小田原ではクマゼミを毎年聞くことができます。クマゼミは関東で分布を拡大していると言われていますが、その辺について書きます。
<小田原のクマゼミの様子>
小田原市の酒匂川近くでは7月29日にクマゼミが鳴き始めました。8月18日に数えたところ、敷地内に20本位あるソメイヨシノの並木に7匹が同時に鳴いている状況で、毎年これ位の密度で鳴いています。10時半頃に鳴き止み、アブラゼミと交代し、昼や夕方はアブラゼミ一色となります。生息数はアブラゼミ優勢です。
小田原の酒匂川付近でクマゼミを聞くようになったのは10年位のような気がします。小田原市内に住む知人と話をしていたら、「小田原市の南町(小田原城の南)でクマゼミを初めて確認したのは17年前のことだった。子供が小学校3年の時に、クマゼミの脱け殻を見つけて夏休みの宿題を作ったのでよく覚えている」と話してくれました。
<クマゼミとミンミンゼミの交代>
小田原市街地の朝は、クマゼミだけが鳴いていてミンミンゼミは聞かれません。クマゼミが進出するとミンミンゼミは不在になる傾向があり、関西では平地にクマゼミ、郊外の山地でミンミンゼミという棲み分けになっていることが知られていますが、小田原の平地ではクマゼミとアブラゼミの世界になっています。
ところが、大磯駅前のエリザベスサンダースホーム敷地内の森ではクマゼミとミンミンゼミが共存して鳴いていました(2007、2008年確認)。ここでは、まだ追い出しには至っていない状況です。
<クマゼミの生息密度>
10年ほど前のことですが、冨士市では1本の木に鈴なりに止まって鳴いており、泣き止むと飛び立つ姿がひっきりなしに観察されましたが、小田原や大磯ではクマゼミが1本の木に多数群がるほどの密度ではありません。
<クマゼミの分布拡大について>
西から分布を広げたクマゼミは大磯までは地続きで分布しているのは確実と思います。それではどこまで分布が広がっているのでしょうか。
今住んでいる相模大野の緑地帯や、自分の足でしばしば行く機会のある川崎市の向ヶ丘遊園、武蔵小杉、目黒区自由が丘、港区神谷町、品川区大崎の緑地帯ではクマゼミを聞いたことがありません。
公的な調査では、環境庁が国勢調査「身近な生き物調査」でクマゼミの分布を調べています。それによると、東京や神奈川では点々と鳴いている地区が分布しています。
http://www.nacsj.or.jp/project/ss2007/result_02.html
ウェザーニュース社は携帯サイト「ウェザーニュース」にて、全国の参加 者の協力のもと、クマゼミの生息分布を調査した結果(2008.8)から、「生息の北限 が“関東南部”と言われていたクマゼミが、温暖化などの影響により、“関東北部~北陸”に変化し、生息範囲が拡大していたことが判明した」と報じました。
http://weathernews.com/jp/c/press/2009/090805.html
この記事は多く引用されていますが、クマゼミは東京でさえ滅多に聞くことのないセミなので、北限が北関東といわれても納得できないところがあります。
そこで、セミの分布に詳しい「群馬県立ぐんま昆虫の森」の方にお尋ねしたところ、「都内の代々木公園や上野公園でクマゼミが発生したのは、10年くらい前です。代々木公園では、造成の際に四国(愛媛県)から樹木を移植し、それに伴い持ち込まれ定着したものと考えられます」とのコメントをいただきました。また、現在、北関東でクマゼミの定着が確認されている場所は、群馬県館林市と茨城県の取手市であることも教えていただきました。
相模原公園では、お互いに離れた数本の木にクマゼミが1匹ずつ鳴いていましたが(2007,2009年確認)、住宅地や広大な雑木林ではクマゼミを一度も聞いたことがありません。関東地方でのクマゼミの生息地は、局地的であり、「ところどころ」というのが現状で、北関東まで広く定着している状態ではないようです。
僕は小田原でクマゼミの声を聞くのを毎年楽しみにしているわけですが、クマゼミだけになってしまったら「殺風景だろうな」とも想像します。地球温暖化が進み、クマゼミが定着する環境は関東地方でも整い、いずれ近い将来、クマゼミが広く定着すると予想されますが、もっと豊かな生活環境を好むニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなどが失われないよう自然を大切にしていきたいと思います。
キツネノカミソリ (8月14日)
