を打ち砕いたのだ。
時子は東京音楽専門学校のピアノ講師と恋愛関係となり結婚した。
東京の根津で新婚生活を送っていたのであるが、夫は昭和20年軍隊に招集され戦地へ赴いたのだ。
そして太平洋上で戦死している。
南方へ向かっていた戦艦が、アメリカ軍の航空編隊の空爆で撃沈されたのだ。
加奈子は話終えると目を輝かせるようにして、進路について明かした。
「母の果たせなかった夢を、私がかなえようと思っているの。私、必ず声楽家になるわ」
徹は高校を卒業する加奈子を待って、結婚したいと願っていた。
徹には格別、将来に果たすべき夢があるはずではなかった。
2012年3 月24日 (土曜日)
創作欄 徹の青春 24
歌が音痴で苦手な人はいる。
だが、歌を聴くことが嫌いな人はいるのだろか?
歌は人の心を感動させるものだ。
歌が希望の光ともなるはずだ。
徹は歌が好きであったが、残念ながら音痴であった。
加奈子が尾瀬沼で「夏の思い出」を歌ったことが、徹の頭に蘇ってきた。
その美しい声に徹の心は改めて魅せられた。
徹は加奈子とこれからも、ともに歩んでいきたいと願っていた。
だが、加奈子の態度はそれまでとは違ったものとなっていた。
恋心が突然覚めてしまうことは、男女の仲ではままあることだ。
それは仕方のないことであった。
人の心は移ろいでいくものなのだ。
相手の心変わりを咎めても、元に戻ることはまずないであろう。
だが、諦めきれずに未練を引きずる場合が大半である。
作家、音楽家、芸術家たちは、作品に悔やむ思いや悲嘆を昇華するすべをもっている。
「加奈子、歌を聞かせてほしいんだ」
徹は子持山に背を向けて立つ加奈子に懇願するように言った。
加奈子との別離の予感し、心がしんみりとしていた。
「何にしようかな?」
加奈子は徹を見つめて、その時の思いを口にした。
「徹さんは、とてもハンサムなのね」
「今更、気づいたの?」
徹は苦笑いを浮かべた。
徹は死んだ父親の写真を見て、自分も大人になったら父のような美男子になれたらと思っていた。
仏間には、72歳でなくなった祖父の金蔵の写真額と47歳で胃がんで亡くなった祖母の写真額と並んで父の写真額が掲げられていた。
昭和20年、高崎連隊に入隊する3日前に、倉内町の写真観で写した軍服姿の父の写真であった。
徹は美男子であった父に容貌が段々似てきていた。
加奈子は「荒城の月」を歌った。
その澄んだ歌声に徹は深い感動を覚えた。
秋風が紅葉した桜の葉を散らしていた。
2012年3 月25日 (日曜日)
創作欄 徹の青春 25
2人の刑事が徹の家へやってきた日、義父は外出中であった。
その日は土曜日で、義父は愛人と老神温泉へ行っていた。
「沼田警察だが、話を聞きたいので、家にあがらせてもらうよ」
「娘さんの君江さんのことで、来たんだがいいかね」
「君江のことですか?」
15歳の娘に何があったのか、江利子は心外に思った。
2人は玄関で名前を名乗ったが、江利子の耳に残っていなかった。
初めは、高校を中退してから沼田の街中を歩き回っている息子の徹が、何か事件を起こしたのだと思って身構えていた。
息が詰まった母親の江利子は気を取り直し、刑事2人を座敷に招いて応対した。
刑事は徹と交際している加奈子から、交番の警官が事情聴取したことを明らかにした。
「すると、娘の君江が強姦の被害を受けたのですね?!」
驚愕して胸の動機が激しくなった。
刑事の一人は恰幅がよく、髪は7.3にきちんと整えていて、年齢は40代後半と思われた。
もう一人の刑事は20代か30代か分からない、角刈りの頭で若く見えた。
江利子は2人を等分に見つめて、次の言葉を待った。
「事件のことは、知らかなかったのかね? 今聞いてさぞ驚いただろう」
40代と思われる刑事が身を乗り出すようにして江利子の顔を凝視した。
「そんなはずはない。ウソを言っているのだろ」と刑事は胸の内で想ったようだ。
人の心を見透かすような鋭い視線であった。
「加害者の勝海は、洗いざらい自白しているのだが、裏が大半取れていない。被害届が出ているのが3件。だが、被害者は9人いるんだがね」
ベテランの刑事が語気を強めて、座敷のテーブルを両手で押さえながら、さらに身を乗り出すようにして江利子に告げた。
「9人も被害者が・・・」
江利子は言葉を失った。
「それでだ、娘さんには絶対、被害届を出してもらいたいんだ、悪いようにはしないよ」
若い刑事は終始沈黙して江利子を凝視していた。
君江はその日、部活のテニスで家には居なかった。
実はその日、徹は加奈子と沼田城址公園に居たのだった。

創作欄 徹の青春 16

2016年07月31日 16時23分48秒 | 創作欄
2012年3 月20日 (火曜日)

