一つの競争での勝利によって得られる幸福感はごく一時的な
ものではなかろうか。その後も通常レースは続く。本人が脱落する
までそれは続く。勝利すればつかの間の幸福感が得られるが、
敗北すればそれ以前より惨めになった気分になる。勝者で在り続け、
有終の美を飾れる人など実際わずかなものではなかろうか。
この社会に参加する以上、競争を避けて通れない状況も多い。
それは仕方が無い事だ。しかしアメリカ社会の過度な競争と
その裏で精神的な大きな痛手を抱え込んでいる人々を見る時、
熾烈な競争は幸福よりも痛みを生み出すかにさえ感じられる。