9月29日午後11時からCSテレビのムービープラスで観た。
高度恐怖の立場の身の人には、恐怖ばかり覚えてドラマの展開であった。
映像は、狭い地上600メールの棟の最上部の足場に取り残された女性二人の死の恐怖が迫る中で展開される迫真性に満ちていたドラマであった。
山でのフリークライミングの最中に夫・ダンを落下事故で亡くしたベッキーは、悲しみから抜け出せず1年が経とうとしていた。
ある日、ベッキーを立ち直らせようと親友のハンターが新たにクライミングの計画を立てる。
今は使われていない地上600mのモンスター級のテレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になった梯子を登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功するのだが…。
監督
出演者
グレイス・カリーベッキー
バージニア・ガードナーハンター
ジェフリー・ディーン・モーガンジェームズ
メイソン・グッディングダン
ジュリア・ペイス・ミッチェル
ジャスパー・コール
鑑賞前、多少舐めた気持ちでいた自分が恥ずかしい。シンプルな状況や構造を極めるとそれは一つの発明にもなるし、芸術になる。そのことを強く印象付けてくれた作品だ。物語は単純明快。トラウマを持つ女性が、親友と共に荒野に建つテレビ塔に昇る。
そして世の中と隔絶された頂上にて孤立無援に陥り、壮絶なサバイバルが幕を開けるーーー。映画というものは誕生以来、様々な「絶体絶命」の型を生み出してきたが、海でも山でも宇宙でも戦時下でも殺人鬼との対峙でもなく、こんなカリン塔を思わせる細長い棒が天空へと突き出した尖端で、きちんと丁寧なドラマとサスペンスが展開していくのだから大したものだ。
ぱっと見、低予算をCG描写で埋め合わせたかのような状況設定でありながら、その実、直径1mほどの円形空間は、崇高な演劇舞台にも匹敵する。後半に訪れるちょっとした構成上のひねりも巧い。こういう映画に出会うと「やられた!」という気持ちになる。
まず、限られた空間の中でこれだけ面白い作品を作り上げたことがすごい!
人間模様だっなり、ところどころの発言が伏線になっていたりなど、細かな工夫もあって、飽きずに最後まで見られました!
ただ、一つ大きな欠点が、せっかく高所の設定なのにそのハラハラを感じられる場面が少なかったことです。序盤こそあったものの、後半になるに連れて、高所特有の恐怖は無くなり、その点は物足りなかったです。
クライマーがエッフェル塔よりも高い地上600メートルの電波塔に登り降りられなくという単純なストーリー。
単純だからこそどうやって降りるの?という先の見えない感じと落ちたら即死の恐怖が観ていてハラハラしました。
ラストはゾッとしたけどまさに適者生存だな、、と少し感心した。
愛する夫の遺灰を?そこから?うーん。
鑑賞者のほとんどは感情移入しにくい動機。もう少し入り口が広いと良かったが、まぁ普通の神経で登ろうとは到底思えないので致し方無いか。
塔の頂上という決まりきった構図、限られたカメラワークの中で、思いの外に中弛みさせずの脚本は素晴らしい。
設定段階でのツッコミどころは多々あるが、要所要所で伏線回収もしっかり行い、色々なアイデアが存分に盛り込まれており飽きさせない。
塔の上で、友人、夫婦、親子の様々な人間の愛が見え隠れする、ヒューマンサスペンスな側面も。個人的にはここで少し引いてしまった。難しい。。。
ラストは全く読めず、、、クライマックスの判断は衝撃だった。ベッキー父の、娘への健気な愛情に癒される。
300万ドルという低予算でアイデア勝負、どんどんこういう作品が出てきて欲しい。レーティングGとは思えない描写がちょいちょい出てくるので、グロ苦手な方は要注意。
思い描いた通りのストーリー展開
加えて、決して曲げようとしない価値観
日本の場合、必ずあるのが「教訓」
それがないのが欧米人的価値観
それでも「絶対正しい」という概念
少し話はズレるが、
昨今日本で問題となっている外国人コミュニティ
ほぼすべての外国人が自国の概念を持ち込み、その習慣に妥協せず、日本人の習慣やルールに妥協を求めている。
例えばイスラム圏民族の埋葬
彼らは宗教上決して火葬しない。
土葬は日本で禁じられいるが、足利市などの数か所ですでに土葬が始まっている事実がある。マスコミは決して伝えない。
他人には妥協を求め、自分は決して妥協しない。
この精神はある意味立派だが、この作品全体が見せているものこそ、このような概念に思えてならない。
ベッキーは最後救助されるが、純粋に生き延びたことだけがクローズアップされ、彼女らの行為そのものの是非について問いかけることはなく、逆に最後のナレーションが伝えていることは「人生の尊さと一瞬一瞬生きるべき」などと言って、彼女らの正義を強く主張している。
この作品は欧米人のための欧米人的作品だと思う。
すべての国の習慣など知らないが、この作品の主張に疑問を持つ民族は驚くほど少ないのかもしれない。
さて、
価値観の違いはこのくらいにして、作品そのものを見ると、
プロットの作り方は見事だ。
伏線も素晴らしい。
実はハンターは死んでいたという大どんでん返しも素晴らしかった。
絶体絶命
鉄柱にかけてあった60Mあったはしごはすべて壊れて落下してしまった。
どうやってこの事態を潜り抜けることができるか?
つまり、鉄柱部分をクリアすれば、鉄塔部分の600m分のはしごは残っている。
ザイルを鉄柱に回しかけ、両端に輪っかを作って手首を通し、ヤシの木を上ったり下りたりする要領で鉄塔まで行く。たった15mのザイルしかないので一人しか使えないが、この手を使わなかったのは疑問が残った。
しかし、
女性二人という設定こそ、不可能だと思い込ませておきながら「やればできる」感を最大に発揮するのだろう。
落下したリュックを取りに行くというハンターの判断も行動力も並み外れているし、充電時間ずっとポールにしがみついてなどいれるはずがないと思ってしまう。
そもそも航空機用のライトの電力仕様は一般家庭仕様であるはずがない。
と、どうしても突っ込みを入れてしまいたくなるが、
この作品のスリル感は一流だ。
否めない価値観の違い。
それでもそれを主張する強さ。
それが彼ら欧米人が「選択すべき」と考えている絶対的価値観なのだろう。
2023年の現代で、ここまで強い主張をする彼らの生き方もまた、一つの在り様なのだろう。
日本人には決して作れない。