<世界は悪化する一途>は偏見

2019年03月31日 20時47分51秒 | 社会・文化・政治・経済

コミュニティを捨てよ、ファクトフルネスを読もう

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
  • 出版社/メーカー: 日経BP社

ファクトフルネス「事実に基づいた世界の見方」

2019年01月27日

事実に基づく世界の見方 「ファクトフルネス」 ブック・レビュー
「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」 少なくとも西洋諸国においてはそれがメディアでよく聞く話だし、人々に染みついた考え方なのではないか。わたしはこれを「ドラマチックすぎる世界の見方」と呼んでいる。精神衛生上よくないし、そもそも正しくない(本書より)
ファクトフルネスは、ステレオタイプの思い込みは止めて、「事実に基づいた正しいデータをもとに、物事を正確に捉えよう」ということ。

今話題の本の様で、都内の大型書店では大量の書籍が平積みされていることも多く、amazonでの販売も好調の様です。

いかに自分が限られた情報やイメージで物事を判断していたか、先入感や思い込みが判断をする上でいかに障壁となるかを改めて気付かせてくれた本書。

著者自身が世界各国に足を運んだ経験と膨大なデータの裏付けによる説得力に加え、様々な国での共感性の高いエピソードの数々に読み手は引き込まれることでしょう。

著者のハンス・ロスリング氏は、スウェーデン出身で、大学で統計学と医学を学び、医者としてスウェーデンの国境なき医師団を立ち上げ、世界保健機構やユニセフなどのアドバイザーを務めた人物。2012年には、タイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人に選ばれています。

●まずはクイズに答えてみよう!

本書冒頭では、どれだけ世界のことを知っているかが試される全13問のクイズが出題されます。
ここでは、その中から3つのクイズを紹介しましょう。皆さんも考えてみて下さい。

Q1:現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

A:20%
B:40%
C:60%

Q2:15歳未満の子供は、現在世界に20億人います。国連の予測によると、2100年に子供の数は約何人になるでしょう?

A:40億人
B:30億人
C:20億人

Q3:世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどの位いるでしょう?

A:20%
B:50%
C:80%

 正解は?

 ↓
 ↓
 ↓

全て 「C」

Q1:初等教育の修了は60%
Q2:20億人で子供の数は変わらない
Q3:1歳児の予防接種は80%

皆さんは何問正解しましたか?
きっと世界のこと、地球上で起きていることに無知であったか、固定観念を持っていたかを思い知らされるでしょう。少なくとも私はそうでした。

このクイズは世界14カ国、12,000人を対象にオンラインで出題、本書では、国別の正答率も示されています。

13問目のごく常識的な地球温暖化に関する問題を除く、全12問の平均正答数は、2問。全問正解者はゼロ、全問不正解者は、15%との結果とのこと。日本人の正答率もほとんどが10~20%程度に留まっています。

また、著者は、同時に、様々な国の大学教授や著名な科学者、グローバル企業の役員やノーベル賞受賞者、政界のトップやダボス会議の参加者等、高学歴のエリート層にも同じクイズを出題していますが、いずれもオンラインでの結果と同等程度の回答率だったとの事です。ちなみに私は、12問中、正解は3問でした。

ではなぜ、様々な国の一般人からエリート層までが同じ間違いを犯すのか?
それを紐解くのが本書となります。

●4つの所得レベル

本書全体を通して、その分析の根幹をなすのが4つの所得レベル。
レベル1:1日あたりの所得 2ドル未満 10億人
レベル2:同上、2ドル以上、8ドル未満 30億人
レベル3:同上、8ドル以上、32ドル未満 20億人 
レベル4:同上、32ドル以上 10億人

全世界70億人を4つの所得レベルに分割すると、それぞれの所得と人口は、上記に分類されます。
この所得分布が本書全体の肝と言えるでしょう。

また、本書では、それぞれの所得層の生活レベルを理解できる様に、水の調達・移動手段・調理方法といった暮らしの画像がマトリックスで示されています。
●10の思い込みのワナ

本書がこのマトリックスで伝えようとしているのは、日本は豊かでアフリカは貧しい、先進国と途上国といった、思い込みのワナとして提示される一つ目の「分断本能」に陥っていないか?ということ。

例えば、アメリカとメキシコの1日あたりの平均所得は、それぞれ
アメリカ:67ドル
メキシコ:11ドル

この平均所得の数値を見れば、両国には所得格差があり、所得面では一見、分断されている様に感じます。しかし、両国の所得分布をグラフ化すると違った世界が見えてきます。
両国には所得額に重なりがある層が一部存在し、単純に両国の平均所得だけを見て、「分断」されているとは言えないということが理解できます。
ここで著者が警鐘を鳴らすのが、第1章で示される、分断本能 「世界は分断されている」という思い込み というわけです。

その他も含め、本書で示される10の思い込みは以下の通り。

分断本能 「世界は分断されている」 という思い込み
ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」 という思い込み
直線本能 「XXXはひたすら増え続ける」 という思い込み
恐怖本能 「それほど危険でないことを、恐ろしいと考えしまう」 という思い込み
過大視本能 「目の前の数字が重要だと考えてしまう」 という思い込み
パターン化本能 「ひとつの例が全てに当てはまる」 という思い込み
宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」 という思い込み
単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」 という思い込み
犯人捜し本能 「誰かを攻めれば物事は解決する」 という思い込み
焦り本能 「いますぐ手をうたないと大変なことになる」 という思い込み
先程の所得レベルと暮らしのシーンのマトリックスは、6番目のパターン化本能で詳しく解説されています。

