十二月に入りました。今日からはアドヴェント(待降節)も始まり、一挙にクリスマスモードに入って行きます。
さて、新政権誕生について。十月末の国政選挙の結果を受けての、連立工作が続いていましたが、この木曜日に新政権が発足しました。昨年同時期の選挙後の連立工作は長々と続いて、越年をしてからの政権発足となりました。
今回も相当長い時期が必要だろう、と私は踏んでいたのですが、予想したよりも早い新政権の産声となりました。
連立するのは緑の党(11議席)、独立党(16議席)、進歩党(という名前の保守党)(8議席)の三党で、締めて35議席。総議席数63のアルシンキ(国会)ですので、32議席が過半数。
一応過半数は超えているものの、緑の党の二人の議員は当初よりこの連立構想には反対しており、「必ずしも与党法案には賛成しないで是々非々で臨む」ことを宣言しています。ですから確実な与党議席数は35マイナス2の33。かなり薄氷を踏む感じの与党政権ですね。
首相には緑の党の党首カトリーン·ヤコブスドティール(41)。緑の党の首相擁立は歴史初のことです。
カトリーン新首相
Myndin er ur Ruv.is
最大の議席を持つのは独立党なのですが、前首相のビャルトニ·ベネディクトスソン党首のリーダーシップでは、連立の話し合いが進みませんでした。前回の政権末期には色々なスキャンダルめいた事件が相次ぎましたし、「あいつが親分になるなら話しには乗らない」的な雰囲気が蔓延していましたから。
そこでカトリーンにお鉢が回ってきたわけですが、選挙前の「誰に首相になって欲しいか?」というアンケートでは、カトリーンは群を抜いてトップでしたし、今回は本人も相当その気になって「首相取り」に向かっていた感がありました。
ところが連立のパートナーとなった独立党、進歩党(という名前の保守党)は、二年半前の「パナマ文書」にまつわる特定利権と脱税スキャンダルでヒンシュクを買った際の政権与党。その後もビャルトゥニ前首相には「利権」がらみの疑惑報道が尽きなかったりしています。「そいつらと連立を組むなど、緑の党の清廉さを裏切るもの」と言った批判が出てきていました。先述の緑の党の二議員の党内「造反」もその流れの上にあります。
ですが、今現在ではカトリーン首相の誕生に国民の多数が好意を持っていますし、その追い風を受けて、今回の連立協議が成功したと言っていいでしょう。どこぞやの都知事も同じような感じで、調子に乗っていて足元を救われましたからね、カトリーンには気をつけてもらいたいところです。
で、大臣は独立党から5人、緑の党からは3人、進歩党(という名前の保守党)からも3人で計11人。ほとんどが大臣経験者で、その点では安定した感はあります。
面白いのは環境大臣に抜擢されたグビューズムンドゥル·インギ氏で、彼は国会議員ではなくLandverndランドヴェルンドという環境保護団体の長を勤めてきた人で、政治家ではありません。つい数日前になってから大臣職を打診されたとのことです。
その他の要職は、ビャルトニ前首相が財務大臣、アンデルセン前法務大臣が再び法務大臣等ですが、これは前を引きずっていて(前政権のセックスオフェンダーの名誉回復スキャンダルの主人公)心配です。
という以上に、アンデルセン法務大臣の再任は、私にとっては「どんだけ悪ムー!?」っていう感じです。難民問題になんの理解も持っていない輩なのです。
あとは福祉大臣になったのが、大臣初経験のアウスムンドゥル·エイナル氏。これもワタシ的にはいけ好かない若造と思っている男です。
新政権の大臣のお歴々
Myndin er ur Visir.is
それでも、ついでにもう一つワタシ的な感想を言っておきますと、今回の政権は全体としては「まあまあいいんじゃないの〜?」っていう感じです。
政治とかの難しいいところは、大切な問題はひとつではなく複数あることでしょう。例えば私が仕事で関わることが大きい難民や福祉の分野に関しては、レフト系の政党の政策の方がずっと好ましいのですが、そのレフト系の皆さんは、こと教会関係の問題になると、すこぶる無知無理解であって、公正さを欠いた施策を提案したりします。
その点を考えると、今回の新政権は、中心は緑の党(ちなみに私も緑の党に入っています)でありながら、全体としては保守。
ということは、私の個人的な利権には結構都合良くマッチしてくれそうな期待感を持てます。その反面で、私が主張したい「大義」的なものについては、かなりフラストレーションが溜まりそうです。
アレレ、結局人は「自分の利益か、社会の大義か?」のジレンマの前で「自分可愛さ」を選ぶのか?というのは、正直ありますねえ...
