テロを超える「贈り物」パリ同時多発テロで妻を亡くしたフランス人ジャーナリストのアントワーヌ・レリスさんが、フェイスブックの投稿したテロリストグループへのメッセージがが欧米諸国や日本で大きな反響を呼んでいる。
共感をもたらした理由は、第一に妻、エレンさんが1歳5か月の男の子を残したという悲劇性であろう。
第二には、夫であり父親であるレリスさんが「怒りで憎しみに応えるのは、君たちと同じ無知に屈することになる」と、確固として理性を発揮して、「君たち(テロリストたち)を恨まない」「君たちに憎しみの贈り物」をあげない」と、反報復の意思を表明した点であろう。憎しみの感情を燃やし、復讐の攻撃に加わるという報復主義にはくみしないというのだ。
さらに第三 には、妻に愛の賛歌を贈るとともに、2人の間に芽吹いた新しい命=幼い息子=を、殺し合いなどにはしらないまろやかな人間として成長させることの方こそが、大事だという思いを、日常的な育児の大切さを語る形で表明している点だ。
いかなる戦争であれテロであれ、極論すれば、どちらの側が正当かを議論しても意味がに。
そこに生まれるのは、狂気の殺し合いであり、双方ともに直面する悲劇の累積でしかないからだ。
レリス産のメッセージを、私は以上のように読み解いた。
作家・柳田邦男さん(毎日新聞)
共感をもたらした理由は、第一に妻、エレンさんが1歳5か月の男の子を残したという悲劇性であろう。
第二には、夫であり父親であるレリスさんが「怒りで憎しみに応えるのは、君たちと同じ無知に屈することになる」と、確固として理性を発揮して、「君たち(テロリストたち)を恨まない」「君たちに憎しみの贈り物」をあげない」と、反報復の意思を表明した点であろう。憎しみの感情を燃やし、復讐の攻撃に加わるという報復主義にはくみしないというのだ。
さらに第三 には、妻に愛の賛歌を贈るとともに、2人の間に芽吹いた新しい命=幼い息子=を、殺し合いなどにはしらないまろやかな人間として成長させることの方こそが、大事だという思いを、日常的な育児の大切さを語る形で表明している点だ。
いかなる戦争であれテロであれ、極論すれば、どちらの側が正当かを議論しても意味がに。
そこに生まれるのは、狂気の殺し合いであり、双方ともに直面する悲劇の累積でしかないからだ。
レリス産のメッセージを、私は以上のように読み解いた。
作家・柳田邦男さん(毎日新聞)