Dollar-Streetを見て分かることは、

・国は違っても所得の同じ層には驚くほどの共通点があること
・国は同じでも所得が違えば暮らしぶりも全く異なること
・人々の暮らしぶりに大きな影響を与えているのは、宗教・文化・国ではなく、収入であること

また、54の国があり、10億人が住むアフリカ大陸を「アフリカの国々」、「アフリカの問題」として、一括りにすることがいかに間違った考えであることを指摘しています。

パターン化本能 「ひとつの例が全てに当てはまる」 という思い込みを抑えるための解決策は、分類を疑う こと。
そして、「ドラマチックすぎる世界の見方」が原因としています。

先程挙げた10の思い込み、それを解消するための大まかなルール、そして、「ドラマチックすぎる世界の見方」とは?
詳細は、本書を手にとって確認してみて下さい。


●5つのグローバル・リスク

本書は全体を通して、様々なデータを提示し、世界は良くなっている、世の中捨てたもんじゃないよ といったトーンで私たちに問い掛けますが、本書後半では、著者自身が心配する5つのグローバルでのリスクが挙げられます。

・感染症の世界的な流行
・金融危機
・第三次世界大戦
・地球温暖化
・極度の貧困

最初の3つはこれまでに起きたことがあるし、あとの2つは現在進行中だ。(中略)これらの危機を避けるには、人々が力を合わせて、小さな歩みを重ねるしかない。

それらリスクの解決には、まずは正確な現状を知ること。人が生きる上で必須スキルと言えるでしょう。
単なるドライな分析屋ではない著者、こうしたリスクに対しての対策も私たちにこう呼びかけます。

怖がらなくてもいいとも言えない。でも頭を冷やして世界の人々と力を合わせ、こうしたリスクを減らす手助けをしてほしい。焦り本能を抑えよう。すべてのドラマチックな本能を抑えよう。ドラマチックすぎる世界で現実離れした問題に頭を悩ませる必要はない。本物の問題に着目し、どうしたら解決できるかを考えよう。

●ご本人がTEDで出題してます。

最後に、延べ3,500万回もの再生数を誇るTEDでの著者スピーチの一つを紹介しましょう。
冒頭のテストもTEDのステージで出題してますので、是非ご覧下さい。

世界について無知にならないために:ハンス&オーラ・ロスリング
著者のハンス・ロスリング氏は、2017年2月に他界されていることを、本書の著者プロフィールで初めて知って胸が熱くなったのは私だけではないはずです。 (TT)

 

 


映画 記者たち~衝撃と畏怖の真実~

2019年03月31日 16時49分51秒 | 社会・文化・政治・経済

解説

「スタンド・バイ・ミー」の名匠ロブ・ライナーが、イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた記者たちの奮闘を描いた実録ドラマ。2002年、ジョージ・W・ブッシュ大統領は、サダム・フセイン政権を倒壊させるため「大量破壊兵器の保持」を理由にイラク侵攻に踏み切ることを宣言。

ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった大手新聞をはじめ、アメリカ中の記者たちが大統領の発言を信じて報道を続ける中、地方新聞社を傘下にもつナイト・リッダー社ワシントン支局の記者ジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルは、大統領の発言に疑念を抱き、真実を報道するべく情報源をたどっていくが……。

物語の中心となる記者役に「スリー・ビルボード」のウッディ・ハレルソン、「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデン。

そのほかジェシカ・ビール、ミラ・ジョボビッチ、トミー・リー・ジョーンズが共演。

 
SNS 上に出所不明の悪質なデマが飛び交い、世界最大の権力者たるアメリカ合衆国大統領が都合の悪いメディアの報道を〝フェイクニュース〟などと公然とこき下ろす昨今。
 これほどまでに世の中に嘘が蔓延し、真実というものが不確かになってしまった時代がかつてあっただろうか。
 ところがアメリカでは過激な言動で物議を醸すドナルド・トランプ大統領の誕生よりも10 年以上前に、政府が自国民と世界中を欺く巨大な嘘をついていた。
「イラクのサダム・フセインは大量破壊兵器を保有している」。
これが2003 年におけるイラク戦争の開戦理由のひとつだったが、のちに大量破壊兵器は見つからず戦争の大義が失われ、情報の捏造だと明らかになった。しかも当時、大手メディアは軒並みこのジョージ・W・ブッシュ政権下の嘘に迎合し、権力の暴走を押しとどめる機能を果たせなかった。
ただし、たったひとつの新聞社を除いては……。イラク侵攻の軍事作戦名〝衝撃と畏怖<いふ>〟を題名に掲げた本作は、世に真実を伝えることに並々ならぬ執念を燃やした記者たちの知られざる実話の映画化である。
 本作が光をあてる中堅新聞社ナイト・リッダーの取材チームが置かれた立場は、まさに八方塞がり。
傘下の新聞社からは記事の掲載を拒絶され、オフィスには匿名の脅迫メールが届き、身内からも裏切り者呼ばわりされる。
そんな孤立無援の状況のもと、4人の記者は大手メディアが気に留めないような末端の政府職員へも地道な取材を実施。
確かな証拠に裏打ちされた真実を探り当てていった彼らの不屈のジャーナリスト魂を、力強いタッチで描き出す。
 また、モデルになった記者たちが撮影現場でアドバイザーを務めた本作は、4人の苦難に満ちた闘いの軌跡を事実に基づいて映像化。
深い苦悩を抱え、時に怒りを露わにしながらも、職場ではジョークを言い、喜びを分かち合う。妻や恋人などの数少ない理解者に支えられ、大切な人たちの明日を守るために、敢然と逆境に立ち向かっていくその姿は心を揺さぶってやまない。
決して浮世離れした美談ではなく、固い信念とプライドを胸に秘めて仕事をまっとうしていく男たちを等身大の視点で描き、あらゆる観客の熱い共感を誘うエモーショナルなドラマに仕上がった。

