四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

大磯の蝉たち

2007-08-31 14:17:00 | セミ
8月21日、大磯駅を下りたら、エリザベスサンダースホームの森ではクマゼミとミンミンゼミが鳴いていました。クマゼミは小田原より東の大磯でも定着して生活しています。
照ヶ崎海岸にアオバトを見た帰りに、エリザベスサンダースホームの森に隣接する愛宕神社を訪れました。すると、セミを捕虫網で5,6匹も捕まえてジージー言わせているたおじさんが階段を下りてきたので
「クマゼミですか?」と尋ねると
「そう、クマゼミはセミの王様だ」との答えが返ってきました。
愛宕神社の狭い境内には、それでもなおクマゼミが何匹も鳴いていました。よく見ると、桜の木に止まって胴体を前後させながら鳴く姿をすぐに2匹見つけました。


鳴いているクマゼミ

時刻は10時35分ころです。愛宕神社ではクマゼミだけが鳴いていました。しかし、見渡すとすぐに目に付くのはアブラゼミで、かなり密集して止まっています。


アブラゼミ

ふと近くを見ると、桜の木の下の方に、2匹のミンミンゼミが止まっていました。


ミンミンゼミ

ミンミンゼミやアブラゼミは他のセミがいなければこの時間帯には鳴くものですが、ここではクマゼミが優勢のため、他のセミは鳴りを潜めてじっと静かに待っているようです。どこかに逃げ出さずにじっと耐えて。
それにしても3種類のセミが何本かの桜の木に過密に共存しているのを見るのは初めて。その際の力関係は、クマゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミの順ではないでしょうか。よほどここの環境はセミたちに適しているのだと思います。
大阪など西日本では、平地にクマゼミ、丘陵にミンミンゼミという棲み分けが成立していますが、大磯で両者が混在して生息しているのは、ここミンミンゼミの世界にクマゼミが東進して入り込んでからの時間経過が少ないせいではないかと思います。
今までの小田原での観察経験からいうと、ここでもクマゼミが鳴き止んだ後、アブラゼミが延々と日暮れまで鳴くのだろうと思います。
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蝉時雨(2)クマゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ

2007-08-26 12:33:00 | セミ
セミについては、どのような環境・場所に棲息するのか、全国の分布はどうなっているのか、セミ同士はどのような棲み分けをしているのか、などということに特に興味を持っています。今回は、クマゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシです。
アブラゼミは、8月21日に掲載しました(蝉時雨(1))。

<クマゼミ>
クマゼミは南方からやってきた蝉で、伊豆半島の西側、冨士市辺りではものすごい勢いで鳴きます。温暖化に伴なって分布域が東進し、東京でも局所的に鳴いているという話も聞きます。
小田原でも毎年鳴いており、今年は7月24日に初鳴き。クマゼミもソメイヨシノ、ヒマラヤスギのどちらにもいます。8月上旬以降の晴れた日は特ににぎやか。しかし、大阪や静岡県冨士市の過密な賑わいぶりに比べればまばらな状態です。
小田原で昨年観察した結果では、クマゼミは朝早く鳴き、10時半頃にはアブラゼミと交代します。過密な大阪では、夕方も鳴くピークが現れると報道されていましたが、小田原では朝だけです。小田原の神社では、ケヤキ、クスノキで鳴いていました。クスノキは樟脳の原料となる木。クマゼミは樟脳を解毒する力をもっているのでしょうか。樹木の種類を問わないようです。
8月19日、相模原公園の2箇所でクマゼミを聞きました。相模原でクマゼミを聞いたのは初めて。相模原では他の場所で聞いたことがないので、植物の移植に伴なって公園にやってきたのではないかと思います。
8月21日午前7時~11時、大磯のエリザベスサンダースホームや愛宕神社ではクマゼミが優勢で、ミンミンゼミも一緒に鳴いていました。

<ミンミンゼミ>
ミンミンゼミは、背の高い木が生えている林や山間部に多くいます。冨士市ではクマゼミがいますが、ミンミンゼミはいません。関西地方では平地はクマゼミ、丘陵地帯ではミンミンゼミという風に棲み分けが行われているそうですが、同じ傾向です。
富士川を遡り山梨県に入ると、ミンミンゼミの世界になります。山梨県身延町の外れにある田んぼに接した自然林の山では、朝目覚めるとミンミンゼミの大合唱が繰り広げられます。
小田原ではクマゼミが優勢でミンミンゼミは押され気味で、昨年は8月下旬に少し出現した程度です。
都心にもミンミンゼミがいます。神谷町の八幡神社や自然遊歩道の高木では、朝早くから昼ごろまでミンミンゼミが鳴いています。夕方になるとアブラゼミがモノトーンで鳴き続けます。
相模原公園では、ミンミンゼミもクマゼミもいましたが、どちらも生息密度が低いので、まだ棲み分けるほどの状況ではないようです。
8月21日の朝、大磯のエリザベスサンダースホームの森では、クマゼミが優勢でしたが、ミンミンゼミも鳴いていました。ここは小田原の観察地よりも密度が高い状態ですが、棲み分けには至っていないようです。