徹の母親の江梨子は、肝っ玉の据わった女であった。
突然、息子の徹が高等学校を中退していまった時もほとんど動じなかった。
「まだ、17歳でしょ。高校を中退しただけで、徹の人生が終わったわけではないの。私は徹を見守っているからね」
徹の心情を察するような眼差しを向けると包み込むように言った。
そして学校を辞めてから、毎日、沼田の街中を彷徨っているような息子を見守っていた。
一方、徹の義父の佐吉は、怒りが心頭に達して徹を何度も殴りつけた。
「家を出て行け!」
吐き捨てるように言った。
「いつまでも、ぶらぶらしているのか。目ざわりだ早く出て行け!」
顔を合わせる度に、苦情を言われた。
義父は酒を飲むと苦虫を噛みつぶしているよな顔が赤らみ、段々般若の面を想わせるように目も吊りあがっていった。
佐吉は囲炉裏ばたで、炭の火を見詰めながら煙草を吸っていた。
そして戦死した兄のことを思い浮かべていた。
佐吉は兄が戦死したことで、自分の人生行路が狂ってしまった。
佐吉は終戦を長野県の松代で迎えた。
いったん沼田に帰郷して、大学に復学する予定であった。
だが、父親の金蔵が「兄嫁と結婚して、家を継げ」と家長の権限で命令したのだ。
家長とは、一家の家督を継承して家族を統括し、その祭祀を主宰する者を指した。
当主と同義の言葉とされている。
家長は夫権や親権を通じた配偶者及び直系卑属に対する支配は勿論のこと、それ以外の親族に対しても道徳的な関係を有し、彼らに対する保護義務とともに家長の意向に反したものに対する者を義絶する権限を有していた。
そのようは封建社会の古い体質を金蔵は体現していた男だった。
戦死した徹の父の清太郎は、旧制沼田中学の優等生であった。
誰もが高等学校へ進学し、帝国大学へも行くものと期待をしていた。
旧制沼田中学で清太郎と成績を争っていた、清太郎の親友だった大野幸郎は一高から帝国大学へ進学し、後年は弁護士になっている。
だが、清太郎は父親の金蔵から、「農家を継ぐ者に学問はいらない」と高等学校の受験を反対された。
そして、清太郎が19歳の時、川場村から16歳の江梨子を嫁に迎え入れた。
すべての段取りを父親の金蔵が仕切っていた。
農協の組合長で村会議員をしていた金蔵は村の有力者であり、封建的時代の家長的体質が色濃い人間で、言動には人に有無を言わせない強引さがあった。
2012年3 月21日 (水曜日)
創作欄 徹の青春 17
徹の義父佐吉は、戦争に翻弄されたと思って生きてきた。
東京の杉並の阿佐ヶ谷に下宿をしていて、大学予科へ通っていたのであるが、学徒出陣の実施の流れに組み込まれた。
1943年(昭和18年)10月21日、東京都四谷区の明治神宮外苑競技場で「出陣学徒壮行会」が文部省主催、陸海軍省等の後援で実施された。
壮行会を終えた学生は徴兵検査を受け、1943年(昭和18年)12月に連隊(入営)か海兵団(入団)へ入隊した。
そして、徹の義父佐吉は長野県の松代象山地下壕で終戦を迎えた。
第2次世界大戦の末期、軍部が本土決戦最後の拠点として極秘のうちに、大本営、政府各省等を松代に移すという計画の下に地下壕を構築した。
地下壕の着工は昭和19年11月11日から、翌20年8月15日の終戦の日まで、約9か月の間に当時の金で約2億円の巨費とおよそ延べ300万人の住民及び学徒・生徒、朝鮮人の人々が労働者として強制的に動員され1日3交代徹夜で工事が進められた。
食糧事情が悪く、工法も旧式な人海作戦を強いられ、多くの犠牲者を出したと言われている。
松代地下壕は、舞鶴山(現気象庁精密地震観測室)を中心に皆神山、象山の3か所に碁盤の目のように掘り抜かれ、その延長は10キロメートル余に及んでいた。
全工程の75%の時点で終戦となり工事は中止された。
佐吉は、下宿先の娘と恋仲になっていた。
「戦争でお互い生き残ったら、将来結婚しよう」と約束していたのだ。
だが、いったん群馬県の沼田に戻ったことから、思わぬ挫折となった。
大学予科へ戻れなかったことに加え、恋に終止符が打たれた。
それは悔やんでも悔やみきれないことであった。
徹が高校を中退した時、佐吉は自分の過去を重ねて怒りが込み上げてきた。
佐吉は妻の江利子にも大学予科へ通って時代のことや、長野県の松代象山地下壕で苦役を強られたことなどの過去には硬く口を閉ざしていた。
敗戦の年から、15年の歳月が流れていた。
「あの娘は、どなっているであろうか?」
一人酒を飲むと佐吉は想ってみた。


2012年3 月22日 (木曜日)
創作欄 徹の青春 18
徹の母親の江梨子がうつ病になったのは、3年前のことである。
原因は、夫の佐吉の浮気問題であった。
狭い沼田の街のことであり、江梨子はお花の稽古仲間の一人から聞いた。
「言おうか、言うまえか迷っていたのだけれど、私、見てしまったの」
お花の稽古仲間は7人いたが、その人とは格別親しかったわけではないので、江梨子は相手を訝って見詰めた。
4月の中旬で沼田城址公園の桜が5分咲きであったのに、昨夜降った雪が開花した桜の花びらと蕾を包み込むように積もっていた。
2人は立ち止まってそれを見た。
「雪が降り積もって桜が、かわいそうね」と江梨子は言った。
相手はまだ言い淀んでいる様子であった。
「あなた、何を言いたいの」江梨子は促した。
「あなたの旦那さんが、女の人と寄り添って歩いているところを、見てしまったの」
相手は気まずそうに俯いて言う。
「あなたは、私の夫を知っているの?」
江梨子は改めて相手の横顔を凝視した。
「実は、あなたの旦那さんとは尋常小学校の同級生だった。田代幸恵と言えば佐吉さんは覚えているはずよ」
田代幸恵は親しげに笑みを浮かべた。
「そうなの。世間は狭いのね」
だが江梨子は微笑むことができなかった。
城掘川に江梨子は目を転じた。
「私の家は、横塚町の菊屋商店の裏にあるの。遊びに来てね」
田代幸恵は、夫の佐吉について詳しく話すことなく立ち去って行った。
その夜から江梨子は不眠症になった。
「本当に夫の佐吉が浮気をしているの?」
浮気をすることなど江梨子には、とても信じ難いことであった。
江梨子は夫が戦死して、夫の弟の佐吉と再婚していた。
家長制度の名残りであり、兄嫁と義弟の関係からして如何にも日本的な結びつきであった。
一方では、明治時代の貞操観念から夫を亡くした妻は「2夫に交えず」(操正しき女は未亡人になっても、再婚しない)という教えもあったのである。
沼田祇園祭の8月5日、君江が強姦された日に佐吉は農協の旅行だと言っていたが、ある女の人と2人で新潟県の湯沢温泉に行っていた。
1956年(昭和31年)、経済企画庁は経済白書「日本経済の成長と近代化」の結びで「もはや戦後ではない」と記述、この言葉は流行語になった。
君江の強姦事件は、それから4年後(1960年)に起きた。
「徹、おぎょん(祇園祭の別称)には君江1人では行かせるな。何かあると困るからな。兄貴のお前が確りと面倒を見るんだ。いいいな。分かったか」
佐吉は旅行で家を出る前の夜、徹に釘を刺すように言った。
例年なら父親の佐吉が、沼田祇園祭に娘を連れて行っていた。
結果として、父親佐吉の浮気旅行が裏目に出たのだ。
浮気相手は、いわゆる戦争未亡人であり、妻の江梨子と同じ立場の人で会った。
18歳で結婚し、20歳で夫を戦争で失っていた。
江梨子の夫と同じ高崎陸軍歩兵第十五連隊で、昭和16年から始まった太平洋戦争の激化により、十五連隊は南方パラオ諸島に派遣され、ペリリュー島の攻防をめぐってアメリカ軍と激戦を交え、2個大隊分(約2000人)が全滅し、昭和21年(1946)、日本に帰還できたのは1個大隊分の人たちだけであった。
2012年3 月22日 (木曜日)
創作欄 徹の青春 19
徹の母親の江梨子は、うつ病を発症して病院通いをしていたが、信仰を得てから劇的に変化を遂げた。
それはほとんど奇跡的であった。
説明できない「何ものか」の存在を確信したのである。
「宇宙の法則」と呼ばれている教えを信じて、毎日祈り捧げていた。
1時間、2時間、3時間。
すると、内面から湧きあがるものを感じ始めた。
「不思議な現象は、誰にも起こるのです。ところが、多くの人はそれを無視します。例え不思議な現象が起こったとしても、単なる偶然だと思ってしまいます」
江梨子を信仰に導いた高校の教師をしている大月杏子が確信を込めて言っていた。
「本当だったのね」
祈り終えて江梨子は歓喜を抑え難くなった。
江梨子は、娘の君江を産んで2年後に子宮筋腫となり、子どもが産めない体となった。
さらに32歳で子宮頸がんとなった。
その後、夫との夜の営みに段々と抵抗感を抱くようになっていた。
夫の佐吉は若かったので不満を口にした。
18歳で徹を産んだ江梨子は、35歳になっていた。
夫の浮気に対して、「北風ではなく、太陽でいこう」と決意していた。
また、江梨子は母親として、15歳の娘の君江を信仰へ導いた。
「信仰はね。信じることから始まるの。いいわね。知識でも知恵でもないの。まず、信じること」
確信を込めて諭した。
君江は教えられるままに、母親の後ろに正座して祈った。
「君江は、素直な性格なので、不思議な現象が内面から湧いてくるわよ」
江梨子が君江を振り返り微笑んだ。
「おかさん、綺麗になったね」と君江が感嘆したように言う。
「そうね。内面が美しくなれば、それが面にも表れるはずね」
江梨子はうつ病を患っていた時には、暗く沈んでいてその表情から40代の女に見えていた。
君江は何かを会得したように、短期間で劇的な変貌を遂げた。
「宇宙の法則」に感応したようであった。
まず驚いたのは兄の徹であった。
徹は自分に課せられた十字架を一生背負っていく覚悟を決めていた。
「君江には、どうか幸せになってほしい。そうでなければ、俺の幸せもない」
徹は思い詰めていた。
「兄ちゃん、私のために高校を辞めてしまって、ごめんね。高校へ戻ってね。私はもう大丈夫だから。死ぬなんて2度と言わないからね」
徹が居間で太宰治の小説「人間失格」を読んでいる時、君江が徹の脇に並ぶように正座して言った。
徹は妹の君江を改めて愛おしく思った。
君江の容貌は母似であった。
「お前は、兄貴に段々似てきたな」
徹は戦死した父似だと義父が言っていた。
 