スタッフ

監督
ロブ・ライナー
製作
マシュー・ジョージ
ロブ・ライナー
ミシェル・ライナー
エリザベス・A・ベル

キャスト


公正なデジタル市場の確立

2019年03月31日 16時43分22秒 | 社会・文化・政治・経済

世界消費者権利デーは、1962年3月15日に、米国のケネディ大統領によって消費者の4つの権利(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利)が初めて明確化されたことを記念し、世界中の消費者の権利を促進するために国際消費者機構(CI:Consumers International)が提唱している世界的な記念日です。

今年の世界消費者権利デーのテーマは、「公正なデジタル市場の確立(Making digital marketplaces fairer)」です。
近年、高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用した取引が増加傾向にあります。インターネットを経由して、国内外の事業者と手軽に取引を行うことが可能となったことにより、消費者にとっては利便性が向上している一方で、トラブルに遭遇するリスクも増大しております。
インターネット取引は、関連する技術やサービスの変化が著しく、かつ関係者が多岐にわたるという特性があります。このため、消費者権利の擁護・増進のためには、適正な表示・取引等に関する法規制に加え、事業者によるサービス向上のための自主的な対応を促し、消費者自身の判断力を高めることで、相互に補完し合うように各種の取組を進めることが重要であり、今後とも、様々な手段によって、消費者が安心してインターネット取引ができるよう取り組んでまいります。
また、インターネット取引に関連し、昨今、仮想通貨取引が増加しております。仮想通貨の取引には、価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等があることを十分に理解することが重要です。そのため、消費者庁としても、関係省庁と連携して対応を進めてまいります。

消費者庁においては、消費者被害の防止及び救済に向け、消費者ホットライン「188」(いやや)の周知・広報や、消費者教育の充実、地方における相談体制の整備を進めております。昨年10月には、独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律が施行され、被害回復のための訴訟を行う消費者団体を、独立行政法人国民生活センターがバックアップすることが可能となりました。
加えて、この通常国会においては、消費者と事業者との間の交渉力等の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を図るため、取り消すことができる不当な勧誘行為の追加等を内容とした消費者契約法の改正法案を提出いたしました。
また、特定商取引法、景品表示法等の所管法令を厳正に執行し、悪質商法や不当表示を徹底的に排除してまいります。

さらに、事業者による消費者との信頼関係の構築に向けた、消費者志向経営の取組も重要です。事業者団体、消費者団体と連携して、消費者志向経営の推進に取り組んでまいります。これに加え、消費者による、人や社会・環境に配慮した事業者の活動を応援する「倫理的消費」を推進し、消費者と事業者の協働による持続可能なより良い社会の実現に取り組んでまいります。

2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成に向けて、政府は、2016年12月に実施指針を策定し、これに基づいた取組を行っています。
昨年12月には、SDGs推進のための今後の工程と、実施指針を踏まえた主要な取組がアクションプランとして取りまとめられたところです。
消費者庁としても、「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、関係省庁、地方公共団体、消費者団体等と連携しながら施策を推進してまいります。

本日、成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法の改正法案が閣議決定されました。成年年齢の引下げを見据えて、消費者教育の充実を始めとする消費者被害の拡大防止策に取り組んでまいります。

消費者行政を担う大臣として、高度情報通信社会の更なる進展等に伴う消費者を取り巻く環境の変化を注視しながら、消費者の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。

平成30年3月13日
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
福井 照

消費者庁について


戦国日本と大航海時代

2019年03月31日 16時14分22秒 | 社会・文化・政治・経済
 
- 秀吉・家康・政宗の外交戦略 

平川 新 (著)

商品説明

和辻哲郎文化賞一般部門(第31回)】日本はなぜ「世界最強」スペインの植民地にならなかったのか?

秀吉の朝鮮出兵、鎖国へ急転した家康、遣欧使節を送った政宗の狙い…。史料を通じて、戦国日本とヨーロッパ列強による駆け引きを描きだし、数々の謎を解明する。【「TRC MARC」の商品解説】

15世紀以来、スペインやポルトガルはキリスト教布教と一体化した「世界征服事業」を展開。

16世紀にはアジアにまで勢力を広げました。本書は史料を通じて、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗らとヨーロッパ列強との虚々実々の駆け引きを再現します。秀吉はなぜ朝鮮出兵したのか、家康はなぜ鎖国へ転じたのか、政宗はなぜ遣欧使節を送ったのか、そして日本が植民地にならなかった理由は――。

日本史と世界史の接点に描かれるダイナミックな歴史像がここにあります。【商品解説】

15世紀以来、スペインやポルトガルはキリスト教布教と一体化した「世界征服事業」を展開。

16世紀にはアジアにまで勢力を広げました。本書は史料を通じて、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗らとヨーロッパ列強との虚々実々の駆け引きを再現します。秀吉はなぜ朝鮮出兵したのか、家康はなぜ鎖国へ転じたのか、政宗はなぜ遣欧使節を送ったのか、そして日本が植民地にならなかった理由は――。日本史と世界史の接点に描かれるダイナミックな歴史像がここにあります。【本の内容】

