四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

モンシロチョウを初見

2020-02-27 15:29:00 | 南多摩
モンシロチョウを初見 2020.2.24の里山散歩

22日に春一番が吹いたあと春の陽気になり、24日に多摩丘陵を訪ね歩きました。

谷戸Aの橋の裏にいた2頭のルリタテハのうち1頭だけがまだ残っていました。



近くには白花のオオイヌノフグリが咲き始めました。


白花のオオイヌノフグリ

谷戸Bに移動、アセビやミモザが咲いていました。


アセビ


ミモザ

歩道脇で、ツタバウンラン(蔦葉海蘭)を見つけました。初めて見た花のような気がします。地中海沿岸地方の原産で、大正1年に渡来したとのことです。


ツタバウンラン

イモカタバミ葉裏のキタキチョウ2頭、ヒサカキ葉裏のウラギンシジミもこの陽気で飛び出していなくなりました。


谷戸Cに移動。昨年ヒメアカタテハを3月13日に見付けた菜の花畑に立ち寄りましたが見られず。
近くでオオイヌノフグリで吸蜜するモンキチョウを撮影、探雌飛翔するモンキチョウも見られました。


モンキチョウ

12時45分頃、キタテハが笹斜面から飛び出しましたが、気温がやや低かったのか(14℃)、開翅しないまま静止を続けていました。


キタテハ♂

別の菜の花畑を探したいと思い、六地蔵から普段歩いていない丘の畑地に向かいました。


六地蔵

農道から斜面を登ると、牛舎の傍に菜の花が咲く場所がありました。


菜の花畑

運よくモンシロチョウ♂が小飛しては葉に止まる場面に遭遇。羽化して間もないのかほとんど移動しませんでした。



モンシロチョウが初見NO.2となりました。


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宿根スミレ「紫式部」:ビオラ ラブラドリカ パープレア

2020-02-23 15:25:00 | ノンジャンル
宿根スミレ「紫式部」(出典

ポイント
原種系の宿根スミレは発芽後3~5年で株が弱ってきます。なので、種を採取するなり間引き苗を鉢上げするなりして次々株を更新していくのが咲かせ続けるポイントとなってきます。

■スミレ科スミレ属
■別名:雅スミレ、黒葉スミレ
■学名:Viola labradorica 'Purpurea'
■原産地:北米、グリーンランド
■耐寒温度:マイナス10度以下
■生育温度:10~20度

北米原産の原種の宿根スミレです。一般的には「紫式部」という園芸名で流通しています。耐寒性は極東の地でも屋外で越冬してこぼれ種で増えるくらい強健です。実際はマイナス10度以下でも越冬可能なようですが、文献不足のため実経験上で耐寒温度を表記させていただきましたのでご了承ください。

美しい銅葉が印象的な花です。花のない時期もカラーリーフとして楽しめます。こぼれ種でどんどん増えますが、他の植物を追いやるほど旺盛というわけではなく間引きで調整できます。宿根スミレとはいっても、こぼれ種を間引いて親株だけを残しておいたら数年後には消えていたという経験がある方も多いと思います。原種系の宿根スミレは発芽後3~5年で株が弱ってきます。なので、種を採取するなり間引き苗を鉢上げするなりして次々株を更新していくのが咲かせ続けるポイントとなってきます。

Photo_7

葉の銅色も環境によって変化します。紫色を鮮やかに出すためにはチッソ分を控えめにしましょう。日当たりの良いところで乾燥気味に管理することでも葉色は鮮やかになります。春・秋は日当たりで、夏は半日影で管理するのが理想です。しかし耐陰性が比較的強いので半日影のグラウンドカバーなどにも重宝すると思います。暖地では冬場でもカラーリーフとして楽しめますが、極寒地では冬場は地上部は枯れます。