創作欄 徹の青春 11

2016年07月31日 16時21分13秒 | 創作欄
2012年3 月16日 (金曜日)
創作欄 徹の青春 11
藤沢勝海は昭和11年生まれであるので、君江を強姦した時は24歳だった。
検事調書によると、最初に強姦をしたのは16歳の時であったが、14歳の被害者は警察に届けていない。
性癖としては、幼児に興味をもっており、小学校の6年生の時には5歳の女の子を赤谷川に連れて行き性器に小石を詰める悪戯をしている。
また、幼児の男の子の性器を扱いてみたりしていた。
学校でイジメにあっていたため、同年代の子どもたちとはほとんど遊んでいない。
何故か義母は勝海を実の子ども以上に溺愛していてた。
義母は勝海が学校でイジメにあっていることを知ってから不憫に思い、度々担任教師に訴えていたが、「その事実が把握できない」と取り合ってもらえなかった。
中学1年生の時に、義母と義父が性行為をしているを目撃してから、自慰を繰り返すようになる。
中学を卒業すると、月夜野の家を出て建築業を営んでいた沼田の義父の家へ住み込み大工見習いとなった。
そして翌年、14歳の中学生学の女の子を麦畑へ連れ込み最初の強姦をしたのである。
勝海は君江を強姦した翌月も17歳の女子高生を強姦している。
「お前の顔は確り、覚えておくからな。警察に届けたら殺すぞ。分かったな!」
強姦に及んだ後の勝海の常套文句であった。
だが、その女子高生が警察に被害を届けたことから勝海は連続強姦犯として逮捕されのだ。
勝海を溺愛していた義母は、マスコミの取材攻勢に堪えられなくなり、勝海が逮捕された2週間後に農薬を飲んで自殺してしまった。
徹はそれまで新聞をまったく読まなかったが、早朝に新聞が届くと食い入るように読んでいた。
徹は犯罪者である藤沢勝海を殺してやりたいくらい激しく憎んだが、一方ではどのような人間であるのかと興味をもった。
検事調書によると君江は勝海に3回犯され、19歳の男に2回、17歳の少年にも2回犯されていた。
強姦された場所は自宅に近い寺の墓地の中だった。
君江を探しあぐねていた徹と加奈子は午前4時ころ、寺の墓地に倒れていた君江の泣き声に気づいたのである。
それまで沼田公園や学校の校庭、近隣の林、桑畑や麦畑などを探し回っていた。
「私、死にたい」
うつ伏せになって、君江は慟哭していた。
「誰にやられたんだ!」」
状況が初めて飲み込めて、徹は怒り狂った。
それは自分に対する怒りでもあった。
「俺は、甘かったんだ!」
徹は怒りを爆発させて拳骨で墓石を叩いた。
さらに、墓石を蹴りつけた。
「ダメ、墓石に当たって、どうするの」
加奈子が制止したが、徹の怒りは収まらない。
加奈子は裸同然の君江を抱き起こして、浴衣を整えていた。
「私たちが悪かったのね。可哀想なことをさせてしまった」
加奈子は君江を抱きしめて泣き出した。
その嗚咽は徹の耳に深く記憶をとどめた。
君江も加奈子の胸に顔を埋めて泣き続けていた。
2012年3 月17日 (土曜日)
創作欄 徹の青春 12
徹が17歳の時に、浅沼稲次郎暗殺事件(1960年10月12日)が起きた。
東京都千代田区にある日比谷公会堂で、演説中の日本社会党委員長・浅沼稲次郎が、17歳の右翼少年・山口二矢に暗殺されたテロ事件である。
徹は妹の君江を強姦した男たちに制裁を加えるために群馬県沼田の街中を探し回っていた。
家の古い桐箪笥の中に、江戸時代から伝わる脇差や小柄が収められていた。
脇差は、刃長 一尺八寸二分五厘(55・3㎝)である。
小柄は刃長11・5cmだった。
それを剣道の竹刀袋に納めて徹は沼田の街中を歩き回っていた。
徹は君江の強姦事件を契機に高校を中退してしまった。
父親は怒り、「家を出ていけ!」と怒り、徹を何度も殴りつけた。
徹はその痛みを3人の男たちへの報復の導火線とした。
「徹さん、怖い目をしている。嫌い!」
徹は常軌を逸して、血走った異様な形相をしていた。
加奈子は徹からやがて離れていく。
そのような時期に、浅沼稲次郎暗殺事件が起きた。
しかも、右翼少年・山口二矢は奇しくも徹と同じ17歳であった。
社会の世情に疎く、考え方が甘かった自分への憤りも日々つのってきた。
「兄貴として、15歳の君江の身を守ってやれなかった。俺が悪かった。おれはダメな人間なんだ。一生この十字架を俺は背負っていく」
徹は悔やんでも悔やみきれないかった。
君江は、「私が強姦されたことを警察に訴えたら、私は死ぬからね」と泣いて訴えた。
加奈子は風呂を沸かして、3人の男たちによって蹂躙され君江の体を丁寧に洗ってやった。、
実の姉のよに優しい気持ちを込めて洗ってやった。
「私たちが、悪かったの。許してとは言えないけれど。死ぬことだけは思いとどまってね。君江さんが死んだら、私も後を追って死ぬ。本当よ。いいわね」
加奈子は3人の男の精液で汚された君江の膣を念入りに洗浄してやった。
「妊娠するかもしれない」
加奈子は産婦人科へ連れて行こうとしたが、君江はそれを頑なに拒絶した。
あの日(8月5日)外出していた父にも母にも君江が強姦されたことは知らせることが出来なかった。
君江を溺愛していた父親は当然、愛娘が強姦の被害を受けたことを警察に届けるだろう。
その結果、君江は自ら命を絶つかもしれない。
徹は頭が混乱して、頭を掻きむしった。
2012年3 月18日 (日曜日)
創作欄 徹の青春 13
稲穂が豊かに実る田圃の先にはテーブル状の珍しい山容の三峰山が見えていた。
右には戸神山の尖った山容が望まれた。
市街地の田圃では秋の深まりの中で稲刈りが始まっていた。
沼田城址のシンボルである「御殿桜」は樹高約17㍍の巨木であり、紅葉していた。
春には200余の桜が市民の目を楽しませていた。
4月の上旬に御殿桜は満開となり、ソメイヨシノは4月中旬満開となる。
どれも大きな桜である。
徹は加奈子と夜桜見物に来たことを思い出していた。
そして徹から離れていった加奈子への未練が断ちがたく、紅葉した桜を見あげて涙ぐんだ。
徹は高校を中退してまで、妹の君江を強姦した男たちを探し回っていた。
「何処かで出会うはずだ」
沼田公園の突端の約70㍍もの崖から真下に清流の薄根川が青い水を湛えて流れていた。
小学生の頃、徹は従兄弟たちと夏にはその川で泳いだり、魚釣りをして遊んでいた。
薄根川の木橋を渡ると町田町の観音堂への道に至る。
その観音堂の裏で藤沢勝海は、17歳の女子高生を強姦した。
だが勝海の悪運が尽きる日が来た。
君江を強姦した3人の1人の17歳の少年が、「自慢げに強姦は面白い」と遊び仲間に吹聴したのである。
「やってみるか?」と少年が誘うと2人が興味を示して応じた。
彼らはたまたま通りかかった小学生6年生の女の子に声をかけた。
大柄な子どもであり、胸も膨らんでいたので、中学生に見えたのである。
3人は強引に女の子の体を押さえつけて、桑畑にを引きずり込んだのであるが、女の子は恐怖心から金切り声を発して助けを求めた。
16歳の少年の1人が慌て女の子の口を封じたが、偶然、道を自転車で通りりかかった2人の警察官の耳に届いていた。
2人は逃げたが、君江を強姦した17歳の少年が逃げ遅れて取り捕らえられ、強姦未遂で現行犯逮捕された。
そして少年の自供で藤沢勝海も逮捕された。
徹が男たちに報復を加える前であった。
徹は毎日、男たちを探し回っていたが、その日は徹が通っていた高校の国語の教師の佐田稲次郎に路で出会った。
「徹から少し話を聞きたい。いいな」
佐田は徹を喫茶店へ誘った。
徹はコーヒーが飲めないのミルクにした。
佐田はコーヒーを美味しそうに飲んだ。
「徹はコーヒーが苦手か?」
徹が黙って肯くと佐田は微笑みを浮かべた。
徹は喫茶店へ入ったのは初めてであったので店内を見回した。
レジの傍にはジュークボックスが置かれていた。
レジ係りとウエイトレスを兼ねている若い女性は、赤く髪を染め厚い化粧をしていた。
壁にはルノアール画・イレーヌ・カーンダンベルス嬢の肖像の複製画が飾られていた。
徹はポニーテールの加奈子の横顔をそれの絵に重ね見た。
「徹にどのような事情があったかは聞かないが、学校を途中で辞めるのは惜しいな。徹には徹でなければ、果たせない使命があるはずだ」
「使命?」
徹は胸の中で、報復が使命なのかと思ってみた。
「自分を大切にすることだ。惜しい。もったいない。できれば、徹には大学へ行ってもらいたいんだ」
佐田は高校の教師のなかで、徹にとって一番好感が持てる教師であった。
大学を出て2年目の新米教師であるが、生徒への接し方に熱いものが感じられたのである。
「人に会う約束があるんで、今日は時間がない。今度、会った時はじっくり語りあいたい。徹には良いものがある。立ち直るんだ。いいね」
佐田が握手を求めてきた。
柔らかい温かい手の感触が徹の手に伝わってきた。

