四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

最近の初見の蝶たち(2)

2015-06-08 12:55:00 | 
体調もよくなり、ゼフィルスを探しにあちこち歩きました。




ウラゴマダラシジミ♀(5月30日)初見

♀夕方になってクリに訪花しました。
クリの花穂の下から花穂の隙間に入り込み吸蜜に余念がありません。


ミドリシジミ♂(6月1日)初見

ミドリシジミが下草に下りて開翅するのは朝のうちなので、早起きして出かけました。待ちに待ってやっと開翅してくれました。


ミドリシジミ♀

ラッキーなことに♀のB型がいました。


ミズイロオナガシジミ(6月1日)初見

今年はウラナミアカシジミが豊作でしたが、ミズイロオナガシジミは少ない印象でした。

♪ゼフィルスではないですが・・・


キタテハ夏型(6月1日)

初撮影です。クリ訪花はあまり見たことがないかな?


ミドリヒョウモン♂(6月1日)


誤求愛

1本のクリの木には4頭のミドリヒョウモン♂が来て、お互いに場所取りでもめていました。
ツマグロヒョウモン♀が来て吸蜜しているところにミドリヒョウモン♂2頭が現れ、誤求愛が始まりました。咄嗟にシャッターを切ると、2枚ピントがあっていました。


キマダラセセリ(6月2日)初見

ステルス型戦闘機のようなポーズを決めていました。
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チョウ類保全を考える集い

2015-02-18 11:27:00 | 
2月14日
日本チョウ類保全協会主催の「チョウ類保全を考える集い」に初めて参加しました。

絶滅の危機に瀕しているチョウを何とか救うために、日本チョウ類保全協会が関与た活動の状況報告がなされました。

報告例 ヒメキマダラセセリの保全活動状況

ヒメキマダラセセリは、北海道のアポイ岳周辺に局限されて生息しています。


ヒメキマダラセセリ※1

近年、温暖化などの影響でハイマツが尾根を覆う面積が増えて食草が生える高山植物のお花畑が失われることでヒメキマダラセセリ生息が危機に瀕しています。


アポイ岳周辺での調査※1

そこで、試験的にハイマツ帯の一部を除去した結果、その場所にお花畑が復活しヒメキマダラセセリ増加の効果がみられたとのこと。

そのほか、同じように絶滅危機に直面しているツシマウラボシシジミやチャマダサセセリなどの保全活動についても現状報告がありました。
ツシマクロボシシジミの場合は、食草などのある林床草地が鹿に食害されたことなどが原因のようです。


ツシマウラボシシジミ※2

しかし、いずれも行政を動かし植物・昆虫専門家や地元の理解・協力を得、大勢の人の手も借りないと安定した生息維持が図れない難しい事業であることが分かりました。
今回の集いは、現状と課題を知ることができただけでも有意義でした。もっと多くの蝶愛好家や自然保護関連の行政の人にも参加してもらいチョウ類保全活動への理解・支援が進んでいくことを期待したいと思います。

※1 日本チョウ類保全協会(2014) "Action for Butterflies", チョウの舞う自然 (18):20-21.
※2 日本チョウ類保全協会(2013) チョウの舞う自然 (17):表紙より
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クロマダラソテツシジミ

2014-11-01 17:01:00 | 
10月24日

クロマダラソテツシジミは南アジア~東南アジアに分布する蝶で、日本には見られませんでしたが、近年、南西諸島や九州南部では定着しているようです。神奈川県では2009年、2011年に発生しましたが、厳冬期を乗り切れないため途絶える運命になっています。今年は3年ぶりに発生。あまり数は多くありませんでしたが、新鮮な♂が良いモデルを努めてくれました。

最初は、半開翅の写真から。すべて同一個体(だと思う)。
前・後翅の外縁寄りでは、太陽光の反射角度から外れると淡紫色を呈していました。






クロマダラソテツシジミ♂

裏面には波模様があり、尾状突起があります。
ウラナミシジミに比べると小さく、動きが活発ではありません。地面に下りることもありますが、ヤマトシジミのように地面をはうように飛ぶことはありません。



翅表を上向き、横向き、下向きで撮った写真です。
太陽光の反射角付近になると、前翅の前縁や翅の基部周辺が輝く水色を呈していました。







クロマダラソテツシジミは2011年に見損なっており今回が初見です。なかなかきれいですね。次回は低温期型を見たいものです。

※撮影場所のお問い合わせにはお答えしかねるのでご了解ください。
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山梨県産ダイミョウセセリの紋様

