日本選手権の大学枠撤廃=TL順位決定戦と統合―ラグビー協会
今日の新聞に来シーズンからラグビー日本選手権の大学チームの
出場枠を撤廃するという記事が載っていた。
自国開催である19年W杯での代表チームを強化する柱であるサン
ウルブスのスーパーラグビーへの準備期間と、選手の休養を確保する
ためというのが最大の理由のようでようやくラグビー協会も日本代表
をトップに据えた強化に本腰になったと言える。
ラグビー日本選手権といえば1月15日の旧成人の日に社会人と大学
王者が戦うラグビー界の一大ビッグイベントで、松尾雄治率いる新日鉄
釜石が故・平尾誠二をリーダーとする同志社大と名勝負を繰り広げた
のが印象深い。
また昭和の時代は早稲田の4回を筆頭に明治や慶應らが勝ったり
善戦するなど好勝負もあって‘格上チームに挑む学生’という図式が
ファンを熱狂させるなど盛り上がりを見せていたが、ここに来てプ
ロ化が進んだトップリーグ勢とのレベル差も顕著になってきた事も
あるだろう。
とはいえ個人的に日本ラグビー界のレベルアップのためには必須
の措置で、今回の機会を逃すと永遠にできなくなる可能性が高いだ
けに英断とも言える。
確かに日本選手権の意義は先述したような理由の一方、日本ラグ
ビー界の人気や価値観が大学ラグビー>社会人>代表というヒエ
ラルキーの下に運営されていたため学生人気に便乗していた面も
否定できない。
しかし一発勝負とはいえ社会人のチームが学生に敗れる事自体が
異常な話だしW杯がなかった時代ならいざ知らず番狂わせが起き
づらいラグビーという競技の性格上、代表チームの中核をなす社会
人が学生に負ける事はその国のレベルが問われるわけで一部の狂信
的な大学ラグビーファン以外には許容しがたい。
それでも守旧派の中には‘日本が世界相手に勝てるわけがないの
だから’という意識があったわけだが、エディ・ジョーンズ体制で南
アフリカに勝っただけでなく3勝を挙げた事が本気で強化すれば何
とかなると関係者の意識を変えただけでなく19年W杯で予選プー
ル突破が現実的な目標になってきた事から大学ラグビー偏重という
歪んだ価値観からの脱却を迫られていた。
W杯での活躍という果実の旨みを知ったラグビー界は更なる強化
策としてスーパーラグビーに参戦する代表チーム・サンウルブスを
常設した事から、勝敗が目に見えている社会人vs大学という図式
の解消に踏み切る英断を下したわけだ。
W杯で活躍するチームが学生に頼るというのは異常なのだから、
代表メンバーの中枢となる社会人の方が上という価値観が根付いて
来た証拠で遂に最後のハードルをクリアしたという事だろう。