世界征服事業を進めたスペインとポルトガルに、なぜ戦国日本は屈しなかったのか。秀吉の朝鮮出兵をめぐる謎を入り口に、解き明かす。【本の内容】

Posted by ブクログ 2018年07月20日

 

織田信長、豊臣秀吉、イエズス会、徳川家康、三浦按針、フランチェスコ会、スペイン国王フェリペ3世、伊達政宗、徳川家光、支倉常長、ローマ法王パウルス3世といった面々が、日本史と世界史のボーダーなんかお構いなしに知略謀略の限りを尽くすというお話…じゃなかった歴史書。

テーマは、大きく分けて、大航海時代において日本が当時の最強国スペイン等の植民地にならなかったのはなぜかと、伊達政宗はなぜあのタイミングで慶長遣欧使節団を送り出したのか、の2つ。

1つ目のテーマについて、文禄・慶長の役は秀吉が耄碌したためではなくてスペイン・ポルトガルを掣肘するための戦争だったという説には度肝を抜かれるものの、トルデシリャス条約下のスペイン・ポルトガルのつばぜり合いをロシアvsイギリスのグレート・ゲームに、朝鮮の服従拒否を壬午事変に置き換え(こじつけ?)れば、あら不思議、著者いうところの戦後の「一等国」としての世界史への登場も含め、日清戦争の時代背景に見えてこなくもない。

秀吉の目論見は見事当たり、ヨーロッパ列強からは日本は” 軍事大国””帝国”として認識され、侵略の対象とはならなかったというのには、日本スゴイ本的な臭いがして(もちろん著者の平川先生はそうではないとあとがきで説明しておられる)、微妙な気分になるが、平川先生に倣い日本史/世界史のボーダを無視、史上の画期となった攻城戦ということで、第二次ウィーン包囲と大阪冬の陣を比べてみると、wikipedia調べで、なんと後者の方が大規模(前者で神聖ローマ帝国が動員した籠城方8万、後者で徳川軍が動員した寄せ手20万)。しかも徳川軍はほぼ常備軍。
それに、戦国日本の諸国を、ヨーロッパでいうところの領邦国家等と捉えれば、ヨーロッパ人の目には織豊政権や徳川幕府が「帝国」に見えるのは、考えて見れば不思議ではないのかも…。

研究書としての価値は素人にはわかりませんが、知的刺激に溢れた1冊であることは間違いありません。
2つ目のテーマと合わせて、1冊で2冊分楽しめるという点でお買い得でもあります。

著者について

1950年,福岡県生まれ.80年,東北大学大学院文学研究科修士課程修了.宮城学院女子大学助教授,東北大学教授などを経て,2005年から07年まで東北大学東北アジア研究センター長,12年から14年まで東北大学災害科学国際研究所所長を務める.14年より宮城学院女子大学学長. 著書『伝説のなかの神――天皇と異端の近世史』(吉川弘文館,1993年) 『紛争と世論――近世民衆の政治参加』(東京大学出版会,1996年)『近世日本の交通と地域経済』(清文堂出版,1997年) 『開国への道(「日本の歴史」第12巻)』(小学館,2008年) 『通説を見直す――16~19世紀の日本』(編,清文堂出版,2015年) など.

 

 


その人の個性と判断

2019年03月31日 14時39分31秒 | 沼田利根の言いたい放題

謝罪しても、追い打ちをかけられるように、メールが矢継ぎ早にくる。

つまり、執拗に責められたような嫌な気分となる。。
相手の性格(個性)なのだろうか?
<白黒つけたい>ということと、事実を確かめたいという意図と想われら。
1度のメールが2度になり、3度目のメール。

そのへの返事は放置することにした。


AIはどこまで「判断」できるのか?

2019年03月31日 14時20分39秒 | 社会・文化・政治・経済

AIが得意とするのは、なんといっても記憶や計算、情報処理といった分野です。扱える情報量が格段に違うため、人間はAIに太刀打ちできません。AIは情報化できるものはすべてデータとして管理することができます。そのため、音声、画像、映像の認識や分析などの仕事はすでにAIなくして成り立ちません。

 AIは記憶や情報処理能力に長けているので、マニュアル化された仕事も得意です。海外では、病院内で食事や処方せんを患者ごとに自動的に輸送するロボットがすでに実用化されています。食品工場では、ベルトコンベアで運ばれてくるレタスを測定し、品質基準に満たないレタスを選り分けるロボットが導入されています。身近なところでは、食材を伝えると献立を考えてくれる電子レンジや冷蔵庫など、AIを搭載した便利な家電製品が続々と登場しています。

AIに倫理的な判断をさせようとしたらどうなるか

AIが不得意なのは、マニュアル化されていない作業や前例のない仕事のほか、クリエイティブな分野です。
AIは過去のデータを分析することには長けていますが、まだシステム化されていない物事に対して新しい仮説を立てることは不得意です。
さらに、人間の喜怒哀楽の感情を察したり、感じ取ったりすることはある程度まではできますが、客の要望に臨機応変に対応するサービス業や医療、介護など、人間の心の機微にかかわる分野は得意とはいえないでしょう。
AIに芥川賞を取るような小説を書かせることは現時点ではまず不可能だと思います。