2012年3 月19日 (月曜日)
創作欄 徹の青春 14
強姦罪の特徴は、被害者の告訴がなければ起訴することができないとされていることだ(親告罪)。
これは捜査や公判を通じて、犯行の様子や被害者のプライバシーに関する事柄が明らかにされることで、被害者により大きな心理的なダメージを与えかねないことからそのように定められている。
つまり被害者の心情が考慮されるのである。

ただし、加害者が複数の場合には、被害者の告訴がなくても起訴できるとされている。
3人によって強姦された君江は妊娠してしまった。
それは二重の悲劇であった。
娘の異変に気づいたのは、母親の江利子であった。
月経が止まっていた。
女性は妊娠することによって、ホルモンの分泌が大幅に変わる。
君江にも疲労や眠気、頻尿、便秘、おっぱいの張りなどがあった。
特に異様に眠くなったり、吐き気などのつわりの症状が出てきた。
そして体温が今までに経験したことがないほど高温域に達した。
妊娠10週ごろになると 赤ちゃんがお腹の中で活発に動き始める。
羊水の中で頻繁に体を動かしているようなのだ。
君江は固くなに妊娠を否定したが、母親は必死になって君江を説得し産婦人科へ連れて行こうとしていた。
「相手は誰かは聞かない。父さんには黙っているから、絶対に産婦人科に行かなければダメ!まだ15歳でしょ。中絶するのよ!いいわね!」
君江は布団にうつ伏せとなり、泣き続けるばかりであった。
徹が妹の妊娠の事実を知ったら、さらに怒り狂ったであろう。
そして、娘を溺愛していた父親の佐吉が、君江の妊娠を知ったらどうなるであろうか?
まだ15歳の中学生、想像もしていなかった娘の妊娠に、母親の江利子は頭が混乱してきた。
「相手は誰なのだろう」
病院の産婦人科の待合室で、娘の中絶手術を終わるのを待つ間、江利子は色々な想念を巡らせていた。

2012年3 月20日 (火曜日)
創作欄 徹の青春 15
母親の江利子は、ある新興宗教の信者である。
実は、8月5日の沼田の祇園祭の日は、実家の川場村に帰省していた。
目的は、兄嫁の貞江に宗教を勧めることであった。
うつ病であった江利子は、蘇ったように性格が明るくなり元気に活動するようになっていた。
兄嫁は別人のように見える江利子を目の前にして目を丸くした。
「江利子変わったわね」
「そうでしょ。私は蘇生したのよ。宇宙の法則に沿って生きているのよ」
「宇宙の法則?」
「例えば、ラジオを聴く時、周波数があるわね。それに合わせないと番組を聴くことができない。NHKにはNHKの周波数があるように、宇宙の法則は一つなの。自分の内に本来ある根本的なものと宇宙の法則に周波数を合わせるの」
「よくわからない」
貞江は多弁になった江利子に気押させた。
「私も初めは、何のことだかさっぱり分からなかった。でもうつ病が治るものなら、やってみようと思ったの。でも今は宇宙の法則があることを確信している。お姉さんも宗教を信じてやってみてね」
「私、考えておく」
貞江は腰が引けた。
夫の佐吉は、江利子の勧める宗教の話には聞く耳を持たなかった。
「信仰の自由だ。お前が信仰を持つことは許すが、俺は絶対にやらんぞ、2度と俺に向かって信仰など勧めるな。いいな」
息子の徹も同様であった。
娘の君江は、「私、考えてみる」と興味を示した。
君江が人工中絶をして病室のベットに横たわっていた。
両手で顔を覆って君江は泣いていた。
江利子はベットの脇に座り君江の髪を優しく撫でながら言った。
「君江、そろそろ信仰をしようね。人生には色々なことがあるけれど、君江は幸せなる権利があるのよ。信仰のことは直ぐにはわからない。でもね、どんな運命でも変えることができる宗教なのよ。いいわね?」
君江は布団で顔を覆い泣き続けた。
だが、「どんな運命でも変えることができる」と言った母親の言葉を胸に留めていた。

