四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

阿蘇へ(3) ウラギンスジヒョウモン・ツマグロキチョウ

2015-09-27 16:10:00 | 
阿蘇でウラギンヒョウモン♀と同じ場所で出会えた蝶の紹介です。

ウラギンスジヒョウモン♀がいますよ、とshouchanさんが呼びに来てくれたので駆けつけると、ツクシアザミで吸蜜していました。



前翅先端が丸いのが本種の特徴ですね。前翅に三角の白紋があり、♀と分かります。

ウラギンスジヒョウモン♀




翅裏の模様からもウラギンスジですね。

ミドリヒョウモン♂もツクシアザミで吸蜜していました。NETでは、ツクシアザミは高さ100cm以下との説明が多いようですが、もう少し背が高い感じがしました。

ミドリヒョウモン♂


♀は産卵行動の休憩時間なのか、樹木の葉上に止まっていました。

ミドリヒョウモン♀



シシウド(だと思う)にはサカハチチョウが来ていました。

サカハチチョウ





ダイミョウセセリ。後翅に明瞭な白帯がある、本場モンの“関西型”ですね。関東でも稀にこの白帯があるものを見ることがありますが、もっと薄っすらとしています。

ダイミョウセセリ関西型



キマダラモドキもいました。翅が傷んでいましたが初見なので載せておきます。

キマダラモドキ



ここに来る前の標高約300mの草地で、ツマグロキチョウを観察しました。これも初見の蝶です。一見キタキチョウに似ていますが、翅裏後翅に黒い筋が出ており、これがツマグロキチョウ秋型の特徴です。

ツマグロキチョウ♂


明るい草地の1m四方位の窪み内側にこだわって止まったり飛んだりを繰り返していました。キタキチョウでは見たことのない行動で、これがテリ張りなのかと想像しました。生息環境にはカワラケツメイがしっかりと生えていました。

ツマグロキチョウ♀


こちらは草上に着地後静止していました。翅色が淡黄色なので♀だと思います。

最後に大観峰へ。向かいの山は内輪山のひとつ根子岳。手前に広大な火口原が広がっています。



撮影日:9月18日
                           (続く)
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阿蘇山へ(2) ウラギンヒョウモンの観察

2015-09-25 15:10:00 | 
「しょうちゃんの雑記蝶」shouchanさんのご案内で、阿蘇山・九重山を回り、蝶を探索しました。

標高約650mのやや湿り気のある草地で、運良く夏眠明けのウラギンヒョウモン♀が草や枯葉の上に舞い降り、歩いて産卵場所を探しているのを見つけました。

ウラギンヒョウモン♀ A

草の上


枯葉の上


腹端を葉の隙間に挿入し産卵姿勢に。近くにハート型の葉のスミレがあるので、スミレを感知した上で産卵しようとしているのかもしれません。




深い位置に挿入。地面に近い場所を選ぶように見えます。




20~30m離れたところは、別の♀が熱心にツクシアザミで吸蜜していました。産卵行動をとるもの、吸蜜するものが同時刻におり、思い思いのペースで生活している様子でした。

ウラギンヒョウモン♀ B





別の観察場所に移動。こちらは標高約900mのいくらか乾燥した草地で、日の陰るなか、1頭の♀が産卵場所探し中でした。

ウラギンヒョウモン♀ C


shouchanさん、色々お世話になり有難うございました。

その他の蝶は、後日報告とします。

♪ ♪ ♪

カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FZ1000
撮影日:9月18日

今までマクロレンズ装着のニコン D7000と18-55mmレンズ装着のニコン D60の2台の一眼レフを持ち歩いていましたが、5泊6日の旅程では重く嵩張るので、今回上記機種を購入しました。撮像素子の種類は1型、ニコン一眼レフとコンパクトデジカメの真ん中あたりのサイズです。1本のレンズで25~400mmのズーム撮影ができ、マクロ撮影機能もあります。Nikon一眼レフと使い勝手が異なり手間取ることもありますが、軽いのと被写界深度が深くなる点は良いですね。マクロレンズでの近接撮影にはピント合わせに手こずっています。

                         (続く)
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阿蘇山へ(1)

2015-09-25 12:46:00 | 
9月15,16日、福岡に住む息子宅を訪問。17日に阿蘇定期観光バスで草千里ー阿蘇神社・水基(ミズキ)巡りー大観峰のコースを回りました。


阿蘇山中岳

旅行に出かける前日の14日に中岳が噴火し、噴火警戒レベルがレベル2から3に引き上げられ火口から半径2km以内が立ち入り禁止になりました。14日の草千里には降灰があり観光客を下山させたと報じられていましたが、15日からは定期観光バスも草千里までは運行となりました。火口間近の阿蘇山西には規制区域内で行かれないままでした。