さて、ここでもう1つ触れておきたいのは、AIがどこまで自分で判断できるのかという、判断の限界についてです。例えば、AIに倫理的な判断はできるでしょうか? 言うまでもなく、人間によるインプットなしにAIに倫理的な判断はできません。
印南一路さんがアイティメディアで執筆した記事一部です


勝つべくして勝つ

2019年03月31日 12時34分01秒 | 社会・文化・政治・経済

教育は「光」である。
教師は子どもたちにとっての<励ましの太陽><希望の光源>。
教師による<今日的な教育理論を構築>する。

記憶に残る逆転、選手たちの持つ「勝つイメージ」から生まれた。
番狂わせは偶然の産物ではない。
勝つべくして勝つ。
人生にも通じるだろう。
勝つか、負けるか。
逃げるか、挑むか。
勝利への確信は自分自身という<最も強い敵>に立ち向かい、限界の壁を突破してこそ、不動のものとなる。
春は「新しい決意」で「新しい挑戦」を始めるチャンス。


ひきこもり高齢化、深刻 

2019年03月31日 12時00分12秒 | 社会・文化・政治・経済

就活失敗、抜け出せず

毎日新聞2019年3月30日 東京朝刊
内閣府の初の実態調査で、推計60万人に上ることが明らかになった中高年層のひきこもり。

調査結果では就職氷河期世代の40代が4割を占めるが、このまま長期化すれば、80代の親が生計の不安を抱えながら50代のひきこもりの子を支えるという「8050問題」が深刻化する。主婦や高齢になってからの退職者がひきこもりになっている実態も浮かび、若者層にとどまらない支援が急務になっている。
「若い人を育てる余力が、会社になかった」。

就職氷河期に「ブラック企業」に入ってしまい、ひきこもりに…【熊谷豪、原田啓之】




 


取手駅西口A街区再開発/事業協力者は大京JV

2019年03月31日 11時35分40秒 | 社会・文化・政治・経済

茨城県取手市/取手駅西口A街区再開発/事業協力者は大京JV  [2018年1月29日5面]

日刊建設工業新聞

再開発施設の完成イメージ

 茨城県取手市は26日、「取手駅西口A街区市街地再開発事業」の事業協力者を決める手続きで、大京・戸田建設JVを最優秀提案者に選定したと公表した。
2棟構成による建物を提案。低層のA棟には駐車場やサテライト図書館などを配置。高層のB棟はサービス付き高齢者住宅(サ高住)や集合住宅が入る。
 事業は組合施行を想定。既に地元地権者らによる検討会が立ち上がっており、18年度の準備組合設立、19~21年度に都市計画決定や事業計画などの立案、組合設立を目指す。
22~24年度で工事着手と事業完了を予定する。
 業務では準備組合設立に向け、同JVが市と契約し、事業計画の素案作成を支援する。テナントの誘致や地権者の合意形成支援などを実施する。
 事業の対象地は、JR取手駅西口前で進む市施行の「取手駅北土地区画整理事業」のうち、西口交通広場近くのA街区。
開発区域は約7000平方メートル。商業地域に指定され、建ぺい率は80%、容積率は500%が上限。地権者数は22人。
 同事業は、市民の健康を増進する「ウェルネス・タウン取手」の創造を目指し、健康・医療や商業業務施設の集積を図る。地区面積は約6・5ヘクタール。
既に中核施設のトレーニングジムなどが入る「取手ウェルネスプラザ」が開業している。
 

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取手駅西口A街区市街地再開発事業が進行中!

2019年03月31日 11時32分27秒 | 社会・文化・政治・経済

初の100m級タワーマンションとなる予定

取手駅の西口周辺では、取手駅北土地区画整理事業が進展しており、新しい街区が整備されてきています。その中の駅前のA街区で、「取手駅西口A街区市街地再開発事業」が進行しており、2022年度の着工、2024年度の竣工を予定しております。

取手駅西口A街区市街地再開発事業は低層のA棟と超高層のB棟で構成され、低層のA棟には駐車場と図書館、超高層のB棟には住宅とサービス付き高齢者向け住宅が入居する予定です。

超高層のB棟は取手駅周辺では初の100m級タワーマンションとなる予定で、取手駅前の新たなランドマークとなることでしょう。

完成予想イメージでは斬新でモダンな外観が公開されています。

取手駅西口A街区市街地再開発事業




藤井信吾取手市長の実績は?

2019年03月31日 11時21分08秒 | 日記・断片

昨夜は午後7時30分の会合へ行く。
久しぶりに会う人も多かった。
敢闘会に姿を見せない人たちに、「元気ですか」「忙しそうですね」などを声をかけた。
「忙しいわけではない。実は暇」と本音も聞けた。
「たまには、敢闘会に来ませんか」と声をかける。
会合前は雨が降っていなかったのに、会館の外は雨が激しく降ってきた。
大粒の雨に頭を打たれて、帽子を会場に置き忘れたことに気づく。
多くの車が会館の駐車から出てくるので、帽子を取に戻るのを控えた。
我々が乗ってきた車の後の車に迷惑をかけられない。

