雨曇子日記

エイティライフの数々です

伊豆沼の蝦蟇

2018-07-07 15:05:04 | 俳句修行

「澪」 7 月号掲載の句にもう少しお付き合いください。

 

伊豆沼に闇が居据わる蝦蟇の声     三浦克實

 

数万羽いた雁が北国に帰って大きな空き家のような伊豆沼。

夏の夜はとっぷりと暮れ、あたりは漆黒の闇です。その闇の中から蝦蟇の鳴き声が、地響きのように聞こえてきたのです。

 

昼間のことですが、私は手賀沼の遊歩道を横断中の蝦蟇に会ったことがあります。両手からはみだすほどの大きさですが、抱き上げたいとは思いませんでした。悪いから表情には出しませんが、正直なところ少し不気味です。彼は、私を認めても、あわてるふうもなく悠然と沼に入って行きました。

そんな蝦蟇たちが何百、いや何千匹と集まって、天下の伊豆沼で鳴くさま、いやそのコーラスはさぞ聴きごたえ、見ごたえがあることだろうと思います。

でも、絵に描くとすれば、黒一色に塗りつぶすしかありません。


夏の甲子園

2018-07-06 14:59:18 | 俳句修行

仙台市の俳句誌「澪」平成 30 年 7 月号に次の一句があります。

 

夏の雲好守ゆづらず甲子園     佐々木志遙

 

夏の甲子園は、今年第 100 回大会を迎えますが、その、好守ゆづらずの名試合の一つが、第 80 回大会の準決勝 PL学園 VS. 横浜高校の一戦です。

9 ~ 7 で横浜が勝ち、松坂大輔投手(現中日ドラゴンス)が、 17 回 250 球を一人で投げ切ったのです。

敗れた PL学園の外野手で主将だったのが、楽天監督代行の平石洋介氏です。

今年も、夏雲の下熱戦が繰り広げられることでしょうが、選手や応援の皆様、熱中症にはくれぐれもお気を付け下さい。


蝶の呼称

2018-07-05 22:31:41 | 俳句修行

私の属している仙台の俳句誌「澪」 7 月号にあった一句

夏の蝶二つになりし高さかな    岩崎 万咲

こんなふうに解釈してみました。

高原を歩いていると、目線の高さに蝶がひらひらと舞っていました。少し目をそらしてまた見ると蝶は二つになっています。それも、先ほどよりも高いところで睦みあうように舞っているのです。涼風に乗って栗駒山から降りてきたのかな。

 

ところで、蝶はどう数えるのかと、疑問がわいてきました。

ネットでしらべてみると、一羽、二羽、 一匹、二匹、 一頭,二頭 と、呼べるようです。

「頭」と呼称する理由について詳しく述べたブログもありました。

 

でも、俳句ではこれらの呼称は使いにくいと思いました。

 


「明けゆくや・・・」総願寺芭蕉句碑

2018-01-10 19:49:20 | 俳句修行

玉嶹山(ぎょくとうざん)不動院総願寺には、加須市の文化財指定の芭蕉句碑がある。

 

 

それがどこにあるか分からないので、参詣人やお札を売るテントの人などに聞き、最後に社務所のお坊さんに聞いたら寺の裏庭にあることが分かった。

お坊さんは親切に、句の意味まで教えてくれた。

 

 

                  明けゆくや二十七夜も三日の月

 

この句は、ほのぼのと白みかけた暁の空に旧暦27日の月(月齢 26 )を見た。その眉のような月は、形も趣もまるで三日の月(月齢 2 )と同じように見えるなあと、月のあわれぶかさを詠んだのである。

この句には「ある所に旅立ちて、舟の中に一夜を明かし下弦の月のあはれなる暁、蓬より頭出して」と詞書(ことばがき)があり、貞享三年秋の作とのこと。

江戸時代になると、関東地方は舟運が相当発達して、利根川のような大河の付近では舟を利用しての旅が容易だったようだ。

 

この碑には、天保 14 年( 1843 )の銘があり、近在の俳人が芭蕉没後 150 年の追悼供養として建立した。

「明けゆくや」は三行に分けた真ん中に書かれている。

27 夜というところは七を二つ重ねて、七七と書いている。

 

多くの芭蕉の句の中からこの句を選んだのは、この地が利根川の近くにあって舟旅が容易であることと無関係ではないだろう。

 

 

 

 

 


自薦の一句

2017-12-04 16:30:33 | 俳句修行

 

仙台市の俳句結社「澪」の会員にしていただき、毎月七句投句することとなり、充実した一年を過ごすことができました。いつもの年より一年を短く感じました。

以下は、自選の一句です。

 

12月     雲堂に一刻座る年の暮れ(柏市泉の「竜泉院」の座禅会に参加しました)

 1 月     浦安の舞のびやかに初社(柏市広幡神社に初詣しました)

 2 月     冬日和名峰筑波ほしいまま(筑波山がくっきり見えた日です)