写真は、相模大野の永久保存林「木もれびの森」にて撮影。近くではミンミンゼミやアブラゼミ、ヒグラシが聞かれました。
<小田原のクマゼミの様子>
小田原市の酒匂川近くでは7月29日にクマゼミが鳴き始めました。8月18日に数えたところ、敷地内に20本位あるソメイヨシノの並木に7匹が同時に鳴いている状況で、毎年これ位の密度で鳴いています。10時半頃に鳴き止み、アブラゼミと交代し、昼や夕方はアブラゼミ一色となります。生息数はアブラゼミ優勢です。
小田原の酒匂川付近でクマゼミを聞くようになったのは10年位のような気がします。小田原市内に住む知人と話をしていたら、「小田原市の南町(小田原城の南)でクマゼミを初めて確認したのは17年前のことだった。子供が小学校3年の時に、クマゼミの脱け殻を見つけて夏休みの宿題を作ったのでよく覚えている」と話してくれました。
<クマゼミとミンミンゼミの交代>
小田原市街地の朝は、クマゼミだけが鳴いていてミンミンゼミは聞かれません。クマゼミが進出するとミンミンゼミは不在になる傾向があり、関西では平地にクマゼミ、郊外の山地でミンミンゼミという棲み分けになっていることが知られていますが、小田原の平地ではクマゼミとアブラゼミの世界になっています。
ところが、大磯駅前のエリザベスサンダースホーム敷地内の森ではクマゼミとミンミンゼミが共存して鳴いていました(2007、2008年確認)。ここでは、まだ追い出しには至っていない状況です。
<クマゼミの生息密度>
10年ほど前のことですが、冨士市では1本の木に鈴なりに止まって鳴いており、泣き止むと飛び立つ姿がひっきりなしに観察されましたが、小田原や大磯ではクマゼミが1本の木に多数群がるほどの密度ではありません。
<クマゼミの分布拡大について>
西から分布を広げたクマゼミは大磯までは地続きで分布しているのは確実と思います。それではどこまで分布が広がっているのでしょうか。
今住んでいる相模大野の緑地帯や、自分の足でしばしば行く機会のある川崎市の向ヶ丘遊園、武蔵小杉、目黒区自由が丘、港区神谷町、品川区大崎の緑地帯ではクマゼミを聞いたことがありません。
公的な調査では、環境庁が国勢調査「身近な生き物調査」でクマゼミの分布を調べています。それによると、東京や神奈川では点々と鳴いている地区が分布しています。
http://www.nacsj.or.jp/project/ss2007/result_02.html
ウェザーニュース社は携帯サイト「ウェザーニュース」にて、全国の参加 者の協力のもと、クマゼミの生息分布を調査した結果(2008.8)から、「生息の北限 が“関東南部”と言われていたクマゼミが、温暖化などの影響により、“関東北部~北陸”に変化し、生息範囲が拡大していたことが判明した」と報じました。
http://weathernews.com/jp/c/press/2009/090805.html
この記事は多く引用されていますが、クマゼミは東京でさえ滅多に聞くことのないセミなので、北限が北関東といわれても納得できないところがあります。
そこで、セミの分布に詳しい「群馬県立ぐんま昆虫の森」の方にお尋ねしたところ、「都内の代々木公園や上野公園でクマゼミが発生したのは、10年くらい前です。代々木公園では、造成の際に四国(愛媛県)から樹木を移植し、それに伴い持ち込まれ定着したものと考えられます」とのコメントをいただきました。また、現在、北関東でクマゼミの定着が確認されている場所は、群馬県館林市と茨城県の取手市であることも教えていただきました。
相模原公園では、お互いに離れた数本の木にクマゼミが1匹ずつ鳴いていましたが(2007,2009年確認)、住宅地や広大な雑木林ではクマゼミを一度も聞いたことがありません。関東地方でのクマゼミの生息地は、局地的であり、「ところどころ」というのが現状で、北関東まで広く定着している状態ではないようです。
僕は小田原でクマゼミの声を聞くのを毎年楽しみにしているわけですが、クマゼミだけになってしまったら「殺風景だろうな」とも想像します。地球温暖化が進み、クマゼミが定着する環境は関東地方でも整い、いずれ近い将来、クマゼミが広く定着すると予想されますが、もっと豊かな生活環境を好むニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなどが失われないよう自然を大切にしていきたいと思います。
キツネノカミソリ (8月14日)
写真は、相模大野の永久保存林「木もれびの森」にて撮影。近くではミンミンゼミやアブラゼミ、ヒグラシが聞かれました。