2014-08-22 17:21:00 | 
前回、相模原・町田地区のダイミョウセセリについて紹介しました。関西型のように後翅に太い白帯を有するものは見られず、典型的な関東型を示しましたが、白帯の痕跡は大なり小なり見られました。

そこで、今回は関東地方の西隣の山梨県で撮影したダイミョウセセリの写真を、後翅白帯の痕跡の少ないものから順に並べました。
数字は前回記事からの通し番号です。


8. 2014年5月22日 山梨県身延町


9. 2014年5月23日 山梨県北杜市

8,9は、相模原・町田地区で見られた典型的な関東型の部類ですね。


10. 2014年5月22日 山梨県身延町

10は、関東型の領域から少し足を踏み出し、薄っすらと白帯が現れていました。受け身の園芸のuke-enさんの写真に見るような中間型に一歩近付いたといえるでしょうか。

関西型と関東型の境界線は、若狭湾から琵琶湖の東を通り、伊勢湾に向かう地帯といわれ、実際にはもう少し広い中間型の領域が存在し(※1)、一説には兵庫県西部より西が関西型、兵庫県東部から長野県西部までが中間型、長野県東部より東が関東型との指摘もあります(※2)。

大きく見れば山梨県は関東型の領域内ですが、中間型に近付いたものも現れる微妙な土地柄のようです。
福岡県などの関西型地区での紋様、京都府などの中間型地区での紋様にはどれくらいの変動が見られるのでしょうか?

付録
日本のダイミョウセセリは、関西型~中間型~関東型というように西から東になだらかに移行するので、関西・関東型が別亜種というのではなく、日本国内産の亜種はDaimio tethysです。

朝鮮半島、済州島、中国北・東北部、ロシア南東部は日本と同じtethys亜種、中国中・南部と台湾の亜種は moori(Mabille.1876)、中国西部、チベットの亜種はroona (Evans.1946)、中国雲南省からインドシナ半島北部の亜種はbirmana(Evens.1926)になっています(※3)。種子島・屋久島以南の島嶼にはダイミョウセセリが分布していません。

ではどのようにして関西型・関東型が生じたのでしょうか。日本には最初に関東型が入り込み、その後の時代に西から関西型が入り込んだためではないかとの説があります。長い年月で交配が進み現在の分布になったというわけです。縄文人の後に大陸から弥生人がやってきた日本人の成り立ちとどこか似通っているのかもしれません。

各亜種の紋様がどのようなものか知りたかったのですが、NETでは写真が見付かりませんでした。ご存じの方がいらっしゃったらお教え下さい。

追記
追記1(8月23日)
台湾亜種の写真が見付かりました。

追記2(8月23日)
かつては関東型・関西型の2亜種に分類されていたようです(参照:高橋昭、田中蕃、若林守男、"カラー自然ガイド 日本の蝶Ⅰ"、保育社(1973))。両型の混在または中間型の出現する地域も若狭湾の北から伊勢湾にかけての帯状の狭い範囲で示されています。
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相模原・町田地区のダイミョウセセリ

2014-08-20 16:15:00 | 
関西のダイミョウセセリの後翅には白帯があり、関東型には白帯がないとされています。

しょうちゃんの雑記蝶のshouchanさんが撮影された九州のダイミョウセセリの後翅には目立つ白帯が現れ、関東産には白帯の痕跡程度しかないので、別種なのかと思わせるほどの相違があります(※1)。

京都府の三重県境に近い地域にお住まいの受身の園芸のuke-enさんは、関西型に近いもの、白斑列がほとんど見えない関東型に近いものの両方が観察され、関西型と関東型の中間の様相を呈しているようです(※2)。

そこで、マイフィールドとしている相模原・町田地区のダイミョウセセリの後翅の斑紋がどのようにばらついているのか、7個体の写真で示しました。白帯欠如のものから痕跡の度合いの少ない順に並べています。
※相模原市は神奈川県北部、町田市は東京都南部にあり、境川を挟んで隣接しています


1. 2013年5月10日 相模原市南区 


2. 2013年5月11日 町田市


3. 2013年4月25日 相模原市南区


4. 2013年5月19日 相模原市南区


5. 2013年5月17日 町田市


6. 2013年5月10日 相模原市南区


7. 2013年5月21日 相模原市南区

分類すると:
白帯の痕跡の僅かなもの(1,2)
白斑が少し浮き出ているもの(4~6)
白斑が目立つもの(7)
よくわからないもの(3)

関西型のような明瞭な白帯を示すものはありませんでしたが、白帯の痕跡が大なり小なり見られるという状況でした。

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