創作欄 徹の青春 7

2016年07月31日 16時18分54秒 | 創作欄
2012年3 月13日 (火曜日)

「私たちの罪ね」
加奈子は肩を激しく震わせて、徹の腕の中で豊かな胸を当てて泣いた。
沼田城址の桜の木立で競うように蝉が鳴いていた。
陽は子持山に隠れようとしており、時折遠雷が聞こえ風は激しく木立を揺らした。
徹は人影を感じていたが、加奈子を強く抱き寄せて加奈子の唇を吸った。
加奈子はポニーテールの頭を振るようにして、徹の口を避けた。
徹は欲情を抑えらないので、激しい息遣いのなかで再び加奈子の頭を両手で押さえて顔を強引に引き寄せた。
「ヤメテ、今日はダメ!」加奈子は激しく身を捩った。
徹は加奈子の女心を理解していなかった。
話は前後するが、尾瀬のハイキングで長蔵小屋に泊った日、徹は加奈子の豊かな胸を弄った。
妹の君江が隣で寝息を立てていた。
加奈子は、しばらく徹の手をそのままにしていたが、「もう、ヤメテ」と強く手を払った。
「おばさんが、死にそうなの。それを考えると私寝られないの」
加奈子は徹に背を向けて、咽び泣いた。
徹は身を起して、「悪かったね」と加奈子の背向かって声をかけた。
人生には、何が起こるかわからないものだ。
尾瀬のハイキングから、2か月が過ぎていた。
沼田の祇園祭は全国各地の祇園祭の例に見られるように、京都の八坂神社祇園祭に端を発している。
沼田祇園祭を「おぎょん」と呼んでいた。
加奈子と君江を誘って徹は、おぎょんへ行く。
加奈子の浴衣姿は豊かな胸を一層際立たせていて、徹は欲情を駆り立てられた。

「おぎょん」と呼ばれた沼田祇園祭は、8月3・4・5日の3日間開かれていた。
“蚕すんだら沼田のまつりつれていくから辛抱おしよ”と唄われていた。
勇壮豪快な御輿が並んで街を練り歩くが、優美華麗な山車運行が祭りの主役でもある。
この山車のことを「まんどう」と呼ぶのも沼田の独特である。
その日も200軒を越える露店が集まっていた。
群馬県沼田の夏祭りは、この「沼田まつり・おぎょん」で終止符を打ち、『おぎょん』を境にして農家は農繁期に入るのである。


