ヒーローが登場しない怪奇大作戦は特撮シーンが、今ひとつ地味
ではあるものの意外に重要なポジションを占めているのを実感する。
1話の壁抜け男でキングアラジンが壁にめり込む場面から始まり、
2話の人食い蛾でチラス菌を浴びた被害者が溶解するシーンや3話や
4話で突如発火して被害者が焼け死ぬシーンなど印象的なシーンが
多く当時の子供達にしてみると‘怖い’というイメージが強かった
ようである。
思えば特撮というのは基本的に本編のフォローという形で作られ
るわけで本格的なドラマになると、さりげなく挿入されているわけ
で看板にするものでもない。
ちなみに怪奇大作戦の特撮は全26話で的場徹が半分近くの12話、
大木淳が8話で高野宏一と佐川和夫が3話づつという内容。
的場徹は大映系の特撮監督で氏がインタビューで‘大映の特撮は
目立たない’と言うように、インパクトはあるものの本編の流れの
中でさりげなく挿入されているわけだから そういったところなのか
もしれない。
思えば的場監督はウルトラQの後半から参入した後にウルトラマン
最初の3話を担当した後に、快獣ブースカに移り47話中32話も担当
しているのだ。
逆に言えばミニチュアメカなどをガンガン使うタイプの高野宏一
や佐川和夫らが3話づつと少なかったのは仕方ないかもしれないが、
高野監督が担当した氷の死刑台のサンビーム500の光学合成や かま
いたちの人体切断シーンなどはウルトラでメインを張ったノウハウ
が生きていると思う。
ちなみに怪奇大作戦で最も印象深い特撮シーンは以前も記したよ
うに呪いの壺のラストで妙顕寺が炎上するシーンで、特に山門での
合成シーンは本当に本堂が燃えている感じになっている名シーンで
ある。