配信
◆◆◆
5月26日の深夜、長野県坂城町の市川武範さん(55)の自宅で男女3人が倒れているのが見つかり、いずれも死亡が確認された。 「亡くなったのは市川さんの長女・杏菜さん(22)と次男・直人さん(16)、そして六代目山口組系暴力団玉木組の若頭・小沢翔容疑者(35)。侵入した小沢が、玄関付近で杏菜さん、少し離れた部屋で直人さんの頭をそれぞれ至近距離から銃撃した後、自身の右のこめかみを撃ち抜いて自殺したとみられます」(社会部記者)
家にいて唯一助かった市川さんの妻が犯行を目撃。家を飛び出し、近所の住宅に「救急車、呼んでください!」と助けを求めたことで事件が発覚した。
小沢はなぜ、このような凶行に及んだのか。 「小沢と市川さんの長男の間に、小沢の元妻A子さんを巡るトラブルがあったようです。A子さんと長男は県内の製造業の工場で働く同僚。小沢は以前から長男の車を壊すなどの嫌がらせを繰り返し、事件の2日前には上田市内のコンビニ駐車場で長男に殴る蹴るの暴行を加え、逮捕状が出ていました」(同前) 長男は事件当日、再度の襲撃を警戒して、県警に保護され不在だった。小沢が直人さんを襲った際には、長男の名前を叫びながら発砲していたという。
この小沢は、地元でも札付きのワルとして有名だった。知人が証言する。 「アイツは県中央部の村の出身で、中学時代から教師を殴って捕まったり、傷害で少年院にも入っていた。高校には通わず、『極龍會』という暴走族の幹部になって15、6人をまとめていた時期もある。当時からヤクザの兄貴分がいて、準構成員のような感じだった」
暴れる際には金属バット、“バットマン”と呼ばれ……
玉木組に所属したのは20代前半で、3~4年前に若頭になったという。 「2年前にはサザエを10個密漁して逮捕されていた。最近は覚醒剤の捌きが多かったようです。奥さんとは“偽装離婚”で、ヒモみたいな状態でしたね」(同前)
暴れる際に金属バットを持ち出すことから、県警から“バットマン”と呼ばれ、マークされていた。 「身長180センチ以上で体重も100キロ近く。コンビニでの暴行も金属バットでボコボコにしたと聞きました。でも、関係ない姉弟を襲うなんて普通じゃないので、クスリをやってたんじゃないかという話もある。4年前、山口組の分裂騒動にからんで、玉木組に火炎瓶が投げ込まれたんですが、その後、別の組事務所に銃弾が撃ち込まれた事件があった。この実行犯が小沢だと言われています」(同前)
小沢とA子さんは離婚していたが、上田市内の家賃6万円ほどのマンションで2人の娘と暮らしていた。 「高校生くらいの娘さんとよく一緒にいるのを見かけました。禁止なんですが白いトイプードルを飼っていて、父親が散歩させていた。ベランダで電話をかけたり、タバコの煙が流れてきたりしましたが、何も言えなかったです」(近隣住民)
“元妻”のA子さんを異常なほど溺愛
小沢は“元妻”のA子さんを異常なほど溺愛していたという。別の知人が語る。 「二人の出会いは長野市内のスナック。小沢が先代だかの付き合いで市内に行ったとき、働いていたA子に惚れ込んだ。彼女は長身で目がクリっと大きく、女優の小沢真珠似の“美魔女”。40歳近かったけど、そうは見えなかったね。前の旦那との間に2人の子供がいたはず。小沢にとって自慢の嫁で、バーベキューや床屋にまで連れまわしてね。帰宅する前には電話して家にいるか確かめるし、束縛がすごかった。小沢のせいで何度か仕事も辞めたとか。でも、小沢は娘を可愛がり、舎弟に送り迎えをさせたりしていた。飼い犬が『志村どうぶつ園』に出たことがあるとも話してたね」
自分の家族には執着していた小沢だが、ごく普通の家族の幸せを奪い去った。 「直人君はこの春に近くの公立高校に進学したばかり。きちんと挨拶をする子で、小さい頃はボクシングジムで教えている父親についてボクシングをしていました。杏菜ちゃんは地味目でおとなしい印象で、高校を卒業してから、駅の近くのコンビニで働いていました」(別の近隣住民)
何の罪もない姉弟を巻き添えにした鬼畜の所業は、万死に値する。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年6月11日号