ウルトラQから始まり怪奇大作戦まで製作されていた円谷作品の
中で、最も前評判のわりに期待を裏切った形になっているのがマイ
ティジャックだろう。
SFメカものというジャンルで大人向けに1時間枠番組としてで製
作されたのだが残念ながら視聴率の低迷という形で1クール13話で
打ち切りとなり、以後は戦えマイティジャックとタイトルを替えて
30分番組として子供向けにシフトチェンジしたものの視聴率は回復
せずに68年いっぱいで終了する形になった。
ウルトラマンをはじめウルトラQやセブンに快獣ブースカ、怪奇
大作戦など人気番組が多かった中でマイティジャックだけは1時間
番組だったという事から再放送も殆どないわけだから本当に残念な
話である。
思えばウルトラをはじめとした円谷作品は子供達に人気があった
一方で大人達の間には既に円谷作品=子供向けという法則ができて
いたと思われ、土曜20:00という時間帯にOAされる形だったから
子供が見るには難しく大人が見るには微妙な内容だった事になる。
またウィキなどによると特撮番組のイメージが付く事を嫌がった
二谷英明と円谷やフジTVの意見の相似が問題化し、制作面の不協和
音が顕著化していたという話も載っているように円谷サイドが出す
出演条件の‘特撮にリスペクトがある者’という最大の拘りを無視
されていたという事か。
そんな中で個人的に思うのは、脚本家の作品に対するイメージの
違いもあるのではないかという事。
13話の脚本を見ると御大の金城哲夫が1話しか担当してないし、
山田正弘や山浦弘靖らウルトラではお馴染みの面々で最も担当した
のは若槻文三の3話のみ。
一方でゴジラをはじめとした東宝特撮のメインライターだった
関沢新一が1話を担当した以外に有高扶桑や池田一朗に柴英三郎、
小滝光郎や藤直弘に代々木忍や田辺虎男、横山保郎など円谷作品
とは馴染みのない面々が顔を揃えている。
マイティジャックの特徴としてSFメカものに加えスパイアクシ
ョンものというジャンルをミックスさせており、1時間番組という
事やスパイアクション系の脚本家を揃えたのかもしれないが円谷
作品に求められる要素を理解していたのかという疑問も残る。
全13話を見た時に思うのは最も面白かったのは金城哲夫の爆破
指令だったし若槻文三が担当した祖国よ永遠なれや地獄への案内
者なども印象深い一方で、関沢新一が担当したパリに消えた男な
どでも‘?’とう内容の作品が多い。
やはり特撮が素晴らしく冨田勲の音楽も素晴らしいにも拘わら
ず視聴率の低迷というのは、円谷とは門下漢の脚本家達が円谷作
品との相性の悪さではないかと思うのだ。