小さな地震がまだまだ続いているレイキャビクより、こんにちは/こんばんは。前回のブログから一週間経ちましたが、状況は相変わらずです。
地震計で計測される地震は、一日に何百回もあるようですが、ここレイキャビクにいて身体で感じられるような揺れは、そうですね、震度3くらいのものが、それでも毎日四、五回はあるようです。

清涼感アップ用Pic 氷の洞窟
Myndin er eftir Davide_Cantelli@Unsplash
マグニチュードでいうと4程度のもので、時折り5に至るのかな?こちらの時間で金曜日の朝にはニュージーランド沖で、マグニチュード8を越える地震が三回もあったとかで、そういう規模にはとても及んでいません。
そういえば、インドネシアの大きな火山も噴火したそうですね。アイスランドで火山が噴火したりすると、必ず日本や、アジアのどこかの火山も噴火します。これは私が経験的に発見した法則。
地球の中心を通して、こちら側とあちら側は繋がっていることの証だと、勝手に信じ込んでいます。
今回のこちらの地震も、もとを質せばマグマ活動ですから、火山活動の一形態でしょう。
先週の水曜日には、観測チームから「明日のうちには、(指摘されているマグマ活動地帯で)マグマが噴出すると思いますが、規模は大きくならないでしょうし、人家への影響もないと予想しています。だから、パニックにならないように」とニュースを通して発表していました。
それで、テレビ局はそのマグマ地帯に向けて、定点カメラを設置。ライブフィードを始めたりしたのですが、それからまる二日を経た金曜日(これを書いている今です)には、まだなにも起きていません。
それにしても、このライブフィード、レイキャネス半島という国際空港の町ケフラビクや、観光名所の野外スパのブルーラグーン、震源地近くの町グリンダビクごっそり含む地域の中の、それなりに広大な原野に向けられています。
今回は特定の火山の活動ではなく、火山を含むマグマ地帯が活発化していますので、専門家も「この地帯のどこかからマグマが噴出する」以上のポイント特定ができていないのです
いくらなんでも当てずっぽうの範囲が広すぎるだろ?と思えます。これでカメラが万が一、マグマ噴出現場を捉えたら拍手喝采ものです。やっぱり、アイスランドのテレビだな、やれやれ。

RUV国営放送でも見れる定点カメラのライブ・フィード
Myndin er ur Ruv.is
ところで、世界は広く、地震というものをまったく経験したことのない人もかなり存在するようです。昔、昔読んだある日本人数学者の面白いエッセイがありました。「若き数学者のアメリカ」という題だったように記憶しています。著者はどなただったか、すみません、覚えていません。m(_ _)m
ミシガン大学に教えに行った時、校舎があまりにも薄いウエハースのような建物だったので、中に入るなり受付の女性に「この建物は、ちゃんと耐震構造になっているのか?」と尋ねたんだそうです。
すると受付の女性。にっこりして「この地では、建国以前よりこれまで、地震というものは計測されていません」
実は先週、リビアからの難民申請者の青年と会う機会がありました。会うのは初めてで、難民申請の件についての相談でした。
ところが、その青年は開口一番、「地震が怖くて夜も眠れません」聞けば、これまでの生涯で一度も地震を経験したことがなかったのだそうです。
それで「火山が爆発したら、岩石とが降ってこないのか?」「溶岩は町まで流れてこないのか?」「ツナミは大丈夫だろうか?」等々、難民申請の件よりは、防災相談のようになってしまいました。

十年前 レイキャビク大学で邦人主体で催された震災後チャリティー活動
アイスランドの家屋は強風とかもあるので造りがしっかりしているから、揺れで倒壊することは考えられない」「岩石が降ってくることはこの地域ではあり得ない」「溶岩が噴出しても、町からは遠いところだから」「地質学者は、アイスランド近海で地震によるツナミの発生はまずないと言っていた」等々、説明したのですが、不安は払拭はできなかったようです。
イタリアやトルコの大地震による、石造りの建物の崩壊や、3.11の津波の様子をニュースで見たことのある彼にとっては、悪いところを抜粋したワースト映像が脳裏に焼き付いてしまっているようでした。
でも考えてみれば、これは笑い事ではありません。難民申請者の中には、地震を経験したことない人は他にもあるでしょうし、こちらでのニュースも理解できないし、普通に入ってくるはずの情報が流れてこない環境にあることも多々あります。