今日は、午前8時40分に富田さんんと待ち合わせをして、小堀(おおほり)の赤峰宅へ行く。
この日に小堀や林さんの地元自治会の総会もあって、参加者は8名。
また、久保さんも牛久に派遣で行っているので欠席した。
会合後の何時ものお茶会は、15分くらいで終わった。
皆さんはそれぞれ、午後、各地へ活動に行く予定になっていた。
ちなみに、お茶会で「取手西口の再開発」の話をしたが、誰も聞き流していた。
取手の藤井市長を評価していない皆さんは、「今の市長では何もできない」「藤井市長の実績は何んなの」「今度の市長選、投票しないよ」などと不評であった。
「取手は、人口が減っている。ダメだね」「期待できない」「発展性ないね。どうしたらいいのかね」などと話は暗い。
そこで、柏市のように工業団地を造り「企業の誘致」などが期待されるのだが・・・。
「東口の桜坂のバッティングセンターなど、失くせべきだ。どれだけの人が利用しているの。大きな場所をとって、ムダだ」と手厳しく言う人も。


若者自殺SNSで防げ

2019年03月31日 08時05分13秒 | 社会・文化・政治・経済

厚労省、相談事業の指針公表

 毎日新聞2019年3月30日 中部朝刊

 厚生労働省は、若者の自殺対策となる会員制交流サイト(SNS)を使った相談事業のガイドラインを発表した。

実施する団体に対し、自殺以外の具体的な選択肢を提示することや、自治体や警察と連携してリアルな世界での支援や安全確保につながる体制を整備するよう要請。

できる限り2人以上で相談に当たり、電話や対面などでも対応可能とすることを求めている。

 2017年10月、神奈川県座間市で、ツイッターなどで自自殺願望を書き込むなどした15~26歳の男女9人が殺害される事件が発覚した。


防災無線の遠藤未希さん(24)の悲劇

2019年03月31日 07時20分01秒 | 投稿欄

遠藤さんは1986年、南三陸町の公立志津川病院で産声を上げた。

待望の第1子に父清喜さん(56)と母美恵子さん(53)は「未来に希望を持って生きてほしい」との願いを込め「未希」と命名した。
 志津川高を卒業後、仙台市内の介護専門学校に入学。介護の仕事を志したが、地元での就職を望む両親の思いをくみ、町役場に就職した。同僚は「明るい性格。仕事は手際よくこなしていた」と言う。
 2010年7月17日、専門学校で知り合った男性(24)と、町役場に婚姻届を出した。職場仲間にも祝福され、2人は笑顔で記念写真に納まった。
 両親は当初、2人姉妹の長女が嫁ぐことに反対だった。「どうしてもこの人と結婚したい」。男性が婿養子になると申し出て、ようやく両親も折れた。ことし9月10日には、宮城県松島町のホテルで結婚式を挙げる予定だった。
 美恵子さんは「素直で我慢強い未希が人生で唯一、反抗したのが結婚の時。それだけ、良い相手と巡り合えたのは幸せだったと思う」と語る。
 遠藤さんの声は、住民の記憶に刻まれている。
 山内猛行さん(73)は防災無線を聞き、急いで高台に逃げた。「ただ事ではないと思った。一人でも多くの命を助けたいという一心で、呼び掛けてくれたんだろう」と感謝する。
 娘との再会を果たせずにいる清喜さんは、無念さを押し殺しながら、つぶやいた。  「本当にご苦労さま。ありがとう」
 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町の職員で、最後まで防災無線で町民に避難を呼び掛け、行方不明になっていた遠藤未希さん(24)とみられる遺体が志津川湾で見つかった。
 父清喜さん(56)や母美恵子さん(53)らによると、遺体は4月23日、志津川湾に浮かぶ荒島の北東約700メートルの地点で捜索隊が発見した。
 両親や昨年7月に結婚した夫(24)が遺体を写真で確認し、左足首に巻かれているオレンジ色のミサンガや、右肩付近のあざなどの特徴が遠藤さんと一致したという。ミサンガは夫からのプレゼントだった。
 家族は死亡診断書が届き、遺体が遠藤さん本人と確定し次第、遺体を火葬し、葬儀を営む予定。
 遠藤さんの実家も津波で被害を受けた。両親は避難所で暮らしながら、手掛かりを求めてがれきの街を捜し回り、遺体安置所の町総合体育館に通い続けた。
 美恵子さんは3月下旬、遠藤さんが水中で亡くなっている夢を見た。「未希が『早く捜してほしい』と、助けを求めていると思った。亡くなったことはつらいが、遺体が見つかり、家に迎え入れることができるだけでもよかった」と言う。
 清喜さんは「家に帰って来てくれれば、いくらかでも気持ちは違うと思う。今も行方不明の方々がいることを考え、葬儀はしめやかに行いたい」と話した。
 遠藤さんは3月11日午後2時46分から約30分間、防災対策庁舎2階にある放送室から防災無線で「高台に避難してください」「異常な潮の引き方です。逃げてください」などと呼び掛け続けた。津波が庁舎に迫ったため放送室を出た後、行方が分からなくなっていた。河北新報


3階建て庁舎屋上を2mも上回る津波

2019年03月31日 05時55分47秒 | 社会・文化・政治・経済

祈りと感謝のコンサート2019

3月30日、取手ウェルネスプラザ多目的ホール。

「東日本大震災と原発事故を体験して」

取手・南相馬・双葉浜通りの集い 代表三浦邦夫さんが、南三陸町志津川の総合防災庁舎で、防災無線を使いぎりぎりまで住民に避難を呼び掛けた二人の男女職員のことを紹介した。

 