余談ですがわが家では一度露地植えしたのですが「株の更新」を全くしなかったために年を追うごとに株が痩せ、いつのまにか庭から消えていました。増やさないようにこぼれ種をせっせと間引いていたので、株の更新ができなかったからです。この「紫式部」に限らず、ハーブ苗で出回るニオイスミレや山野草のエチゼンスミレなども同じ理由で消えてしまいました。宿根スミレを長く楽しむためのポイントは「毎年種で株を更新する」の一言に尽きると思います。
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越冬蝶の観察(2月17日)

2020-02-23 11:25:00 | 南多摩
2月17日

多摩丘陵で越冬しているルリタテハ、キタキチョウ、ウラギンシジミの様子を見に行きました。

ルリタテハは、暖かい日が続いている割には飛び出さずに残っていました。気温が高くても曇りがちだと飛び出さない選択をしたような気がします。1月9日に観察を始めて以来、同じ位置に脚を置き静止しています。


ルリタテハA 

丸太の手前から1本目の裏に翅を伏せ気味に静止中。


ルリタテハB

丸太の2本目の裏に翅を立て気味に静止中。やや覚醒している時に立て気味になります。


ルリタテハ2頭

2頭の静止する全体像です。

キタキチョウ2頭がイモカタバミの葉裏で静止していました。


キタキチョウ


2頭が静止する全体像

このイモカタバミには、観察する日によってとなる場所が微妙に異なるようなので、暖かな日には出入りが行われていると思われます。

ウラギンシジミは越冬中の発見が1頭のみですが、いまだに道路脇のヒサカキ葉裏に静止中でした。


ウラギンシジミ

3月22日に春一番の晴で暖かい日となったので、すでに越冬完遂して飛び立ったかもしれません。

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モンキチョウを初見

2020-02-18 14:59:00 | 南多摩
2月17日

昼過ぎに雲間から太陽がのぞき、谷戸草地が明るくなったら、モンキチョウが1頭姿を現しました。2020年の初見第1号です。この冬は暖かいのに2019年の2月4日初見よりも2週間遅れでした。

羽化直後なのかすぐにスイバの葉に止まる。


モンキチョウ初見 スイバの葉に小休止 13:10

その後、小飛しタンポポで吸蜜。


同一個体 

またスイバの葉に止まる。


同一個体 再びスイバの葉に休止 13:16

前翅を後翅の中に格納気味になって日光浴でまどろんでいるように見えました。


前翅を後翅の間に格納気味に 13:18

スイバの葉裏や葉の下には、ベニシジミの幼虫が静止していました。


ベニシジミ幼虫A


ベニシジミ幼虫B

昨年のベニシジミ初見は3月8日、最も早い記録は2015年の3月2日でした。

いよいよ今年も蝶のシーズン到来ですね。
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アメリカピンクノメイガ Pyrausta inornatalis の来訪

2020-02-04 17:22:00 | 
2019年10月20日、庭のブッドレア(白花)に見たことのない珍客の蛾が訪花しました。


アメリカピンクノメイガ Pyrausta inornatalis 
2019年10月20日 自宅のブッドレアに訪花

蛾に詳しい友人に尋ねたところ、マエベニノメイガに近いけれど、マエベニは5月から7月に出現するのでマエベニではなさそうでした。また、マエベニは前翅の後縁が黄褐色の種類ですが、写真の個体は前翅一面が濃い紅色で、外観も異なります。

それ以来謎の蛾でしたが、今回発行された「誘蛾燈(宮野,2020)」に日本で初お目見えの蛾「アメリカピンクノメイガ」と命名して報告されました。そんな珍しい種類が庭に来てくれていたとは感激です。

アメリカピンクノメイガが掲載された誘蛾燈の情報をいただいた二人の友人に感謝いたします。


追記(2月14日)
<マエベニノメイガとアメリカピンクノメイガの比較>

外観から両種は識別できるのではないか。マエベニノメイガは秋には出現しない。

マエベニノメイガ Paliga minnehaha (Pryer, 1877)
ツトガ科ノメイガ亜科Paliga
1.出現期 4-7月
2.主な産地 日本、朝鮮半島南部、中国
3.食草  オオムラサキシキブ
4.外観  前翅は紅色で波打つ筋がある。前翅の基部から後縁部にかけて黄褐色。
5.訪花性 フジに訪花、本種の発生時期とフジの開花時期が合致しているとの指摘がある(池ノ上・金井,2010)。サワフタギへの訪花の記録がある。

