8月19日
近くの広い雑木林の真ん中に数十m四方の開けた空間があり、そこは草地になっています。
8月になると、キツネノマゴが一面に咲き、毎年お盆過ぎに数十頭のイチモンジセセリがやってきます。
今年は、8月12日時点で未確認、8月15日に3頭が先行して出現しました。そして8月19日には、一視野に5,6頭が元気に吸蜜したり次の花に移ったりしており、ざっと数えると55頭にも達しました。
イチモンジセセリ(8月19日 9:21、キツネノマゴ)
しかし、すでに翅の鱗粉が大なり小なり剥げ落ちており、本当にこの時期に出現する3化なのだろうかと疑問を持ちました。
♪イチモンジセセリはどこからやってくるのか?
イチモンジセセリの生態を調べると、7月に出現する2化個体は年によって異なりますが8月初旬~中頃に姿を消し、その後約1週間の空白期間をおいて新世代の3化が出現しています(1)。
また、3化個体は水田のイネで羽化した当日に集団で南~南西方向に約100km移動することが知られています(2)。
これらを総合して考えると、相模原市南部の雑木林にやってきた個体は、8月中頃に約100km北~北東の群馬・栃木・茨城県方面の水田で羽化し、長距離飛行してやってきた個体ということになります。この近辺に飛来後、涼しい林内にやってくるまでの活動や草むらでの活発な動きによって鱗粉がはげ落ちたということでしょうか。
現在、3化の個体はどこでも著しい数を目撃しますが、1,2化はこの辺では稀にしか見ることがありません。イチモンジセセリの世代交代や1,2,3化の比較については、次回書きたいと思います。
♪花の好み(相模原公園)
イチモンジセセリは、ブルーサルビア、ペンタス、ジニア(ホソバヒャクニチソウ)に多数見られましたが、サルビア、ベゴニア花壇にはまったく姿を見せていませんでした。
ペンタスとイチモンジセセリ(8月23日 12:25 相模原公園)
ジニアとイチモンジセセリ(8月23日 10:49 相模原麻溝公園)
♪求愛行動
求愛行動は午後が多いのでしょうか。いずれも前方にいる♀の後ろから♂が接近します。2枚目では腹端をつつかれた♀が翅を震わせて交尾拒否しているようです。この♀が翅を震わせる行動については、最近みき♂さんが良い写真をアップされております。
雌雄差が明確ですね。yodaさんが蝶鳥ウォッチングでご指摘のように、♂は腹端が翅の後方に飛び出し、♀は腹端が突出しない傾向が見られました。複眼の大きさも♂が大、♀が小という差が出ています。しかし、単独で撮影した個体の場合、腹端の飛び出し方だけを見ても雌雄どちらか悩ましいこともありました。
8月23日12:27 相模原公園
8月27日 15:35 キツネノマゴ(相模原市南区)
2014年9月19日 15:27 自宅ブッドレア
参照資料
(1)江村薫, "埼玉県におけるイチモンジセセリ第1世代成虫の発生実態の把握", 関東東山病害虫研究会年報, 第41集, 191-196(1994).
(2)中筋房夫, "西へ行くチョウーイチモンジセセリの謎", 化学と生物, 24(10)690-694(1986).
※イチモンジセセリ第1世代とは、2化のことです。
農業の分野ではイチモンジセセリの1化を越冬世代、2化を第一世代、3化を第2世代と呼びます。イチモンジセセリは、幼虫越冬します。
近くの広い雑木林の真ん中に数十m四方の開けた空間があり、そこは草地になっています。
8月になると、キツネノマゴが一面に咲き、毎年お盆過ぎに数十頭のイチモンジセセリがやってきます。
今年は、8月12日時点で未確認、8月15日に3頭が先行して出現しました。そして8月19日には、一視野に5,6頭が元気に吸蜜したり次の花に移ったりしており、ざっと数えると55頭にも達しました。
イチモンジセセリ(8月19日 9:21、キツネノマゴ)
しかし、すでに翅の鱗粉が大なり小なり剥げ落ちており、本当にこの時期に出現する3化なのだろうかと疑問を持ちました。
♪イチモンジセセリはどこからやってくるのか?
イチモンジセセリの生態を調べると、7月に出現する2化個体は年によって異なりますが8月初旬~中頃に姿を消し、その後約1週間の空白期間をおいて新世代の3化が出現しています(1)。
また、3化個体は水田のイネで羽化した当日に集団で南~南西方向に約100km移動することが知られています(2)。
これらを総合して考えると、相模原市南部の雑木林にやってきた個体は、8月中頃に約100km北~北東の群馬・栃木・茨城県方面の水田で羽化し、長距離飛行してやってきた個体ということになります。この近辺に飛来後、涼しい林内にやってくるまでの活動や草むらでの活発な動きによって鱗粉がはげ落ちたということでしょうか。
現在、3化の個体はどこでも著しい数を目撃しますが、1,2化はこの辺では稀にしか見ることがありません。イチモンジセセリの世代交代や1,2,3化の比較については、次回書きたいと思います。
♪花の好み(相模原公園)
イチモンジセセリは、ブルーサルビア、ペンタス、ジニア(ホソバヒャクニチソウ)に多数見られましたが、サルビア、ベゴニア花壇にはまったく姿を見せていませんでした。
ペンタスとイチモンジセセリ(8月23日 12:25 相模原公園)
ジニアとイチモンジセセリ(8月23日 10:49 相模原麻溝公園)
♪求愛行動
求愛行動は午後が多いのでしょうか。いずれも前方にいる♀の後ろから♂が接近します。2枚目では腹端をつつかれた♀が翅を震わせて交尾拒否しているようです。この♀が翅を震わせる行動については、最近みき♂さんが良い写真をアップされております。
雌雄差が明確ですね。yodaさんが蝶鳥ウォッチングでご指摘のように、♂は腹端が翅の後方に飛び出し、♀は腹端が突出しない傾向が見られました。複眼の大きさも♂が大、♀が小という差が出ています。しかし、単独で撮影した個体の場合、腹端の飛び出し方だけを見ても雌雄どちらか悩ましいこともありました。
8月23日12:27 相模原公園
8月27日 15:35 キツネノマゴ(相模原市南区)
2014年9月19日 15:27 自宅ブッドレア
参照資料
(1)江村薫, "埼玉県におけるイチモンジセセリ第1世代成虫の発生実態の把握", 関東東山病害虫研究会年報, 第41集, 191-196(1994).
(2)中筋房夫, "西へ行くチョウーイチモンジセセリの謎", 化学と生物, 24(10)690-694(1986).
※イチモンジセセリ第1世代とは、2化のことです。
農業の分野ではイチモンジセセリの1化を越冬世代、2化を第一世代、3化を第2世代と呼びます。イチモンジセセリは、幼虫越冬します。