2012年3 月14日 (水曜日)
創作欄 徹の青春 8
「おぎょん」と呼ばれている沼田の祇園祭は、徹と加奈子に大きな黒い影を落とした。
お囃子が聞こえてくると胸が深く痛んだ。
あの日の夜、「2人が熱くなっている。お兄ちゃん私、消えてやろうか?」
徹と加奈子に何か気配を察したのだろうか、君江が悪戯っぽく笑みを浮かべて突然言う。
「この金魚、死んでは困るから、私、先に家へ帰る」と金魚すくいで捕った金魚2匹が入ったにニール袋を2人の目の前に掲げた。
「気をつけて帰りな」
徹の心配は口先だけで、内心ほくそ笑んでいた。
君江は浴衣姿の裾を肌蹴るようにして、駆け出していく。
「1人で帰って、大丈夫かしら?」
加奈子は人影に隠れて行く君江の行方を危惧していた。
「大丈夫さ、人が一杯居るじゃないか」
徹は大胆になって加奈子の腰に手を回していた。
祭は徹の血をたぎらせていた。
浴衣姿の加奈子は16歳であったが、思いのほか豊かな腰をしていた。
「私、嫌な予感がするの。私たちも帰りましょう」
加奈子は徹の手を押しのけるようにした。
御輿の還御を待って繰り広げられる最後の夜の各町の「まんどう」の優雅に奏でるお沼田祇園囃子の競演が見ものであった。
徹が住む材木町の山車、加奈子が住む上之町の山車、原新町の山車、下之町の山車、西倉内町の山車、東倉内町の山車、清水町山車、馬喰町の山車、鍛冶町の山車などが集合してきた。
午後10時から須賀神社境内で行われるみこしと祭囃子の競演では、人の波と熱気につつまれ、祭は最高潮に達する。
「まんどうの祭り囃子の競演を少し見てから帰ろうか?」
徹は懇願するように、加奈子の手を握り締めた。
「それなら、少しだけね」
加奈子は念を入れるように徹の手を握り返した。
「徹さんの手熱い。熱でもあるようね」
加奈子は徹の顔に目を注いだ。
徹は加奈子のきらきら輝くような瞳を見つめて、「この子と結婚することになるのだろうな」と想ってた。
それは予感のようなものであった。
徹の従姉の香苗は中学校を卒業し、15歳で川場村の親戚の農家に嫁いだ。
相手の勝雄は20歳で、父が戦死していたので、沼田農業高校を卒業して農家を継いでいた。
徹は母の実家が川場村にあるので、子どものころから勝雄を知っていた。
勝雄の家系は、美男美女を輩出しており近隣でも知られていた。
顔立ちに気品もあった。
蔵が4つもある村では一番の資産家であったが、農地解放で多くの田畑、山林などを失っていた。
徹の父、加奈子の父も戦死していたので、勝雄の存在は気になっていた。
従姉の香苗は16歳で男の子を産んだ。
加奈子の年で母親になったのだ。
香苗のことを思うと加奈子と徹が結婚しても不思議ではない。
だが、運命の悪戯で徹と加奈子に別れがやってきた。
あの夜、先に帰ったはずの君江は帰宅していなかった。
徹の母は川場村の実家へ帰っていた。
義父は農協の旅行で新潟県の湯沢温泉に行っていた。
両親が家に居なかったので、徹の気持ちは解放された気分になっていたので、加奈子を自宅に誘ったのである。
だが家の電灯は1つも灯っていなかった。
「私、胸騒ぎがする。警察に届けましょう」
加奈子は悪い想念を払うようにポニーテールの頭を振って、両手で豊かな胸を押さえた。
「イヤ、君江は友だちに出会っているんじゃないか?」
徹は最悪な事態など少しも考えずに楽観していた。
「徹さん!心配じゃないの! 私、交番へ行く」
加奈子は下駄音を高鳴らせて駆け出して行った。
「加奈子の取り越し苦労だ」
徹は縁側にしゃがみ込み、苦笑を浮かべながら月空を仰いでいた。
2012年3 月15日 (木曜日)
創作欄 徹の青春 9
検事調書によると、藤沢勝海は昭和11年、東京・大田区蒲田に生まれた。
父は中国の満州へ軍属として行っていたが、行方不明となった。
多分、戦死したのであろうが、確かなことは分かっていない。
昭和20年、戦争が本土空襲に及んだことから日本政府は「縁故者への疎開」を奨励したが、学校毎の集団疎開(学校疎開)も多く行われた。
勝海たちは山梨県の甲府へ学校疎開した。
1945年(昭和20年)3月10日に行われた大空襲で、母との兄、弟、妹3人のを失った。
終戦後、国民学校の先生の配慮で、勝海は母の妹一家に育てられ孤児にならずにすんだ。
だが、群馬県の北部月夜野の学校ではイジメにあった。
孤独な勝海は1人で何時も川で遊んでいた。
北には遠く谷川連峰が見えており、魅せられるように仰ぎ見ていた。
近くには大峰山、三峯山が迫るように見えており、何時か登りたいと思っていた。
そして月夜野は清流である利根川と赤谷川の合流に囲まれた山紫水明の地であった。
きれいな澄んだ水と緑が濃い森林に勝海は心を和ませられていた。
学校疎開で住んだ山梨県の甲府とは違った趣が月夜野にはあった。
作家・石原慎太郎の短編小説『太陽の季節』が芥川賞を受賞し話題となり、この小説をもとに、1956年に映画化され人気を博した。
さらに石原慎太郎原作の『処刑の部屋』(1956年)、『狂った果実』(1956年)が公開され、「太陽族映画」と称していた。
勝海はそれらの映画を観て強い衝撃を受けた。
事実、この時代の背景として「太陽族映画」を観て影響を受けたとして、青少年が強姦や暴行、不純異性行為など様々な事件を起こし社会問題化した。
中学を卒業した勝海は、大工となっていた。
そして、仕事が休みの日は、太陽族のような派手な服装をして沼田の繁華街をうろうろしていた。
「女なんかな、顔を二発、三発は叩いてから、やるもんだ。女はな、初めは抵抗するさ。でもな、女だって気持いいこと知っているから、すぐに抵抗しなくなる。中にはな、ヨガってしがみついて、俺の体を離さない女もいるぜ」
勝海は遊び仲間に自慢気に強姦を吹聴していた。
勝海は強姦されたことを警察に訴える女性が1人もいなかったので、すでに8人の女性たちを強姦してきた。
何時も単独で犯行を重ねてきていた。
おぎょんの日、15歳の君江は勝海たちの不良仲間3人に強姦されたのだ。
君江は男たちに犯されながら、母が熱心にしていた宗教の題目を涙声で唱えていた。
その声は初めは男たちには聞こえていなかった。
だが、男の1人が気づいたのである。
「こいつ、何か唱えていやがる、成仏させれやるか」
男の1人が君江を犯しながら首を絞めたのである。
「ああ、殺されるんだな」
やせ細り非力な君江は抵抗を諦め、覚悟を決め題目を唱えた。
だが、男は突然、激しい腹痛に苦しみだしたのである。
急性虫垂炎であった。
「殺すことないよ!」と17歳の少年が背後で男を制した。
君江の首を絞めた男は19歳であった。
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2012年3 月15日 (木曜日)
創作欄 徹の青春 10
「友だちの妹が、おぎょんから先に帰ったのに、家に居ないんです。
探してください」
加奈子は肩で息をしながら、交番の前に立つ40代と思われる警官に訴えた。
「友だちの妹、いくつだ?」
「15歳です。中学3年生です。何かがあったのかもしれません」
「15歳だな。遊び盛りだ。まだ、おぎょんは終わっていない。どこかで祭を見物しているんだろう」
「とても心配でなりません。探してください」
警官は威圧するように鋭い目を加奈子に注いだ。
「まだ、事件が起こったわけではないんだろう。探せだとふざけるな!」
警官は左手で帽子のつばを押さえ、右手で警棒を握りながら、胸を突き出し仁王立ちのようになると、左手で加奈子を追い払うような仕草をした。
「こうなったら、徹さんと二人で君江さんを探すほかない」
加奈子は踵を返して、駆け出して行く。
胸騒ぎが高まるなかで、涙が込み上げてきた。
だが、信じがかいことに、徹はそ知らぬ顔をして居間で萩原朔太郎の詩集を読んでいた。
「徹さんは、心配ではないの。きっと、君江さんに何かがあったのよ。探しに行きましょう」
やれやれという表情を浮かべると徹は、さも面倒くさそうに詩集を閉じた。
「この人を何故、恋したのだろう?」
加奈子は、無神経な徹の態度に呆れ返った。
そして、いっぺんに恋心が覚めてゆくのを感じはめていた。
17歳の徹はまったく新聞を読んでいない。
いわゆる新聞の3面記事を読んだ記憶がなかったのだ。
読むのは詩や短歌、俳句、小説であり、世間の動きにはまったく疎かった。
ある意味で純粋でもあるが、厳密に言えば無知蒙昧である。
徹は強姦という犯罪があることすら知らなかった。
彼が読んでいた文字のなかに、強姦という文字は一度も出てこなかったのである。

△▼厚生労働省▼△ ・平成28年7月26日付大臣会見概要

2016年07月31日 15時25分25秒 | 医科・歯科・介護
新着情報配信サービス

      07月27日 10時 以降掲載

○ 大臣会見等

・http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223561

○ 報道発表

・平成27年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します~ 通報・届出件数、虐待が認められた件数ともに前年度より増加 ~
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223563

○ 政策分野

・年金記録に係る訂正請求の受付・処理状況などの諸統計
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223565

・労働保険の適用徴収状況
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223567

○ 審議会等

・第5回新型インフルエンザ対策に関する小委員会
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223569

・第一回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223571

・第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会 議事録(2016年6月30日)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223573

・平成28年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会資料
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223575

・第11回外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223577

・第46回中央最低賃金審議会の開催について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223579

○ 統計情報

・平成27年簡易生命表の概況
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223581

・医療施設動態調査(平成28年5月末概数)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223583

・介護給付費等実態調査月報(平成28年5月審査分)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223585

20万人が60歳以上の中途失明

2016年07月31日 15時20分58秒 | 社会・文化・政治・経済
★人間の尊厳性を説く仏法の哲学に世界を結ぶ力がある。
★スポットライトが当たること以上に、大切な生き方がある。
★全国30万人の視覚障害者に読書環境を提供する「日本点字図書館(東京・新宿区)
20万人が60歳以上の中途失明。
その中で点字が読める人は1割程度。
★音声なら点字が分からなくても本を読むことができる。
今や音声で電子メールのやりとりができる。
パソコンが使えるようになったことが大きい。
★障害があるから不幸なのではなく、障害を嘆きことが不幸なのだ。

戒厳令のような「緊急事態条項」

2016年07月30日 07時28分47秒 | 社会・文化・政治・経済
現在の安倍内閣の多くが関わる右派政治団体「日本会議」
憲法改正への国民の理解は進んでいない。
戦争ができる国なると共産党は国民を煽っているのであるが、今回の参議院選挙で改憲勢力は「3分の2」を超えた。
9条の「国防軍」の追加。
戒厳令のような「緊急事態条項」
「全体主義」や「国家主義的」な傾向が強くなるのか?
「時代が求める」憲法とは「国民が求める」憲法ではないのか?
無関心層をいかに憲法改正論議に引き寄せられるかが、メディアの課題。

