特撮の元祖巨大ヒーローといえばウルトラマンだが最近つくづく
思うのは、初代ウルトラマンのようなタイプの作品を作るのは厳し
いだろうという事。
怪現象の延長線上に怪獣を登場させたウルトラQに続いて製作さ
れたのが怪獣対巨大ヒーローというフォーマットだったウルトラ
マンで、セブンになると巨大ヒーロー対侵略宇宙人+侵略者が操る
怪獣というパターンが作られた。
ウルトラマンに登場する怪獣は1話のベムラーなど一部を除いて
地球を侵略する意思などなく単に棲息していたものの、人間社会の
中に出現し人類の脅威になるから倒されるというパターン。
この自己反省版がシーボーズ編で科学特捜隊は怪獣供養を行い
ハヤタもウルトラマンの姿に変身し、倒した怪獣達を偲ぶという
シーンまであった。
その後セブンになると地球を侵略者から守るという大義名分が
できたので敵を倒す事に対する後ろめたさもなくなり、また単に
怪獣が出現して暴れてヒーローが倒すという物語よりも侵略者を
登場させた方が物語にもバリエーションが生まれるのでウルトラ
マンのような作品は作りづらくなっていた。
実際にファイヤーマンなどは原点回帰をうたって単なる怪獣
だけを相手にする世界にし、ファイヤーマンの武器もウルトラ
マンのスペシウム光線のようなファイヤーフラッシュぐらいに
抑えるなど拘ったようだが視聴者の反応は今ひとつで途中から
侵略宇宙人が登場し始めファイヤーダッシュという武器も追加
された。
また帰ってきたウルトラマンでも当初は人気が今ひとつだった
のが宇宙怪獣ベムスターの登場から人気が出始め、侵略宇宙人が
チラホラ登場し始めると物語りも盛り上がり始めた。
こうしてみると初代ウルトラマンのような設定の作品は脚本家
達にとっても大変な作業で、そのわりに人気が今ひとつとなれば
セブン式フォーマットである侵略宇宙人を登場させた方が楽でも
ある。
最も難しいのはシンプルなものといわれているように初代ウル
トラマンはフォーマットは、最初の巨大ヒーロー作品だったから
こそ作りえたのではないだろうか。