ところで、最後にアイスランド的なお話し。「この国は小さいので、カフェで隣りの席に総理大臣が座っていてもおかしくはない」的なことは、以前にも何回か書いたことがあります。庶民が有名人の知り合いを持っていても、これも特別なことではありません。
私でさえ、人気歌手のパットゥル·オスカーさんとは顔を合わせれば必ず挨拶はしますし、前市長だったヨウン·グナウルさんも同じ。仕事が縁で、多少の知り合いになるきっかけがあったのです。
それでも独立党や進歩党(という名前の保守党)の政治家連中は、住んでいる世界がまったく違うのと、思想に共通するものがまったくないことから、さらに具体的に言うと、銀行預金総額がまったく次元が違うこともあって、ほとんど袖が擦り合うこともないのが現実です。
ですから、「首相」と言うものを取り出してみますと、誰も個人的な知り合いだった人はいません。
で、この点で、カトリーンは、私が個人的に知っていて、会えば必ず挨拶もする範囲にいる人が首相になった、という初めてのケースになります。別にメチャメチャ近しいわけではないですし、祝福の電話を入れたりするほどではないですが。パットゥル·オスカーさんやヨウン·グナウルさんとは違うのは、「すでにその地位というかステイタスにいた」人と知り合うのではなくて、知っていた人が「その地位を得た」ということです。
なんと言うか、面白い気分がしますね、こういうのは。「This is Iceland」と言いたくなるような...
カトリーン、頑張れ!!
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
さて、新政権誕生について。十月末の国政選挙の結果を受けての、連立工作が続いていましたが、この木曜日に新政権が発足しました。昨年同時期の選挙後の連立工作は長々と続いて、越年をしてからの政権発足となりました。
今回も相当長い時期が必要だろう、と私は踏んでいたのですが、予想したよりも早い新政権の産声となりました。
連立するのは緑の党(11議席)、独立党(16議席)、進歩党(という名前の保守党)(8議席)の三党で、締めて35議席。総議席数63のアルシンキ(国会)ですので、32議席が過半数。
一応過半数は超えているものの、緑の党の二人の議員は当初よりこの連立構想には反対しており、「必ずしも与党法案には賛成しないで是々非々で臨む」ことを宣言しています。ですから確実な与党議席数は35マイナス2の33。かなり薄氷を踏む感じの与党政権ですね。
首相には緑の党の党首カトリーン·ヤコブスドティール(41)。緑の党の首相擁立は歴史初のことです。
カトリーン新首相
Myndin er ur Ruv.is
最大の議席を持つのは独立党なのですが、前首相のビャルトニ·ベネディクトスソン党首のリーダーシップでは、連立の話し合いが進みませんでした。前回の政権末期には色々なスキャンダルめいた事件が相次ぎましたし、「あいつが親分になるなら話しには乗らない」的な雰囲気が蔓延していましたから。
そこでカトリーンにお鉢が回ってきたわけですが、選挙前の「誰に首相になって欲しいか?」というアンケートでは、カトリーンは群を抜いてトップでしたし、今回は本人も相当その気になって「首相取り」に向かっていた感がありました。
ところが連立のパートナーとなった独立党、進歩党(という名前の保守党)は、二年半前の「パナマ文書」にまつわる特定利権と脱税スキャンダルでヒンシュクを買った際の政権与党。その後もビャルトゥニ前首相には「利権」がらみの疑惑報道が尽きなかったりしています。「そいつらと連立を組むなど、緑の党の清廉さを裏切るもの」と言った批判が出てきていました。先述の緑の党の二議員の党内「造反」もその流れの上にあります。
