日々の記憶
建築家 筒井紀博のブログ
KIHAKU's blog



現在の建築のあるべき姿・・・

20世紀の建築は技術や装置をプライオリティに掲げたものが多かったと思います。

しかし今、果たしてそうなのか?と。

もちろん最先端の技術なども大切。
ただ、そこには感動がないんです。

建築や空間とは物ではないと考えます。
その地、環境、人がもったポテンシャルを正しく引き出すこと・・・
その過程で技術や装置が必要であると。

そのような話をしているとakari庵のクライアントから下記のようなコメントをいただきました。

・・・・・

一体感という言葉が筒井建築に住んでみて感じることです。
まるで自分のアイデンティティーの一部のような。

土地、風土、周囲環境、住む人間、インテリア、光、風、それらが一体となる建築。。。。

言い換えると、凄くナチュラル。
ちぐはぐさがないんですよね。
だから共鳴、共感が出る。

雑誌などに載って、お客さんたちが見ても、なんだかわからないけど凄いと口にする。

インテリアだけでも、建築だけでも、到達し得ない場所というのは、一体感がなせる業ではないでしょうか。

・・・・・

そう、いつも意識しているのは必然性をもって誕生する空間であり、そのアイデンティティーを大げさに表現する似顔絵のような空間を創ること。
そしてクライアントと共に成長していくことの出来る建築であること。
その空間に新たな次元の軸を付加し、それによってより深みを増し、人の心を揺さぶることができる建築になるのではないかと。

このような話をクライアントと真面目に会話できるのも嬉しいですね。
建築がもたらす様々な事象は、基本的に計算されたものであるという自負があるのですが、クライアントからこのようなコメントをいただけるのは想定外(笑)

でもこれもまた必然だったように思えます。
何かこの先にある大きな動きの予兆とも言えるような。
人との繋がりを大切にし、これからも建築とともに邁進したいと思います。



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T house改めcasa GAFU、春を感じる日差しのもと、地鎮祭を無事に終えました。

当初は着工が4/1の予定で、確認申請の済証がまだ出ていないのですが、本日は大安吉日。
さらに施主家族の奥様とお嬢さんの誕生日ということもあって、施主の親族の方も多く参加し、皆で神様に挨拶すると同時に工事の安全などを祈念いたしました。

casa GAFUの由来は画布(カンバス)。
施主奥様は一線で活躍されているインテリアコーディネーター。
現在のお住まいもとても美しく工夫されています。
その才能を存分に発揮していただき、想い通りの美しい空間を描いていただけるような素地のカンバスとしての住宅といった想いが込められています。

施工会社は匠陽。
震災の影響で竣工時期など読みにくい部分もあるのですが、みんなで協力し、美しい空間を誕生させようと思います。

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本日、無事にmetisの引き渡しを終えました。

土地探しから携わり、初めて敷地を訪れてからおよそ2年。
その間、いろんなことがありましたが、終わってみれば、あっという間です。

毎回引き渡し時に覚える空虚感、脱力感。。。

最大限の努力をし、愛情を注いで誕生した空間の証とも言えることなのかもしれませんが、これらの感覚は何度経験しても慣れることも無く。
娘を嫁にやる親の心境なのでしょうか(笑)

しかし建築としてはまだ誕生したばかりです。
これから長い年月、クライアントと共に成長していく建築。
月日が経つごとに美しく成長していくことを願いつつ・・・。

これからも温かく見守っていきたいと思います。

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着工を目前に控えたT house。
この大震災の影響で東北方面にある建材工場も被害を受け、当初予定していた材料が入手できない可能性が生まれました。
急遽、クライアントを交えて施工会社と打ち合わせを行い、構造体から仕上までどのような材料が調達しにくいかを検討。
とにかく先の見えない状態はしばらく続きそうですし、皆で協力しあって着工させようと方向性を出しました。

工期も読めず、リスクのある時期ではあるのですが、立ち止まっていては今後の日本全体の経済にも影響が出てしまいます。
現場が無ければ腕の良い職人さん達も転職してしまいかねません。
いずれは日本建築の質の低下にもつながり、被災地復興の際に腕の良い職人が全然いないなんてことにも。。。

とにかく今はやれるべきことをやり、極力立ち止まらず進むことを選択していきたいです。
打ち合わせの最後、クライアントから、

「とにかく今はみんなで協力してやっていきましょう」

と。
「やってください」といったyouではなく、weのニュアンスのある発言がとても印象的でした。

そう、まずは自分が何をできるか・・・
一人一人がそれを考え、実行していくことが大切ですね。


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東日本大震災から2日経った日曜日、Nハウスのクライアントと打ち合わせを行いました。
東京でも大きな揺れの起きた今回の震災。
打ち合わせもおのずと話題は地震の話へ。

そして帰り際、ふと娘さんから手渡されたものが・・・

雨は降っていませんでしたが、傘?を持った私の似顔絵でした。

その瞬間、何か緊張の糸が切れたような・・・

それまでの2日間、今まで経験したことのない揺れを経験し、恐怖を感じていたのは事実。
見学会も重なり、いつも以上に緊張感を持って過ごした2日間。

その似顔絵をみて、今まで封じ込められていた感情が蘇り、心が少し温かくなった気がしました。

似顔絵に描かれた自分の顔は笑顔です。
そう、これからもまだまだ大変な時期は続きますが、笑顔を忘れないようにしなくては。

小さな子供が大切なことを思い出させてくれた気がします。

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