△▼厚生労働省▼△ 07月28日 19時 以降掲載

2016年07月30日 00時07分16秒 | 医科・歯科・介護
新着情報配信サービス
○ 報道発表

・一般職業紹介状況(平成28年6月分)について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223619

・輸入食品に対する検査命令の実施(タイ産ゆでがに(飲食に供する際に加熱を要しないものに限る。))
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223621

○ 政策分野

・デング熱について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223623

○ 審議会等

・平成28年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会安全技術調査会の開催について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223625

○ 統計情報

△▼厚生労働省▼△ ・平成28年7月26日付大臣会見概要

2016年07月30日 00時03分07秒 | 医科・歯科・介護
新着情報配信サービス

      07月27日 10時 以降掲載

○ 大臣会見等

・平成28年7月26日付大臣会見概要
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223561

○ 報道発表

・平成27年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します~ 通報・届出件数、虐待が認められた件数ともに前年度より増加 ~
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223563

○ 政策分野

・年金記録に係る訂正請求の受付・処理状況などの諸統計
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223565

・労働保険の適用徴収状況
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223567

○ 審議会等

・第5回新型インフルエンザ対策に関する小委員会
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223569

・第一回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223571

・第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会 議事録(2016年6月30日)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223573

・平成28年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会資料
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223575

・第11回外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223577

・第46回中央最低賃金審議会の開催について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223579

○ 統計情報

・平成27年簡易生命表の概況
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223581

・医療施設動態調査(平成28年5月末概数)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223583

・介護給付費等実態調査月報(平成28年5月審査分)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223585

△▼厚生労働省▼△

新着情報配信サービス

      07月28日 10時 以降掲載

○ 報道発表

・全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議を開催します
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223593

・平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について~ 目安はAランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円 ~
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223595

・化学物質のリスク評価検討会報告書(オルト-トルイジンに対する今後の対応)を公表します~オルト-トルイジンによる健康障害の防止措置を直ちに検討~
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223597

・雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(月)から実施~
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223599

○ 政策分野

・指定地域(鳥インフルエンザの発生のない国・地域)のリスト更新
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223601

・「『保活』の実態に関する調査」の結果等について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223603

・デング熱について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223605

・労働者派遣事業関係業務取扱要領・様式・各種報告書
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223607

・健康増進施設一覧の修正について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223609

○ 審議会等

・第46回中央最低賃金審議会資料
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223611

・平成28年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会安全技術調査会の開催について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223613

・平成28年度 第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会の開催について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=223615

numata727 さんが 2015年07月28日 に書かれた記事をお届けします

2016年07月29日 23時59分48秒 | 医科・歯科・介護
安保法案:公明離れの学会員次々…自民と協調に「失望」

毎日新聞 2015年07月27日 21時07分(最終更新 07月28日 11時09分) 安全保障関連法案審議の舞台が参院に移った。日を追って国民の批判が高まる中、自民と足並みをそろえる公明党の足元で、地方議員や支持母体の創価学会員たちの反発や離反が起きている。平和を訴え、与党の「ブレーキ役」を自任する党はどこへ向か...
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知人の勧めでFacebookを始めた次第 Tugunobu Yamamoto

この告知のために、パソコンの回復に2時間。フリーズを繰り返すばかかりで、うんざりだ!FacebookTugunobu Yaーーーーーーーーーー文化亡国論「いまという時代を言語化」本書は、ミステリー作家・評論家の笠井潔さんと気鋭の若手批評家の現代の社会・文化についての対話の記録である。20世紀は映画の世紀、20世紀末...
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日本以外の国も、慰安婦もんだいでは無罪ではありえない

日本は列強のアジア進出に対抗して帝国になったcolor="darkgreen">帝国とは何か?「一つの国が強大となり、他の幾つかの国を合わせてさらに大きな国家となっもの」帝国主義とは「他の小国の権益・存在を犠牲にしても、自国の領土・権益の拡大や伸張をはかろうとする侵略傾向」帝国の歴史は古いが、近代史の帝国といえば1...
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「私の歯科人生」は 「詩的真実」創作でした

脚色が色濃かった「私の歯科人生」は、人生そのものではなく、「詩的真実」を狙ったもので、想えば駄作でしたね。元同僚のMさんからも「娘が読むかもしれないので、削除してほしい」と依頼されました。30代の日々ですが、彼と当方が同じ女性を愛したことやその後、彼が妻子を棄てた経緯まで書く必要があったのかと、反省もしました。山本...
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toride727 さんが 2015年07月27日 に書かれた記事をお届けします

2016年07月29日 23時57分38秒 | 医科・歯科・介護
上野まつり 日程を間違える



またか!パソコンのフリーズである。早く外出したいのに・・・・------------------------今年は楽しみにしていた「柏まつり」(7月25、26の両日)へ行かなかった。気分が悪くなり、家人とつまらない「いさかい」となったのだ。「愚痴をこぼすなら、病院に行ったら。こちらまで気分が悪くなる」と家人は感情的...
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「アメリカ橋」



昨日は、新道町内会のお祭りであった。子ども神輿などが表通りを通過する「ワッショイ」の声が聞こえてきたが、横になっていて寝てしまった。起きてから新道会館へ行ってみたら、子どもたちが終わって保護者などと帰るところであった。祭りの様子を写真に撮ることができなかった。最近始めたFacebookに阿夫利神社の「奉納カラオケ大...
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片岡鶴太郎の名言

“地球の名言”   http://earth-words.org/archives/5864 より心が貧しいと、人を責めたくなる。心が卑しいと、人の欠点ばかり見えてくる。心が豊かになると、人のいいところが見えてくる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・隣の家の玄関先に赤い花が咲...

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よみがえる幸福な歌人の力-若山牧水

来月8月24日で生誕130年を迎える漂泊の歌人、若山牧水。新たなキーワード「親和力」のもとに、現代に通じる牧水の素顔をよみがえらせる。「牧水の文学世界は、“あくがれ”という言葉で表現されます。対象を熱烈に求め、おこがれる心。だから旅をしたし、恋愛もした。それを他者との関係性という観点から深めてみる時ではないか、と考...
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【本日の誕生花】ムシトリナデシコ

2016年07月29日 23時52分47秒 | 【お知らせ】
* … * … * … * …* … *
**********************************
  花を楽しもう!みん花通信
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* … * … * … * …* … *

       
(2016.07.28配信)


numatatoneさん、こんにちは!
いつも「みんなの花図鑑」をご利用いただき誠にありがとうございます。


※みん花通信の受信間隔を変更するには、メール下部[メール設定変更方法]をご参照ください。





【本日の一枚】

本日の一枚はフルールさんが庭で撮影した「ベビーサンローズ」です。
「ベビーサンローズ」はハナツルソウとも呼ばれます。本日の一枚は、縁取りのよう白い斑の入った肉厚の葉、その間に咲く鮮やかなピンク色の花がアクセントとなり、葉の美しさと花の愛らしさの両方を楽しめる一枚になっています。