アメリカピンクノメイガ Southern Pink Moth
Pyrausta inornatalis (Fernald, 1885)
ツトガ科ノメイガ亜科Pyrausta

iNaturalistのPyrausta inornatalisの項(資料1)には、早くも和名「アメリカピンクノメイガ」が付されている。

1.出現期 3-11月
2.主な産地 アメリカ合衆国、メキシコ、日本(資料2)。2017年頃から日本での記録あり(資料3)。宮野(2020)では、サルビアの移入に伴って日本に侵入したものと推察している。しかし、どのようにサルビアの移入により入り込んだのか詳細不明。
3.食草  ブルー・サルビア(Salvia farinacea)、ベニバナ・サルビア(Salvia coccinea)などのサルビア類(資料2
4.外観  前翅は一様に濃紅色で波打つ筋が見られない
5.訪花性  ブルー・サルビア、Salvia cuatrecasana、サルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica、メドーセージの名で流通)などのサルビア類への訪花記録が多い。その他では、ブッドレア(紫・白花)、トウワタ( milkweed)など(資料2)。

日本において、マエベビノメイガへの訪花としている投稿がいくつか見られたが、外観から見て以下の3例はアメリカピンクノメイガと思われる。
コセンダングサに訪花(2019年10月24日)(資料4
メドウセージ(サルビア・ガラニチカ)に訪花(2019年11月3日)(資料5
ブルー・サルビアに訪花(2019年10月頃)(資料6

日本でもアメリカピンクノメイガのブルー・サルビア(Salvia farinacea)やメドウセージ(Salvia guaranitica)への訪花記録が散見されることから、これらの花壇に注目すれば出会えるかもしれない。ブルー・サルビアの花期は5~10月と長い。相模原公園(2012,13年)では、6月上旬から10月中旬までの蝶の訪花を見ている。管理人の庭にはブルーサルビアのプランターが置かれていたので、これに誘引されてやってきた可能性もあるだろう。


付録1 
List マエベニノメイガPhotos and Videos(資料7

アメリカピンクノメイガの画像がマエベニノメイガとしていくつか掲載されている。


付録2 (2020.2.19追記)
アメリカピンクノメイガの日本における記録
愛知県豊川市 2017.8.9, 2019.9.29 Biglobe ウェブリブログ(資料3

岐阜県各務原市  2019.7.2, 2019.7.24, 2019.8.4(宮野,2020)

滋賀県守山市播磨田町 2019.8.25, 2019.10.31 (前田・吉安,2020)

愛知県・群馬県高崎市 Takeo Kaneko もすくらぶ(Facebook もすくらぶPublic Group 2020年2月3日記事)

神奈川県相模原市南区(管理人の自宅) 2019.10.20

神奈川県横浜市 2019.11.3 Hidewaku095 Instagram(資料8-1

東京都練馬区 2020.8.8 黒柳昌樹 もすくらぶ(資料8-2)

京都市 2020.7.24 河合嗣生 もすくらぶ(資料8-3

2017年から現在までに東海地方と関東地方に記録が見られる。

追記2020.8.8


付録3 幼虫の写真 資料9

幼虫のサイト
https://bugguide.net/node/view/708346https:/bugguide.net/node/view/708346


文献
宮野明彦(2020) 日本未記録のピンク色のノメイガ. 誘蛾燈. 239:1-2.

前田憲吾・吉安裕(2020) 滋賀県守山市で採集された北米からの移入種と思われ るPyrausta Inornatalis(鱗翅目ツトガ科ノメイガ亜科)ー日本における2番目の分布記録. 誘蛾燈. 240:43-45.

池ノ上・金井(2010) 夜間における蛾の訪花行動. 植物研究雑誌.
  85:246-260.
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_085_246_260.pdf

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