 宮城県南三陸町の防災対策庁舎から防災無線で町民に避難を呼び掛け続け、津波の犠牲になった町職員遠藤未希さん=当時(24)=の悲劇

また、防波堤の水門を閉めに行き犠牲人になった方々のことも紹介した。

「大津波警報が発令されました。高台に避難してください」

 「6メートルの津波が予想されます」「異常な潮の引き方です」「逃げてください」
 防災無線の呼び掛けが、多くの命を救った。だが、声の主の行方は震災から1カ月たった今も知れない。
 3月11日午後2時46分、宮城県南三陸町の防災対策庁舎2階にある危機管理課。

町職員遠藤未希さん(24)は放送室に駆け込み、防災無線のマイクを握った。

防災無線で告げる「津波がきます。逃げてください。逃げてください。逃げてください。逃げてください。高いところに逃げてください。高いところへ逃げてください。津波がきます。逃げてください。逃げてください。逃げてください」

防災無線で必死に叫び続ける。 防災無線が30分も続いたころ、津波は庁舎に迫りつつあった。

「もう駄目だ。避難しよう」。上司の指示で遠藤さんたちは、一斉に席を離れた。

 同僚は、遠藤さんが放送室から飛び出す姿を見ている。屋上へ逃げたはずだった。

が、津波の後、屋上で生存が確認された10人の中に遠藤さんはいなかった。

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南三陸町の津波による死者数は566名、行方不明者数が310名(12月28日現在)にも上った。

 住民の大多数が「地震の後には津波」との意識が高かった地域でありながらこんなにも多くの犠牲者が出てしまった。
防災対策庁舎では繰り返し「高台へ非難してください」と防災無線で呼びかけ続けていたが、まさかその3階建て庁舎屋上を2mも上回るとんでもない津波が襲ってくるとは、高台に避難していた人たちさえ目を疑ったことだった。
南三陸町の防災対策庁舎が赤い鉄骨だけになり町長の安否不明との第一報は、3月13日河北新報朝刊であったが、大震災当日の様子を報じたのは3月16日の朝刊だった
職員二十数人いまだ不明
 「われわれ年寄りは生き残り、若い職員が流されてしまった」
 宮城県南三陸町の遠藤健治副町長(62)は、悔しさをにじませた。11日の東日本人震災で、町民8OOO人以上が行方不明になっている同町。住民を避難させようと、最後まで庁舎に残った職員二十数人の行方もいまだに分からない。
 遠藤副町長ら、最後の職員が陣取ったのは同町志津川の総合防災庁舎3階の建物、今は、赤い鉄骨が残るだけだ。
 津波の第1波の襲来まで庁舎内には約30人の職員がいた。しがし、無事が確認されたのはわずが8人。遠藤副町長もその一人だった。
 依然行方が分がらない職員の多くが防災担当だった。防災無線を使いぎりぎりまで住民に避難を呼び掛けた。屋上に避難してフェンスやアンテナにしがみついたが、津波の力は想像をはるかに超えていた。
 階段の手すりにしがみついて一命を取り留めた佐藤徳憲総務課長(60)は、第1波の後、多くの仲間が消えていることに気付いた。「何とも言えない失望感。ただそれだけたった」
 安否が確認できていない町職員は30~40人で、全職員の約2割に相当する。これから町を担う30代の中堅職員や10~20代の若手職員が含まれる。
 地震の際、津波を警戒し、町の職員は陸門の閉鎖を確認し、全庁をあげて町を守る。「住民を守る一心で任務に当たり逃げる最中にのみ込まれたかもしれない「。仲間を失った職員の一人は、やりきれない表情を浮がぺた。
 町は壊滅的な打撃を受けた。町民の約半数の安否が分かっていない。復興には町職員の力が必要だ。とりわけ若い力は欠がせない。
 旧歌津。志津川両町の合併による町制施行から6年。遠藤副町長は「まちづくリを本格化させようという時に、力を発揮してくれる若手がいなくなるのは本当に無念だ」と屑を落とし、こう続けた。
 「骨組みだけになつた防災庁舎で一夜を過ごした時。(佐藤仁)町長と話したんだ。流された職員の分まで頑張らなくちゃいけない、と」
 そう誓った遠藤副町長。対策本部の町総合体育館で、捜索と避難者救助の陣頭指揮を執る。
屋上の床上約2メートルの高さまで津波にのまれた。助かった職員はアンテナにつかまることができた人と手すりで必死に耐えられた人たちだけだったという。
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東日本大震災で津波を知らせる防災行政無線の放送内容は、被災した沿岸自治体ごとに違っていた。予想された津波の高さを知らせず、「とにかく逃げて」と訴えて功を奏した自治体もある一方、「高さ3メートル」と放送したため、2階に避難すればいいと判断して被災した人が多い自治体もある。行政は何をどう伝え、市民はどう対処すべきか。課題を残した。

 3月11日、気象庁は地震発生3分後の午後2時49分に大津波警報を発令し、1分後に岩手県には高さ3メートルの津波が来ると予想した。これを受け、岩手県釜石市は午後2時50分と同52分に「高いところで3メートル程度の津波が予想されます。海岸付近の方は直ちに近くの高台か避難場所に避難するよう指示します」と市内96カ所のスピーカーで放送した。

 気象庁は津波予想を、午後3時14分に6メートルと切り替え、同31分に10メートル以上とした。しかし、市は停電で気象庁情報を伝えるメールを県から受け取ることができなくなっていた。この間、避難を指示する放送を6回繰り返した。

 その結果、市民の中には「津波は3メートル」と思い込み、2階に避難すれば大丈夫と判断した人が多かった。実際には、釜石港には約9メートルの津波が押し寄せたとみられている。