ですが、今現在ではカトリーン首相の誕生に国民の多数が好意を持っていますし、その追い風を受けて、今回の連立協議が成功したと言っていいでしょう。どこぞやの都知事も同じような感じで、調子に乗っていて足元を救われましたからね、カトリーンには気をつけてもらいたいところです。
で、大臣は独立党から5人、緑の党からは3人、進歩党(という名前の保守党)からも3人で計11人。ほとんどが大臣経験者で、その点では安定した感はあります。
面白いのは環境大臣に抜擢されたグビューズムンドゥル·インギ氏で、彼は国会議員ではなくLandverndランドヴェルンドという環境保護団体の長を勤めてきた人で、政治家ではありません。つい数日前になってから大臣職を打診されたとのことです。
その他の要職は、ビャルトニ前首相が財務大臣、アンデルセン前法務大臣が再び法務大臣等ですが、これは前を引きずっていて(前政権のセックスオフェンダーの名誉回復スキャンダルの主人公)心配です。
という以上に、アンデルセン法務大臣の再任は、私にとっては「どんだけ悪ムー!?」っていう感じです。難民問題になんの理解も持っていない輩なのです。
あとは福祉大臣になったのが、大臣初経験のアウスムンドゥル·エイナル氏。これもワタシ的にはいけ好かない若造と思っている男です。
新政権の大臣のお歴々
Myndin er ur Visir.is
それでも、ついでにもう一つワタシ的な感想を言っておきますと、今回の政権は全体としては「まあまあいいんじゃないの〜?」っていう感じです。
政治とかの難しいいところは、大切な問題はひとつではなく複数あることでしょう。例えば私が仕事で関わることが大きい難民や福祉の分野に関しては、レフト系の政党の政策の方がずっと好ましいのですが、そのレフト系の皆さんは、こと教会関係の問題になると、すこぶる無知無理解であって、公正さを欠いた施策を提案したりします。
その点を考えると、今回の新政権は、中心は緑の党(ちなみに私も緑の党に入っています)でありながら、全体としては保守。
ということは、私の個人的な利権には結構都合良くマッチしてくれそうな期待感を持てます。その反面で、私が主張したい「大義」的なものについては、かなりフラストレーションが溜まりそうです。
アレレ、結局人は「自分の利益か、社会の大義か?」のジレンマの前で「自分可愛さ」を選ぶのか?というのは、正直ありますねえ...
ところで、最後にアイスランド的なお話し。「この国は小さいので、カフェで隣りの席に総理大臣が座っていてもおかしくはない」的なことは、以前にも何回か書いたことがあります。庶民が有名人の知り合いを持っていても、これも特別なことではありません。
私でさえ、人気歌手のパットゥル·オスカーさんとは顔を合わせれば必ず挨拶はしますし、前市長だったヨウン·グナウルさんも同じ。仕事が縁で、多少の知り合いになるきっかけがあったのです。
それでも独立党や進歩党(という名前の保守党)の政治家連中は、住んでいる世界がまったく違うのと、思想に共通するものがまったくないことから、さらに具体的に言うと、銀行預金総額がまったく次元が違うこともあって、ほとんど袖が擦り合うこともないのが現実です。
ですから、「首相」と言うものを取り出してみますと、誰も個人的な知り合いだった人はいません。
で、この点で、カトリーンは、私が個人的に知っていて、会えば必ず挨拶もする範囲にいる人が首相になった、という初めてのケースになります。別にメチャメチャ近しいわけではないですし、祝福の電話を入れたりするほどではないですが。パットゥル·オスカーさんやヨウン·グナウルさんとは違うのは、「すでにその地位というかステイタスにいた」人と知り合うのではなくて、知っていた人が「その地位を得た」ということです。
なんと言うか、面白い気分がしますね、こういうのは。「This is Iceland」と言いたくなるような...
カトリーン、頑張れ!!
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is