落ち葉を詠んだ10句がある。
清崎敏郎(1922~1999)と「若葉」の人々の句だ。
昔の週刊朝日に載っていたのを、後生大事に切り取っておいたものだ。
落葉掃く一の鳥居に五六人 稲荷島人
欄干の朱にも触れたる落葉かな 今泉貞鳳
風通りすがりの銀杏黄葉散る 大橋雅子
落葉掃く熊手と箒使い分け 大場美夜子
落葉踏み半端な齢半端な刻(とき) 菖蒲あや
銀杏散る表札のなき石の門 鈴木杏一
踏み入りし一歩が落葉誘ひけり 須田富美子
あたたかき雨の歩道の落葉かな 永田清子
夜の落葉ともに踏みつけすれ違ふ 谷口忠男
ついてくるその足音も落葉踏む 清崎敏郎
私の句だが、吟行の途次にこんな場面があって、それをそのまま、句にしたものである。が、この句には、「君が“若葉”の誌友の先頭に立って歩を進めているという決意が見える」と観賞してくれた人がある。私は、そんな意図があったわけではないけれど、そう言われれば、そんな気もしてくる。これが、花鳥諷詠の行き方なのである。(敏郎)