今から40年前の今日74年2月28日に行われたのがWBC:Jライト
級タイトルマッチで5度防衛中だった王者リカルド・アルレドントに元
2階級制覇王者の柴田国明が挑戦し大差の判定勝ちで3度目の王座
に輝いた日である。
王者のアルレドントは71年3月に小林弘のWBA王座に挑戦し判定
で完敗したものの10月にWBC王者の沼田義明を10RでKOして
タイトルを奪取すると2度の防衛に成功した後に岡部進やアポロ嘉男に
柏葉守人と日本人を立て続けに破り‘日本人キラー’と呼ばれていた。
もっともアポロ戦と柏葉戦の間に行われたノンタイトルで連敗している
し前年11月には日本人ホープの上原康恒にも判定で完敗しているので
強そうではないが、なぜかタイトルマッチになると日本人が勝てない相手
というタイプだった。
一方の柴田は前年3月にベン・ビラフロアの持つWBAタイトルに敵地
・ハワイで挑戦し僅差の判定勝ちでフェザー級に続いて2階級制覇
したが1度防衛した後にビラフロアとの再戦で1RKO負けしタイトルを
失った直後の挑戦だった。
試合前の予想では過去2度の奪取が いずれも敵地だったのに対し
初めてホームで挑戦できる柴田がスピードの差を生かして身長やリーチ
に勝る王者を攻略してくれるのではという声が一番多い一方で、柴田の
打たれモロさと採点方式が10点法という事から細かいジャブを多く打つ
王者が判定では有利になるのでは?というのもあった。
試合前にリングインした柴田が屈伸運動をして足の筋を痛めるという
ハンデを背負っての戦いになる。
「シバタあんたの後ろで殺し屋がナイフを突きつけていたらどうする」と
エディ・タウンゼントトレーナーから発破をかけられた柴田は足を痛めて
いたとは思えないスピードで出入りの早いボクシングを展開、リーチが
短いはずの柴田の左がビシビシ決まりポイントをリード。
ラウンド終了後コーナーに帰るたびに「オーいいネ、シバタ。もう1R
いけるネ」とエディさんから励まされながらラウンドを重ね結局大差の
判定でアルレドントを攻略したのだった。
これこそ長身ボクサーを攻略する お手本のようなボクシングだった。