本日の一枚を見る
https://hc.minhana.net/photo_of_ today?utm_source=tsushin&utm_medium=mail&utm_campaign=mailmag

本日の一枚は、撮影スポット(※)を登録していただいた写真の中から季節感あふれる写真や花のある風景など、 そのスポットに出かけたくなるような魅力的な写真を選ばせていただいております。
(※)撮影スポットは、写真投稿ページの「撮影スポットを登録」に入力すると登録することができます。
  例:東京都小平市/東山動植物園/八坂神社 など
皆様のお気に入りの場所をぜひご紹介ください。紅葉の写真投稿もお待ちしております。


お花を楽しめるおすすめのスポットを「撮影スポット」に記入してご投稿ください。
皆様のお気に入りの場所をぜひご紹介ください♪

【本日の誕生花】

ムシトリナデシコ
節の部分から出る分泌液にアリなどの虫がくっつくことから名前が付けられたそうです!花言葉は「罠」です!
https://minhana.net/wiki/view/2705?utm_source=tsushin&utm _medium=mail&utm_campaign=mailmag

専門サイト「デンタルニュートリション.JP」

2016年07月29日 23時35分49秒 | 【お知らせ】
こんにちは、吉田歯科診療室の吉田格です。私は先週の連休中出張で名古屋に居たのですが、そこで梅雨明け宣言がありました。しかし東京に戻ってきても、コチラは一向に梅雨明けの気配がありません。まだかな〜とお正月より首を長くして待っている吉田です。

さて、昨年より本格化している栄養医学療法についていくつか動きがありますので、まとめてお伝えいたします。

____________________________________________

《1・DentalNutrition.jp がオープン》
まず、専門サイト「デンタルニュートリション.JP」 http://dentalnutrition.jp がオープンしました。サイト構成は以下の通りです。まだまだ穴だらけですが、順次公開して行きます。

・プローローグ http://dentalnutrition.jp/prologue 最初に皆様にぜひ疑問に思っていただきたい何気ない日常について書いてみました。思い当たるフシ、ございませんか?

・Why, Nutrition? http://dentalnutrition.jp/why-nutrition 歯科治療になぜ栄養の話が必要になったのか、できるだけ解りやすくお伝えして行きます。

・What, Nutrition ? http://dentalnutrition.jp/what-nutrition 血液検査と食事記録から栄養の過不足を解析し、全身状態を評価する手法についてお伝えします。一般的な血液検査の読み方とはまったく異なりますので、注意が必要です。

・What, Inhibitor ? http://dentalnutrition.jp/what-inhibitor 糖質制限を始める前に、ビタミンやタンパク質を増やす前に、阻害因子を先に排除しておく必要はないでしょうか。特に、サプリメントが効かない・歯周病を改善したい・インプラントを長持ちさせたいという方には、毛髪ミネラル検査や有機酸検査などの阻害因子検査をお受けになってはいかがでしょう。



《2・毛髪ミネラル検査がスタート》
毛髪には体内でおきているミネラルの動きが記録されています。そこには健康を阻害する水銀や鉛も含まれます。

たとえば歯の治療でアマルガムが入っている方は水銀が、魚を多く食べる方は水銀やカドミウム、そして古い家屋に長年住まれていいた方は水道管の鉛の影響が強く出ていることが多いのです。このようや重金属はなかなか排泄されず、蓄積した結果せっかくのサプリメントも効果が現れません。

また血液検査では解らないカリウムや亜鉛などのバランスが解り、ストレスによる悪影響や腸の調子(免疫機能)の評価もできます。血液検査と合わせて体質改善のための多くの情報が得られます。

費用も安く方法はすごく簡単ですので、ぜひ多くの方にやっていただきたい検査です。



《3・有機酸検査もスタート》
もう一つ、有機酸検査というものも始まっています。私も測ってみたのです、かなりビックリです。これは体内で造られる様々な代謝物(科学反応の結果できたもの)など約70項目を検出するのですが、免疫を左右する腸の状態や、たんぱく質の代謝をジャマするものなど、実に様々なことが分かります。

こちらも他の検査と照らし合わせることで、歯周病やインプラント周囲炎の治療・予防に大きく貢献します。

検査方法は朝一のオシッコを採り、冷蔵して検査会社に送るだけとお手軽です。糖質制限に失敗するかたや、たんぱく質が増やせないかた、サプリメントが効かないなどの方には特にお勧めです。



《4・歯周病原菌検査が再開》
感染症でありながら、なぜか原因菌の検査もしないで進んで行く歯周病の治療。価格の割には応用価値が低すぎるというのが理由だったのですが、ここにきてだいぶ話が変わってきましたので再開しました。詳しくは https://y-dc.blogspot.jp/2016/07/perio-analyse.html をごらんください。歯周病やインプラント周囲炎の治療は、栄養医学療法との組み合わせで大きく変革いたします。



・・・・・予防が大切なことはもう誰もが知ってるのですが、「やらなくてもだいじょうぶではいか?」という気持ちが先に立つと思います。

しかし今までの考え方で歯を晩年まで持たせることはほとんど不可能、これは今の高齢者のお口の中が証明しております。

また治療も予防と同時に行なわなくては、決して良い結果にならないことは、私どもの所に通っていただけている方ならばお分かりの通りです。

従来からの歯磨きなど「外側からの予防」だけでなく、「内側からの予防」にも焦点をあてれば、高齢社会は明るくなりますね。皆さんもこれらの検査からの情報を有効に活かされることをお勧めいたします。

なお、栄養医学療法のパンフレットはこちらからダウンロードできます。
http://www.y-dc.org/_userdata/eiyouigaku.pdf

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銀座 Saice ビルディング2F
TEL 03-3248-0418 FAX 03-3248-0417
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第65回うえの夏まつ「歌謡最前線」

2016年07月29日 22時52分47秒 | 日記・断片
先日の7月22日は、新橋の第21回「こいち祭」をを見た。
秋田の銘酒「八重壽」などが屋台で売られていた。
今日、7月29日は上野不忍池・水上音楽堂の第65回うえの夏まつ「歌謡最前線」テレビ公開録画を見に行く。
行きは、上野公園を経由して行ったので遠回りとなる。
開演は15時、開場が14時30分。
梅雨が明けて、快晴、綿のような白い雲に真夏を感じた。
並んで、開場を待つが炎天下暑いのに参った。
2016上野納涼演歌まつり歌謡最前線:出演者
【司会】
梓タ子・野上こうじ・浜博也・司洋人・聖ゆう

【スペシャルゲスト】
・山川豊
・小田純平
・オール巨人
・テツandトモ
・タブレット純

【ゲスト出演】
・石原詢子
・和田青児
・大石まどか
・西尾夕紀
・川神あい
・清水まり子
・永井裕子
・花咲ゆき美
・はやぶさ
・パク・ジュニョン
・沢田正人
・花見桜幸樹
・エドアルド
・津吹みゆ
・奈良崎正明
・林蔵之介
・叶竜也
・玉田ゆうき
・鈴木和華
・浜ゆうじ
・立木竜一
・南部なおと
・本岡拳一
・中山敏子
・内田みわ子
・美咲朱里


午後8時30分終了し、あんみつの「みはし」に寄る。
上野発午後10時3分の電車で帰宅。