 2階建ての同市鵜住居(うのすまい)地区の防災センターには周辺住民150~200人が駆け込んだが、2階まで被災し生存者は約30人だった。避難した古川悌三さん(72)は「もっと高い津波と知っていたら山に逃げた」と話す。

 同市の漁師坂本正男さん(55)は地震発生時、海辺の倉庫でワカメの加工作業をしていた。立派な防潮堤があるので、3メートルの津波なら避難しなくていいだろうと思ったという。だが、外に出てみると、すさまじい音が海から聞こえ、慌てて逃げた。「妹と義兄も見つかんねえ。こりゃあ人災じゃねえか」と憤る。

 市防災課は「確実な情報が得られない中で精いっぱいやった」としている。

 一方、隣の岩手県大船渡市は当初から津波の高さを言わず、大津波警報の発令と高台への避難のみを呼びかけた。市防災管理室は「津波は湾によって高さに差が出るので、誤解を与えないようにしている。警報の発令さえ知らせれば逃げてもらえる」という。

 大船渡港を襲った津波は約9.5メートルとされる。同市の死亡・行方不明者は約500人。一方、釜石市は1300人を超えた。

 岩手県山田町は「3メートル以上」と放送した。
その後、予想される津波の高さが6メートルに切り替わったことをテレビで確認し、放送の準備をした。
しかし、消防署庁舎から津波が見えて、全員が屋上に避難し、放送できなかった。

 同町の田老邦光さん(52)は「3メートル程度の津波と思い込み、自宅の2階に避難した人が大勢いる。自分も堤防を越える津波を見て慌てて逃げた」と話す。
職員の間からは「ただ『逃げてください』と連呼した方がよかったのでは」との反省も出ているという。

 市街地がほぼ壊滅した陸前高田市と大槌町では資料がすべて流されてしまったため、どんな放送をしたかわかっていない。

 宮城県では当初から6メートルの大津波警報が出ていたが、放送内容は自治体によって違っていた。
南三陸町では、地震直後から「6メートルの津波が来ます」と防災無線で呼びかけた。
無線を聞いて高台に避難した町民も多かったが、実際の津波は15メートルを超えており、3階建ての防災対策庁舎が水にのまれて、多くの町職員が犠牲になった。

 同県気仙沼市の対策本部によると、3月11日当日は、気象庁の大津波警報が出た時点で防災無線を使って避難を呼びかけた。具体的な津波の高さを明示して注意を促したかどうかは記録が残っていないが、「とにかく高台に避難を、と徹底的に呼びかけた」という。

 群馬大大学院災害社会工学研究室の片田敏孝教授は「速報性を重視する気象庁が初期段階で発表した3メートルという数字が独り歩きしてしまった。津波速報の活用方法を、行政も市民も見直す必要がある」と話す。(青木美希)

アサヒ・コム  

写真下:奥に見えるビルは、75人の死者・不明者を出した公立志津川病院である                                    


震災 祈りのコンサート取手

2019年03月30日 18時20分56秒 | 社会・文化・政治・経済

毎日新聞を読んで、祈りのコンサートへ行く。

会場へ着くと、藤井信吾取手市長の挨拶が行われるところであった。

市長は一時期、取手市内の住民が減ったこととを告げるとともに、現在、取手市にで働いている人が増えていると報告した。

また、西口のロータリーが拡張される計画や高層のマンションが建設される予定であることなどを明らかにした。

挨拶する藤井信吾取手市長

赤ベコの唄を熱唱する歌手の鈴木ミチさん

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祈りのコンサート 東北出身の歌手グループ、あす取手で 地元合唱団も出演 

毎日新聞2019年3月29日 

 東北出身の歌手らによる「祈りと感謝のコンサート 和魂歌」が30日、取手市新町2の取手ウェルネスプラザで開催される。東日本大震災の犠牲者を追悼し被災者支援に感謝するため、市内の作曲家で歌手の鈴木ミチさん(44)が企画。来場を呼びかけると共に、運営費を賄うため福島の民芸品にちなんだ「絆ベコ」を販売中だ。

 当日は、福島県会津若松市出身の鈴木さん▽同県南相馬市の福島はじめさん▽宮城県石巻市の大内あゆみさんら歌手のほか、この日のために特別編成した地元の「ひだまり合唱団」も出演する予定。

 コンサートは今年で4回目。
鈴木さんと東北出身の歌手でつくる復興支援グループ「東北を繋(つな)ぐ架け橋プロジェクト ひだまり」が主催。鈴木さんは「震災以降も各地で地震や水害が相次ぎ、みんながボランティア精神で手を取り合い、助け合っている。お互いの絆を大切にしていきたい」と話す。合唱団のメンバーで、土浦市の自営業、一水(いちみず)志穂さん(49)は「心に響く優しい歌を歌います」と張り切っている。

 絆ベコは会津若松市の民芸品「赤べこ」と同形だが、華やかに着色。鈴木さんが同市内の民芸品製作所に依頼した特注品だ。毎年そろえて自宅に飾る人もいるという。大小の2サイズ。小(15センチ、2000円)は銀とピンク、緑の3色。大(30センチ、1万円)は銀色。メッセージを書いて会場に並べ、終了後に持ち帰る。希望者には出演歌手がサインする。

 入場無料。当日は正午から整理券を配り、午後1時開演。問い合わせは鈴木さん(080・5473・1279)。