レイキャビク大学での催しからのスナップ
という指摘を、教会の難民問題取り組みチームSeekers Ministry の女性牧師から受け、私たちの連絡域にいる人たちに向けて、簡単な情報と「心配しなくて大丈夫」というメッセージをSMSで送りました。
とはいえ、アイスランドの人たちがのんきに構えているわけではありません。とりわけマグマ地帯の近隣の町々では、マグマ噴出に備えての、避難のための手順、避難ルート、携行品の準備等々の詳細を住民に周知徹底する努力をしています。
自然が相手にして、すべてを「想定」することはできないことは、私たちが過去の経験から学んでいる(はずの)こと。不安を煽るようなことはすべきでないですが、万が一に備えるのは必要なことです。
で、こういうことを書きながら、もちろんあと一週間で(3月5日現在)、東日本大震災から十周年になることが、いつも頭の中にあります。
震災で、家族や友人を亡くされた方々、財産を失った方々、故郷の町を失った方々、人生の設計がまったく狂ってしまった方々、その他様々な形で被害を受けた方々にお見舞いを申し上げます。
このブログを始めて、初めての3.11(二周年)に書いたことがあるのですが、あの震災は私たち海外在住の日本人にも大きなショックでした。私などはなんにも直接の被害は受けていないのですが、あのような日々はもう過ごしたくないと感じます。
アイスランド発 ガンバレNippon!

同じ催しからのスナップ
その一方で、アイスランド人の心の暖かさを感じる機会でもありました。いつもアイスランドを馬鹿にするようなことを書いていますが、それがすべてでは決してありません。感謝していることもたくさんあります。
そのようなことを、十周年を機会にまたこちらのメディアに書いてみようと思っていたのですが、何というか、タイミングが悪くなってしまった感があります。不用意に3.11を持ち出して、こちらの現状での不安感を増加させてしまっては、意図とはかけ離れたところにいってしまいますし。
地震を生んでいる、今回のマグマ活動。今の時点ではどのような結末に至るのかはわかりません。私個人としては、「このまま収まってくれますように」と願うだけです。
何というか、この小さな島国の、限定された地域の、特定の活動だけを取ってみても、自然の力はすごいということでしょうね。その起こっている事柄自体に関しては、「なーんもできねえ」ということをひしひしと感じます。
与えられたこの時期、人間もまた自然の一部である、ということを改めて考えつつ過ごさせていただきます。
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
地震計で計測される地震は、一日に何百回もあるようですが、ここレイキャビクにいて身体で感じられるような揺れは、そうですね、震度3くらいのものが、それでも毎日四、五回はあるようです。

清涼感アップ用Pic 氷の洞窟
Myndin er eftir Davide_Cantelli@Unsplash
マグニチュードでいうと4程度のもので、時折り5に至るのかな?こちらの時間で金曜日の朝にはニュージーランド沖で、マグニチュード8を越える地震が三回もあったとかで、そういう規模にはとても及んでいません。
そういえば、インドネシアの大きな火山も噴火したそうですね。アイスランドで火山が噴火したりすると、必ず日本や、アジアのどこかの火山も噴火します。これは私が経験的に発見した法則。
地球の中心を通して、こちら側とあちら側は繋がっていることの証だと、勝手に信じ込んでいます。
今回のこちらの地震も、もとを質せばマグマ活動ですから、火山活動の一形態でしょう。
先週の水曜日には、観測チームから「明日のうちには、(指摘されているマグマ活動地帯で)マグマが噴出すると思いますが、規模は大きくならないでしょうし、人家への影響もないと予想しています。だから、パニックにならないように」とニュースを通して発表していました。
それで、テレビ局はそのマグマ地帯に向けて、定点カメラを設置。ライブフィードを始めたりしたのですが、それからまる二日を経た金曜日(これを書いている今です)には、まだなにも起きていません。
それにしても、このライブフィード、レイキャネス半島という国際空港の町ケフラビクや、観光名所の野外スパのブルーラグーン、震源地近くの町グリンダビクごっそり含む地域の中の、それなりに広大な原野に向けられています。
今回は特定の火山の活動ではなく、火山を含むマグマ地帯が活発化していますので、専門家も「この地帯のどこかからマグマが噴出する」以上のポイント特定ができていないのです
いくらなんでも当てずっぽうの範囲が広すぎるだろ?と思えます。これでカメラが万が一、マグマ噴出現場を捉えたら拍手喝采ものです。やっぱり、アイスランドのテレビだな、やれやれ。