<ヒグラシ>
8月12日、17時と18時に相模原の木もれびの森を通過したところ、杉の生えている薄暗い林ではヒグラシが合唱していました。そのほかアブラゼミも聞えました。
ヒグラシは、相模原市内でも、ある程度の面積があり、杉も生えるような薄暗い密な林だけに多く生活しています。後世までも、そのような林を市の永久保存林として受け継いでいってほしいと思います。
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アオバトを見に照ケ崎海岸へ(2)

2007-08-23 22:50:00 | 
アオバトを観察する「こまたんアオバト探検隊」メンバーのところへ行く。
アオバトは、5月から11月まで照ケ崎海岸に海水を飲みにきます。こまたんメンバーの研究により、アオバトは春から秋まで丹沢の山の中に暮らし、夏場は果実を食べるので塩分が不足し、海水を飲みに来るのだと考えられているそうです。
こまたんメンバー2名がスコープを覗きながらアオバトの観察をしていました。1時間毎の飛来数、雄と雌の比率、今年生まれた子供の飛来数などをカウントしている様子です。
「今日は何羽位飛んできていますか?」
「9時までで1,000羽を少し超えています。スコープでアオバトを見てみますか?」
親切に勧めてくれたのでスコープを覗くと、雄の背中の羽が小豆色であることや、水を飲んでいる様子を手に取るように見ることができました。親鳥と子供の見分け方も教わりました。



さらに、果実を食べる夏場は、カリウムをたくさん摂ることになるので、カリウムとナトリウムのバランスをとるために海水を飲むのかもしれないとのこと。本能的に栄養バランスを考えているようだ。
冬は丹沢にはいなくなり、西日本で越冬することは知られてたが、最近、京都御所で観察を続けることができたので、生活ぶりが少しはわかってきた。ドングリをたくさん食べてあとは木に止まってうつらうつらしている・・・という話も聞きました。
羽の模様の観察の結果、7,8月には子供も加わって飛んでくるようになるので夏に飛来数が急に増えることも分かったそうです。

帰りに、パンの店「アヴィアント」に立ち寄る。ここには、こまたん作成のアオバトの絵葉書、書籍「アオバトのふしぎ」、アオバトをデザインしたマグカップが置いてあったのでいくつかをお土産に求める。お店のおばさんは、アオバトの絵を描いた看板をお店の外に飾るつもりだそうで見せてくれました。とても美しく描かれ、アオバトへの愛情が感じられます。



大磯駅と海岸の間には、エリザベスサンダースホームの森が横たわっています。丹沢から来たアオバトは、ここで一旦羽を休めてから海岸に飛んでいくそうです。海岸を離れた鳥たちは数10羽揃って森のほうへ帰っていく様子も分かりました。
アオバトをじっくりと観察したり詳しい生態の話を聞くことができ、有意義な一日でした。また季節を変えてアオバト観察と知り合った人たちとの再会を果たしたいと思います。
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アオバトを見に照ケ崎海岸へ(1)

2007-08-22 11:21:00 | 
アオバトが海水を飲む場所として有名な大磯照ケ崎海岸を訪れました。
アオバトは、夏の朝7時から8時ころが飛来のピークと「アオバトのふしぎ」に書いてあったので、7時過ぎに海岸に到着。何十羽ものアオバトが上空を旋回し、そして海岸の岩礁に舞い降ります。集団が真上を通るとき、喉から胸の色が揃って黄色と白に見えて美しい。しばらくすると、幸運にも1羽が直ぐ近くの岩に止まってくれました。


直ぐ近くに舞い降りた雌

73歳になるというおじさんによると、照ケ崎海岸の岩礁は、大正12年の関東大震災で隆起してできたものだから、それ以前にはなかった。アオバトは大震災後にここに来るようになったのだろう、とのこと。なるほど、するとそれ以前はどこで海水を飲んでいたのか、という新たな疑問が湧いてきます。


照ケ崎海岸の岩礁と表面の穴

この磯に潜るとムラサキウニ、バフンウニなどがいるが、あの岩にあるお椀の形の穴は、岩が水面下にあった時代にムラサキウニが作ったものだ。あの穴があるからそこに海水が溜まり、アオバトが嘴を突っ込んで飲むことができる・・・磯のすべてを知るおじさんならではの説明です。
あそこに「こまたんアオバト探検隊」の先生がいるから話を聞くといいよと教えてくれました。              

こまたん著,“アオバトのふしぎ”,エッチエスケー(2004)


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蝉時雨(1)アブラゼミ

2007-08-21 16:44:00 | セミ
今年も色々なところで蝉の合唱に耳を傾けてきました。それぞれのセミはどのような環境を好んで鳴いているのか、少し探ってみたいと思います。

アブラゼミ
東京・神奈川ではもっとも普通の種で、相模原公園では朝から鳴いています。この種は、桜のような在来の樹木、メタセコイアのような外来の樹木を問わず、鳴いています。8月19日、相模原公園のメタセコイアの枝にいくつも蝉の抜け殻を発見しましたが、アブラゼミのものでしょう。



小田原(勤務先)では、8月2日(梅雨明け日)に初鳴き。ヒマラヤスギもソメイヨシノも多数植えられていますが、どちらでも元気に鳴いています。朝の時間帯はクマゼミが占拠しているので鳴りを潜めていますが、昼休みはアブラゼミだけとなり、夕方はアブラゼミの蝉時雨となります。
港区神谷町の八幡神社では、朝はミンミンゼミが優勢。そのあと鳴き始めます。
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