ウルトラマンネクサスに登場する防衛組織・TLTは人間を捕食
するスペースビーストから人類を守るための組織ではあるが、そ
のわりにはゴルゴレム編のような地方の一温泉街をゴルゴレムを倒
すためのエサとして使用するなど目的のためには手段を選ばないと
いう これまでのヒーロー作品では例を見ない非情な組織でもある。
とりあえずビースト被害者の記憶を消すという行為は姫矢編では
‘ビーストに襲撃されたおぞましい記憶は消えた方が被害者のため’
という論理だったが、千樹憐編では‘ビーストが人間を捕食するの
は高度な知性を持つ生物の恐怖心を捕食し、ビーストに対する恐怖
心が更なるビーストを生み出すという’という本当の理由が語られて
いたので視聴者も納得するものだった。
特に姫矢編では嫌な記憶を消される事の否定がジャーナリストの
根来甚蔵から語られていたわけだが、それだけ最も大きな目的のた
めなら小さな犠牲は止むなしという判断をする組織というのが分か
る。
だから対ビースト掃討実行部隊であるナイトレーダーも多少の犠
牲には目をつぶる傾向があり、その姿勢に当初は孤門は納得が行か
ずに抗議するシーンが多々あった。
ところがミッションエリアにペドレオン編では警官、ゴルゴレム
編では保呂草がいて攻撃を躊躇するシーンがあったし特に温泉街を
ゴルゴレムを誘い出すエサとして設定した事に至っては遂に和倉隊
長も松永管理官に抗議する場面が出て来る。
ちなみにウルトラではダイナでコウダが副隊長に昇格するEPで
ヒビキ隊長から‘戦いの中で大を生かすために小を捨てる事になっ
たらどうする?'と問われるシーンがあったが、正しくTLTは大を生
かすために小を捨てる作戦を立てる組織でナイトレーダーも その
矛盾に苛まれる事になるわけだ。