 3 月     大空に鳥放り投げ春一番(今年の春一番は 2 月 17 日でした)

 4 月     鳴り止まぬ拍手のごとく花吹雪(白井市今井の桜)

 5 月     SLの汽笛漂う春の宵(磐越西線SL特急ばんえつ物語、漂っていたのは桜満開の咲花温泉)

 6 月     手賀沼の岸辺明るき合歓の花(手賀沼南岸手賀大橋の袂の合歓の木です)

 7 月     運ばれる水羊羹のガラス越し(和菓子屋さんのケースに作りたての水羊羹がきました)

 8 月     緑陰やロコモフィットのスクワット(ロコモ予防の講習会に参加しました)

 9 月     秋桜どっと打ち出る長屋門(立派な長屋門の農家からあふれ出て咲くコスモスです)

10月     秋深し大禍時のパトロール(今年は順番で自治会の役員となりパトロールもしました)

11月     冬シャツに着替え生ごみ出しに行く(風邪はもとより、転倒にも気をつけねばなりません)     

 


歴史ある町

2017-11-06 19:50:53 | 俳句修行

 

仙台の俳句結社「澪」は、昭和 42 年 1 月の創刊以来 50 年続いて、今年の 11 月は 611 号だ。

創刊当時の主宰は梅澤一栖先生。現在は 5 代目で代表として佐藤拓郎氏が主宰しておられる。

 

 

見開きに佐藤拓郎氏の 10 句が載っていた。

今年は伊達政宗生誕 450 年で、宮城県をあげて顕彰プロジェクトが組まれているようだが、この句は特にそのこととは関係なさそうだ。仙台に住むようになって 17 年を迎える佐藤氏が、年々仙台市の歴史あるたたづまいに愛着と畏敬を感じ、その思いを句にされたのだと思う。

話題が飛ぶが、楽天イーグルスの応援歌に次の一節がある。

「三日月負いし少年よ今こそ馬上によみがえれ」

突然出てくるので何のことか分からなかったが、伊達政宗の晩年の詩から採られたものと分かった。

 

     馬上少年過     馬上に少年は過ぎ

     世平白髪多     世は平ぎて白髪多し

     残軀天所赦     残軀(ざんく)は天の赦したまふところ

     不楽是如何     楽しまずんばこれ如何

 

食欲の秋、11 月号には以下のような句がみられた。

     朝市のイクラの光るはらこ飯           仙台  佐藤 べん

     直会(なおらい)に栗の御強やお天神     栗原  岩崎 万咲

     とっぷりと暮れたたっぷりと根深汁       仙台  田丸満州男

     手づかみの幼の笑まふ新豆腐         仙台  馬場 和子

     皺の手で擂鉢おさえとろろ汁          仙台  横谷 郁子

     ふり塩に赤穂を選び秋刀魚焼く         美里  宮野 かほる

     朝市や風呂敷ひろげ茸売            仙台  清水 治男

     熟し柿崖に枝垂る日暮かな           仙台  柏   敏子

 

 

 


緑陰や・・・

2017-10-14 11:41:03 | 俳句修行

昨年の 12 月より、仙台の俳句結社“澪(みお)”の会員にしていただいた。毎月、 7 句投句せねばならない。

 

 

なんとか無理やり作っているが、10 月号に次の句を寄せた。

 

     緑陰やロコモフィットのスクワット     雨曇子

 

それに対し代表の佐藤拓郎さんは、以下のような寸評を加えて下さった。

 

「緑陰で、元気に生き生きと運動している作者の姿が見える。“ロコモティブシンドローム”(略称 : ロコモ、和名 : 運動器症候群)とは、筋肉や骨、関節、椎間板といった運動をつかさどる器官(運動器)のいずれか、もしくは複数に機能低下や障害が起こり、歩行や日常生活に支障をきたしている状態をいう。

進行すると介護が必要になるリスクが高くなる。

いつまでも自分の足で歩き続けていくために、ロコモを予防し、健康に暮らせる生活を維持していこうと、作者の住む柏市では、平成 25 年度から“ロコモフィット柏事業”を始め、ロコモティブシンドロームの予防に必要な運動方法を地域で実践している。

その運動の一つに、スクワット(squat )がある。

スクワットは、昨今の健康ブームの中、ダイエットにも健康にもとても良いと徐々に世間に認知されてきた。

直立した状態から膝関節の屈曲・伸展を繰り返す運動で、下半身、特に大腿四頭筋・下腿三頭筋・大臀筋・中臀筋などの筋力アップ、筋肥大に大きな効果を持つという。

“ロコモフィット”は、ロコモ予防の運動である。

それにしても、高齢者にとっては、カタカナ語と省略語の多い昨今、役所の事業名でもその内容を理解するには、難しい世ではある。

ロコモフィットに目覚めた雨曇子さん、“継続は力なり”です。これからもスクワットに励んで下さい。」

 

佐藤拓郎さん、ありがとうございます。

          秋風やロコモフィットの欠伸かな   雨曇子