四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

イチモンジセセリの吸蜜風景

2014-08-27 15:08:00 | 相模原・県央
メドーセージでの吸蜜風景

8月24日、キツネノマゴ群落で吸蜜するイチモンジセセリ大集団とは別に、メドーセージ(サルビア・グラニチカ)の花壇にも10頭くらい訪花していました。

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メドーセージの花筒は長いですね。イチモンジセセリの口吻は花内部の蜜源まで届いているのでしょうか。

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こちらは、花の内部にではなく、黒い萼と花の隙間に口吻を挿入しているようでした。

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こちらの個体は、口吻の先端が花筒に突き刺さるように下りています。
アゲハチョウやホウジャク類がメドーセージの花筒に口吻を入れれば吸蜜できそうですが、メドーセージに10頭も群がっている小さいイチモンジセセリを見ながら、本当に吸蜜できているのだろうかと不思議に思いました。

イモカタバミでの吸蜜風景

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イチモンジセセリがイモカタバミの花に止まると、その重みで花茎がたわみ、蝶の姿がストンと下がって花が斜め下向きに。

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同上

何度見ても、同じようにイチモンジセセリの重みで花が下へ。

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イモカタバミで吸蜜するヤマトシジミ

ところが、ヤマトシジミが花に止まるのを見ると、花の向きは上向きのまま。
イチモンジセセリとヤマトシジミの体重差がはっきりと分かりますね。

晩夏のセセリチョウたち

2014-08-25 11:01:00 | 相模原・県央
8月24日
朝のうち少し涼しかったので近くの雑木林へ。
8月13日にはまったくみられなかったイチモンジセセリが、林縁草地で一面に咲くキツネノマゴに沢山集って吸蜜していました。数えると50頭は超えていました。


キツネノマゴとイチモンジセセリ


休憩中のイチモンジセセリ

つい最近、この辺りにどこからか大挙して飛来したと思われます。
2013年は8月14日、2012年は8月30日に同様の大集団を確認しました。いつも突然急増しています。

草むらを注意深くチェックすると、イチモンジセセリに紛れてキマダラセセリが3頭いました。


キマダラセセリ

小さいセセリですが、元気よく吸蜜・飛翔を繰り返していました。


別個体

吸蜜中のイチモンジセセリは大抵翅を閉じていますが、キマダラセセリは花に止まった時翅を閉じていても数秒後には開翅する様子でした。

チャバネセセリも1頭混ざりこんでいました。


チャバネセセリ

イチモンジセセリ同様、チャバネセセリも晩夏~秋口に増えてくる種類ですが、大抵はイチモンジセセリ集団の中に少数紛れているのを見ることが多いです。


休憩中のチャバネセセリ(同一個体)

ステルス型戦闘機のように開翅して休憩中。チャバネセセリの後翅表面には紋がないのが特徴です。

8月23日
伊勢原の渓流沿いの日陰斜面では、4頭のヒメキマダラセセリがマツカゼソウで吸蜜・飛翔を繰り返していました。


マツカゼソウとヒメキマダラセセリ

この時期現れる夏型は姿が一際小さく可愛らしいです。丘陵地~低山地で見られる蝶で、平地では見ていません。


休憩中のヒメキマダラセセリ(別個体)

休憩中の春型が開翅しているのをこの春見ましたが、この個体は翅を閉じていました。前翅裏面の模様が比較的多く見えていました。


マツカゼソウとヒメキマダラセセリ

マツカゼソウはミカン科の植物です。ヒメキマダラヒカゲがいなければ見逃していたと思うくらい目立たない小さい花でした。

山梨県産ダイミョウセセリの紋様

2014-08-22 17:21:00 | 
前回、相模原・町田地区のダイミョウセセリについて紹介しました。関西型のように後翅に太い白帯を有するものは見られず、典型的な関東型を示しましたが、白帯の痕跡は大なり小なり見られました。

そこで、今回は関東地方の西隣の山梨県で撮影したダイミョウセセリの写真を、後翅白帯の痕跡の少ないものから順に並べました。
数字は前回記事からの通し番号です。


8. 2014年5月22日 山梨県身延町


9. 2014年5月23日 山梨県北杜市

8,9は、相模原・町田地区で見られた典型的な関東型の部類ですね。


10. 2014年5月22日 山梨県身延町

10は、関東型の領域から少し足を踏み出し、薄っすらと白帯が現れていました。受け身の園芸のuke-enさんの写真に見るような中間型に一歩近付いたといえるでしょうか。

関西型と関東型の境界線は、若狭湾から琵琶湖の東を通り、伊勢湾に向かう地帯といわれ、実際にはもう少し広い中間型の領域が存在し(※1)、一説には兵庫県西部より西が関西型、兵庫県東部から長野県西部までが中間型、長野県東部より東が関東型との指摘もあります(※2)。

大きく見れば山梨県は関東型の領域内ですが、中間型に近付いたものも現れる微妙な土地柄のようです。
福岡県などの関西型地区での紋様、京都府などの中間型地区での紋様にはどれくらいの変動が見られるのでしょうか?

