『黒水仙』(くろすいせん、原題・英語: Black Narcissus)は、1947年に製作・公開されたイギリスの映画である。
概要
インド・ヒマラヤ山麓の女子修道院を舞台としたルーマー・ゴッデンの小説の映画化であり、マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーが共同監督、デボラ・カーが主演した。
インドでのロケーションは行われず、テクニカラー作品として撮影されている。
キャスト
役名 | 俳優 | ||||
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シスター・クローダー | デボラ・カー | ||||
シスター・フィリッパ | フローラ・ロブソン | ||||
カンチ | ジーン・シモンズ | ||||
ディーン | デヴィッド・ファーラー | ||||
シスター・ルース | キャスリーン・バイロン | ||||
アヤ | メイ・ハラット | ||||
将軍 | サブー |
スタッフ
- 監督/製作/脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
- 音楽:ブライアン・イースデイル
- 撮影:ジャック・カーディフ
- 編集:レジナルド・ミルズ
- 衣装:ハイン・ヘックロス
- 映画賞受賞
- ニューヨーク映画批評家協会賞 主演女優賞:デボラ・カー
- アカデミー撮影賞(カラー):ジャック・カーディフ
- アカデミー美術賞(カラー):アルフレート・ユンゲ
- ゴールデングローブ賞撮影賞:ジャック・カーディフ
- 解説
「赤い靴」「天国への階段」と同じく、マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーのティームが執筆、監督、製作したテクニカラー映画であるが、ルーマー・ゴッデンの原作になる同名の小説から二人が脚色した。
撮影も「赤い靴」「天国への階段」と同じくジャック・カーディフが受けもち、「天国への階段」のアルフレッド・ジュネが装置を担当し、両者は共にアカデミー賞を受けている。作曲並びに音楽監督は「赤い靴」のブライアン・イースデルが任に当った。
主演はシヨウ原作の「バーバラ少佐」で認められたデボラ・カー、「三つの情熱」のデイヴィッド・ファラーで、「ジャングルの王」のサブウ、「嵐が丘」「死せる恋人に捧ぐる悲歌」のフローラ・ロブソン、「ハムレット(1947)」のジーン・シモンズ、「天国への階段」のキャスリーン・バイロン、「ハムレット(1947)」のエズモンド・ナイト、その他ジェニー・レアード、ジュディス・ファース、シャウン・ノーブル、ナンシー・ロバーツ、メイ・ホーラット等が助演する。
1946年製作/イギリス
原題:Black Narcissus
配給:英国映画協会=NCC
劇場公開日:1951年3月1日
ストーリー
ヒマラヤ山麓に近い高地にある寂しい村。ここに、モプという宮殿があり、領主トゥダ・ライはこの宮殿を利用して尼僧院を開き、英国人の尼たちを招き現地の子どもを教育してもらおうと考えた。尼僧クローダー(デボラ・カー)は責任の重さを覚悟してこの大役をひきうけ4人の尼僧を選んだ。
年長のフィリッパ(フローラ・ロブスン)、プライオニー(ジュディス・ファース)、ハニ(ジェニー・レアード)、健康をそこねているルース(キャスリン・バイロン)で、5人は新しい希望にもえて任地へ到着した。だがこの地方唯一の同国人ディーン(デイヴィッド・ファラー)は頭から彼女たちの仕事を嘲笑しているようだった。
尼僧院の仕事は一応は順調に進んだが、クローダーには尼僧たちの心が信仰から次第に離れていくように思われた。フィリッパはこの仕事にたえられないといって転任を申しでた。クローダーの心は弱りディーンに対して頼りたい気持が強まった。クローダーの悩みはそれだけではなかった。ルースは信仰をすてようとしているらしかった。
しかしもディーンへの執着に悩むルースはクローダーを恋仇として激しく憎んでいた。ある夜、僧院をぬけだしたルースは谷間の村のディーンを訪れ、心の思いをうちあけた。だがディーンは冷たく彼女を追い返した。
ルースはディーンが恋を受けいれないのはクローダーのせいと信じ、鐘を鳴らすクローダーをつきとばした。だがクローダーは縄にぶらさがり、足をすべらしたルースは谷間へおちた。悲劇の朝から数日がすぎた。彼女たちの仕事は失敗におわり、尼僧たちはカルカッタへ出発した。しかしこの敗北から、クローダーの心に一層強い信仰が生まれようとしていた。