中岳第一火口の噴煙

火口からは時々白煙が立ち上る程度でした。観光客は少なめでしたが、外国人のグループが何組か来ており、オランダから来た若夫婦と1歳のお嬢さんと知り合いになりました。



そのうち雨が降り始め、次のコースに移動。


田舎いなりとそばの店「はなびし」

阿蘇神社の門前町に到着。昭和の雰囲気のお店で昼食。


水基

門前町には水基(ミズキ)と呼ばれる水飲み場があちこちに点在していました。


大雨の阿蘇神社

阿蘇神社では雷の鳴る大雨に。阿蘇山一帯に大雨洪水警報が出されました。


阿蘇神社


楼門

雨宿りをしていた、2層の楼門。
その後、大観峰にも行きましたが、雨のため何も見えませんでした。

                              (続く)                   


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夏のヒョウモンの仲間たち

2015-09-14 14:31:00 | 甲州・信州への旅
この夏に高原で出会ったヒョウモンの仲間たちです。


ウラギンヒョウモン♂

高原に多いですが、里山でも初夏と夏眠明けの秋に見られます。夏眠明けに姿を現すのは♀がほとんどで、♂はめったに見ません。


ギンボシヒョウモン

1,500m以上の高原に多い種類です。翅裏前縁の銀色斑の数がウラギンヒョウモンよりも少ないので見分けられます。ウラギンは5つ、ギンボシは4つ。


ギンボシヒョウモン(手前)とウラギンスジヒョウモン


ウラギンスジヒョウモン♂

高原に生息しますが、数の少ない種類です。低標高地ではほとんど見られません。


コヒョウモン♂

火山性の高原で見られます。クガイソウによく集まります。


コヒョウモン♀


ミドリヒョウモン♂

高原で一番数の多いヒョウモンの仲間です。秋になると、夏眠から覚めて低標高地に里下りする習性があります。昨年9月には大挙して平地に飛来し当り年に。我が家の庭にもたくさんやってきました。


ミドリヒョウモン♀

♀は、翅の色がくすんで見えるので識別できます。





メスグロヒョウモン♂

多摩丘陵など里山に多く、高山ではむしろ少ない種類です。夏には一旦姿を消しますが、夏眠明けの秋に再び出現します。

撮影日:7月28~29日

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イチモンジセセリの世代交代について

2015-09-07 20:56:00 | 相模原・県央
イチモンジセセリの1,2,3化と世代交代について、手持ちの写真を入れながらまとめてみました。

♪ 1化
イチモンジセセリの1化は、5月中頃~6月中頃に出現しますが、この辺では見かけることが稀です。1枚だけ過去の1化の写真を探し出せました。

イチモンジセセリは幼虫で越冬しますが、寒さに弱いため、越冬できるのは九州~関東南部に限られます。
2,3化が水田(湿地性イネ科植物)で生育・羽化するのと異なり、越冬は、日当たりの良い田畑の畦・土手、休耕地、谷戸の畔、河川堤防などの乾地性イネ科の雑草を利用して行わますが、除草、耕うん、野焼きなどの農作業で駆除されてしまうため、越冬世代の成虫は極端に少なくなるとの報告があります(1)。


1化 2013年5月16日 相模原公園

♪ 2化
2化は7月頃に早期早植イネの水田(埼玉県では県南部)で発生しますが、数はそう多くありません(2)。2化の写真もこの1枚をやっと探し出しました。


2化 2014年7月15日 丹沢東麓

♪ 3化
3化は、8月中頃~9月におびただしい数が広大な水田(二毛作田の移植の遅いイネ、埼玉県では県北部中心)で発生しますが、この世代は著しい食害をもたらし、時に大集団が南西方向に約100km移動することが観察されています(3)。

平地では3化の鱗粉の落ちていない個体がなかなか見当たりませんが、山間部では新鮮な個体が数頭集まっていました(↓)。なぜか低標高地でみるような激しい動きをせず、落ち着いて撮影できました。密度が低いせいかもしれません。


3化 2015年8月27日 丹沢東麓


3化 2015年8月27日 丹沢東麓

3化は、標高の高い山地でも見られました。


3化 2014年9月2日 山梨県(標高1,400m)

♪ 翅裏の色彩
あまりにも1化、2化の写真が少ない条件での比較になりますが、2化は1化や3化に比べて翅裏が明るい色になっていました。
この翅裏の色彩は老齢幼虫期の日長で決まります。2化の老熟幼虫期(6月下旬頃)の日長は14時間30分以上で淡色小型となり、1化、3化の老齢幼虫期の日長はそれ以下で暗色大型になります(3)。

参考資料
(1)原聖樹, 山崎義明、宮川健太郎、関谷英雄, "神奈川県におけるイチモンジセセリ・チャバネセセリの越冬", 関東東山病害虫研究会報, 47,105-108(2000).
(2)江村薫, "埼玉県におけるイチモンジセセリの第1世代成虫の発生実態の把握", 関東東山病害虫研究会報, 41, 191-196(1994).
(3)中筋房夫, 石井実, "蝶、海へ還る イチモンジセセリ渡りの謎", 冬樹
社(1988).

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