RUV国営放送でも見れる定点カメラのライブ・フィード
Myndin er ur Ruv.is
ところで、世界は広く、地震というものをまったく経験したことのない人もかなり存在するようです。昔、昔読んだある日本人数学者の面白いエッセイがありました。「若き数学者のアメリカ」という題だったように記憶しています。著者はどなただったか、すみません、覚えていません。m(_ _)m
ミシガン大学に教えに行った時、校舎があまりにも薄いウエハースのような建物だったので、中に入るなり受付の女性に「この建物は、ちゃんと耐震構造になっているのか?」と尋ねたんだそうです。
すると受付の女性。にっこりして「この地では、建国以前よりこれまで、地震というものは計測されていません」
実は先週、リビアからの難民申請者の青年と会う機会がありました。会うのは初めてで、難民申請の件についての相談でした。
ところが、その青年は開口一番、「地震が怖くて夜も眠れません」聞けば、これまでの生涯で一度も地震を経験したことがなかったのだそうです。
それで「火山が爆発したら、岩石とが降ってこないのか?」「溶岩は町まで流れてこないのか?」「ツナミは大丈夫だろうか?」等々、難民申請の件よりは、防災相談のようになってしまいました。

十年前 レイキャビク大学で邦人主体で催された震災後チャリティー活動
アイスランドの家屋は強風とかもあるので造りがしっかりしているから、揺れで倒壊することは考えられない」「岩石が降ってくることはこの地域ではあり得ない」「溶岩が噴出しても、町からは遠いところだから」「地質学者は、アイスランド近海で地震によるツナミの発生はまずないと言っていた」等々、説明したのですが、不安は払拭はできなかったようです。
イタリアやトルコの大地震による、石造りの建物の崩壊や、3.11の津波の様子をニュースで見たことのある彼にとっては、悪いところを抜粋したワースト映像が脳裏に焼き付いてしまっているようでした。
でも考えてみれば、これは笑い事ではありません。難民申請者の中には、地震を経験したことない人は他にもあるでしょうし、こちらでのニュースも理解できないし、普通に入ってくるはずの情報が流れてこない環境にあることも多々あります。

レイキャビク大学での催しからのスナップ
という指摘を、教会の難民問題取り組みチームSeekers Ministry の女性牧師から受け、私たちの連絡域にいる人たちに向けて、簡単な情報と「心配しなくて大丈夫」というメッセージをSMSで送りました。
とはいえ、アイスランドの人たちがのんきに構えているわけではありません。とりわけマグマ地帯の近隣の町々では、マグマ噴出に備えての、避難のための手順、避難ルート、携行品の準備等々の詳細を住民に周知徹底する努力をしています。
自然が相手にして、すべてを「想定」することはできないことは、私たちが過去の経験から学んでいる(はずの)こと。不安を煽るようなことはすべきでないですが、万が一に備えるのは必要なことです。
で、こういうことを書きながら、もちろんあと一週間で(3月5日現在)、東日本大震災から十周年になることが、いつも頭の中にあります。
震災で、家族や友人を亡くされた方々、財産を失った方々、故郷の町を失った方々、人生の設計がまったく狂ってしまった方々、その他様々な形で被害を受けた方々にお見舞いを申し上げます。
このブログを始めて、初めての3.11(二周年)に書いたことがあるのですが、あの震災は私たち海外在住の日本人にも大きなショックでした。私などはなんにも直接の被害は受けていないのですが、あのような日々はもう過ごしたくないと感じます。
アイスランド発 ガンバレNippon!

同じ催しからのスナップ
その一方で、アイスランド人の心の暖かさを感じる機会でもありました。いつもアイスランドを馬鹿にするようなことを書いていますが、それがすべてでは決してありません。感謝していることもたくさんあります。
そのようなことを、十周年を機会にまたこちらのメディアに書いてみようと思っていたのですが、何というか、タイミングが悪くなってしまった感があります。不用意に3.11を持ち出して、こちらの現状での不安感を増加させてしまっては、意図とはかけ離れたところにいってしまいますし。
地震を生んでいる、今回のマグマ活動。今の時点ではどのような結末に至るのかはわかりません。私個人としては、「このまま収まってくれますように」と願うだけです。
何というか、この小さな島国の、限定された地域の、特定の活動だけを取ってみても、自然の力はすごいということでしょうね。その起こっている事柄自体に関しては、「なーんもできねえ」ということをひしひしと感じます。
与えられたこの時期、人間もまた自然の一部である、ということを改めて考えつつ過ごさせていただきます。
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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