ヨーロッパ出張の際、ほんの少し足を伸ばして念願だったアスプルンドのスクーグスチルコゴーデン(森の墓地)を訪れました。
アスプルンドは「北欧モダンの父」とも呼ばれるスウェーデンの建築家。
彼の作品の中でもとりわけ魅力を感じていたのが、このユネスコの世界遺産にも登録されたスクーグスチルコゴーデンです。
この地を訪れてまず最初に感じたのは、自然に対して敬意を表しつつ、建築を見事に融合させているランドスケープデザイン。
硬質なモノだけはない表現。
自然に対して逆らうことなく、空を意識させ、人の心にその場での事象を浸透させます。
(森の墓地の敷地内に最初に完成した「森の礼拝堂」1920年)
アスプルンドが生涯かけて作り上げてきた空間。
ダイナミックな演出に目を奪われがちですが、そこには粘り強く緻密に設計された無数のディテールも存在します。
(開き扉の使いやすさを考慮し、引く側と押す側の高さを変えている)
この膨大なディテールの熱意・・・その場にいると押しつぶされるような錯覚に陥ります。
施設の建設は実に25年にも及びます。
最後に竣工したのは「森の火葬場」。
(森の火葬場内の礼拝堂)
集大成とも呼べる「森の火葬場」の竣工後すぐ、アスプルンドは55歳という若さでこの世を去ります。
(森の火葬場横にあるアスプルンドの墓)
その引き金は・・・
ものづくりとして、様々な要因を想像せざるを得ないほどに、アスプルンドの膨大な痕跡が残された空間でした。
人の限界、死生観・・・おもわず考えこんでしまうほどの経験。
建築はいったいどこまで人の心に影響を及ぼすことができるのか?
味わうほどに深くなる建築。
このことを改めて考えさせられる経験となりました。
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