レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

ヴェセタ? アイスランドの電話のかけ方

2015-07-19 05:00:00 | 日記
いつだったかテレビの「相棒」を見ていました。右京さんが亀山君の携帯に電話したのですが、亀山君が「はい、亀山です」と答えると右京さん:「わかっています。君の携帯にかけているのですから」

なるほど、と思いましたが、日本では普通は携帯ではどのように応答するのでしょうか?私は携帯が普及する前に日本を出てしまいましたし、帰省の際には携帯を使わないので、その辺り浦島太郎です。

日本では電話の応対は丁寧にしますよね。会社ではもちろんですが各個人の家庭でも「一般的に」丁寧だと思います。私は三年間ほど新橋の小さな財団法人でサラリーマンをしていました。大企業ほどの厳しいマナー教育はありませんでしたが、電話の受け答えはやはり職場のイロハですので習いました。

「トゥルルル....」
「お早うございます。六田奈教育センターのトーマでございます」
「屋焙教育事務所の鈴木と申しますが、出版の萩原さんはいらっしゃいますか?」
「大変お世話になります。萩原ですね、はい、すぐにお繋ぎいたします」

私の職場のレベルではだいたいそんな感じでした。ハイビジネスになるに連れて、より洗練された対応になっていくのでしょうが、たとえ庶民レベルの職場でも丁寧さというものが一般的だろうと思います。

アイスランドへ来てからのカルチャーショックの五本の指に入るのがこの電話の応対でした。来て間もない頃は(1992年頃)は、まだ携帯は出回っていませんでしたし、職場にも縁がなかったので、まずは家庭電話でした。

「トゥルルル....」
「Hello, this is Anita and Toshiki’s home(Anitaは前のカミさんの名前の代用)」
「Is Anita at home?」
「Yes, who’s calling?」
「Einar」

これはまだましな方です。一番多かったのは「Anita!」と話したい人の名前を怒ったように告げるだけのものでした。「Hello」も「Excuse me, my name is ...」もないので「ずいぶん礼を失してるヤツだな」と何度も思わされました。

電話を受ける時も同じで、電話に出ると「Einar」と自分の名前だけを告げます。多少語尾が上がり調子になるのが普通です。「エイナルだけど、何なんだよ!」という感じに聞こえました、当時は。(^-^;

これは簡略という点では効率的でしょうが、丁寧さや会話を友好的な方向へ導こうという点においてはみすぼらしい応対です。

さらに輪をかけてびっくりしたのが、電話に応対した時に自分の名前さえ告げずに「ヴェセタ!?」と切口上で訊いてくる輩でした。

「ヴェセタ」というのは移民の間で冗談のようになっている言い回しでHver er thetta? クヴェール エル セッタ?「これは誰ですか?」のことです。我々外国人の耳には「ヴェセタ」と聞こえるのです。

「オレの家にかけてきて『誰だ?』とは何だ、バカやろう」と始めは思いました。ですが何度もこの「ヴェセタ」を経験するうちに、これは自分が間違った番号にかけてしまったかもしれない、という時にそれを確かめるための質問であって、それ以上はなにも他意がないことがわかってきました。

この「ヴェセタ」は今でもかかってきますが、そういう際は自分が誰であるかをきちんと伝えてあげます。別にもう腹も立ちません。そうすると意外にきちんと間違いを謝ったりすることもあり「かわいいじゃないか」と思ったりもします。(*^^*)

職場レベルではずいぶんマナーは向上しているように思います。私のいるネス教会では「おはようございます、ネス教会のニーナです」のように応対していますし、そういうオフィスが多いようです。観光業関連は洗練されてきていますね、さすがに。外国人相手の商売ですから。

ですがソーシャルオフィスのようにイライラして始めから喧嘩腰で応対するようなオフィスもまだまだありますね。困ったもんだ...

非常にざっくりと総括してしまうと、アイスランドの皆さんは電話でのニュアンスとかにほとんど気がつかないか、気にしないという基礎に立っているように思われます。通じればいい、ということでしょうか?

日本の方がこちらの誰かに電話される機会があるかもしれませんが、電話の向こうの相手がつっけんどんな電話の取り方をしても、必ずしも悪気はありませんので、大目に見てあげてください。

さて冒頭に触れた携帯での応対ですが、これもアイスランド的にすると「トシキ」と語尾を上げぎみに告げるべきなのですが、自分のファーストネームを口にするというのが、なんとも照れくさくて私は「ハロー」でごまかしています。

右京さんの言うように「私の携帯にかけてきているんだから、わざわざ名を告げる必要もなかろう」という気もします。ですが大体の人は「トシキ トーマですか?」と確認してきますが。

今は登録が進んでいますから、答える前から相手が誰かわかる場合が多いのですよね。それなのに「私、エリーンだけど...」などと念を押されると「チェッ、わかってるよ」という気がしてしまうこともあります。

相当自分勝手なのかなあ...とも思いますし、相当自分のアイスランド化が進んでいるのかなあ...とも思います。(寒...)


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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