付録
日本のダイミョウセセリは、関西型~中間型~関東型というように西から東になだらかに移行するので、関西・関東型が別亜種というのではなく、日本国内産の亜種はDaimio tethysです。

朝鮮半島、済州島、中国北・東北部、ロシア南東部は日本と同じtethys亜種、中国中・南部と台湾の亜種は moori(Mabille.1876)、中国西部、チベットの亜種はroona (Evans.1946)、中国雲南省からインドシナ半島北部の亜種はbirmana(Evens.1926)になっています(※3)。種子島・屋久島以南の島嶼にはダイミョウセセリが分布していません。

ではどのようにして関西型・関東型が生じたのでしょうか。日本には最初に関東型が入り込み、その後の時代に西から関西型が入り込んだためではないかとの説があります。長い年月で交配が進み現在の分布になったというわけです。縄文人の後に大陸から弥生人がやってきた日本人の成り立ちとどこか似通っているのかもしれません。

各亜種の紋様がどのようなものか知りたかったのですが、NETでは写真が見付かりませんでした。ご存じの方がいらっしゃったらお教え下さい。

追記
追記1(8月23日)
台湾亜種の写真が見付かりました。

追記2(8月23日)
かつては関東型・関西型の2亜種に分類されていたようです(参照:高橋昭、田中蕃、若林守男、"カラー自然ガイド 日本の蝶Ⅰ"、保育社(1973))。両型の混在または中間型の出現する地域も若狭湾の北から伊勢湾にかけての帯状の狭い範囲で示されています。

相模原・町田地区のダイミョウセセリ

2014-08-20 16:15:00 | 
関西のダイミョウセセリの後翅には白帯があり、関東型には白帯がないとされています。

しょうちゃんの雑記蝶のshouchanさんが撮影された九州のダイミョウセセリの後翅には目立つ白帯が現れ、関東産には白帯の痕跡程度しかないので、別種なのかと思わせるほどの相違があります(※1)。

京都府の三重県境に近い地域にお住まいの受身の園芸のuke-enさんは、関西型に近いもの、白斑列がほとんど見えない関東型に近いものの両方が観察され、関西型と関東型の中間の様相を呈しているようです(※2)。

そこで、マイフィールドとしている相模原・町田地区のダイミョウセセリの後翅の斑紋がどのようにばらついているのか、7個体の写真で示しました。白帯欠如のものから痕跡の度合いの少ない順に並べています。
※相模原市は神奈川県北部、町田市は東京都南部にあり、境川を挟んで隣接しています


1. 2013年5月10日 相模原市南区 


2. 2013年5月11日 町田市


3. 2013年4月25日 相模原市南区


4. 2013年5月19日 相模原市南区


5. 2013年5月17日 町田市


6. 2013年5月10日 相模原市南区


7. 2013年5月21日 相模原市南区

分類すると:
白帯の痕跡の僅かなもの(1,2)
白斑が少し浮き出ているもの(4~6)
白斑が目立つもの(7)
よくわからないもの(3)

関西型のような明瞭な白帯を示すものはありませんでしたが、白帯の痕跡が大なり小なり見られるという状況でした。


真夏の雑木林の蝶たち

2014-08-18 15:17:00 | 相模原・県央
8月13日

夜明け前の最低気温が21度(アメダス海老名)と涼しい朝。
近くの雑木林の中の小径をゆっくり歩いていると、地面付近からテングチョウが舞い上がり、高い枝先に止まるのを見付けました。


テングチョウ♂(9:19 26度)

翅を広げてしばらく静止。テングチョウは標高の低いところでは真夏の期間、夏眠します。過去数年間の自分の記録を見ても、7月16日から9月26日までは目撃できない空白期間になっています。8月の目撃は自分では初めて。この暑い時期に飛び出してくるとは意外でした。急な涼しさで秋を感じたのでしょうか。


クロアゲハ

雑木林に接した畑地に珍しくクロアゲハが飛んでいました。ボタンクサギでの吸蜜が目的だったようで、しばらく吸蜜後、森へと消えていきました。

ルリタテハがアカマツの幹にまとわりついて、飛んでは止まりを繰り返していました。





ルリタテハ

撮影して確認すると樹皮の割れ目に口吻を伸ばしています。蝶がアカマツの樹液を吸汁というのは聞いたことがないので、吸水ですかね。
その後も次々に吸水行動をとる蝶に出会いました。暑さの中での水分補給でしょうか。


サトキマダラヒカゲ

サトキマダラヒカゲが朽ちかけた丸太で吸水中。


イチモンジチョウ

イチモンジチョウは地面で吸水し、低木の葉上で休むのを繰り返していました。


アカボシゴマダラ♀

目の前の葉先に舞い下りて静止しました。180mmマクロレンズでの真上からの撮影です。これは大きさから♀ですね。


別個体♀

大分先の草の上に舞い降りるのが見えました。この日は♀が休んでいるところを3度見かけました。産卵の疲れを癒しているのでしょうか。


ヤマトシジミ♂

帰り際に小型で美しいヤマトシジミを見つけました。雑木林の林縁にもヤマトシジミが増え初めていますが、イチモンジセセリはまったく姿を見せませんでした。8月下旬なれば急増すると思います。

追記(8月19日)イチモンジセセリの急増時期について
昨年は8月14日に20頭を目撃。一昨年は8月23までは少く30日には29頭目撃。
そろそろ急増する時期と予想されます。
ツクツクボウシは、ほんの少数鳴いていました。こちらももうじき賑やかになるのでしょう。

付録

キジバト

雑木林の近くの地面で羽を開いて休憩中。そのあと、羽を閉じて餌をついばんでいたので、怪我をしているのではなさそうでした。


ヨルガオ(17:04)

12日の夕方、自宅の朝顔を這わせているグリーンカーテンで開花。8月に入ってから数個開き切らない形で咲きましたが、初めてきれいに開きました。
自分ではヨルガオを植えていないので、どのようにしてプランターに入り込んだのか謎です。ヨルガオは夕方に開花し、翌朝にはしぼんでいます。
※朝顔の苗のポットにヨルガオの種が入っていたのだろうか?