先週(3月15日)、小田原市主催の「コアジサシの郷づくり」に参加しました。
コアジサシは、4月中旬にオーストラリア、ニューギニアから小田原市の酒匂川中洲など限られた場所に飛来する渡り鳥で、絶滅危惧種に指定されています。大きさは30cm位で、ヒヨドリ程度。
小田原市では1995年に市の鳥に指定し、1996年に酒匂川下流の中洲に繁殖用台地を設けて以来、毎年営巣地を守る活動「コアジサシの郷づくり」を行っています。
コアジサシのイラストと写真(日本野鳥の会)
職場の仲間と共に9時に現地に行きました。中州には「おかえりなさい コアジサシ」という横断幕が掲げられていました。そこにコアジサシの営巣地を作ります。皆が集まったところで、日本野鳥の会の方がコアジサシの生態や営巣地の作り方について説明する。「早いもので4月はじめに先発隊がやってきて、それぞれが巣を作る場所を決めると次に大きな大きな集団が来る。この場所を選ぶかどうかは先発隊の気持にかかっている」とのことです。
各自一斉に石をバケツで運び、コアジサシへの愛を込めて巣作りを始めました。コアジサシが好む白い石かゴマ石(御影石)を並べ、中心付近は抱卵しやすいように小さめの石や砂を敷く。
Mさんの作品
コアジサシは大きい石のすぐそばに巣を作る傾向があるので、並べた小石の脇に大きな石を置く。僕も巣を作りましたが、追加の石を取りに行って帰ってみるとどれだったのか見分けることができない有様!これでは親鳥になれそうもありません。
木製のスノコは、天敵のカラスやチョウゲンボウが来たときに雛が隠れるために置いています。
最後に、主催者が用意したデコイ(模型)を近くに置く。飛んできた鳥たちに仲間がいると思わせ舞い下りてもらうという作戦です。
5月の連休が終わった頃に、2,3個の卵を産み、21日間にわたって抱卵を続けるそうです。
参加者と共にたくさんのコアジサシが飛来することを祈って中州を後にしました。
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<渡りのルートについて>
日本野鳥の会の方からもらった資料には
「日本のコアジサシの多くは東京湾に集合して9月中旬には南の国に向います」とあります。
野鳥図鑑に1992年の新聞の切り抜きが挟んであり、
「6月に小田原市飯泉の酒匂川河口から標識を付けて離したコアジサシ80羽のうち1羽が、南太平洋のカロリン諸島付近の洋上で9月に漁船に発見された」という記事が載っていました。
小さなコアジサシはどのようにして酒匂川とオーストラリアの間の大海原を間違いなく往復するのか。渡りという行動には神秘に満ちたものを感じます。